今回は、2017年の最新版としてデパート(百貨店)業界の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。

2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。

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デパート業界の基本情報

百貨店は、国内外の一流ブランド高級品から良質な日用品まで幅広く揃えられており、デパートとも呼ばれています。

都市部の主要駅周辺や繁華街に大規模店舗を構えており、販売員が消費者一人ひとりに丁寧に対応し高価値商品や情報を提供する細やかな質の高い接客販売が主流です。

百貨店は大切な人に何かを贈るため、自分へのご褒美やステータスを高めるために何かしらの品を購入する特別な空間という立ち位置ではないでしょうか。

近年では、一流ブランド・高品質メーカーが出店したショッピングモールやアウトレットモールの台頭、ネットショッピングユーザーも増えたことから、デパートへ行く人が減りつつあります。

 

それでも、デパート業界の市場規模は、富裕層と外国人訪日客などのインバウンド消費に支えられ、日本百貨店協会の売上高速報によると、2016年の年間売り上げは5兆9780億円となり、対前年マイナス2.9%となっています。ピーク時の1991年に比べると約4兆円もの規模縮小となり、各社、地方の不採算店の閉鎖や縮小を余儀なくされ、都市部で巻き返しを図ろうと集客に取り組んでいます。

デパート業界大手8社(後述)の社員の状況ですが、平均勤続年数は20.5年、平均年齢は43.8歳、平均年収は730万円となっています。

日本百貨店協会 平成28年12月・年間 全国百貨店売上高概況

http://www.depart.or.jp/common_department_store_sale/view_general_condition_file?sale_id=344

ロイター 全国百貨店売上高、2016年は36年ぶりに6兆円割れ 衣料品が低迷

http://jp.reuters.com/article/department-store-idJPKBN1540RQ

 

デパート業界 ~今後の展望~

昨年も、お伝えしていたとおり、商品など「モノ」の消費だけではなく趣味や体験を通じて思い出をつくっていく「コト」消費が、今後もトレンドとして定着していくでしょう。

三越日本橋本店では店頭販売員がゆかた着用で接客し、プロカメラマンによるゆかたを着ての写真撮影会も実施。松坂屋静岡店ではドローンの飛行操縦体験ができるイベントが実施されています。

そして、2017年の新たなるキーワードは『インバウンド対策』『順位変動』です。

 

インバウンド対策

前述したとおり、現在の百貨店の売り上げを支えているのは富裕層と外国人訪日客だといえます。

爆買いについては一時期、収束に向かい落ち着いた感があったのですが、今年の1月末から始まった中国の大型連休「春節」で来店者が増え、免税売上高は前年同月比24.8%プラスの217億円と過去最高値をたたき出しています。

朝日新聞デジタル 百貨店の免税売上高が過去最高 1月、春節と客数増で

http://www.asahi.com/articles/ASK2P56B4K2PULFA01H.html

コンビニエンスストア業界と同様、2020年の東京五輪開催に向け、今後も緩やかに増えていくであろう外国人訪日客をいかに呼び込めるかがカギとなりそうです。

 

順位変動

つい最近の話ですが、三越伊勢丹ホールディングスが株式時価総額を初めてJ.フロント リテイリングに逆転されたようです。日本経済新聞では、

“三越伊勢丹の今期の純利益見通しはJフロント(265億円、国際会計基準)や高島屋(215億円)の半分以下。時価総額では3位の高島屋(3789億円)も背後に迫る。”

と報じられており、今後、デパート業界の順位変動が起こる可能性が出てきましたので引き続き、注目したいところです。

日本経済新聞 三越伊勢丹の時価総額、初めて業界首位陥落

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO16265020R10C17A5DTD000/

 

デパート業界の主要企業と年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

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各社の年収一覧

  • 三越伊勢丹ホールディングス(三越伊勢丹・松屋・プランタン銀座・名鉄百貨店) 833万円
  • J.フロント リテイリング(大丸松坂屋百貨店・パルコ) 810万円
  • 高島屋 656万円
  • エイチ・ツー・オーリテイリング(阪急百貨店・阪神百貨店) 931万円
  • セブン&アイ・HD 百貨店事業(そごう・西武) 716万円
  • 丸井グループ 709万円
  • 近鉄百貨店 436万円
  • 東京急行電鉄 生活サービス事業(東急百貨店) 754万円

デパート(百貨店)業界の主要企業(上記)の平均年収 730万円

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参考情報:主要な地方百貨店

札幌丸井三越(札幌市)、藤崎(仙台市)、大和(金沢市)、遠鉄百貨店(浜松市)、天満屋(岡山市)、福屋(広島市)、井筒屋(北九州市)、岩田屋三越(福岡市)、トキハ(大分市)、山形屋(鹿児島市)

 

デパート業界を代表する企業の基本情報

三越伊勢丹ホールディングス

日本橋三越本店・伊勢丹新宿店はともに全国上位の売上を誇り、業界首位の座に君臨しています。国内はもとよりフランス、イタリア、アメリカ、中国、シンガポール、マレーシアなど海外にも店舗展開しています。

化粧品は堅調な一方、衣料品で苦戦をしています。最近の動向ですが、エステ・旅行会社を買収し脱百貨店依存を図っているようです。

[aside type=”normal”] 基本情報

  • 売上高:1兆2872億5300万円
  • 経常利益:367億400万円
  • 国内店舗数:33店舗 日本橋三越本店、伊勢丹新宿店など
  • 社員数:12285名
  • 平均年齢:46.1歳
  • 平均勤続年数:22.1年
  • 平均年収:8,330,534円

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J.フロント リテイリング

大丸と松坂屋が統合して成り立っている同社は、子会社にパルコを擁しています。

同社は、2017年4月に東京・銀座エリアで最大となる商業施設「GINZA SIX」を開業しました。その一方で、7月末には大丸浦和パルコ店の営業終了を控えており、不採算店整理で収益の確保を狙っています。

[aside type=”normal”] 基本情報

  • 売上高:1兆1635億6400万円
  • 経常利益:479億1000万円
  • 店舗数:19店舗 大丸…心斎橋、梅田、東京など 松坂屋…名古屋、豊田、上野など
  • 社員数:7038名
  • 平均年齢:45.1歳
  • 平均勤続年数:21.3年
  • 平均年収:8,100,157円

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高島屋

中国・上海やシンガポールなど海外進出も果たしている老舗百貨店です。

一度は経営統合へと歩み寄っていたエイチ・ツー・オーリテイリング(阪急百貨店・阪神百貨店)とは商品開発などで業務提携をしており良好な関係のようです。

2017年4月には高島屋新宿店に化粧品の品揃えを強化した空港型免税店を開業しています。

[aside type=”normal”] 基本情報

  • 売上高:9295億8800万円
  • 経常利益:377億8500万円
  • 店舗数:19店舗 日本橋(東京)、新宿、横浜、大阪、京都、シンガポールなど
  • 社員数:7315名
  • 平均年齢:45.0歳
  • 平均勤続年数:22.4年
  • 平均年収:6,569,000円

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参考文献

  • 株式会社三越伊勢丹ホールディングス第8期有価証券報告書
  • J.フロント リテイリング株式会社第9期有価証券報告書
  • 株式会社高島屋第150期有価証券報告書
  • 会社四季報2017年2集春号 東洋経済新報社
  • 日経業界地図 2017年版 日本経済新聞出版社
  • 図解入門業界研究 最新小売業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第2版] 根城泰 平木恭一著 秀和システム

 

転職・就職へのアドバイス

デパート・百貨店のお仕事といえば販売員、外商、バイヤーがイメージしやすいと思うのですが、総務から企画まで多岐にわたります。もちろん海外で活躍できるフィールドも用意されています。

そのため、昨年もお伝えしていたことなのですが、デパート業界に転職もしくは就職を考えている方は、どのような分野で会社に貢献できるのかをはっきりさせておく必要があります。

今までの経験やスキルを、どう発揮できるのか・したいのかを考え、エントリーの際にしっかりと明記し、面接では論理的に説明できるようにしておかなければなりません。

 

2017年版の公開にあたり、デパート業界で働く知人から聞いた話なのですが、女性の割合が群を抜いて高いそうです。

これまで男性が多い職場で働いてきた方は、配属先によりますが、上司や部下全員が女性だったりし戸惑うかもしれません。

男性で家族に姉妹がいる方なら心配はないのですが、女性集団への接し方がよくわからない方、女性の気持ちや考え方に疎い方は、本などで研究をし、良好な人間関係を構築できるよう努力が必要だと私は感じました。

転職入社されたい方は、会社によって人間模様は大分異なりますので、事前に転職エージェントに社風を聞いておくと良いでしょう。

 

売り場は華やかですが、一歩バックヤードに入ると、在庫の山、物流事務拠点があり、商品搬入や検品、陳列といった力仕事や在庫の棚卸し、お買い上げ商品の発送手配、商品の発注など下仕事も多く、わずかなデスクワーク・食事・休憩のほかは基本的に立ちっぱなしの重労働です。

顧客対応だけではなく、ときにはクレームや修羅場にも対峙しなくてはならない場面もあり、大変なことやツラいことも多い業界です。

顧客減少や業績不振など多くの問題を抱えている業界だとわかったうえで、解決策や改善案を提示し会社の業績に大きく貢献したいと考えている方であれば、その気持ちを率直に伝えることで、採用はされやすくなるでしょう。