SEが転職する時に知っておきたい考え方や心構え

文系SE

私はSE時代に3 度の転職を経験しています。1つは正社員として、もう1つは派遣社員として働きました。そうした転職経験の中で私がどのように転職活動をしたのか、なにを重要視して働き方を変えたのかをご紹介していこうと思います。

 

私の転職履歴と転職理由

3度の転職はそれぞれ27歳、30歳、33歳でした。1回目は入社4年目、2回目は入社2年目での転職です。いま思えば、それぞれの転職は人生で「仕事に求めるものが変わってきた」のがきっかけだったのかもしれません。

●最初の転職 ~正社員へ~

私が転職を考えたのは、忙しすぎる現状に嫌気が差したのと、新しいことに挑戦したいという気持ちが芽生えたせいです。そのことを漠然と考え出したのはリーマンショックで次の案件が決まらずに待機状態になっていたときでした。

人間、暇になると余計なことばかり考えてしまうもので、「こんなに暇なのにお金もらっていいのか」「もっと自分の力を発揮できる会社で働きたい」など、日々妄想ばかりしていました。ちょうど入社して4年目ということもあり、同期もちらほら転職をし始めていた頃です。周りの人間に影響された部分もあったと思います。

いずれにしても背景にあったのは「マンネリ化」と「焦り」だったのは間違いありません。4年も同じ会社で働いていれば、だいたいマンネリ化してくるのは当然といえます。新しい刺激が欲しかったのと、「本当にこのままでいいのか?」といった不安と焦りが転職に動いたきっかけだったのだと思います。

●2回目の転職 ~派遣社員へ~

2回目の転職は派遣社員として働いていました。当時お付き合いしていた彼女が転勤するということもあり、新しい土地で働くのも面白そうだということで転職を決意しました。しかし、すでにフリーランスとして独立したいという希望を持っていた私は、正社員ではなく派遣社員で働くことにしました。いわゆる「つなぎ」としての転職でした。

とても面白い職場だったので少し残念でしたが、この頃には場所に縛られずに自由に働きたいという気持ちのほうが強くなっていました。

●3回目の転職 ~フリーランスへ~

派遣社員として働きはじめて1年ほど経ったころ、フリーランスとして独立しました。当時、クラウドソーシングが流行り始めた時期だったこともあり、ランサーズやクラウドワークスといったサービスを利用しながら仕事を受注していくようになりました。

さまざまな出会いがあり、現在でも続けることができています。

 

SEって転職しやすい

SEは技術職と呼ばれるだけあり、転職はしやすい職種だと思います。板前さんは包丁とまな板があればどこでも働ける職業だといわれますが、SEもパソコンさえあればどこでも働ける職業といえます。

また、IT業界というのは人材の流動が激しい業界です。エンジニアは新しい技術やサービスに挑戦したい、待遇の良い企業に務めたいという理由でどんどん転職をしていきます。それだけでなく、エンジニアというのは慢性的な人材不足が続いているため、どこの企業も優秀なエンジニアは一人でも多く確保したいという思いがあるのです。

私の周りでも転職をしているエンジニアはたくさんいます。それだけSEというのは、会社というものに「所属」するというよりも、興味がある会社に「参加」する意識のほうが強いかもしれません。もちろん、自分の会社が好きでずっと同じ会社で働くのも1つの働き方だと思います。

それでも、「転職」というものに対する意識は少しずつ変わってきていると思います。大手転職サイトのdodaが行ったビジネスパーソン2,000人に転職に対する意識調査では、転職に対するイメージを聞いていました。

この中で転職に対してネガティブなイメージを持っている人が23.5%に対して、ポジティブなイメージを持っている人は36.5%となっています。

参照:doda

おそらく、エンジニアに限っていえば、ポジティブに考える人はもっと多いでしょう。エンジニアにとって転職はもっとカジュアルなものなのです。

それでは、これまで私が転職する際に利用したサービスを紹介してこうと思います。

 

転職サービスは何を利用した?

1回目と2回目の転職で利用したサービスは「転職サイト」「人材派遣サービス」です。求人サイトはほとんど使いませんでした。その理由はあとで説明します。まずは、それぞれの特色を見ていきましょう。

●転職サイト

私が転職活動をしていたころは、転職サイトが主流でした。実際、私もリクナビやマイナビといった転職サイトを利用していました。基本的に、サイトにユーザー登録をして求人情報を探していきます。気に入った企業があればエントリーをして、書類選考に進みます。新卒の就職活動と大きな違いはありません。

転職をするときはどのような企業があるのか、自分が気に入った企業があればリサーチするということを繰り返していきます。私の場合は3社ほどに応募してすんなり決まりました。ただ、転職を決意してから内定をもらうまで半年以上掛かったと思います。

●人材派遣サービス

人材派遣サービスを利用したときはかなり簡単でした。まずは、派遣社員として登録するために派遣会社に行って面接とスキルチェックを行います。そして、希望する働き方、報酬などを担当に伝えれば登録完了です。

しばらく待っていると、担当から電話がかかってきて「☓☓という企業なんですが、いかがですか?」という形でオファーされます。条件面を聞いて話を聞いてみようと思ったら、面接の日程が決まります。あとは面接をして双方が条件で折り合えば採用、という形になります。基本的に電話だけで話がどんどん進むのでかなり楽でした。

1回目の転職と、2回目の転職、どちらが簡単だったかと聞かれれば圧倒的に2回目でした。比較しにくい部分もありますが、転職サイトでの転職活動は「大変だった」というのが正直な感想です。

 

転職サイトで感じた不満点

転職活動というのはとてもエネルギーを消費します。本業をこなしながら時間を見つけて、リサーチをして企業面接を繰り返していきます。それだけでなく、辞めるときにも今の会社とも円満にお別れしなくてはいけません。そういう意味で、転職サイトを利用しての転職活動は「孤独」だったといえるかもしれません。

そのほかにも、転職サイトの不満点はいくつかあります。

●企業の実態が見えにくい

転職サイトに乗っている情報だけでは企業の実態が見えにくいというのがあります。これは新卒の就活でもいえることですが、求人情報や企業サイトを見ただけでは、その会社がどういう会社なのか知ることは難しいです。これがあるから「入ってみたら思っていたのと違った」というのが起きやすいのです。

社風や実際に働いている社員の雰囲気が自分に合うのか、突然の転勤などで飛ばされてしまうことはないかなど、入社してみないとわからないことが多すぎます。私は結果的に上手く転職できましたが、やはり入社してみるまで不安がありましたし、実態が見えないことに転職活動中もストレスを感じていました。

●玉石混交で効率が悪い

転職サイトには、優良企業からブラック企業までたくさんの企業が掲載されています。そのため、企業リサーチは欠かせません。そうしないと、間違ってブラック企業に入ってしまうこともあるわけです。これは非常に効率が悪いと思います。

どうしてかというと、転職者はただでさえ忙しい状況の中、優良企業とブラック企業の選別から始めないといけないからです。とにかく企業リサーチというのは時間がかかりますので、ずっと求人情報を眺めているだけでも相当な労力を消費してしまいます。

●モチベーションが続かない

転職活動は基本的に孤独です。会社の人間にはもちろん、一人で密かに「転職したい」という気持ちを胸に秘めて動きます。そのため、なかなかモチベーションが続かないのです。私は「会社辞めたい」「転職してやる」といって転職できずに同じ会社で働き続けている人を何人も知っています

私も転職活動中は孤独でした。地味な企業リサーチを繰り返し、履歴書を書いて面接、これを繰り返していくと、だんだん「今のままでもいいかな」という気持ちになってしまうのはよく理解できます。こうやって転職に挫折した人はかなり多くいると思います。

転職サイトはいまでもありますし、情報を手に入れるためには有効な手段であることは間違いありません。しかし、現在は「転職エージェント」というものが存在します。

 

いまなら断然転職エージェントがおすすめ

私のころにあったらどれだけ良かったかと思うのが転職エージェントです。

転職エージェントというのは転職活動のサポート業務を行うサービスのことです。専任のコンサルタントがつき、企業リサーチ、書類・面接対策までトータルでサポートしてくれます。転職希望者の要望をヒアリングし、それに合った企業を紹介してくれるので、効率的に企業を見つけることができるのがメリットです。しかも、すべて無料で利用できます

●<メリット1>ブラック企業に出会わない

コンサルタントは転職のエキスパートですので、転職希望者が現職で何の悩みや不安を持っているのかを汲み取って提案してくれます。また、提案する企業は転職エージェントが厳選した企業だけです。つまり、ブラック企業などは自然とフィルタリングされた状態で候補を吟味することができます。これは転職活動をするうえでとてもありがたいシステムだと思います。

●<メリット2>新しい可能性を模索できる

転職エージェントは登録してコンサルタントと面談をするだけで、転職活動が始まります。転職サイトを探し回ったり、自分で企業リサーチをしたりする必要はありません。登録&面談をしたらあとはコンサルタントからメールや電話で提案を受け取るという仕組みになっています。自分で探さなくても勝手に情報が流れてきますし、独力では出会うことができない企業を知ることができるので、さまざまな可能性を探ることもできるでしょう。

●<メリット3>寂しくない

意外にこのメリットは大きいです。転職活動最大の弱点である「一人ぼっち」という状況を解消することができます。周りに黙って一人で転職活動をしていると、どうしてもモチベーションが続きにくいですが、コンサルタントと二人三脚で頑張ることができるので、心が折れそうになったときも相談に乗ってくれます

●<メリット4>セミナーなどのイベントが多数

転職活動をするにあたって情報は常に仕入れておきたいものです。転職エージェントでは面接やエントリーシートなどのセミナーが用意されています。モチベーションアップはもちろん、転職を有利に進めるための情報収集にも役立てることができるでしょう。

●<メリット5>自分の強みを再認識できる

転職エージェントでは自分の棚卸し作業も手伝ってくれます。自分にはどのような強みがあるのかは意外にわからないものです。とくに、日本人は謙遜する傾向が強いため、「これくらいのことじゃ武器にならないよな」などと勝手に自分の評価を下げてしまうもの。そこで、コンサルタントが第三者目線で自分の強みを教えてくれます。これだけでも転職エージェントを利用する価値はあるでしょう。

ところで、転職エージェントはどのくらいの人が利用しているのでしょうか。

 

転職エージェントを利用している人はどのくらい?

先程のdodaの調査で、どの程度の人が転職エージェントを利用したのかというデータがありました。2016年の調査ですので、今ではもっと割合は高いでしょう。

調査によれば、転職活動で転職エージェントを利用しているのは

  • 転職エージェントやヘッドハンターと一緒に活動する 16.1%
  • 情報サイト等で自分の活動をしながら転職エージェントやヘッドハンターとも活動する 18.9%

参照:doda

つまりトータルで35%の人が転職エージェント(もしくはヘッドハンター)を利用しているということです。ヘッドハンターというのは転職エージェントと似ています。転職エージェントが「人材に合わせて企業を紹介する」のに対し、ヘッドハンターは「企業が求める人材を見つけて紹介する」つまり「企業に合わせて人を紹介する職業」となります。

ヘッドハンターは日本ではメジャーな転職ツールではありませんが、実際に優秀な人であればある日突然ヘッドハンターから電話がかかってくるということもあります。また、人づてにヘッドハンターを紹介してもらうこともできるので、近くにヘッドハンターを利用した人がいれば繋いでもらえるかも知れません。

 

SEが転職するときの「あったらいいな」

SEが業界、業種に関わらず転職するのであれば持っておくと良いスキルや経験があります。それは

  • マネジメント経験
  • VBA、Google Apps Scriptスキル
  • コミュニケーションスキル

の3つです。それぞれ理由を説明していきます。

●マネジメント経験

どの企業でも管理職になれる人材というのは限られています。そのため、マネジメント経験があるとどの企業でも一目置いてくれるようになります。自分がマネージャーになってプロジェクトを成功させた経験、チームリーダーとしてメンバーをまとめた経験があるのであれば積極的にアピールしたところです。

●VBA、Google Apps Scriptスキル

業務をよりスムーズに進めるためには、無駄を無くし、より効率化していく能力が求められます。VBAやGoogle Apps Scriptは日頃の業務を効率化するのにうってつけです。とくに、IT業界以外の企業では非効率的なプロセスになっていることも少なくありません。そういうときに、これらのスキルで無駄なルーティン作業を簡略化できれば、一気に社内での評価は変わってくるでしょう。

●コミュニケーションスキル

どこの会社に行ってもコミュニケーションを取らないことはありません。第一印象や仕事を円滑にこなしていくためのコミュニケーションスキルは必須といえるでしょう。どこに行っても周りを巻き込める人間力を養っておくこと、意外にこれが最重要なスキルかもしれません。

いずれにしても、自分のストロングポイントをしっかりと把握しておくことは転職活動において最重要ポイントとなります。企業もあなたがどういう人なのかを見極めようとするときに、「なにが得意か」を見て決めることがほとんどです。

次は、SEから転職するときの考え方をご紹介していきます。

 

SEから転職するときの考え方

SEから転職するにしても、転職先を決めなくてはいけません。その前に、企業はどのような人材を欲しているのかを知っておきましょう。

●どこまで未経験でOK?

転職において「未経験は不利」とされています。しかし、「未経験」にもレベルがあるのをご存知でしょうか。

たとえば、IT業界でいえばシステム開発とWeb開発はまったく畑が違います。IT業界でもSEがWebエンジニアになりたいと思う場合「未経験」という扱いになるわけです。業界は経験者だけど業種は未経験ということですね。この場合であれば、業界の基礎知識や考え方はわかっているわけですから、ある程度のことは説明しなくてもわかります。

一方で、SEがパティシエになりたいと思うのはまったく難易度が変わってきます。この場合だと、業界レベルで未経験になるのでいわゆる「ド素人」と同じ扱いです。当然、一人前になるためにはそれ相応の努力が必要になります。

一見すると業界レベルで未経験は軒並みNGなのかと思われがちですが、実は業界は未経験だけど、同じ職種というパターンもありえます。社内SEなどが良い例です。これまではシステム開発の会社で働いていた人が、物流業界で社内SEとして働く。こういうケースの場合、物流業界については素人だけど、やることはこれまでと変わらないので経験が活かせます

このように、転職するときには業界レベルで未経験なのか、業種レベルで未経験なのかをよく考えて選ぶようにしましょう。

●20代=可能性

転職の世界では若ければ若いほど優遇されます。これは、若さ=伸びしろが多いという意味もありますが、同時に若ければそれだけ長く企業に貢献できるという意味もあります。そのため、転職は早ければ早いほど有利ともいえます。

もし、あなたが「転職しようかな」と思っているのであれば、なるべく早く行動に移すことが重要です。20代であれば熱意があれば割とどうにかなるという印象があります。

●30代=可能性&即戦力

30代は前半であればまだ可能性を取ってくれる企業もありますが、多くの企業が即戦力として見てくるでしょう。そのため、ある程度下準備(資格や実績を作る)をして転職活動に臨まないと勝負にならない可能性もあります。これは未経験であればあるほど顕著になっていきます。

自分がどのくらいその企業に対して熱意を持っていて、自分がどの分野で貢献できるのかをしっかり分析して転職活動に臨みましょう。

●40代以上=即戦力

40代になるとさらに企業側の見る目は厳しくなります。すでに相当の実績やスキルを持っていることを前提に採用してくるでしょう。また、この年代は現場よりも管理面で期待される傾向が強いです。

自分の実績や能力の棚卸しをしっかり行い、企業の求める人材に合っているということを強くアピールすることが勝利のカギとなります。

 

このように、年代によっても転職活動の厳しさは異なります。自分の年代に合わせた戦略を立てないと、かなり厳しい転職活動になってしまうので注意しましょう。最後に、SEとして働き始める人がどのような心構えで社会人生活をスタートするべきかをご紹介していきます。

 

SEとして働くうえでの心構え

SEとして働くのであれば、転職を頭に入れて働くようにしましょう。つまり、同じ企業でいつまでも働き続けることはあまりないと思う必要があるということです。結果的に同じ企業で働き続けられるのであれば、それはそれで幸せなことですし、転職を前提に働いていたほうがスキル面でも上達しやすいです。

●終身雇用は考えるな

現代では一人が同じ企業で勤め上げるというケースはかなり少なくなっています。ということは、いつかは転職活動をしなくてはいけなくなるということです。転職する必要が出たときに、自分になんの実績もスキルもないような状況になるのは避けたいでしょう。

そのため、いつ転職しても大丈夫なように実績やスキルを積み上げておくことが重要になります。それは自分の市場価値を高めるということです。

●常に自分の市場価値を意識するべし

自分の市場価値を意識できるということは、業界内で自分がどの位置にいるのかを客観的に把握できているということです。このままでは、自分がそこらへんにいるSEと変わらないのか、それともどこか一芸に秀でたSEなのかを常に意識しておきましょう。

そして、自分のストロングポイントをどんどん伸ばしていけるような仕事の仕方を考えるようにしましょう。

●社外の状況に目を向けろ

自分の務めている会社ばかりを気にしている人は、考え方や物の見方が狭い世界で完結してしまいがちです。現在、ほかの会社ではどのようなことをしているのかを気にしていると、技術トレンドなどの情報が入るようになってきます。

そういった情報を得たければ、セミナーや勉強会に参加してコミュニティに属することをおすすめします。こういったところでは、さまざまな会社、業界で活躍している一流のエンジニアとお近づきになれるチャンスです。一流はどのようなことを考えているのか、これからはどの技術が流行るのかなどを見るには最高の環境といえるでしょう。

 

このように、SEとして働くのであれば、転職することを前提に日々の業務に取り組むべきだと思います。これが結果として社内での評価を上げることにも繋がりますし、いざ転職活動をするときも苦労することなく希望する企業に入りやすくなるのです。

大切なのは常に自分の状況を客観的に把握することです。そのためにも、第三者からアドバイスを貰える転職エージェントなどは積極的に利用することをおすすめします

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