
そんな時はちょっと視点を変えて、嫌になったことや人から注意を受けたことを真摯に受け止めて、別のことに生かしてみたらいかがでしょうか。そんな方法を2つ紹介したいと思います。
ヘルプデスクで嫌になった時の考え方
どんな仕事でも嫌になってしまうことがあります。
きっかけは上司に注意されたり、利用者からクレームを言われたり、メンバー同士の意見のぶつかり合いなど、本当に千差万別です。その結果、ヘルプデスクという業務が嫌になってしまうことも十分にあり得るのです。
特に、毎日、毎日、同じような問い合わせを受けていると、面倒になり「またかよ」という思いが芽生えてきます。その頃には、電話応対も受付件数も十分こなせる中〜上級のスタッフになっている頃だと思います。
その同じようなことを教えるのが面倒で嫌になるぐらいなら、その面倒をどのように取り除けるかを考えてみるのです。
例えば、
- FAQサイトに追記する
- 手順書を別途作って公開する
- メールマガジンのようなものを作り、よくある問い合わせトピックスなど情報を発信
利用者をそこに導くようにするのです。
「嫌になった」とか「面倒になった」は、ちゃんと分析することで改善提案にできる最大のチャンスになるということです。こうして様々な提案が生まれてきます。
私がまだヘルプデスクで受付を担当していた頃は、メールアプリの設定方法に関する問い合わせが多かった時期で、日に100件以上の問い合わせがありました。メンバーからも同じ問い合わせばかりで、受付するたびに「またかよ」と愚痴を言いあっていたぐらいです。
その時に自分から率先して、イントラネットワーク内にヘルプデスク用のホームページを作っていたので、FAQページを作り問い合わせ形式で掲載し、細かい手順に関しては新たに手順書を作成し掲載するということをしてみました。そして、各部署のキーパーソンとなる担当者に通知したところ、問い合わせ件数が半減したことがありました。

それ以来、メンバーの愚痴や自分が思ったことは改善につながるという考え方が身についたのかしれません。
それでも嫌になってしまった場合、別のところに原因があると思いますので、さらなる自己分析を進めるか上司や相談しやすい仲の良い知人に相談してみると良いかもしれません。
話すことで自分の中で整理できるし、なぜ「嫌」という感情が出てきたのかその理由を見つけ出しましょう。

利用者に●●と言わせたら勝ち!
毎日同じような問い合わせを受けていると、気分的にはちゃんとやろうとしても、気分がのらず体がついてこない日もあります。こうなってしまうと、あとは負の連鎖から電話を取らなくなりメールでの問い合わせでも対応が遅れがちになってしまいます。
すでに受け付けている問い合わせに対しても回答が遅れ、最終的にはクレームになってしまうことさえあるのです。
これでは一生懸命頑張って得た評価も下がる一方です。
そこで私の場合は、次のような対応で業務を進めていくことにしました。
それは一つ一つの受付に対してゴールを設定することでした。これは1日10件の電話を受けるとか、手順書を5つ作るとか、そういった類のゴールではなく、利用者から「ありがとう」や「助かった」といったようなお礼の言葉を引き出すというゴールです。
最初のうちはなかなか難しいと思いますが、これができるようになると次にどうやって利用者から「ありがとう」を引き出すかを考えるようになります。
これがわかりやすい手順書を作成したり、ホームページを公開したりといった改善提案の生まれてくる元になるのです。
また、自分が見つけたWEBサイトを共有したりしてもらったりするような、メンバーどうしても良い関係を結ぶことができるようになってきます。
そして、個人への評価が上がっていくと、リピーターではありませんが、新規問い合わせの場合でも「●●さんにお願いします」と電話がかかってくるようになります。これが本当の評価を得た時の反応なのかもしれません。
「ありがとう」という言葉がヘルプデスク業務に対するモチベーションに繋がり、負の連鎖を止めることができるのです。
それでも「やりたくない」という感情が湧き上がってきます。その時はその感情をきちんと認めてあげて、やりたくないならどうすれば良いかを考えてみましょう。メンバーと調整をして定期的に、休暇を取るというのもリフレッシュになって結果モチベーションアップにつながっていくでしょう。

他にも、私の場合は、受付業務をよく将棋に例えて後輩や新人を教育したことがあります。一度ぐらいは将棋をやったことがあるかと思いますが、相手の一手二手先を読みコマを進めるやり方はヘルプデスクだけではなく、様々なビジネスに利用できると考えています。
ヘルプデスクの場合、利用者からの問い合わせに対して的確な回答を出すこともあれば、回り道を通って最後に答えにたどり着くこともあります。
その時、
- このような回答をしたらどういう風な態度をとるだろう?
- 違う方面に発展した場合は、次にこの方法を試してみよう!
など、問い合わせを受けながら常に次の一手を用意しておくのです。
そして、最終的に利用者の方から「ありがとう」を聞き出した時点でゲーム終了となるわけです。
ちょっと背伸びをして見たら?各種ツールを試してみる
実は、これも改善提案につながる話の一つになるのですが、いろいろな問い合わせの中では利用者のパソコンに対してある設定を実施したり、一時的に解除したりして設定を有効にするなどの操作を行うことがあります。
例えば、ちょっとサイズが大きいファイルを利用者のパソコンに送信する時、OS標準のコピー機能の場合は時間がかかることがあります。また、ネットワーク越しにコピーをするため、ネットワークへの負担も考慮する必要があります。
この時見つけたアプリは、コピーの際に一度、メモリ上にデータを蓄積し指定したサイズになったら送信するというもので、データを細分化して送ることによって普通にコピーする時よりも早く作業が終了することができます。
DISK容量が少ないと警告が上がった時や、ファイルサーバ上で1人あたり割り当てられているサイズを使い切ってしまった場合、どのフォルダでどのファイルのサイズが大きいのか、一つ一つチェックするのは大変ですよね。そんな時も、Filesumというアプリを利用すれば、それほど時間をかけずにどこに使用サイズの大きいファイルが隠れているか調べることができます。
- Fast Copy (https://fastcopy.jp/)
- Filesum (http://www.net3-tv.net/~m-tsuchy/tsuchy/filesum.htm)
これらのツールはフリーソフトとして提供されているので、現場で許可させもらえれば利用することができます。
勉強をかねてツールを作ってしまうという方法もあります。
Windowsではコマンドプロンプトと呼ばれるコマンドを入力して、処理をさせることができる機能があります。この処理をまとめてファイルにしたものがバッチファイルと呼ばれるもので、一定の処理を自動化することができるのです。
これを覚えておくと、パソコンが起動した際に、一定の操作を実施させることができます。
さらに、Windowsの場合は、いつもみているグラフィカルな画面操作からはできないことがあります。
それを実行させるには、コマンドプロンプトによるコマンドを実行します。
このように、
- フリーソフトを使い業務をもっと楽に進められる方法を考える
- コマンドプを集めたバッチファイルを作成し処理を自動化させる
- もっとプログラムに詳しい人であれば、VBscriptやPowerShellなどコマンドベースでWindowsを操作する
ことができます。

キーマンを見つける方法
しばらく受付をしていると、いつも同じ人から電話がかかってくるケースがあります。パソコンに詳しい人が、質問を受けてその人が解決できない場合にヘルプデスクへ連絡をするという体制ができていたようです。
このような人物がいないのが当たり前ですが、もし発見できたら必ずヘルプデスク側の味方につけるようにしましょう。何か調査を依頼するときや障害が発生した際に、優先的に連絡をする人物になるからです。
ヘルプデスクでは毎日問い合わせ履歴を残しているはずです。履歴を毎日チェックしていれば、どこの誰がどんな問い合わせ件数をしているのか、多いことは判断ができます。
また、問い合わせ内容から、自分のことなのか他の人のことなのかもだんだんとわかってくるようになります。もし、問い合わせ内容がひとつにまとまりがない場合は、キーマンの可能性が高いといえます。
この調査をしていると、サーバエンジニアになったとしも非常に使えるテクニックになっていきます。
月次報告の場で、一番発言力がある人がキーマンになる人ということがよくわかるようになります。その人を抑えておけば、頼みにくいこともお願いしやすくなります。

まとめ:視点を変えて変わった感じで挑んで行こう!
対人関係の仕事は、少なかれ人に対する不満やストレスを感じてしまう業種です。それを放置したり精一杯抵抗したところで、無駄に体力を使ってしまうだけではないでしょうか。
であれば、そのストレスを発散する方法や違う方向にチェンジしてみましょう。最初はなかなかうまくできないことでも、だんだんとできるようになってくるはずです。
どうしても行き詰まってしまった時は、初めの章でお話しした報連相の「相」を実践してみましょう。また、メンバーで飲み会を定期的に開いて、たまった不満や愚痴を言い合うのも良いと思います。

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