いよいよ官公庁でのヘルプデスク業務が始まりました。でも、それが大混乱のスタートになるのとは、この時点で誰も予測できなかったでしょう。

初ヘルプデスク解禁!電話と人材がパンク!?

いよいよ受付開始の日を迎えました。

それまで、手順書やシステムの構成や操作方法など、すべては理解していませんでしたが、問い合わせには十分答えられるほどの知識を蓄えた状態でした。でも、実際に受付を開始した途端、電話は鳴り止むことがない状況になってしまいました。電話をおいても1分もしないうちに電話は鳴り出します。手順書やシステムを、再確認しようとする時間すらありませんでした。

そのため、電話を受け付けた場合、今パンクしている状況であることを伝え折り返し連絡するために内線番号や名前を伺うのですが、一番苦労したのが部署名でした。

企業であればある程度の長さでわかりやすい部署名だったりするのですが、環境庁ともなると部署名がやたら長かったり、同じ課であっても●●室といった具合に別れていたりするので、把握するのが大変でした。ある程度慣れてくると困っていたのが嘘のようになりましたが、覚えるまではとても苦労をしましたね。

そこで、私が改善を提案し、早速採用された翌日から少しだけ問い合わせが楽になったのを覚えています。その時はまだヘルプデスクの受付を記録しているアプリが利用できなかったため、印刷した受付票の裏面にすべての部署名をアイウエオ順に並べて、印刷したのです。
そして、問い合わせの時に、職員番号と内線番号を記載して次に部署名や問い合わせの内容などをチェックして、あとでわかるようにしたのです。

こうすることによって、折り返し連絡を多用することができるようになりました。それでも電話は鳴り続けます。

次に思いついたのが、戦国時代の鉄砲隊にならって電話受付を3人で一組にして、電話を終わったら次の人が電話を受ける、その間にはじめに受付をした人は調べたり、別部隊へエスカレーションしたりして、終わったらその列の最後につきます。
これで、鳴り続ける電話応対に迅速に対応できるようになったのです。

初日は、受付だけで折り返しを約束した状態で終了。その後、問い合わせに対して現象を調べたり、翌日に確認しなければならないことを調べておいたり、様々な準備をして帰路につく状態で終電ギリギリまで対応する日が続きます。

統括リーダーから、自社には要員追加の打診がされており1週間後に応援部隊がやってきたのですが、誰もヘルプデスクの経験がない後輩ばかりだったため、私は電話を取ることができずバックヤードとして指導やアドバイスをすることに回っていました。
また、現地に呼ばれたりする部隊に同行して、どのような使い方をしているのかを拝見して情報を共有したり、実際にハードウェア的な切り分けをするなど、受付部隊とは離れた対応をしていました。

誰かが動いて情報を集めてこないといつまでたってもわからないことばかりなので行動していたのですが、このことがメンバーから批判を受けることになってしまったのです。

後から聞くと、電話を取るだけでも大変なのにそれをせずに歩き回っているのは、仕事をしていないのと同じことではないかというのです。この時、ちょっとメンバーを信じられなくなってきました。現地での情報を提供しているにも関わらずこの状況です。

さすがに呆れてものが言えませんでした。

むしろ、リーダーはあまり仕事をしてはいけないと言われています。それは仕事の全体像が見られなくなるからで、バックヤードで動いているのが、本来の仕事ではないでしょうか。相談を受けたり回答の指示を出したり、問い合わせ状況の中間報告や別部隊との調整など様々なことを行なっていたにも関わらず、とんでもない言い分です。
そう言われてしまうと、どうしようもないので電話を取るようにしていましたが、困っていくのは自分たちなのにと困惑は隠せませんでした。

こうして、日に400件近い問い合わせをさばいていったのです。1週間もすると電話は落ち着いてきたのですが、別の問題が出てきたのです。

それは、執務室がないことでした。

 

手配ミスで執務室がない!?

この電話の本数で、昼食もロクに取れない日が続きました。それ以外に最も困ったことが、ヘルプデスクメンバーが触れる新システムの環境が用意されていないことでした。システムがなかったため、資料上で調べられることを回答し、実際に開発した部隊がいる部署へ連絡し、対処方法を確認するということができたので電話応対はできました。

ですが、もっとも困ったのが執務室として使っている会議室ですが、職員の手配ミスで週3日は18時からセミナーが入ってしまい、場所を明け渡さなくてはならなかったのです。

そのため、会議室に持ち込んだ資料をすべてエレベーターホール前に移動させ、1階にあるロビーに移動して受付を行うという、普通のヘルプデスクではない状況を3ヶ月に渡って対応したのです。

管理室はあったのですが、前業者が案件を取られたと思い込み目一杯時間をかけて退去するという、ちょっと大人気のない対応を取っていたのです。そのため、18時から20時までの受付は、ロビーでソファーに座って電話を受けるという感じで受付を行なっていました。

定時後だったせいか、問い合わせように渡されていたワイヤレス式内線電話が埋まってしまうようなことはありませんでした。しかし、18時になるとロビーの照明が消されてしまうため、暗くなったとことで膝上にパソコンを置いて電話を受けるという悪辣な環境の中でヘルプデスクを行なっていました。
21時ごろになるとセミナーも終わっているので、エレベーターホール前に移動した大荷物をまた会議室へ運び、設置して翌日の受付に備えるのでした。

この対応に文句をいうメンバーもいましたが、誰もがそれを耐えて対応していたので自分だけの意見が通るとは思うなということを伝えました。また、リーダーとしても、会社に状況を報告し早い段階での改善を打診していました。それをメンバーに伝えることしかできなかったのです。

常駐している以上、場所も借りていることになります。そこに対して改善要求を出すことはできても、すぐに対応できるはずもなくメンバーにはそのことを説明し、なんとか納得してもらったような状況でした。

この時ばかりはメンバーのストレスも溜まっていて話を聞いてあげるようにしていましたが、なかなか怒りは収まらずといった感じでしたね。また、21時からその日の問い合わせの整理をするから、毎日が終電という状況。ヘルプデスクで受付して回答を出したものや当日回答ができなかったものは、大きな財産です。そのナレッジデータベースがあるからこそ、次からの問い合わせで同じものがあった時にすぐ回答が出せるのです。

だからこそ、整理してすぐに取り出せるようにしておく必要があるのです。それを実施してから帰宅するという状況だったのです。

そしてようやくセミナーも終了し、ジプシー生活は終焉を迎えました。その頃、管理室に冗長していた前業者も部屋を開けたことから、ようやく室内で新システムを触りながらヘルプデスク対応ができる状況ができたのでした。

ここからが、本当のヘルプデスク業務開始といったところかもしれませんね。

 

環境が整っていないから作る提案をするが、それがトラブルへ

ようやく定位置で仕事をすることができるようになったのですが、ヘルプデスクとして情報を公開する場所がなく、手順書やFAQなども用意されていません。

そこで、前プロジェクトの時にやったように、ヘルプデスクのイントラトップページを作成したのです。

そこにFAQや手順書、お知らせ事項などを掲載するなど運用が始まりました。リーダーとしてもメンバーの中に1人や2人ぐらいは、個人でホームページを作ったことがあって「やります」という声を期待していたのですが、私以外は誰1人として経験者がおらず結局、デザインからすべて私が作成し公開しました。また、管理室内での情報共有ように内部用のホームページを作成し活用してもらえるようになったのです。

このことが部長の耳に入り、私と営業の2人が呼び出され、職員が利用するイントラネットページを見せられました。この改修をして欲しいとの依頼でした。イントラネットとは、外部からアクセスすることができず内部からのみアクセスできるホームページです。

営業は新しい案件を取ることができたと喜び、ホームページを作成するプロジェクトが発足したのですが、「できる人がいないのか」、「できるけど黙っているのか」よくわかりませんが、私が1人で対応することになり、このホームページ作成が決まった納期があったので日々の受付数を減らすように接していたのです。

この対応がメンバーの逆鱗に触れ、リーダーは電話を取ってくれないと言われ始めたのです。

事情を知っている統括リーダーはその理由を説明するのですが、なかなか理解してもらえず「あいつだけなんで別の仕事をしている」となってしまったのです。
この時、もっときつく叱りつけておけばメンバーに対して、リーダーとはメンバーと違う立場で業務を行なっていることを教えることができたのかもしれません。でも、その時の意識の低さからメンバーとの間に亀裂を作ってしまったようです。

この時のメンバーは、出世をしたいと野心をむき出しにするような連中ばかりだったと思います。それは悪いことではないのですが、人を蹴落としてでも地位を掴み取るというやり方は賛同できません。むしろ、そうして手に入れた立場は、おそらく同じような手法で奪い取られるでしょう。それでは、なんのために仕事をしているかわからなくなってきます。

また、会社側もそのことをいつか知ることになるでしょう。明智光秀のような三日天下になることは明白です。

 

認められる方法はいくらでもある!

現場に出てしまうと、会社から評価されにくくなってしまいます。

また、このケースの場合は、ちゃんと出勤していることが大前提となるため、遅刻や休みがないだけで評価されてしまいます。

あとは、統括リーダーやメンバーからの申告で評価されるでしょう。でも、もっと評価をもらえる方法が「改善提案ができる人」です。

  • ある改善提案をし、採用したことで以前は1時間かかっていたものが10分で終わるようになったとしましょう。それを、きちんと相手にわかるように説明できる資料や、成果の結果を目にわかるようにします。
  • 空いた時間で勉強して資格をとった
  • 新しい仕事の受注につながる提案をして採用された

など、結果を残せばそれは正当評価されます。

このようなアピールをせずに「会社が評価してくれない」という人は、自分が本当に最大限アピールしているかを見直してください。自分目線で見ると確かに、できる限りのアピールをしているかもしれません。でも、それが他人目線で見てみると、全く足りていないことがあるからです。

そして、先輩に「アピールしているけど、評価されない」ことを相談してみましょう。するといいアドバイスをしてくれるかもしれません。あとは、現場だけのことを考えるのではなく、会社のことを考えて行動することです。月1回の課会があるならば、その課会で使う資料や場所を確保しておくとか、議題を提案しておくなどです。

見方によると、上司に媚を売っているようにも見えかねますが、もしあなたがリーダーや役職者と考えた時、後輩や部下にこういう社員がいたら「いいやつだな」と思いませんか。それと同じです。部長や課長もまた自分の仕事で手が回らないほど忙しい中で、フットワークの良い部下がいれば良く見えるのは当たり前です。そして、評価が上がるのも至極当たり前のことなのです。

これらの行動をとることで、評価につながるでしょう。だから現場に出たからといって、評価されないと悲観するようでは視野が狭いのです。しっかり見据えて、行動して行きましょう。チャンスはどこにでも転がっているのです。