前回までは、実際の営業現場の活動を細かく説明してきました。今回は、かなり頑張っていたはずなのにどうして転職しようと思ったのか、また、どのようにバレずに活動できたのかをご説明します。

何も上手く行かない時は転機

何かをするために最初から計画されたものではありませんでした。

最後にいた部署では、意見の違いから短期間での部署異動、無視などが長期間にわたり行われた事もあり、その年の後半には会社を出ることを決めました。


この会社でそのようなことが起こることは殆どなかった、というか、コンプライアンス違反なので、研修を受けているはずの役職者との対話で解決すべきでした。

単純に、大局観を持てない人間の下では私は仕事ができなかったということだと思います。部下は上司の話を聞くだけの存在という価値観は、組織を滅ぼします。

 

どのような会社を受けたのか?

一つには、ベンチャー企業を受けようと思っていました。

小さい組織で機動力を持って戦うというのはどうだろうか?そのように考えました。ITベンチャーで名前も聞いたところをヘッドハンター(転職エージェント)から幾つか紹介され、面接にチャレンジしていきました。
面接は上手く行ったのですが、SPI的なテスト対策をしていなかったので、慣れておらず合格できなかった企業もありました。
ですから、基本的な学力やメンタルテストは事前対策しておいたほうが合格率は高いと思います。

さて、どのような企業を検討したのかをもう少し掘り下げてみます。

1社目は受託しながらツールなどを開発する企業です。こちらはピンとこなかったので応募しませんでした。
2社目はERPパッケージの有名な企業です。恵比寿に当時あっておしゃれな内装の企業でした。最初からCHO(チーフヒューマンリソースオフィサー)が登場する、今風の面接スタイルを当時から行っている企業です。こちらは現在もCEOがカリスマなのでものすごい仕掛けを作っている感じです。この会社では仕事してみたかったのですがテストの結果が良くなかったのであえなく落選しました。
3社目は銀座にあるウェブ制作会社でした。中小企業のような雰囲気があり自分にはあまり馴染まなかったため辞退しました。
4社目が当時はやっていたコメント付きの動画が流れるプラットフォーム企業です。こちらはエージェントからの連絡が帰ってきませんでした。
5社目が通信企業です。丁度システムを作ることは理解できていましたが、ネットワークが全く理解できていなかったため、覚えたかった事もあり、この会社を最後だと腹をくくって面接に向かいました。

 

通信企業を下調べする

5社目の通信キャリアは、元々は外資で、その前は国産企業でした。通信キャリアは買収が基本成長戦略のため、そういったことが当たり前に起こります。そこが、メーカーとの決定的な差だと思いました。ただ、現在ではM&Aは企業成長の基本路線のため珍しくもありません。

私が生まれて初めて持った携帯電話もこの会社のものでした。そこで、法人部隊のマーケティング職の募集があったのでそこに応募しました。

書類は無事通り面接に訪問することになりましたが、その前に、その会社のカリスマ社長について調べます。始めて読み知ったこの社長の物語は立身出世物の物語としては完璧すぎて作り物かと思いました

さて、いざ汐留の本社ビルに向かうと、何かハイテク感を感じます。そこだけ未来を感じました。

面接の場に伺うと、既に入られて待っていました。

この方は後に米企業との交渉の矢面に経つことになるエースなのですが、私はこの人の要求に応えられる人間ではなかったため、マーケからセールスエンジニアの採用面接に回ることになりました。
数兆円企業になっていながらも圧倒的な成長が求められてる状況で、どのみち、この会社には人が足りなかったのです。

 

2回目の面接

いわゆる二次面接ではなく、再面接です。

二人出てきました。部長と課長だそうです。部長は元々N社でメーカーだったので私と波長が合います。課長はずっと通信キャリア一筋なため、会話がいまいち成立しなかった記憶があります。
結果的に、この会社とはピンときているけれどもしっくり来ない面接になったなぁという感想のまま終わりました。

帰り際に振り返ってビルを見上げながら「まぁ、この会社も無理かな・・・」と思いながら、トボトボと江東区のビルに向かいました。都会から地元に戻る感じが少ししました。

さて、ひどく監視されている私はどうやって平日昼間の面接をしていたのでしょうか?

答は、午前中に医者に行くと言って午前半休を取っていたのでした。そうして、少ない階数で最大の効果を発揮するように面接日程を組んでいったのです。
通常は辞めてから探すのかもしれませんが、私はこの時仕事が楽になっていたことも幸いし、働きながら転職活動をおこなっていました。
そして、最終的に、大手エージェント会社から推薦されたこの会社から内定が貰えたのです。

 

どうして合格できたのか?

正直、私は彼らの求めるレベルに達していなかったと思われますが、部長は通してくれました。
その答えは簡単です。人が居なかったからです。

人が居なければ結局誰でも良いわけで、たまたまその面接に来た中で最も良さそうな人間を選んだという妥協だと思われます。
ですが、それでもいいのです。入ってしまえばこちらの勝ちなのですから、そこからまたゼロベースで這い上がっていけばよいのです。

私は、現在、経営者の立場になって面接を行っていますが、どういう視点で見極めるのかのポイントにしています。ですが、妥協すると良くないので採用しないが本当は妥当な判断です。能力が足りないと、その分だけ本人にもチームにも負荷がかかりますから結局不幸にしかならないのです。

また、採用にはオーバースペックで採用しないという場合があります。

自分たちの身の丈にあっていない人を採用すると組織が崩壊します。マネージャーの能力を持っている人間に作業をやらせてはいけないのです。
これはサッカーのポジション適正みたいなもので、ストライカーでシュートしか打てないのに、ボランチでボールを奪って適切にキープし、パスをサイドに散らして戦いを組み立てなさいと言っても無理な話です。

このように、組織とはバランスによって成立していますから、能力が高ければ良いというわけではないですし、未経験者OKにしていけない理由もここにあります。育てる環境と本人の成長意欲(自分で調べるとか)が無いと、どんなに素晴らしい苗であろうとも枯れてしまうのです。
つまり、この会社には「適正なポジション」があり「育成するだけの余力がある」ということになります。

ただ、後者に関しては現時点の所属企業の方が圧倒的なクオリティがある場合、全てがアップグレードするというようなことは無く、むしろ、転職によって失うもののほうが多いこともあるということも忘れないでください。

 

給与はどうなったのか?

気になる給与ですが、正直なところ、これは下がりました。これは現職の給与が高いからです。

二十代半ばでボーナス込み600万超えですから、金融などは違いますが、業界標準値からすると高かったようです。そのため、その会社から提示された給与グレードと職務給からすると低いものでした。
ですが、仕事のやりがいと新しいことへの挑戦意欲のほうが圧倒的に高い私はこちらを選んだのでした。

お金はどちらかと言うと二の次でした。生活が出来ればそれでよかったのだと思います。そこで一歩踏み込んだことによって、違う人生が始まりました。そこから、会社自体は快進撃をはじめ、私が辞めるまでの6年間で株価は13倍になり、売上も2倍、フリーキャッシュフローも1兆円を創出するなど素晴らしい財務でした。

チャレンジして経験を得ることが次に繋がるというのが自分の人生観として得たものだったので、ここから安定を捨てて新しいことに自ら飛び込んでいくことになります。
ですが、結果が出るのはこれまでやってきたこととなるので、新規と既存のバランスをどう取るのかはかなり難しいということも、改めて学ぶのでした。
不確定要素の多い時代において、失敗は当然のように評価されないといけません。

 

IT企業における転職アドバイス

さて、参考になるかどうかはわかりませんが、アドバイスを幾つか書いておきたいと思います。

  • IT企業は最も伸びている分野且つインフラ産業でもあるので、ありとあらゆる産業がIT化しており、どの産業のIT化に携わりたいのかを見極めてトライしましょう。成長したければ最も伸びている産業にいくのが一番です。
  • コンピュータのプログラムが分かっていなくても、それ以外の職種がたくさんあるので、まずは、ITを使うことが得意な人になるように努力しましょう。
  • 自分で学ぶようにしましょう。人に聞いてもいいですが、会社の中の人には業務を聞いて、技術や業界動向は会社の外のイベントやSNS、ブログなどに求めましょう。
  • 転職者に求められるのは、即戦力ですので、その前の会社で何をやってきたのかをしっかりアピールしましょう。
  • ITベンチャーではあらゆることを求められるので、臨機応変に仕事を切り替えられる人になりましょう。

 

まとめ

今回は転職について書いてみましたが、如何だったでしょうか?

転職は数をこなしてこそという点と、自分を理解してくれる人とのご縁によってもたらされるものだと私は痛感しています。

そこで、転職を考えている方はまずは自分の棚卸しから始めることをおすすめします。自分が何者なのかを理解できた時、始めて次のステージの鍵が手に入ることでしょう。

次回は、転職した会社でどのような仕事をしていたのかを、具体的な事例を含めてご説明します。前の会社との大きな違いが浮き彫りになってくると思うので、同じようなことをしているなと思っても会社の成り立ちや、規模、哲学が違うだけでここまで違うのかという感じです。