損害保険業界の動向や魅力・大手企業の年収比較を就職・転職経験者のアドバイスを交え解説

業界研究

保険にはざっくりと損害保険生命保険があります。

車に乗る方は自動車保険でお世話になっていますよね^^

自動車保険のほか、火災保険地震保険も損害保険の仲間です。

今回はそんな損害保険業界の基本情報、主要企業と年収、動向、展望、経験者談、就職・転職のアドバイスについてもお伝えしていきます。

 

業界全体図から見た損害保険業界

セイジさん、損害保険業界は全体図から見るとどういう立ち位置なのです?

日経業界地図では意外にも金融に分類されています。

金融にはもちろんほかに銀行、信用金庫、信用組合、証券会社があります。

保険もお金ですものね。

日本では事故や争いが生じたとき裁判で法的に解決するときもお金で、保険に入っていると裁判に至ることなく円満に解決できるというメリットがあります。

いわゆる示談ですね。

はい。図らずも当事者になったときは加入している損害保険の引受先(保険会社)の担当者や弁護士が示談や交渉を代行してくれるほか、契約に沿ってお金が支払われます。

損害保険のおかげで私たちはこの先、生じるかもしれない大きな責任を免れることができ、また損害を軽減することができるのです。

 

損害保険業界の基本情報

損害保険の定義

損害保険とは一般社団法人日本損害保険協会によると“一定の偶然な事故によって生じた損害額に応じて保険金を支払う保険”と定義しています。

保険3分野

損害保険、生命保険どちらにしても保険業界を目指す方は下記表の内容は覚えておいていただきたいです。

取り扱える会社
第1分野生命保険会社のみ
第2分野損害保険会社のみ
第3分野生命保険会社・損害保険会社

 

定義
第1分野人の生死に関する保険
第2分野損害に関する保険
第3分野人の生死でも損害でもない中間に位置する保険

 

各分野保険例
第1分野生命保険(定期保険、終身保険、養老保険、収入保障保険など)
第2分野自賠責保険、自動車保険、火災保険、地震保険、個人賠償保険など
第3分野医療保険、がん保険、介護保険、傷害保険、個人年金保険など

 

損害保険の種類

損害保険とはズバリ、上記で説明した第2分野の保険です。損害保険会社はもちろん第3分野の保険も取り扱うことができます。上記のほか

・自転車保険

・旅行保険

・痴漢冤罪保険

などがあります。自転車保険は自治体によっては加入が義務づけられていますし、旅行保険など旅行代理店で勧められたりクレジットカードに自動付帯したりしていて、旅行先で助かったという話もよく聞きます。

 

お買い物についての保険もあったりするんですよね^^

 

損害保険の市場規模の変遷

一般社団法人日本損害保険協会の統計によると、下表のとおり推移しています。

年度正味収入保険料
2017年8兆2438億7900万円
2018年8兆3806億2300万円
2019年8兆3928億3100万円

 

8兆円越えで、徐々に拡大しているイメージですね。

保険料は年々、上がってきているように個人的に体感しています。

そういえば「今のうちに契約しておいたほうが…」って勧誘されたことが過去ありました私。

 

損害保険業界の動向

業界再編で会社は巨大化(メガ損保)

一時期、保険会社の名前がちょっと長すぎやしませんかね? って思っていました^^

まあ大手どうしの合併、経営統合で、ネームバリューもありましたからね^^

深堀しすぎると長くなりますので詳細は、各社の沿革などでご確認いただきたいのですが、

東京海上日動+日新火災=東京海上ホールディングス

三井住友海上+あいおいニッセイ同和=MS&ADインシュアランスグループホールディングス

損保ジャパン+日本興亜=損害保険ジャパン→SOMPOホールディングス

という流れで合併、経営統合。今は、

・東京海上ホールディングス
・MS&ADインシュアランスグループホールディングス
・SOMPOホールディングス

の3社が今の損害保険業界を牽引しているといっていいです。

 

全部ホールディングス…、持ち株会社ですよね…。

上記3社が9兆円超えの市場を群雄割拠している。そのようなイメージでいいと思います。

巷では「3メガ損保」「3大損保」などといわれていますが、もちろんそのほかにも損害保険会社はあります。

インシュアテック

金融業界では『フィンテック』が席巻したように保険業界にもITの波が押し寄せ、保険(Insurance)とITをかけ合わせ『インシュアテック』という言葉が2010年代後半頃、登場しました。ITはここ数年

・新保険商品開発
・顧客向けサービス改良
・バックエンド業務高速・効率化

に活用されてきたといえます。

テレマティクス

テレコミュニケーション(通信)とインフォマティクス(情報工学)をかけ合わせ『テレマティクス』というのですが、自動車運転テクニックを測る技術を用いて保険料などを割り出すものです。

運転テクニックが高いほど保険料が安くなる、そんな感じです。

損害保険全体の頒布を見ると自動車保険は47.1%とほぼ半数、多勢を占めますので、テレマティクスなど自動車保険の動向は知っておくといいです。

 

損害保険業界の展望(予測)

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)

日本経済新聞に気になる記事がありました。近年、損保業界ではRPAAI(人工知能)搭載ツールの開発と導入が急進。AIの導入によって代理店から保険や補償の内容、規定の問い合わせが減り、見積書も機械が自動作成してくれるという内容でした。

野村総合研究所によると、RPAについて以下、言及しています。

RPAの提供する代表的な機能は、人がパソコン上で日常的に行っている作業を、人が実行するのと同じかたちで自動化する、というものです”

 

なるほど。理解しました。

実は作業が減ると喜んでばかりもいられません。

いいことばかりではなく「では人がやるべきことは?」となっていきます。汗と知恵を出しライバルに差をつける行動ができなければ置いてきぼりになるおそれもあります。

「自分に何ができるか」を常に考えられる人材が生き残る、そんな時代が目前にやってきています。

 

損害保険業界の主要企業及び年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

3大メガ損保と年収一覧

東京海上ホールディングス
MS&ADインシュアランスグループホールディングス
SOMPOホールディングス

 

【参考】その他の主要な損害保険会社

SBI損害保険、セコム損害保険、ソニー損害保険、トーア再保険、日立キャピタル損害保険、朝日火災海上保険、共栄火災海上保険など

 

3大メガ損害一挙ご紹介、徹底比較!

MS&ADインシュアランスグループホールディングス

MS&ADインシュアランスグループホールディングスは、あいおいニッセイ同和損害保険、三井住友海上をグループ企業に有しています。

あいおいニッセイ同和損害保険は、日本国内で初の「運転挙動反映型テレマティクス自動車保険」を開発し、三井住友海上はイギリス保険市場(ロイズ)第2位のアムリン買収を機に、海外事業戦略委員会を立ち上げ、さらなる海外事業の拡大を目指しています。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

日本国内初 運転挙動反映型テレマティクス自動車保険の開発について

基本情報

正味収入保険料(売上高):3兆4073億8900万円

経常利益:3526億1200万円

社員数:329名

平均年齢:46.9歳

平均勤続年数:22.3年

東京海上ホールディングス

東京海上ホールディングスは、2000年のインド合弁損保設立など、国内だけにとどまらず海外でも積極的に保険事業を展開しています。

近年では約9413億円でアメリカのHCCインシュアランスを買収しています。

基本情報

正味収入保険料(売上高):3兆4804億7800万円

経常利益:3876億5900万円

社員数:587名

平均年齢:43.7歳

平均勤続年数:19.8年

平均年収:13,479,494円

SOMPOホールディングス

2016年10月、「SOMPO」ブランドの強化を図るため、損保ジャパン日本興亜ホールディングスから名称を変更した同社は、保険事業だけではなく介護事業にも注力し、経営の多角化に乗り出しています。

介護事業会社は、子会社として「SOMPOケア」「SOMPOケアメッセージ」、業界大手であった「ワタミの介護」を買収し子会社とした「SOMPOケアネクスト」、関連会社として「シダー」があります。

基本情報

正味収入保険料(売上高):2兆5503億3600万円

経常利益:2417億1300万円

社員数:514名

平均年齢:43.1歳

平均勤続年数:17.1年

平均年収:11,310,054円

 

参考文献

MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社第9期有価証券報告書

東京海上ホールディングス株式会社第15期有価証券報告書

SOMPOホールディングス株式会社第7期有価証券報告書

 

元保険会社現役保険代理店の方から聞いたお話

はじめまして。私は保険会社に勤めたあと保険代理店を始めました。保険業界に身を置き5年目になりますが正直、業界ではまだまだ経験が浅いほうです。それでも保険業界研究のご参考になればと思い書きました。ご一読いただければうれしく思います。

現役保険代理店が語る保険業界への転職のしやすさ

結論から申し上げると保険業界への転職は、しやすいです。営業職はほとんどの保険会社で不足しており、新規契約と同じくらいその採用に重きを置いています。

ただし保険は金融のお仕事ですから人手不足の状況下でも厳しく見られます。別の保険会社に勤めては辞め、勤めては辞めを繰り返している方は「採用しても長く続かないだろう」との理由で、不採用となります。また前科、反社会的勢力とのつながりも然りです。

保険会社入社後、仕事に入る前に研修と試験があります。研修では商品知識を深め、募集時の注意点を学びます。講師の話をきちんと聞けば大丈夫ですが、試験に合格しないと保険のお仕事はできません。ちなみに私は不合格者になった人と出会ったことがありません。

ほとんどの人が合格できる、そんなレベルの試験です。万が一、不合格になると以後、保険のお仕事はできません。

保険代理店(営業)のお仕事

保険代理店の業務は3つ。

・営業
・アフターフォロー
・勉強

です。保険営業は原則、対面です。そのため移動が多く、人と会うことで仕事につながっていくものですから、体力が必要です。

営業成績が給与にそのまま反映しますので、数字を達成できなければ辞めていかざるをえません。案件を枯渇させず、常に見込み客がいる、お客様からまたお客様を紹介してもらえる状況を生み出さないとハッキリ言って、ツラいお仕事です。

保険金お支払い手続き、新商品発売時にその情報を提供することがアフターフォローといえます。いかにお客様を放置しないか、不安を抱かせないか、不信感を持たれないかに気をつけ、フォローをします。

保険商品は続々と新商品が発売され、定期的に商品内容が変わったりしますので、日頃の勉強は本当に不可欠です。

これより私が保険のお仕事について体験とエピソードをいくつか、ご紹介していきます。

保険のお仕事で苦労したこと

とにかく毎月の数字を作ることです。未達にならないよう身内に提案したり、身内に知り合いを紹介してもらったりと見込み客を作っていくことが肝要です。

イベントで集客し、そこで営業してしまうのも契約につながるのならアリです。自分に合ったスタイル、方法でうまくノルマを達成できるのが理想です。

保険のお仕事で失敗したこと

顧客が増え始めたのに、きちんと管理ができなかったために、保険満期が近いお客様への連絡を忘れ、他社に乗り換えられたことがありました。これは給与が減り、信頼を失ったことを意味します。一度失った信頼はカンタンに戻りません。

保険のお仕事にはノルマがあった

私が在籍していた保険会社では、当月目標(ノルマ)の数字が役員から部長に伝えられ降りてきていました。職場にはチームがあり部長、各チームリーダーが「目標達成させるには」を話し合い毎月、計画を練っていました。

保険のお仕事は高収入?

営業、アフターフォロー、勉強することを心がけそれなりの数字を叩き出せれば、ある程度の収入が見込めます。具体的にはサラリーマン越えの給料です。ただし何かを成し遂げようとする際に必要とされる向上心と忍耐力、そして努力が求められます。

保険会社で出世していくには?

総合職は広く業務に関わりつつ会社運営にも携わり、将来的に組織をまとめていく役割を持ちます。直接お客様にお会いすることはなく、裏方として経営戦略を考えたり事業サポートをしたりします。なかには採用活動や社員育成を担う方もいるでしょう。

地域密着型で転勤がない働き方も出てきた昨今ですが、会社によっては総合職ゆえに数年に一度の配置転換、全国各地への転勤もありえ、土地勘のない地方へ異動を命じられることもあります。

営業職ならやはり数字を常に追求し、安定した保険契約実績をマークすることを心がけます。また私が総合職なら間違いなく商品開発を希望します。商品開発は自分の考え出した商品を売り出せる可能性があり、会社の売り上げに大きく貢献できるからです。

最後に保険業界に関心があり、行動力があり、ポジティブな方で保険のお仕事をやってみたいとお考えならぜひ、やるべきです。ただし「失敗したらどうしよう…」などネガティブなことを考えがち。そのような人は保険業界特に営業職には向いていないと私は思えます。

 

ありがとうございました。

 

損害保険業界への就職へのアドバイス

損害保険業界を目指すのならやはり、吸収・合併を繰り返しながらいつのまにか台風の目のように大きくなったメガ損保3社いずれかへの入社をオススメしたいところですが、そのほかの損害保険会社も名実ともに実力勢そろいです。

各社コーポレートサイト、有価証券報告書などを見て、理念、方針、沿革、保険商品、財務状況などを確認し自分に合いそうな会社はどこか、どこで働きたいかを決めてもいいのではと考えます。

東京海上日動の募集要項を基に損害保険会社の中身を解説していきますが大きく、

・営業部門
・損害サービス部門
・コーポレート部門

に分かれます。

営業部門にはまず契約者をリスクから守るそして販売網を拡充、強化する。損害サービス部門には弁護士、医師など社外のブレーンとうまく連携して速やかに問題を解決させる。コーポレート部門は会社の中核として運営、企画を行っていくという使命があります。

損害保険は金融に分類され、お金が絡みます。そのため知的労働に近く経験者談でもお伝えしたように勉強が欠かせません。

・保険約款
・民法など関連法
・保険関連裁判例

などインプットすべき項目が非常に多く日々、研鑽が求められています。

 

損害保険業界への転職へのアドバイス

保険代理店として独立することを前提に目指される場合が多いと思われますが、また経験者談とは別の保険代理店を営む知人が独立前(研修時代)には、更新が3カ月おきにやってきてその間の保険契約獲得状況によっては「契約が終了するかも」と言っていました。

 

家族の理解と説得が必要なのかも…。

そのあと独立するなら絶対、必須ですよ。

保険代理店は契約者との深いコミュニケーションが必要だったりします。話す力、聴く力が備わっていないと、経営を軌道に乗せることがむずかしいです。

定年まで保険会社で務めるにしてもずっとデスクワークではなく、ときに席を離れ事故の相手方の対応に終始したり、保険代理店、医療機関、修理工場、弁護士など社外ブレーンと協力して物事の解決にあたったりします。

 

コミュニケーション大事です。

ビジネスマナーの習得だけではなく、コーチング関連の動画を観たり書籍を読んだりし、対人スキルを磨くようにしたいものです。また下記スキルを証明できる下記資格を持っておくと有利に働くでしょう。

金融系証券外務員

フィナンシャル・プランナー

法律系行政書士

ビジネス実務法務検定

 

海外保険事業に携わりたい場合は英語力がものを言います。TOEICのスコア、海外企業との取引経験があれば、それらを余すところなく積極的にアピールすべきです。

営業経験者、人と話すことが好き、物事にあまり動じない(鋼のメンタル)なら反対しませんが、それ以外の方は慎重に募集人として入るのがはたして得策なのか? よく考えていただきたいです。

 

まとめ

これからも私たちの生活に安心を与えてくださいね^^

そんな損害保険業界で、内定を勝ち取っていただきたいです!

就職と転職、共通していえることは人生の目的と就こうとしている仕事の方向性が合致していることが重要です。それがミスマッチを防ぐカギで、長続きできるかその明暗を分けます。

人生の目的についてその意味を、これまで考えたことがない方は関連記事で説明していますのでぜひ、併せてお読みいただけますと幸いです。

 

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