仕事をするうえで非常に重要なものの一つが、職場での人間関係です。
それが何の仕事であれ、人間関係が原因で退職する人は多いとよく聞きます。

これから警察官になりたいという方のなかには、警察の人間関係について気になるという方も多いはずです。
なぜなら、世間でも、警察組織の人間関係はあまり良くないというイメージがあるからです。

しかし、実際に警察内の人間関係がどうなのかは、実際に警察組織の中にいた人間にしか分かりません。

今回は、警察に約3年勤めていた元警察官の私が、警察組織の人間関係について体験談をお話ししていきます

 

警察学校内でのドロドロした人間関係

警察官採用試験に合格した人間が、まず行くところが警察学校です。
警察学校は警察組織のなかでも特に異質な場所で、学校内の人間関係も警察署などのいわゆる現場とは大きく違うものでした。

では、警察組織のなかでも異質な警察学校の人間関係は、いったいどのようなものなのでしょうか。
ここでは警察学校での人間関係について、お話ししていきます。
また次のパートからは、警察官になりたいという学生の質問に答える形式から話を進めていきます

 

逆らったらクビ!?教官の言うことは絶対!

警察学校での人間関係はどのような感じなのですか?警察学校の教官はすごく厳しいと聞くのですが・・・
そうですね。教官は鬼かと思うくらい厳しかったです。警察学校で教官に逆らうことは、クビに等しいというくらい、教官と警察学校生の間には格差がありました

警察学校は「教場」と呼ばれるクラスに分けられており、各教場にはそれぞれ担任の教官がついていました。
警察学校にいた6か月の間、私は自分の担任教官のことが怖くてしかたありませんでした。

その理由の一つは、警察学校で何かミスをすると容赦なく罵声を浴びせかけられたからです。
時には平手打ちをくらって奥歯が欠けたり、投げられて血尿が出たこともありました。

ミスといっても、大きなミスではありませんでした。
警察学校内には細かいルールがたくさん存在していて、そのルールをうっかり破ってしまったのです。

例えば、平手打ちをくらって歯が欠けた時は、廊下では帽子を被るというルールを破ったことが理由でした。
また警察学校でよくやった軍隊式の動きの練習をする訓練では、少しでも動きを間違えると怒られました。

私が教官に投げられたのも、教えられた動きをうまくできなかったのが理由でした。
しかし、一番怖かったのは、殴られることでも、歯が欠けることでも、血尿が出ることでもありませんでした。

私が一番恐れていたことは、警察学校をクビになるということだったのです。
私たちの教場では、担任の教官が全員の名前入りの退職届を持っていました。
なぜなら、私たちの教場では教官に命じられて、全員が退職届に自分の名前を書いて教官に提出していたからです。

全員分の退職届は教官が預かり、何かあったら退職届を上に提出すると言われていました。
こんな状況で教官に逆らえる人は、少なくとも私の周りでは誰もいませんでした。

 

教官たちの態度が激変!?その理由とは?

警察学校って恐ろしいところなんですね。教官はいやな人ですね
それがそうとも言いきれないんですよ

警察学校にいる間、私を含めた警察学校生たちは、少しのミスで教官たちから「辞めろ」と怒鳴られていました。
当時は「辞めろ」という教官の怒鳴り声を聞かなかった日なんて、ほとんどなかったと記憶しています。

しかし、そんな教官たち全員の態度が、警察学校の卒業式の日にコロッと180度変わってしまいました。

卒業式が終わった後、私たちはすぐにおのおの配属された警察署の迎えの車に乗り込むことになっていました。
卒業式をしたホールから迎えの車のところまで向かう間、教官たちが見送ってくれました。
そして、教官たちは皆、私たちに向けて、大きな声で「頑張れよ!辛くても絶対に辞めるなよ!」と叫んでいたのです。

あれだけ毎日「辞めろ」と怒鳴っていた教官たちが皆、今度は一転して「辞めるな」と叫んでいたのです。
あまりの変わり身に一瞬理解ができませんでしたが、その後すぐに分かりました。

教官たちは、私たちのことを本当は可愛がってくれていたのです。

しかし、警察学校では、私たちを鍛えるために敢えて厳しくしていたのでしょう。

現にあれだけ厳しかった教官たちに卒業後会う機会があると、皆別人のように優しくなっていました。
そう考えると、警察学校での教官との人間関係もそう悪いものではなかったのかもしれません。

 

同期との人間関係は意外にドロドロ?

警察学校の同期との人間関係はどうだったんですか?学校生活が厳しいぶん、絆が強いと聞きますが?
警察学校の同期との中は、案外ドロドロしていましたね

警察学校にいる間、私の精神状態はまともではありませんでした。
少しのミスで殴られ、いつクビにされるか分からないという恐怖を常に抱えていて、極限状態にあったのです。

同期のなかには、警察学校でのストレスを他の学生にぶつけてくる人間もいました。
そういう人間に攻撃された時、私は過剰に反応し、怒鳴り返していました。
警察学校にいるだけで多大なストレスを受けるのに、別のくだらないことでストレスを受けたくなかったのです。

警察学校の同期は、私も含め、皆自分を守るのに必死でした。

私は教場のなかでも特にミスが多く、自他ともに認めるほど教官から一番怒られていました。
そして、ある時、同期の一人が私に「お前がいるおかげで、俺が怒られなくて済むから良かったわ」と言ってきたのです。
一見嫌味のようにも聞こえますが、私には彼の気持ちが分かりました。

警察学校で誰かが教官に目を付けられていれば、訓練中、教官はその学生の動きを重点的にチェックしていました。
そうなれば他の学生はミスをしても、教官にミスを気づかれずに済むのです。
ミスに気づかれなければ教官に怒られることもなく、ひいては、クビになる心配も減るのです。

すべてではありませんが、私のいた警察学校ではこのような足の引っ張り合いのようなこともあったように思っています。
とはいえ、それは警察学校という少しのミスが人生を大きく狂わせることになりかねない環境で極限状態にあったからです。

私自身もそうだと思いますが、警察学校を卒業した後に会った同期たちは皆、学校にいた頃が嘘のように穏やかな性格に変わっていたからです

 

警察署内での人間関係ははたして?

警察学校を卒業した学生たちは、おのおの警察署に配属されていきます。
そして、警察署では、新しい人間関係が形成されていきました。

では警察署での人間関係は、はたしてどうだったのでしょうか?
ここでは、警察署内での人間関係について、お話ししていきます。

 

警察は縦社会!上司の命令は理不尽でも聞く

警察署での人間関係はどうだったんですか?例えば、上司との上下関係ですとか ・・
警察は縦社会ですから、上下関係は厳しかったですね。警察学校ほどではありませんでしたが、仕事で理不尽な要求をされることもありましたよ

警察学校のように、警察署では上司から「クビにするぞ」などと脅されるようなことはありませんでした。
とはいえ、警察は縦社会で上司の言うことは絶対ですから、命令には逆らえません。

上司である係長から、理不尽な要求をされることも多々ありました。

私は交番勤務員だった時、係長に自分とは関係のない仕事をやたらとやらされていたのです。

交番の管轄はそれぞれ決まっていて、事件や事故があった場合、その管轄を受け持っている警察官が対応することになっていました。
にも関わらず、係長が私を指名して、他の交番の管轄の事件を担当するように指令を出されるということがよくありました。

 

もちろん、自分の交番の管轄の事件も私が対応していたので、当時は休む暇もありませんでした。

係長が私に期待して仕事を任せていたのか、あるいは嫌っていて嫌がらせをしていたのか、どちらかは分かりませんが、かなりいい迷惑でした。

 

警察では年上よりも先輩のほうが偉い

先ほど、警察は縦社会と言っておられましたよね。警察では年上の後輩と年下の先輩だとどちらのほうが偉いんですか?
年下の先輩のほうが上ですね

新しく警察官になる人の年齢は、バラバラです。
高校を卒業してすぐ警察官になれば18歳ですし、大学卒業後なら22歳以上、他の企業から転職してきた人のなかには30歳で警察官になった人もいました。

しかし、警察では年下の先輩が、自分より何歳も年上の人間を呼び捨てにしたり、馬鹿にしたりすることも少なくありませんでした。

私は大卒で入ったので、高卒で入った一年上の先輩に対して敬語を使っていました。
もちろん、年上の後輩に対して敬語を使う警察官もいて、私もそのタイプでした。

とはいえ、原則警察では、自分より何歳年下でも先輩に敬語を使うのが当たり前でした。

 

警察では同世代と仲が良かった

年下にも敬語を使うんですか?そうなると横のつながりもギスギスしそうですね
いいえ、横のつながりは良好でしたよ

私が所属していた警察署の係では、先輩、後輩含めて同世代の仲が良かったです。
年下にも敬語を使うというルールはあったものの、それ以外は良好な関係でした。

当時はよくみんなで食事をしに行ったり、飲みに行ったりしたものです。
警察署にいた頃は仕事が大変でろくに休憩や休日もとれず、皆で仕事の愚痴を言い合っていました。
そうやって愚痴を言い合うのは楽しく、互いに親睦を深めていけたのです。

私が所属していたのは大規模な県警だったため、同じ係に同世代の仲間がたくさんいたことは幸運でした。
このように同世代が周りにたくさんいて、みんなでふざけ合える環境は、警察をやっていて良かった点と言えるかもしれません。

 

まとめ

警察組織内での人間関係は、自分で体験してみても、一見ドロドロしていたように感じました。
特に、警察学校時代の教官との関係や、同期との足の引っ張り合いをするような関係は、決して良好な関係とは言えませんでした。

しかし、振り返ってみれば、警察学校の教官は怖い人間を演じていただけで、警察学校の同期は正常な精神状態を失っている状態でした。
学校を卒業すれば、教官も同期も別人のように穏やかになりました。
そう考えると、警察学校時代の人間関係はけっして悪いものではなかったのかもしれません。

警察学校を卒業して現場に出れば、上司との人間関係に悩むことは、誰でも少なからずあるでしょう。
しかし、同じ係の同世代の警察官たちとは、良い関係を築ける可能性も高いはずです。

これから警察官を目指すという方は、警察官になったら、ぜひ同世代の警察官たちとの絆を深めて、上司との人間関係の悩みに打ち勝ってください