繊維業界の動向・年収 2016年度大手企業の調査・比較

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繊維業界に属する企業としては、主に総合系(東洋紡やユニチカ)、合成繊維系(東レや旭化成)、天然繊維系(日清紡HDやダイワボウHD)などがあります。

ここでは、その中でも、天然繊維系に絞って業界の基本情報と今後の動向、さらには転職・就職を考えている方に役立つ情報を紹介していきたいと思います。

天然繊維業界の基本情報

天然繊維業界は、植物繊維(綿や麻)や、動物繊維(絹や羊毛)などの天然繊維を原料とした紡績糸を製造する産業です。

「衣・食・住」という生活の中で欠かせない、衣料を製造するのに必要となる素材を供給する産業として、日本の基幹産業として成長してきました。

天然繊維業界の全盛期は1970年代で、高度経済成長期にはそれぞれの地域で毛織物や絹織物、タオル織物といった産業が発展していきました。

 

しかし、1993年のバブル崩壊以降、国内の縫製業が中国やアセアン地域といった、人件費が安い国へ工場を相次いで移転したことや、1995年の超円高の影響で衣料品の輸入が激増したことを受けて、国内の天然繊維の生産量は大きく落ち込んでしまいました。

国内の天然繊維産業が縮小傾向にある別の理由として、綿花や洋毛の価格の上昇が、2010年頃から続いているということも挙げられます。

同時に衣類の輸入量が現在に至るまで増加し続けているため、天然繊維産業としては苦しい状況となっています。

こうした動向を受けて、国内の繊維業界大手は買収・合併など積極的に乗り出しています。

 

2008年には繊維業界2位の帝人が、米ブレイデン・パートナーズを買収、2011年には日清紡HDがルクセンブルクのTMDフリクション・グループを買収、2012年には旭化成が米ゾール・メディカルを買収して、連結子会社化するなどの動きがありました。

特徴としては、国内企業ではなく、海外企業を買収しているという点です。

さらに、2013年には東レが炭素繊維を使った自動車部品を製造する童夢カーボンマジックを買収しており、非衣料品への合成繊維の開発に本格的に乗り出しています。

このように、天然・合成繊維大手各社は事業を拡大し収益を確保するために積極的に動いています。

天然繊維・合成繊維業界全体の市場規模は、2013年7月~14年6月の決算において2兆2,927億円、経常利益は4,473億円、平均勤続年数は16.5年、平均年齢は42.0歳、平均年収は533万円となっています。

天然繊維業界 ~今後の展望~

天然繊維業界の今後の動向として注目したいポイントは、『国内回帰』の流れと『高次の加工製品』です。

経済発展に伴う中国での人件費の高騰や、為替相場の円安の影響を受けて、産業界全体として生産拠点を海外から戻す「国内回帰」の流れになってきています。

国内企業の中には、ベトナムやカンボジア、バングラデシュなどの国に縫製拠点を移すことを考えている企業もあれば、高い技術力と小回りが利く国内に、生産拠点を移すことにしている企業もあります。

 

国内で縫製拠点が増えてくれば、紡績糸の需要も回復してくるという期待を持つことができます。

とはいえ、原料の高騰や国内においても最低賃金が上昇している現状を考えると、国内回帰の流れだけで利益を確保できるかというと、かなり厳しい状況です。

近年、合成繊維の高機能化で、繊維業界は盛り上がりをみせました。

天然繊維業界としても、そこで培った技術を綿などの天然繊維に応用することができないか考えています。

例えば、キュプラやレーヨンと複合させることや原綿に高次の加工を施すことで、合成繊維に匹敵する機能性を持たせようという開発が、各社で活発に行われています。

同じ機能を有するのであれば、合成繊維よりも天然繊維の衣料を着たいというユーザー存在します。

ですから、天然繊維でどこまで機能性を高めることができるかというのが、繊維業界の中で、天然繊維が占める割合を増やせるかどうかに影響してくるでしょう。

天然繊維業界の企業一覧

  • 倉敷紡績(繊維事業)
  • 東洋紡(衣料繊維事業)
  • ユニチカ(繊維事業)
  • ダイワボウホールディングス(繊維事業)
  • 日清紡ホールディングス(繊維事業)
  • セーレン
  • 敷紡
  • 富士紡ホールディングス
  • 東邦テナックス
  • 日東紡ホールディングス

天然繊維業界を代表する企業の基本情報

【倉敷紡績(繊維事業)】

倉敷紡績の事業全体の売上高は1,695億円で、そのうちの53.6%を占めるのが繊維事業です。

繊維事業では、ジーンズなどの厚手を主力に、綿、合繊、羊毛、その他素材の繊維製品の製造を手掛けています。

基本情報

  • 売上高:908億円(2015年3月実績)
  • 経常利益:8億円(2015年3月実績)
  • 平均勤続年数:17.9年
  • 平均年齢:40.4歳
  • 平均年収:529万円

【東洋紡(衣料繊維事業)】

創業以来約130年の東洋紡は、綿、羊毛などの天然繊維からポリエステル、ナイロン、アクリルなどの合成繊維を生産する総合繊維メーカーとして、独自の製品を開発してきました。

現在は、より快適な着心地、肌触りを実現する高機能性繊維の開発に注力しています。

基本情報

  • 売上高:770億円(2015年3月実績)
  • 営業利益:23億円(2015年3月実績)
  • 平均勤続年数:17.0年
  • 平均年齢:40.2歳
  • 平均年収:607万円

【ダイワボウホールディングス(繊維事業)】

ダイワボウHD、繊維事業会社を統括する「大和紡績株式会社」、ITインフラ流通事業を展開する「ダイワボウ情報システム株式会社」、産業機械事業を展開する「株式会社オーエム製作所」の3社を主軸としたグループ会社です。

繊維事業では、ジャパンクオリティを武器とした素材からの開発力に基づいた独自技術で、国内外に販路を広げています。

基本情報

  • 売上高:407億円(2015年3月実績)
  • 経常利益:-289億円(2015年3月実績)
  • 平均勤続年数:24.9年
  • 平均年齢:49.1歳
  • 平均年収:756万円

転職・就職へのアドバイス

天然繊維業界は、国内における衣料品販売の伸び悩みと、中国などからの安価な衣料品の輸入によって、厳しい状況にあります。

今後も、一定の天然繊維の需要はあると思われますが、各社とも収益を確保するため、航空機や自動車内装で需要がある炭素繊維や、アラミド繊維などの開発・生産にシフトしてきています。

繊維業界の天然繊維を取り扱う部門を目指すのでしたら、この時代の流れの中で「なぜ」天然繊維の生産に携わりたいのかを、はっきりと説明できるようにしておかなければなりません。

天然繊維というくくりにこだわらないのであれば、今後成長が見込まれている炭素素材やアラミド繊維など、高付加価値繊維の開発や生産に強みを持っているメーカーを狙ってみるのも良いでしょう。

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