警察官になりたいという人のなかには、警察学校がどんなところなのか知りたいという人は多いはずです。
厳しいという噂はあるものの、警察学校がどういうところなのかはベールに包まれています。

警察官になりたいという気持ちはあるものの、警察学校は厳しいところだと聞いて、警察官になるのを躊躇しているという人もいるかもしれません。
しかし、警察学校でどういうことを習うのかを知れば、これから警察官になるかどうかを決める判断基準になるはずです。

そこで、今回は警察学校では何を習うのか、どんな訓練をしているのか知りたいという人のために、元警察官が警察学校で体験した内容について紹介していきます

 

警察学校では座学やテストがある

警察学校と言えば、警察学校生をしごいたり、とにかく厳しい訓練をさせたりするところだとイメージしている人もいるかもしれません。
そのイメージ自体は、まったく間違っていませんし、私も教官には散々しごかれました。

しかし、警察学校も学校だからなのか、日々の生活の中心は勉強でした。

ここでは警察学校で何を勉強するのかについて、私の体験をお話していきます。
また、次のパートからは、警察官になりたいという学生の質問に答える形式から話を進めていきます。

 

座学では、警察の職務内容について勉強する

警察学校では勉強をたくさんすると聞いたのですが、本当ですか?
本当です。警察学校は毎日1~5限まであって、それぞれに授業の時間割が割り振られています。高校などの授業と比べれば勉強の割合は少ないですが、時間割の半分以上は座学という感じですね

 

警察学校では通常の学校のように時間割が決められていて、そのうち半分以上は座学が占めていました。
座学で習う科目には、おもに以下のものがありました。

  • 地域
  • 交通
  • 犯罪捜査(刑事)
  • 生活安全
  • 警備

これらの科目はいずれも警察署にある各課の仕事となっており、警察学校時代の私は各課の仕事について学んでいたのです。
このなかでも面白かったのが犯罪捜査でした。

犯罪捜査の授業では、教官や警察学校生たちが事件の被害者や警察官の役をして、実際の事件を想定して行う「ロールプレイング」をよくやったのです。
事件の模擬現場では、実際に事件があった時に書く「被害届」や「実況見分調書」という書類の作成を学びました。

ただし、面白いとはいえ、そこは警察学校の授業です。
だらだらやっていると、教官から蹴りが飛んでくるので、常に緊張はしていました

また、警察学校では、各課の仕事の他に以下のような法律についても勉強しました。

  • 刑法
  • 刑事訴訟法
  • 警察法

各課の授業は教官が担当しますが、法律の授業を担当するのは課長という役職の方々でした。
ちなみに、警察学校での各階級と役職は以下のようになっていて、課長は教官よりも上の階級でした。

警察学校の階級と役職
階級 役職
警視総監
警視監
警視長
警視正
警視
警部 課長
警部補 教官
巡査部長
巡査 警察学校生

教官たちは怖い方ばかりでしたが、課長たちは穏やかな方ばかりだったので、授業中多少だらけても怒られなかったのが救いです。

ちなみに、私は座学の時間が好きでした。
なぜなら訓練や武道では頻繁に飛んできた教官のビンタや蹴りや怒声が、座学中は飛んでこないからです。

 

 

テストの内容はほぼ暗記!赤点はクビ?

警察学校で座学をするということは、もしかしてテストなんかもあるんですか?
ありましたよ。警察学校にいる間、中間と期末の2回テストがありました

警察学校にいる間、座学で習った各科目のテストが2回行われました。
とは言え、出題範囲は教官たちから教えてもらえますし、出る問題は教科書にある長い文章を丸暗記するというものでした。

警察学校の普段の消灯時間は夜の10時30分でしたが、試験の1週間前だけは深夜1時まで勉強していいことになっていました。
私も含め、警察学校の生徒たちはみなしっかり勉強していたと思います。

なぜなら、このテストで赤点をとると追試を受けねばならず、さらに、追試も落ちると警察学校をクビにすると教官たちから言われていたからです。

幸い私は暗記が得意だったので、テストでは高得点がとれました。
同じ教場(警察学校でのクラスのこと)で赤点をとった人も何人かいましたが、全員無事追試をパスし、誰もクビにならずに済みました

警察学校では武道を習う

警察学校の授業では、座学と同じくらい武道が重視されていました。
武道では警察学校生が「柔道」か「剣道」、2つのうち好きなほうを選択でき、私は柔道を選びました。

さらに、警察学校では、剣道か柔道の他に「逮捕術」という警察独自の武道を習いました。

ここでは、警察学校で教わった武道についてお話していきます。

 

犯人を取り押さえるための柔道

警察学校では柔道か剣道、好きなほうを選べるんですよね?ぼくは柔道をやりたいんですが、やはり訓練は厳しいのでしょうか?
夏場には脱水症状で倒れた同期が何人も出たので、それなりに厳しいと言えるかもしれません

警察学校生のほとんどは、柔道の初心者でした。
いくら警察学校が厳しいところだとは言え、そんな初心者たちを相手に、柔道の先生たちが厳しくしごくということはなく、柔道自体は優しく教えてもらえました。

柔道の授業で習ったのは「受け身」、技の「打ち込み」、試合形式で相手と組み合う「乱取り」などベーシックなものが多かったです。
ただし、夏場の柔道は大変でした。

警察学校には2週間ほどの夏休みがあり、夏休みが終わると私たちは「暑中稽古」に入りました。
暑中稽古では1週間の間、1~5限までぶっ通しで、炎天下のなか柔道をしたのです。

暑中稽古中、私の教場では脱水症状で倒れた人が5人はいました。
ただし、暑中稽古を乗り越えれば、卒業まで残りの柔道の時間はだいぶ楽になりました。

 

警察独自の武道「逮捕術」とは?

逮捕術と言う武道では、どんなことをするんですか?
逮捕術では空手にあるような型、犯人を押さえつけるための固め技などを習いました。
試合では剣道の防具を着けて戦ったりもしましたね

私は、この逮捕術が大の苦手でした。
逮捕術では、最初、空手の型のようなものを習うのですが、この動きがうまくできなかったのです。
逮捕術の型の動きがうまくできないことで、教官から「警察に向いてないから辞めろ」と言われることもしょっちゅうでした。

なんとか型を習得した後も、次に習ったのは犯人を取り押さえるための固め技です。
この固め技も「約束稽古」といって二人一組になり、お互いに決められた動作を取り合いながら相手を押さえつけるのです。

型が苦手だったことで教官から目をつけられていた私は、技をかける動作の間、教官から特に厳しく動きをチェックされていました

落ちるとクビになるかどうかは忘れましたが、柔道と逮捕術にも検定試験がありました。

 

警察学校ではとにかく走る

警察学校にいる間は、休日の日曜日を除いて、毎日とにかく走りました。
毎日1~5限までの授業が終わると、その後は教場の全員で走ったり、筋トレしたりしていたのです。

走り方も色々で、長距離をゆっくり走ったり、中距離を全力で走ったり、速度を上げたり落としたりして走る「インターバル走」なるものもやりました。
なかでも、特に重視されていたのが「1500m走」でした。

ここでは、その1500m走についてお話ししていきます。

 

1500mを6分台で走れないとクビ?

警察学校では走ることが多いんですね。みんなのペースについていけない人はやっぱり怒られたりするんですか?
怒られるのもそうですが、私のいた警察学校では卒業までに1500mを7分以内に走らないとクビだと言われていました

警察学校では、定期的に全員の1500m走のタイムを計測していました。
ちなみに、私のタイムは確か5分22秒くらいで、同期の警察学校生のなかのちょうど平均でした。

卒業前最後の1500m走の計測で7分をオーバーしていた人は、警察学校をクビにすると教官からは言われていました。
しかし、実際は、7分をオーバーしていた人には、7分を切るまで何度も走らせてもらっていました。

それはそれで酷な話ですが、7分が切れていなかった私の教場の友人も、なんとか7分を切ることができ、クビにならずに済んだのです。

 

警察学校では射撃の訓練をする

警察学校では、射撃の訓練もずいぶんしました。
当時は警察学校から皆で犯人護送用の車に乗り、県警の射撃場に行って射撃の練習をしていたものです。

射撃場では一人ひとりに点数がふられた的が用意されていて、的の中心に近いほど高得点でした。
私たちは的の中心を狙って銃を撃ち続け、射撃の腕を磨いていたのです。

ここでは、射撃の訓練についてお話していきます。

 

射撃訓練の検定に落ちるとクビ!?

射撃訓練というと、やはり実際の拳銃を使っていたんですよね?
はい。警察官が銃を使えなければ、いざという時に困りますから、弾が的に当たるようにしっかり訓練します。そのために検定試験もありました

射撃訓練では、おもに3種類の撃ち方で銃を打ち、数十m先にある的に弾を当てる練習をしていました。
不器用な私は射撃でも、うまく弾を的に当てられませんでした。

当然教官からも怒られるのですが、もっと厄介だったのが、射撃訓練には検定があり、これに落ちるとクビにすると言われていたことです。
テストと言い、1500m走と言い、射撃検定と言い、警察学校にはクビになるチャンスがたくさん転がっているということがわかるでしょう。

とはいえ、実際には検定に落ちても、受かるまでやらせてもらえるため、少なくとも私の期ではクビになる人はいませんでした。
射撃検定も他の試験や検定同様、受かるまで撃ち続けさせてはもらえるのですが、合格した人から射撃場を出ていくので、周りにどんどん人がいなくなっていくのが嫌でした。

幸い私はなんとかラスト10人くらいのあたりで合格できましたが、最後まで残った1人は結局自ら辞めていってしまいました。

 

まとめ

ここまで警察学校でやる主な内容について説明してきましたが、案外まともだという風に感じた人もいるのではないでしょうか?
警察学校で学ぶことは多岐に渡りますが、中心となるのはこの記事で紹介した「座学」「武道」「走ること」「射撃訓練」でした。

いずれも検定があり、パスしないとクビになるものも多かったですが、この記事を読んでいただければ分かるとおり、最後まで諦めない人に関しては教官たちも見捨てることはありませんでした。
警察学校も教官たちも確かに厳しいところですが、やる気のある人に対しては優しい一面も持っていると言えるのです。

もし、この記事を読んでも、まだ警察官になりたいと思うのなら、ぜひチャレンジしてみてはどうでしょうか?