家電量販店業界の動向・年収 2016年度大手企業の調査・比較

業界研究

駅前や郊外など、様々な場所にある家電量販店。

みなさんの近所にも、町の電気屋さんがあるかと思いますが、ほとんどの方は家電を買う時に、安い商品が豊富にそろっている家電量販店を利用すると思います。

わたしたちの身近な存在である家電量販店ですが、この業界に転職・就職することを考えているのであれば、業界の動向と現状を知っておく必要があります。

ここでは、家電量販店業界の基本情報や今後の動向、転職や就職を考えている方へのアドバイスをまとめてみました。

家電量販店業界の基本情報

家電メーカーから家電製品を大量に仕入れることで、卸値を安く抑え、低価格で販売することが可能になっている家電量販店。

家電量販店は、出店する場所によって郊外型と駅前型の2つに分けることができます。

郊外に店舗を構える代表的な量販店は、業界首位のヤマダ電機やケーズホールディングスなどです。

駅前に店舗を構える量販店には、ビックカメラやヨドバシカメラなどがあります。

 

家電量販店業界の市場規模は、家電エコポイントや地デジなどの特需があった2010年をピークに、徐々に縮小しています。

2014年は消費税率引き上げ前の特需で、若干、上向いたものの、2015年には業界最大手のヤマダ電機が地方や郊外の不採算店、計46店舗を閉鎖すると発表するなど、家電量販店業界を取り巻く環境は好転していません。

家電量販店業界の市場規模は5兆5,904億円、経常利益は1,330億円、平均勤続年数は10.7年、平均年齢は36.2歳、平均年収は443万円となっています。

家電量販店業界 ~今後の展望~

家電量販店今後の展望としてポイントになるのは、店舗の大型化とネット通販との競争力強化、そして、業界再編の3つです。

1.店舗の大型化

これからも人口減少が続くため、家電だけを取り扱っていては継続的な成長が見込めないと考えている家電量販店各社は、医薬品や酒類、スポーツ用品から、太陽光発電装置、自動車、書籍など、家電以外の幅広い商品を取り扱うようになってきています。

そのため、店舗も大型化が進んできており、以前は500平方メートル級の店舗が主流だったのが、現在では3000~4000平方メートルクラスの店舗が増加傾向にあります。

さらには、ヤマダ電機の「LABI1 日本総本店池袋」や、ヨドバシカメラの「マルチメディアAkiba」など、2万平方メートルを超える超大型店も出現してきています。

2.ネット通販との競争力強化

低価格と幅広い品ぞろえで成長を続けてきた家電量販店と、同じ強みを持つネット通販市場が拡大していることを受けて、国内での家電量販店業界の競争は、さらに激しさを増していくと考えられています。

そこで、量販店各社はネットショップの価格に対応して値下げしたり、即日配送など、店頭だからこそできるきめ細やかなサービスを提供したりして、ネット通販との差別化を図っています。

これからもさらに利用者が増えることが予測される、ネット通販に対抗するため、出店攻勢をかけている家電量販店もあります。

例えば、郊外型店舗で業績を伸ばしてきた業界最大手のヤマダ電機は、池袋、新宿など都市部での大型店舗『LABI』を積極展開していますし、業界第4位のケーズホールディングスはロードサイドを中心に積極的に大規模店舗を出店しています。

3.業界再編

家電量販店業界では、企業買収や資本提携が活発に行われてきました。

最近では、2012年に業界最大手のヤマダ電機が、当時業界8位のベスト電器を買収しました。

同年、ビックカメラがコジマを子会社化することで業界2位に浮上するなど、業界内の競争が激化しています。

今後も、企業買収や資本提携などの動きが起こることが考えられます。

家電量販店業界の企業一覧

  • ヤマダ電機
  • ビックカメラ
  • エディオン
  • ケーズホールディングス
  • ヨドバシカメラ
  • 上新電機
  • コジマ
  • ノジマ
  • ベスト電器
  • キタムラ

家電量販店業界を代表する企業の基本情報

【ヤマダ電機】

2001年から連続して家電量販店業界売上高No.1という実績があり、業界のリーディングカンパニーとして君臨しているのが、ヤマダ電機です。

家電量販店業界の中で、唯一売上高が1兆円を超えている企業でもあります。

2012年にはベスト電器を買収し、業界内での影響力を強めています。

基本情報

  • 売上高(グループ連結):1兆8,939億円
  • 経常利益:501億円
  • 店舗数:全47都道府県に4,401店舗
  • 平均勤続年数:9.1年
  • 平均年齢:31.0歳
  • 平均年収:421万円

【ビックカメラ】

ビックカメラは首都圏を基盤とする家電量販店で、駅前に大型店舗を出店させることで集客量を上げ急成長してきました。

2008年には、集客力を高めることを狙い、日本郵政グループと業務提携を開始しています。

また、2012年にはコジマを買収して売上高業界2位に浮上しました。

基本情報

  • 売上高:8,298億円(連結) 4,455億円(単体)
  • 経常利益:240億円
  • 店舗数:直営店 34店舗
  • 平均勤続年数:8.3年
  • 平均年齢:31.9歳
  • 平均年収:463万円

【エディオン】

エディオンは、2002年に中国・四国・九州地方を基盤とする「デオデオ」と、中部地方を基盤とする「エイデン」が、共同で株式移転方式によりエディオンを設立。

その後、近畿地方を基盤とする「ミドリ電化」、関東地方を基盤とする「石丸電機」を子会社化するなどして、規模を拡大してきました。

現在は、家電量販店業界で第3位の売上高を誇ります。

基本情報

  • 売上高:6,912億円
  • 経常利益:148億円
  • 店舗数:1,212店舗(直営:432店舗、フランチャイズ:780店舗)
  • 平均勤続年数:15.5年
  • 平均年齢:40.0歳
  • 平均年収:490万円

転職・就職へのアドバイス

家電量販店業界は、常に激しい競争にさらされています。

駅前やロードサイドには、複数の大型店舗が軒を連ねていますので、商品を売るだけでなく、ユーザーに商品を使うことで便利な生活をイメージさせる、「コトの提案」ができる人材獲得が、各社の課題です。

では、家電量販店業界に転職もしくは就職を考えている方は、どんなスキルを持っておくべきでしょうか?

業界の大手が求めている人物像から、今どんなスキルを身につけておくべきかを考えていきましょう。

業界最大手のヤマダ電機が求めている人材は、高い目標を持ち、その達成のためにリーダーシップを発揮できる人、常に「お客様のため、社会のために何ができるか?」を考えられる人を求めています。

 

また、業界第2位のビックカメラは、好きを仕事にしたい人、接客がしたい人、やる気・意欲のある人を求めています。

ここから企業が求めている人物像というのは、コミュニケーション能力が高く、お客様が知りたいと思う情報を提供できる人と、ということが分かります。

この業界への就職、転職を考えている方は、業界や商品知識をしっかり身に付けるのはもちろんのこと、心理学などを学んでおくと、顧客への提案力が高い人材とみなされて、採用率が上がるでしょう。

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