転職エージェント経由での転職を選んだ私と後輩は、WEBデザイナーなどを募集していたある会社の求人広告に目が止まりました。これからは「WEBの時代」と勝手に思い込んでいた私は、すぐに面接を受けました。小さな会社だったのですが、サポートのスキルと自作PCなどのハードウェアに関する知識を買われ、面接したその日に採用されることになりました。
でも、この会社もいろいろありました。

会社が求めていた人材

採用が決まり出勤した日、私に与えられたプロジェクトを知り愕然としました。

それまでWEB関係の仕事に携われると思っていたので、ホームページを作るためのHTMLを勉強したりしていました。
でも、待っていたのは「ヘルプデスク」の業務だったのです。
当時、大手金融系企業でシステムの入れ替えを実施するという巨大なプロジェクトで、既存のヘルプデスク要員をそう入れ替えするというものでした。
私は「だから前職のヘルプデスクのことを、事細かく聞かれたのか!」と気がついたのです。面接の時にしつこいぐらいサポート業務で困ったことや、改善したことなどを聞かれていたのはこのためだったのかと納得したのです。

私も大手企業に常駐してヘルプデスク業務を行うのは初めてだったので、どんな風になるのか期待と不安でいっぱいでした。初めは私だけがそのプロジェクトにアサインされていたのですが、次々と他のメンバーも決まっていきました。

こうしてプロジェクトに参画する4名が決まり、その中でも経験が豊富だった私がリーダーとなったのです。

それまでリーダーらしきことは、一切したことがないと思い込んでいましたが、「前職で十分やっていた」と言われてちょっと納得したところもありました。こうして、プロジェクト部隊ができたのですが、メンバーは初めてITに参画するような人ばかりで「パソコンのメモリも増やしたことがない」という状況でした。

そこで、企業面談までまだまだ時間があったので、私が教育してサポートの受付や切り分け方法を教えました。

そして企業面談でいろいろ言われましたが、「お願いするね」と無事合格をもらい、メンバー全員で常駐することが決まったのです。こうして大手企業の管理された環境下で、ヘルプデスク業務がスタートです。

今までは、リーダーと言っても後輩一人の面倒を見るだけだったので、それほど意識はしていませんでした。ですがリーダーとしての仕事も増えているため、なかなかきつかったのを覚えています。

 

すごい!初めて見る環境に好奇心が止まりません

大手企業ともなるとヘルプデスクのカバーする範囲も広くなりますが、ネットワーク図や各サーバーの基本設計書から詳細設計書まで、すべてが必要に応じて閲覧できるので、トラブルが発生してもすぐに切り分けの材料として利用できるのです。

今まで行ってきたサポートと大きく違うのは、今までにない環境として「リモート操作」と「サーバー」の存在です。

リモート操作
社員が利用しているPCには管理ツールがインストールされており、その一つの機能としてリモート操作が提供されています。リモート操作は社員の問い問い合わせ内容を確認したり、設定を変更したりすることができる便利なツールです。
サーバー
ユーザーの情報やメールなどはサーバーが管理していることから、問い合わせ内容によってはサーバーも調査対象になることがあります。ただ、一つ操作を間違えてしまいサーバーをシャットダウンさせてしまった場合は、シャットダウンしてしまったサーバーによっては、すべてのPCにログオンできないという最悪な事態に発展します。

 

間違えると大変な事態になる

私ではないのですが、当時サポートしていたPCにFTP接続して、インターネットのキャッシュファイルを削除する作業を行なっていました。その時、コマンド操作に慣れていないスタッフが間違えたコマンドを入力してしまい、すべてのファイルを削除してしまったのです。

今では、OS側で処理しないように制御されているコマンドです。当時は利用していたOSのバージョンが古かったため抑止が機能せず、使用中のファイルは残りましたがシステムを構成するファイルの多くが消えてしまったため、もう動作することがありません。

この報告を受けて、管理者に私共々報告し、当該PCを利用していた役職者に謝罪に行くという経験をしました。

思い込みや確認をしないで作業をすると、とても危険であると身をもって経験することになりました。やってしまった当人も真っ青な顔をして報告にやってきたぐらいです。

特に、コマンドによる操作は、取り消しができません。完全に削除してしまうような操作の場合は、気をつけてないと取り返しのつかないことになります。
ファイルやフォルダを削除する時の作業は、2人でチェックをしながら実施するルールを作った覚えがあります。

 

何から着手したか

初めてのことが多く何から着手して良いのかわからなくなってしまった場合、一番問い合わせが多いものを把握して、対応方法を考えておくというのが効果的です。電話がかかってきても慌てることなく、淡々と作業をこなせます。

こうしてできた時間を使って、ネットワークやサーバー構成図、手順書を読んだり修正したりして、今自分がどのようなシステムのどの部分をサポートしているかを把握できるようになってくるでしょう。専門的な用語や仕組みは、自分で調べるか先輩に確認するなどして絶対にわからないまま放置はしないようにしましょう。

おそらく、問い合わせが多くなってくるのは、業務に関するアプリの使い方やオフィスアプリのトラブルなどになってきます。件数が増える問い合わせを少しでも減らすための対策をとる必要があります。
何をするかというと、ヘルプデスクから利用者へ提供できる情報を掲載できる場所(ホームページ)を作って、問い合わせの時に回答を説明するのではなくホームページへ利用者を誘導するという手法を行います。手順書やFAQを見てもらい自分で解決してもらうようにすることで、1日の受付件数を減らすことができます。

それでもわからない場合は、ヘルプデスクへ再度問い合わせるように促すのです。

ヘルプデスクの目的は「問い合わせ」を解決することはもちろんですが、問い合わせをしなくても利用できる環境を作り上げることにあると考えていました。ただ、すべての問い合わせを網羅することができません。そこで、一般的に利用するオフィスアプリやOSの操作方法を中心に作り上げて行くようにしました。

効果は1日100件あった問い合わせを、80件まで減らすことができました。あまり変わらない数字に見えてしまうかもしれませんが、時間にして1件5分から10分の対応が必要だったとしたら、最大で200分もの時間を削減したことになります。その時間を別の作業に割り当てられたとしたら、もっと品質の高いサポートや障害調査などをしっかり行うことができ、潜伏している問題点を解消することができるかもしれません。

こうして、いろいろな手法を使って改善を進めていったのです。

 

問い合わせをする時間を減らす理由

受付件数や問い合わせにかかる時間を減らす必要があるのでしょうか?時間にしたら数分の削減となりますが、チリも積もれば山となるというコトワザがあるように、小さい時間でも大きな時間の損失になります。問い合わせに使った時間は、直接仕事に関わる時間ではありません。停電して作業ができなかった時間を仕事をしていた時間といえるでしょうか。それと同じです。

PCを利用している人たちは、あくまでも業務を円滑に行うために道具として利用しているのです。その道具のトラブルで、大事な取引ができなかったとしても良いわけがありません。サーバーから提供されている機能は、トラブルが発生することはわかっているからそこにかかる時間を減らすために様々な体制で運用しています。

ヘルプデスクもこれと同じなのです。問い合わせする時間は、本来の業務に使う時間ではないという認識なのです。だからこそ、1件あたりの問い合わせにかかる時間を少なくしたり、自己解決したりできる環境を用意しておくのです。

でも、自分たちの仕事をなくすきっかけになりかねないので、ちょっと危険な改善案でもあります。でも、クライアントのことを考えると、これが正しい方向なのです。

この考え方は、企業側の管理者の方にも共感していただき、次のサポート範囲拡大による増員も当時勤めていた会社に依頼があり、売り上げ増に繋がる結果を残すことができました。
この成果は会社からも評価され、その年のボーナスはとんでもない金額になっていました。でも、これも私だけが頑張って出した結果ではなく、メンバー全員が頑張ってくれたおかげで結果を残せたので、一緒に食事会を開き少しは還元できたかなと思っています。

 

増員!4名から8名で管理が厳しくなる!

増員も決まり、最初に現場に入った4名から倍の8名になりました。ここで、リーダーやマネージャーと呼ばれる人がよくいう「人の管理って難しい」という言葉の意味を知ることになりました。

平日いきなり休む社員や二日酔いでお酒の匂いをさせたまま出社してくる社員など、ちょっと手に負えない状況でした。

休みも病院に行かなければならないほどの状況であれば、前日に予兆があれば大事をとって休む連絡をしてくれると、欠員の調整ができるのですが、当日になっていわれると欠員の調整ができず、シフト勤務ともなると、私が朝7:30から夜20:00までの勤務をしてカバーしていました。二日酔いも一緒ですが、我を忘れてまで飲む方もいるので、仕事に影響のない範囲にして欲しいとお願いしたりしました。

こうして、人員の管理ができていないと見られてしまうところですが、常駐先の管理者からは気に入られてしまい、打ち合わせという名目でよく雑談する時間を作っていました。

こういう何気ない対応や雑談の場は、周りのスタッフから見れば「さぼっている」と見られてしまう行為でも、仕事場では話せないことを話したりできるので雑談も重要だということを念頭に入れておきましょう。

 

こうして、増員もでき会社からも評価をもらうことができ、このまま順調にリーダーとしてこの現場を納めて行くのかと思っていたのですが、さらに大きな案件が飛び込んできたのです。

 

仕事をする上で必要なのはコミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルがなければ、雑談のくだりを次の仕事につなげたり新しい案件を取ってきたりすることができません。私たちも気持ちよく喋れる人と一緒に仕事をしたら、嫌な気持ちにならずに業務に携われますよね。

これは、企業間でも同じことです。今でも飲みニケーションといって、飲み会での場で親睦を深めるというのは当たり前です。こうして「何いっているんだこの人」ではなく、一緒にバカを言い合えるような仲になりましょう。そうした方が間違いなく、業務を円滑に進めることができるようになります。自分でそういった環境を作るのも、仕事をこなすための一つの技と言えそうです。

明日から現場で、よく喋る人になってみてはいかがでしょうか。ただし、相手が忙しい時に雑談に持ち込むのはダメですよ。