
当時、私の周りの人がパソコンの自作にはまっていて、その流れでパソコンの自作にはまり、独学でパソコンに関するスキルを磨いていました。そのことを雑談で、上司に話したりしていました。
それから数年後、上司から「パソコンに詳しいから、やってみないか」というお誘いから、ヘルプデスク業務に携わることになったのです。
ヘルプデスク業務って?
私が経験してきたヘルプデスクは、企業や官公庁に常駐してパソコンやプリンタなどの周辺機器の操作方法から、インストールされているアプリケーションの使い方やネットワークのトラブルなど、パソコンに関するすべてを電話かメールで受け付けていました。
受付後は、自分で調べたり修理するためのベンダーを手配したり、実際に現地にいってパソコンを回収したりしていました。
そこまでやるのかと思ってしまうかもしれませんが、「問い合わせを受けて終わり」というのは、大規模なコールセンターのように役割分担されているところになります。その規模になると一企業ではなく、エンドユーザー向けのサポートと呼ばれるものになるでしょう。
受け付けたものはすべて自分で調べて解決方法を見つけ、回答するというのがヘルプデスクです。
ヘルプデスクの難しいところ
ヘルプデスクに携わっていて、本当に難しいと思ったことが2つありました。
一つは、問い合わせ内容から実際の問い合わせ内容を把握することでした。
この具体性がない問い合わせから、如何に詳細を聞き出して的確な回答に導くかはちょっとテクニックが必要になります。
もしかしたら聞いたことがあるかもしれませんが、質問力を鍛えることで対応が早くなります。パソコンの専門的なスキルも必要ですが、質問して相手が言いたいことを引き出すというテクニックも必要になります。
例えば、パソコンの電源が入らない場合は、「電源ランプの色は何色になっているか?」、「コンセントが抜けていないか?」、「電源ボタンを押した時の感覚は?」を聞いたりします。
見当違いでも、情報を集めるために、聞き出すことがあります。「パソコンが使えない」と言われた時点で、3〜5ぐらいの質問が頭に浮かんでくると良いでしょう。この繰り返しで、現象を正しく現象を把握する必要があるのです。
そしてもう一つは、回答する時です。
質問を繰り返して問い合わせしたい本当の意図がわかった時、そこから調査が始まります。
そして、パソコンやネットワーク、アプリケーションの情報など専門的なことを調べて、原因を特定し解決方法がわかった時点で、問い合わせをしてきた方へ連絡をいれます。
仕事でパソコンが使えない状況で、ストレスを受けている人にわからないことを説明した場合、どうなるかは火を見るより明らかですよね。
パソコンをわからない人でもわかるように、言葉や例えを使って説明するというスキルが必要になってくるのです。
ヘルプデスクでは専門的な深いスキルよりは、浅く幅広いスキルと質問力や如何に分かりやすく説明ができるかというコミュニケーションスキルが重要になる業務なのです。
業界全体が「ヘルプデスクは、オペレーターや専門知識を有することのないロウスキルでも対応できる」と考えている方が多く居られ、単価も非常に低く見られてしまう傾向があります。ですが、ここ最近、サポートをしっかりすることが次の仕事につながるというように、企業内の考え方も少しだけ変わってきているようです。
ヘルプデスクで求められる人材とは
ひとつひとつのスキルは決して高いものが求められる職種ではありませんが、これから従事する運用や構築、設計でもコミュニケーションスキルが最重要であることには変わりがありません。
サーバやネットワークなど技術的なスキルが求められるため、コミュニケーションスキルや人との繋がりはないだろうと思っている人が多いようですが、仕事では報告をしたり仕事を依頼したりとコミュニケーションを取らなければ回るわけがない世界なのです。
そして、サービスとはいったい何かを常に考えて行動や改善提案を出せる人が最も求められる人材ではないかと思います。これはどの職種にも共通していえてしまうことでもありますが、手作業で行なっていたことを自動化できないか、本当にその作業が必要かなど、改善提案に理由をつけて出せる人は重宝されるでしょう。
ヘルプデスクのゴールとは
ヘルプデスクに長く携わっていると、このままヘルプデスクで良いのかと不安になってしまうことがあります。そこで、ヘルプデスクに携わった場合は、次の目標をゴールとして業務を進めていくことをお勧めします。
ヘルプデスクの目標
- 電話対応や受付の部分では、「ありがとう」といってもらえる対応です。
- ヘルプデスク全体としては、正しい回答をすることは当たり前ですが、1回の問い合わせから回答までの対応時間を削減していくことです。
自己満足な回答ではなく、問い合わせをしてきた人が「ありがとう」と自然に出てくるような対応が最高のヘルプデスクです。そのレベルまで達すると、リピーターがつくこともあります。それができるようにあったら、受付対応という部分についてはゴールかもしれません。
そして、どれだけ早く対応できるかというゴールを達成するために、ヘルプデスクで利用するホームページを作成しFAQサイトを公開したり、手順書を作成し更新して公開したり、改善提案に繋がり品質の高いヘルプデスクを作ることができるのです。
ゴールを設定せずに業務を行なっていくと、「電話対応できた」ことがヘルプデスクのゴールになってしまい、もう完璧にこなしていると錯覚してしまうのです。

私も今はヘルプデスクを卒業して、サーバエンジニアで運用や構築などに従事していますが、ヘルプデスクで身につけた各スキルが今も活きているといえます。それはトラブルが発生していた時の報告や、復旧方法など説明する必要があるからです。ヘルプデスクが登竜門といわれる理由がわかるかもしれませんね。
ヘルプデスクを経てサーバーエンジニアとして
ヘルプデスクを経て、はじめて、サーバーの運用に携わることになりました。
ただその前に、サーバーの構築も経験することができ、今までのヘルプデスクとは違った世界に携わることもできました。
私のようなケース以外にも転職サイトを介してヘルプデスクからサーバーエンジニアになるケースもあります。
サーバエンジニアとは
サーバーエンジニアは、「運用・保守」と「構築・設計」の2つに分けられます。中でも、「構築・設計」になると、ネットワークやサーバー上で動作させるミドルウェアの設定などのちょっと高いスキルが求められるようになります。
とはいえ、「運用・保守」も、高いスキルと決断力が求められることに変わりはありません。そして最初に携わることになるのが「運用・保守」になります。
運用・保守とはどのような業務?
運用・保守は基本的にサーバーを24時間365日、トラブルがなく安定稼働させることが主な業務となります。
例えば、クライアントが使っているパソコンからインターネット接続や各会社のメールアドレスが利用できるメール環境、ファイルを保管する共有できるファイルサーバーなど、利用できるすべての環境を安定稼働させ、トラブルが発生した場合に保守ベンダーと調整を行い、すみやかに障害を解消する役割です。
最近では、セキュリティへの対策も必要不可欠になってきていることから、サーバーや社員が使っているパソコンのOSアップデートやアプリケーションのアップデートなど様々な更新を行う必要があります。
会社以外であれば、普段何気なく利用しているスマートフォンも同じように多くのサーバーからサービス提供を行っています。
インターネットやメール、スマートフォンで遊んでいるゲームなど、さまざまなサービスを提供する上で必要不可欠なサーバーを、24時間365日安定稼働させることが役割になります。
ヘルプデスクの初動は「クライアントからの連絡」でしたが、サーバーエンジニアの初動は以下のようになります。
- 常にサーバーが出力しているログや監視アプリなどから送られてくるアラートやワーニング情報をチェック
- サービス提供に異常がないかをチェックして判断する
- サーバーのハードウェアが障害を起こしていないかをチェックして判断する
そこに気がつかないと、クライアントから「インターネットに接続できない」や「ファイルサーバーにアクセスできなくなった」などのトラブルにつながり、ヘルプデスク経由でクレームが入ってしまうのです。
構築とはどのような業務?
運用・保守のように安定稼働を求めるような業務ではなく、サーバーを一から作り上げていく作業になります。設計がクライアントの要求を確認して、起こした基本設計書からサーバーOSに必要な設定を行うのも構築するサーバーエンジニアの作業となることがあります。
でも、基本的にはサーバーの構築になるので、
- BIOSの設定
- OSのインストール
- サーバーで提供する機能の設定
- インストールしたミドルウェアの正常な動作
など、チェックを行い運用できる状態にするのが主な役割です。
決まっていないことを決断しなくてはならなかったり、設計担当部署と調整をしたりと主体となって動く必要があるため、サーバーに関するスキルが求められるだけではなく、コミュニケーションスキルとスケジュールを管理できるスキルも求められるようになります。
構築は場所や時間に制限があり、データーセンターに詰め入りだったり、予期せぬことが起こったりとちょっと大変な部分でもありますが、自分で作り上げたサーバーを利用してもらえると考えると、ちょっとわからないことがあればしっかり調べて対応するといったことをする必要があります。
実は、この部分は「ヘルプデスク」で身につけることができます。
調べる対象に違いはありますが、OSを提供しているベンダーへ問い合わせしたり、インターネットを使って調べたりする姿勢はどちらも変わりがありません。

今は、サーバー構築作業も自席に座ってパソコンを操作しながらできる時代になりました。
昔はサーバーを構築するといえば、空調が強く聞いた真夏でも冬場のジャンパーが必要なサーバールームで凍えながら作業をしていました。今は仮想化の技術が発展したおかげで、サーバーの構築もサーバー機能の提供も多くの場合が仮想化された環境から提供できるようになったのです。
サーバーエンジニアに求められる人材
サーバーエンジニアとして求められる人材には、コミュニケーションスキルは最低限必要になります。ベンダーへの問い合わせから調整をする必要があったり、トラブル発生時に上司に報告したり、クライアントとの取り決めになります月次報告会で業務が出てくることもあります。
サーバーエンジニアとなるOSに関する知識、仮想環境を扱っている場合は仮想化に関する知識やスキルなど、今度は幅広く深い知識が必要となるのです。だから、調べ物をして解決するということを当たり前のようにできる必要があります。
インターネットで調べ物をするといっても、公式サイトになると難しく書かれていたり、英語文を機械翻訳したサイトだったり、なかなか理解するまでに時間がかかるケースがあります。
個人が公開しているブログサイトも内容が正しいとは限らないし、すべての情報が網羅されているか判断できないため、個人ブログは利用しないようにする必要があります。

まとめ:好きからエンジニアへ
実際、ヘルプデスクやサーバーエンジニアになれたものも、行動力の賜物ではないかと思うことがありました。
そして、新しい技術やOSなど、さまざまなことに興味があって追求したいという思いが、ここまで自分を突き動かしていたのかもしれません。それは今でも変わっていません。
セミナーか講習会、勉強を重ね最終的に資格を取得できるようにしましょう。ちょっとお金はかかりますが、資格を取ることで自分の価値を高めることができます。

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