警察官になりたいという方のなかには、警察官には自由がないという話を聞いたことがあるという方もいるのではないでしょうか?
結論から言ってしまえば、これは間違いではありません。

とはいえ、まったく自由がないというわけではなく、様々な場面で上司の許可がいるということです。
しかし、上司の許可が下りなければその行動は起こせないということになるので、自由はかなり制限されると言ってもいいでしょう。

今回は警察に約3年間勤めていた元警察官の私が、警察官が制限される自由についてお話ししていきます

 

警察官は一人ひとり生活を管理されている

私が警察官だった頃、定期的に「身上書」という書類を提出していました。
身上書とは個々人の情報を書く書類で、自分の氏名や住所、家族の氏名や住所、勤務先などを記載していました。

ここまでならそう珍しくないかもしれませんが、警察の身上書では自分の貯金額まで書かなければいけませんでした。
これはどうやら警察官が借金をしないための施策のようで、貯金の少ない警察官は上司から注意されていました。

ちなみに、私はあまり物欲がなかったため貯金額でどうこう言われることはありませんでしたが、自分の貯金額を上司に報告しなければならないというのはなんとも不気味でした

この身上書には、警察官以外の仲の良い友人の氏名や電話番号、勤務先を書く欄もありました。
どうやら警察官が失踪した時、その警察官の友人に連絡して居場所を聞き出すようです。
警察官が失踪するのは珍しいことではなく、私の先輩や同期も一時失踪しました。

このように警察官は全員、一人ひとり組織から管理されているのです。
さらに、私たちは身上書のような書面だけでなく、行動を制限することでも管理されていました。

では、具体的にどのような行動を制限されていたのでしょうか?
次のパートから、警察官が制限される行動について説明していきます

車やバイクは若手のうちは購入禁止

警察官になると、どんな自由が制限されるのか教えてください
たくさんありましたよ。まず車やバイクの購入に上司の許可がいりました
えっ?自分で買うのに上司の許可がいるんですか?
はい。ちなみに警察学校にいる間は、運転そのものが禁止されていました

警察学校にいる頃、私を含めた警察学校生たちは免許証を教官に預けていました。
警察学校に在学中は、休日も含めて、一切の運転を禁止されていたのです。
警察という組織は、警察官の事故に過敏です。
仕事中はもちろんですが、プライベートでも事故を起こした警察官は、上司にきつく怒られていました。
仕事中に事故を起こした警察官は「誰々がこういう事故を起こしました」という貼り紙を作られ、署全体に広められていました。

警察は事故に厳しいという背景もあってか、警察学校にいた頃は運転が禁止されていたのです。
さらに、警察学校を出ても、車やバイクの運転には少し制限がかけられていました。

それは、車やバイクを購入する時は、上司の許可がいるということです。

私は警察学校を卒業したらバイクを買いたいと思っていましたが、まだ若手だからという理由で上司の許可はもらえませんでした。
私の同期には上司の許可をとらずに、内緒でバイクを買った強者もいましたが、もし事故を起こしたらばれてしまいます。
そして、上司から、厳しく叱責されてしまうでしょう。
私にはそんな度胸はなかったので、結局バイクを買うことはありませんでした

 

一人暮らしをするのにも上司の許可がいる

車やバイク以外のものなら、上司の許可なしでも買えたんですか?
車やバイクもそうですが、基本的に高額なものを買う時は許可がいるようでしたね。例えば、家ですとか・・・
家を買おうとしたことなんて、あったんですか?
私にはありませんでした。でも、一人暮らしをする時は許可がいりましたね

車やバイクの購入に上司の許可が必要だった理由は、事故防止のためだけでなく、警察官が借金することを防ぐという目的もあるようでした。
車を買った私の先輩の話では、先ほどお話しした身上書の貯金額もかなりチェックされたようです。

そうなると、当然、人生でもっとも高い買い物になるであろう家の購入にも上司の許可が必要だったのもうなづけます。
警察官だった頃の私には家を買う機会なんてありませんでしたが、一人暮らしをする時に上司の許可が必要でした。

警察学校にいた頃は全員敷地内の寮に住んでいたのですが、卒業すると実家が県外にある人は警察の寮へ、実家が県内にある人は実家から通うように決まっていたのです。

私は実家が県内にあったため実家から署に通っていましたが、しばらくして署の近くに一人暮らしすることに決めました。

一人暮らしの許可こそあっさり取れましたが、上司の監視の目はありました。
ある休日の朝、私がアパートにいると、直属の上司である係長からこんな電話がかかってきたのです。

「今アパートの近くにいるんだけど、どこだか分からないから来てくれない?」

どうやら係長は抜き打ちで私の部屋に来ようとして、途中で道に迷ってしまったようでした。
新しい住所はもちろん上司に報告済みでしたが、まさかいきなり家に来るとは思っていませんでした。

私は係長を迎えにいき、自分のアパートの部屋にあげました。
係長が言うには、署長から命じられて、変な暮らしをしていないかチェックしに来たというのです。

係長は私の部屋の中に変な物がないか一通り確認して、帰っていきました。
一人暮らしの許可こそおりたものの、どうやら上司からは監視されてしまうようでした。

そして、私の一人暮らしの許可は、この後あっさり取り消されることになってしまいます。
原因は、激務のためか私が病気にかかってしまったことでした。

当時は3日に1回、まともな休憩もなく30時間近く働いていたうえ、休日出勤も多かったため、身体や精神を病む人も多かったのです。
私は働けない状態になり、係長に休職を申し出ました。
係長はしぶしぶ承諾しましたが、同時に厳しく叱責し、さらに、「お前の病気は、お前の不摂生が原因だからな!」と言ってきたのです。

なぜそんな決めつけをされたのかは、その後すぐに分かりました。
係長は私の休職を課長に報告する際、しきりに「病気の原因は、こいつの不摂生が原因です」と言っていたのです。

私は、なるほどなと思いました。

もし、私の病気が過労によるものだと思われれば、ろくに休憩を与えなかった係長の責任になりかねません。
だから、係長は、適当に不摂生が原因だということにして責任逃れをしたのでしょう。
そして、不摂生が原因で病気になったことにされた私は、課長から一人暮らしの許可を取り下げられてしまいました。課長からは、実家に戻って、ちゃんとした食事をしろと言われました。
実家に戻るのはよかったのですが、動くのも辛い状態で引っ越しの作業をするのは、大変な苦痛でした。

さらに、休職中、引っ越しの作業をするためにアパートへ向かう途中の駅で、警察署の上司と出くわし、「休職中にさぼって遊んでいる」とあらぬ報告までされてしまいました。
歩くのも辛い状態で引っ越しの作業をするために、無理をして外に出たのですが。

 

結婚や交際にも上司のチェックが入る

大変でしたね。そういえば警察官は結婚する時も上司の許可がいると聞いたのですが、これは本当ですか?
本当ですよ。警察官の結婚相手は警察から身元を調べられ、不適切と判断されたら結婚できません
うわぁ。じゃあ、警察官は結婚する時は大変ですね
いいえ、結婚する時だけじゃなくて、付き合う時も上司の許可がいりますよ

警察官は結婚する際、上司に報告する義務があり、警察では結婚相手の身上調査をします。
結婚相手が犯罪者や警察の敵である共産党員だった場合、警察は結婚を許してくれません。

私の上司は昔、お見合いパーティーで出会った女性と結婚しようとしたそうですが、警察の調査の結果、結婚相手として認められないと判断されたそうです。
そして、上司から結婚をやめるか、警察を辞めるか迫られ、泣く泣く結婚を諦めたそうです。

また、警察では、結婚する時だけでなく、異性と付き合う際も上司に報告しなければなりませんでした。
そして、結婚の時と同じく、許可が下りなければ付き合うことは許されないのです。

私が警察官だったころ、ある女性と付き合うことを報告すると、当時の上司から「クビを覚悟しておけ」と言われました。

とはいえ、私のケースは少し特殊でした。
私の付き合った女性は、私が扱った事件の被害者の親族だったのです。
付き合ったきっかけは、事件の1か月後、仕事中に警察署の近くの道で彼女に逆ナンパされたことでした。

事件の関係者に手を出すことはかなりまずかったらしく、私は交際を上司に隠していましたが、仲の良い先輩に話したことで上司の耳にも入ってしまったのです。
課長や係長からは厳しく叱責され、私の交際は後日、署長に報告されました。

結果的に、奇跡的に署長から交際の許可がおり、クビにならずに済んだので良かったですが、女性と付き合うのにも許可がいるというのはかなりおかしいと思いました

 

まとめ

警察官の自由の制限についてお話ししてきましたが、警察官になりたいという方には少々ハードな内容だったかもしれません。
ちなみに、旅行などで県外に行く際にも上司に届け出をして、許可をもらわなければいけません。

私は旅行の届け出を出すのが面倒で、警察官だったころはずっと県内に引きこもっていました。
このように、警察官になると、様々な場面で上司の許可が必要になります。

自由に生きたいという思いが強い方が警察官になると、かなり窮屈な思いをするかもしれません。
とはいえ警察でキャリアを重ねれば、各場面で上司からの許可もとりやすくなるはずです。

この記事を読んでも、まだ、警察官になりたいという方は、警察での自由の制限にめげずに、ぜひそのまま警察官を目指してください