広告業界の動向・年収・大手企業の調査・比較【2017年度】

業界研究

私たちが毎日、生活していくうえで広告を見ない日はないと思います。朝、テレビをつけるとCM、新聞を開けば折込チラシ、外に一歩出ると、建物、電柱、駅、電車やバスの中など至るところに広告が展開されています。

今回は、そんな広告を世に送り出している広告業界の基本情報、今後の展望、主要企業、年収、転職・就職のアドバイスをお伝えいたします。

この記事でわかる広告業界のこと

  • キーワード①:インターネット広告
  • キーワード②:ブランドセーフティ
  • 求められている人材
  • 広告業界に特化した転職エージェント ほか

 

広告業界の基本情報

広告とは?

広告の定義ですが米国マーケティング協会によると次のとおりです。

“広告主が自らの名を明示して、アイデアや商品、サービスその他を、人を介する以外の方法で、有料で告知すること。”

日本の広告には、

  • テレビ
  • 新聞
  • 雑誌
  • ラジオ

 

マスコミ4媒体のほか、

  • インターネット広告
  • 屋外広告
  • 折り込みチラシ

などのプロモーションメディアがあります。

  • 限定地域
  • 文字テキスト広告

といった比較的安価なものから

  • 全国発信
  • 人気芸能人起用

といった高額なものまであり、その形態・価格帯はさまざまです。

 

広告業界の市場規模

広告業界市場は6兆2880億円(電通、2016年日本の広告費)で、3年連続で6兆円を超える規模となっています。

この数字は、広告業界が比較的、好調であることを表しています。リーマンショックを機に一時期、減ったものの、電通報によると5年連続で前年実績を上回っているからです。

これは、2014年以降、インターネット広告が2桁成長を続けていることが背景にあります。しかし、マスコミ4媒体とプロモーションメディアは減退しており、インターネット広告のおかげで広告業界はプラス成長をしているといえます。

 

広告業界 ~今後の展望~

今後の広告業界における重要なキーワードは、『インターネット広告』と『ブランドセーフティ』です。

インターネット広告

インターネット広告はデジタル広告のひとつであり、インターネット広告の広告費総額は1兆3100億円で、構成比率は、全体の20.8%となっています。スマホの普及が整った今、インターネット広告のさらなる躍進が今後も予想されます。

インターネット広告代理店

  • サイバーコミュニケーションズ(電通完全子会社)
  • D.A.コンソーシアムホールディングス(博報堂DYホールディングス連結子会社)
  • サイバーエージェント

インターネット広告の種類

  • リスティング広告
  • アフィリエイト広告
  • 動画広告

などがあります。

今まで、それほど力を入れてこなかった企業も着目しはじめており、アメリカのウォルト・ディズニー・カンパニーもデジタル広告事業に本格参入することが報じられています。

 

ブランドセーフティ

デジタル広告の成長とともにブランドセーフティという考え方が出てきました。これは広告が不適切なサイト上に表示されることから守るという概念です。

世界的企業のハバスが「ブランド毀損リスクが高いこと」を理由に、YouTube(Google)への広告出稿をイギリスで取りやめ、大手エージェンシーなどが追随する動きを見せると、日本でも浸透しはじめました。

また、日本では、ネット上で炎上し、お蔵入りする広告も見受けられ、広告業界各社にとっては、いかにクライアント広告の価値を毀損しないよう製作・運用していくのかが今後の課題でしょう。

 

広告業界主要企業と年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

大手企業

  • 電通:1247万円
  • 博報堂DYホールディングス:1056万円(博報堂、大広、読売広告社)
  • アサツー ディ・ケイ:756万円

その他の企業

  • JR東日本企画
  • 東急エージェンシー

大手企業3社の社員の状況ですが、平均年齢41.5歳、平均勤続年数14.5年、平均年収は1020万円でした。詳細は下図を参照ください。

 

広告業界を代表する企業の基本情報

電通

広告業界国内最大手の電通は、2020年の東京オリンピック専任代理店となっています。2007年にリクルートと資本業務提携、2013年にイギリスのイージスを子会社化しています。

ソフトバンクの「白戸家」、KDDI(au)の「三太郎」は電通の作品です。

電通は、新入社員が過労自殺した事件を教訓に、2017年7月、労働環境改革の基本計画を公表しています。

基本情報

  • 売上高:4兆9249億3300万円(国際会計基準)
  • 収益:8383億5900万円(国際会計基準)
  • 社員数:6799名
  • 平均年齢:40.3歳
  • 平均勤続年数:14.1年
  • 平均年収:12,477,350円

 

博報堂DYホールディングス

広告業界国内2位の博報堂DYホールディングスは、傘下に博報堂グループ、大広グループ、読売広告社グループなどを擁している大型広告代理店グループです。前述しているとおりD.A.コンソーシアムホールディングスも子会社です。

博報堂は生活者関連の市場調査、読売広告社はアニメ・生活者や不動産の動向に強いとされ、大広はアジアで事業展開中です。

瑛太さんなどの出演で竹原ピストルさんの歌を起用した住友生命保険「1UP」は博報堂の作品です。

基本情報

  • 売上高:1兆2554億7400万円
  • 経常利益:454億9100万円
  • 社員数:15738名(連結会社合計)
  • 平均年齢:42.2歳
  • 平均勤続年数:15.6年
  • 平均年収:10,569,000円

アサツー ディ・ケイ

広告業界国内3位のアサツー ディ・ケイは、旭通信社第一企画とが合併し発足しました。

同社は、採用活動において新しい取り組みを行っており、2015年からは新卒のみの応募資格を撤廃。2016年からは相棒採用を導入し、日本の人事部「HRアワード2016」において企業人事部門優秀賞を受賞しています。

早稲田アカデミーの「へんな生き物」はアサツー ディ・ケイの作品です。

基本情報

  • 売上高:3526億7100万円
  • 経常利益:86億8800万円
  • 社員数:3469名(連結会社)
  • 平均年齢:42.1歳
  • 平均勤続年数:13.9年
  • 平均年収:7,569,000円

 

参考文献

  • 株式会社電通第168期有価証券報告書
  • 株式会社博報堂DYホールディングス第14期有価証券報告書
  • 株式会社アサツー ディ・ケイ第62期有価証券報告書
  • 日経業界地図2018年版 日本経済新聞出版社
  • 会社四季報業界地図2018年版 東洋経済新報社
  • 最新広告業界の動向とカラクリがよくわかる本[第3版]

転職・就職のアドバイス

広告会社で働く場合、管理部門のほか、大きく営業・メディア・スタッフというセクションに分かれます。

営業職

クライアント、スタッフとの交渉など、社内外の多数の人と関わり、仕事を行っていきます。

営業職の担当業務は、提案から金銭管理まで多岐にわたるといわれています。

媒体職

主にテレビ局などの媒体に対し、いわゆる枠の確保といった折衝を行います。

また、メディアと組んで媒体を利用した企画を広告主に提案することもあります。

クリエイティブ職

いわゆる広告会社の花形で、広告制作業務全般を担います。

CMプランナー、アートディレクター、コピーライター、クリエイティブディレクターがチームを組み動くことが多いです。

そのほか、広告戦略の仮説を立てて調査していくマーケティング職、キャンペーンやイベント、ときには制作にも積極的に関わっていくプロモーション職、インターネット関連業務を専門に行うインタラクティブ職などがあります。

広告業界が求める人材

ずばり、コミュニケーション能力が高い人です。

広告は、クライアント(広告主)がいて、その広告主が納得してはじめて作品となり、世に送り込まれていきます。

そのため、広告主の要望をよく聞き、想いや真意を汲み取ってかたちにし、今度は社内の人間、協力関係者を多数、巻き込みながら細かい部分を調整し、納得のいく最終理想形に仕上げていきます。

その過程で欠かせないのがコミュニケーション能力で、広告業界に適しているかどうかはここが問われます。しかし、人と接するのが苦にならない、普通に好きな方であれば特段、問題はないでしょう。

コミュニケーション能力をPRするにしても、短時間の面接では限界があります。そのため、インターンシップに積極的に参加したほうがいいようです。OB訪問もしっかりとこなすことで、「人と会うことは苦になりません」「志望企業に対する熱意もこんなにあるんです」と就職活動開始期から行動や態度で示していくことが求められています。

 

ネット上では、(広告業界は)OB訪問数が選考基準となっていると明記しているサイトもあるくらいです。

もちろん、人気のある広告業界ですから、コミュニケーション能力だけで狭き門をくぐれるほど甘くはありません。

  • なぜ広告業界なのか
  • なぜその広告媒体なのか
  • なぜその企業なのか

を、しっかりと説明できる就職の軸を確立し、自分の言葉でブレずに面接官に説明できることが必須です。

広告業界に転職しようとする場合にも同じことがいえます。

①コミュニケーション能力があること

②広告業界で活かせるスキル

自分の言葉でアピールできれば、将来が期待できる人材として面接官から評価されるでしょう。

転職とキャリアアップでお伝えしている広告業界専門の転職エージェントとしては、マスメディアンがあります。

その他の転職エージェントについても以下の記事で解説していますので、併せてご覧いただけますと幸いです。

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