長年、ヘルプデスク業務に携わっていましたが、会社がようやく動き始めてくれました。おそらく今までのヘルプデスク業務では、売り上げが上がらず赤字になっていたのでしょう。この頃になると、入社した当時から見れば会社も大きくなり、組織もしっかりでき、以前から比べると会社らしくなったなと思いました。
そしていよいよ、次の現場が決まりました。次の現場は「構築」だったのです。

この業界の悪しき習慣

はじめての構築作業といっても、いきなりサーバーの前に座り込んでOSの設定をしたり、ミドルウェアをインストールしたりする作業はしません。

  1. 基本設計書に記載されている機能を有効にするために、設定するチェックボックスや数値をまとめた詳細設計書を作成
  2. 実際にサーバーにOSをインストールし、OSに対して詳細設計書で決めた通りの設定を行うまでの手順書を作成
  3. 実際に設定した機能が十分に提供されるかの試験を行い作業が完了

この流れを入場したときに説明があるべきだと思いますが、一切ありませんでした。どのような環境で、どのような作業があるのか説明がありません。

本当なら最初にどのようなシステムで、どのような作業を実施してもらうかある程度、説明する必要があります。この様な説明は一切せずに仕事に携わらせて、できないと退場させるという悪しき習慣があります。ここだけは注意してくださいね。

私も多分に埋もれず、初めて担当する作業にも関わらず、誰も相談できる人すらいなかったのです。こうなった時、いっしょに業務をしていたある人が救ってくれました。その人はこの業界の習慣を変えたいと思っていた人でした。

その人に助けられて、業務を進めることができたのです。その時のリーダーにも意見を言わせてもらいました。そして、かなりの言い合いになりました。

私は仕事中に意見をぶつけ合うのは、良い仕事をしたい良いものを納品したいという思いがあればありだと考えています。だから、私は意見をするし、わからないことがあれば聞きにいったりしましたが、面倒くさそうにすれば、私もそれなりの仕事しかしませんでした。わからないなりに、いろいろ調べて解決を出し間違っていても良いと考えています。

ちょっと大人気のない対応と思われてしまうかもしれませんが、自分で調べていると時間がかかってしまいます。だから、知見者に話を聞くというのも一つの解決手段です。本来仲良く仕事をするのも必要ですが、学生ではありません。必要以上に仲良くする必要はないのです。

そのような状況なので、わかればいいというレベルの手順書が完成しいよいよデータセンターで、サーバを構築する作業が始まります。

 

データセンターでの作業は寒さと眠気との戦い

データセンターはいくつものサーバーが安定稼働するために電源や空調がコントロールされている専用の場所と考えてもよく、、数ヶ月に渡ってその中で作業を行います。中には体調を崩してしまう人も出てくるくらい、ちょっと大変な作業環境での業務となります。

  • 携帯電話の持ち込みも禁止
  • 作業用PCもインターネットに接続できる端末が限定されている
  • わからなければ、データセンターから出て、調べて、印刷した紙を持ち込む

など、セキュリティに関しても厳しく管理されている場所です。だから普段の作業のように、Googleで調べながら作業をするということはできません。

ちょっと不便な感じですが、データセンターのルールなので守るしかありません。

そこでの作業が始まってすぐにちょっとしたトラブルがありました。

クライアントから聞き出した機能条件をまとめた要件定義書から基本設計書を起こす際に、機能を提供するためのサーバーやネットワーク環境などを選定する際に選定ミスがあったようです。途中までサーバーへの設定作業も行っていましたが、サーバーを入れ替えることになり、そのサーバーでの作業は白紙に戻されてしまったことがありました。

今思うと、なぜ気がつかなかったのだろうと誰もが思うようなミスだったようです。

もし自分が要件定義から基本設計書を作成する立場であれば、注意しないといけないと肝に銘じました。

サーバーの設計者はハードウェアの知識も持っていないといけないというわけではありませんが、何ができるか?どのOSに対応しているか?などの基本的な情報は別の設計者に聞けばわかることです。また、メーカーの公式サイトでPDFファイルをダウンロードできるようになっているはずです。ちゃんと読んでいなかった可能性もあります。

いろいろなドキュメントが、公式サイトからダウンロードできるようになっています。特に、仕様書については必ず熟読して、必要な情報はメモをとるようにしましょう。

ちょっとトラブルがありましたけど、他にも設定しないといけないサーバーがあるので、作業が中断することはなく進められていました。

 

次々に起こるトラブル

構築作業や設定を変更する作業では、必ず証跡(エビデンス)を残すように言われます。
これは、作業をした内容を画像やテキストデータとして残しておくことで、構築時の作業は手順書通りでミスはありませんという証拠を取るのです。

ですが、作業に夢中になっていると、プリントスクリーンキーを押すという作業が抜けてしまうのです。

作業工程と証跡がないと「作業をしていない」と判断されてしまい、もう一度作業をしなくてはなりません。実際に構築作業でサーバー本体の設定をしているときの作業における証跡が足りなかったようです。別チームで発覚してしまったため、すべてのチームにやり直しが命じられてしまったのです。

ちなみに、構築作業は作業者と再鑑者の2名体制で実施します。2名で作業をしていても、漏れが出てしまうのです。

やり直しが命じられたのが22時頃でした。作業自体は3時間以上かかるので、明らかに徹夜になるため途中で休憩を入れて作業を行っていました。データセンターにはリラックスするためのマッサージチェアーが用意されていたりするので、体を休めながら作業を実施しました。構築作業の場合、納期がきっちり決められているため迫ってくると徹夜をしたりするのが当たり前になります。翌日も出勤ですが仕方がありません。

この時は会社がホテルを取っていてくれたため、作業が終わった人からホテルへ異動して翌日午後出勤という感じになりました。

大変な作業が終わると、今度は詳細設計書の修正作業が始まります。作業時に見つけた差分と実際に設定できなかった箇所と作業すると調べることができる値があるので、それを転記して仕上げるのです。

そして、一通り設定が終わると、今度はテスト作業を実施します。

 

単体テストを実施し構築作業が終了

一通り構築作業を終えると、今度は単体でテストを実施します。テストは結合テストとサーバー単体での単体テストがあります。私たちは単体テストを実施したのですが、想定した試験はすべてクリアし、このサーバーは問題ないと判定していきます。

単体テストでは、設定した項目もあっているかのチェックをするところがあります。そう考えると1つの設定について、作業を2人で行い単体テストを2人で実施するので、合計4人の目がチェックしたことになります。

それでも、結合テストや総合テストの段階で設定ミスが見つかります。何人でチェックしてもミスがあるとなると、今後どのようにすればミスを軽減できるのかを考えてしまいます。ここでも改善癖が出てきてしまったのですね。

それでも、単体テストも問題なく終了させることができ、私の持ち分はすべて終了しました。構築に携わった期間は、約7ヶ月間でした。

 

次の現場は運用だった

構築についていろいろなことを知りこれからも構築に携わっていきたいと営業にも伝えたのですが、やはり経験がないからといわれ、別の案件を探すことになってしまいました。
経験が少ないといわれても、そのチャンスをくれなかったのは会社ではないかと内心思いつつ、行動しなかったのも私が悪いので仕方がないと考えていました。

長期にわたり現場にいたということを考えると、転職するという方法もあったのかもしれません。ただ、転職するとなると、いろいろな不安が出てきます。家や車のローンや、子供の養育費など、そして微々たる貯金では不安になるのは当たり前かもしれません。

次に用意された現場は、構築ではありませんでした。サーバーを安定稼働させる運用作業に携わることになりました。
ヘルプデスクから数ヶ月の構築作業しかしたことが無いようなスキルの人間が行ける場所はないようです。

運用とは、日々サービスや提供をしているサーバーに異常がないかを確認をしたり、クライアントからの問い合わせに回答したり、いわば、何でも屋さんという感じのところがあります。時には新しいサーバーを構築する場合もあります。

今まで通ってきたヘルプデスクと構築の経験は、ここでもちゃんと活きてきます。

その経験を活かせるとなれば、運用もいいかもしれません。そこで、私も運用に携わることを選びました。

ある場所に常駐して運用作業を実施しました。今まで使ったことがないシステムの上、安定していないとんでもないシステム環境だったのですが、一生懸命に覚えようとしました。ですが、先述したとおり悪しき習慣があるため、システム全体の説明はありません。これからどういったことがあるのか、今までにどのようなトラブルがあったのかなどの説明は一切ありません。

実践から学ぶといえば聞こえがいいのですが、明らかにその現場では教えるのが「面倒」という雰囲気がありました。また、初めての作業で操作をちょっと間違えただけで、ものすごい勢いで怒られるのです。何か様子がおかしいなと思って周りを見てみると、怒られている姿を見て笑っている連中がいるのです。

統括リーダーが離席している時に、他のメンバーが話していた声が聞こえてきました。どうやら前任者もこの環境が嫌で、4ヶ月で辞めていったことがわかりました。それでも私は耐えていました。

このときの経験がなければ、後で転職サイトを経由したキャリアアップも望めなかった。と正直思います。

これを耐えれば周りも認めてくれて、仲間入りできるだろうと考えていたのですが、ある事件から私はそこを離任することしか考えられなくなりました。