倒産寸前の家電メーカーの給与・賞与の大幅カットを中から見た感想

家電メーカーでの会社員日記

私が転職した会社は2012年に倒産寸前までいきました。

その際に大幅な給与カットが行われましたが、今回はその様子をまとめてみました。

給与は7%・賞与は半額カットに

今回の給与・賞与カットは、全社的なアナウンスはなく、何の前触れもなく会報が回ってきて知らされました。

給与カット:1度目

  • 管理職:5%
  • 一般社員:2%

ただ、これは一時的なもので、その数ヵ月後に更にカットの幅が大きくなりました。

給与カット:2度目

  • 管理職:10%
  • 一般社員:7%

私は前の会社でも給与カットを味わっていますが、その際は3%程度でした。今回はそれを上回るものだったので、痛みに慣れている私でもさすがにちょっとビックリです。

 

さらに驚いたものは賞与のカット額でした。

賞与:50%カット

  • 一般社員:4ヶ月⇒2ヶ月(年)

生活のベースである給与はまだ可愛げのある下げ幅でしたが、賞与に至っては年間2ヶ月、つまり夏・冬に分けるとそれぞれ1ヶ月と、寸志レベルまで低下しました。

 

これには正直ショックを受けました。ただ、世の中もっと減給されていたり、賞与が出ていない方はごまんといらっしゃるはずです。それを思うと、貰えるだけまだあり難いのかな、と気持ちを切り替えました。

私はこれまで給与の7割、賞与は全額貯蓄に回していたのですが、今回は半ばヤケクソで新しいパソコンを買いました。

 

減額後のみなさんの暮らしぶり

この会社の給与・賞与カットの話はニュースでも大きく取り上げられ、内部の人のインタビューが掲載されました。

「給与が大幅に減らされ、子どもを塾にいかせることが難しくなった」

「専業主婦だった妻が働きに出ることになった」

上記のように確かに困った状態に陥った人は多かったです。皆さん節約に走り、飲み会を開いても来ない/3000円以上だと参加しない、など、財布の紐は固くなっていました。

ただ、会社の給与水準が元々高めだったため、意外と何とかなった人も多かったと記憶しています。私が勤務していた本社地区では、生活水準を落としたという人はほとんどいませんでした。ニュースサイトなどで述べられていた内容は、誇張が入っていたと感じています。

 

私の年収:30歳総合職 年収370万円までダウン

私はこの会社に入った際に、前職より給与がアップしましたが、今回の影響を受けて大幅に下がりました。

  1. 入社時点:400万円
  2. 入社後昇格時:450万
  3. 給与カット後:370万円

30歳、理系院卒、総合職、大手企業 年収:370万

賞与を除いた月々の手取りは18万くらいです。

 

さて、この数値はどうなんでしょうか。欲の少ない私でもさすがにちょっと低いかなぁと感じます。

仕事内容も頭と神経を使うものですし、総合職の給与としては微妙な気がします。

実際、一般職をしている私の妹は手取り19万円、給与4ヶ月/年であり、完全に妹に負けてしまいました

この頃は実家に住んでいましたが、情けなく感じながら家族に打ち明けたことを今でも覚えています。ただ、私の家族は優しく「気にしちゃだめよ」「そのうち何とかなるよ」と励ましてくれました。

その後、励みを糧に私はめげずに頑張り続けましたが、最終的には会社にリストラされる。という運命を辿りました。

私は給料を減らされようが、最後まで奉公する気持ちでいたのですが…、何とも悲しい話です。

 

不況時に家電メーカーに勤めて感じたこと

サブプライムが終息した後でこそ持ち直していますが、不況になった際の家電メーカーは本当に脆いです。

消費が落ち込むと家電製品は本当に売れなくなり、出費を多少抑えたり、軽くリストラした程度では全く立て直せません。勤めていて分かりましたが、不況に陥ると突破口を開ける要因が全く見当たりませんでした。

家電はもう産業として成り立たないでしょう。コスト力で中国などの大陸勢に絶対勝てない上に、品質の差もそれほどなくなってきました。

昔、日本がアメリカにやったことと同じことを今度はやられているイメージが近しいと思います。アメリカの家電メーカーは以前は名の知れた会社もありましたが、高度成長経済期に低コストで日本が清算を始めると、一気に衰退し現在に至ります。

日本の大手家電メーカーは、一昔前は課長で1000万と言われていましたが、もはやそれも崩れてくるのではないでしょうか。その下の主任・担当レベルに至っては頑張っても年収400万台くらいに落ち着くと予想されます。これから、巻き返すことはもうほとんどできないでしょう。

大学の機電系学科では、もう進路に家電・電機メーカーを選ばない人がかなり増えていると聞きます。

行くなら、自動車、精密、工作系の機械といったところでしょうか。これらの産業は保持している特許も多く(トヨタ、キヤノンなど)、製品も海外勢が簡単には真似できないため、当面は安泰でしょう。

私はこの後、2013年に転職エージェントを介して製薬会社に転職しましたが、二度と家電メーカーには勤めたいとは思いません。本当にもうコリゴリです。

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