今回は、2017年の最新版として損害保険業界の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。

2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。

損害保険業界の基本情報

損害保険は、

  • 自動車やバイク、自転車の事故
  • 火事などの人的災害
  • 地震や台風などの自然災害
  • 傷害事件や盗難事件などの犯罪

これらによって生じた損害を補償するものです。

保険会社は、契約者から保険料を受け取り、損害が発生したときには契約内容に基づき保険金を支払います。

損害保険が充実しているからこそ、私たちは安心して暮らすことができているといっても過言ではありません。

 

損害保険の種類

保険会社が取り扱う損害保険は、

  • 自動車保険
  • 火災保険
  • 地震保険
  • 傷害保険

が代表例となりますが、これらはほんの一例です。

このほかには、たとえば、今年に入って、最も話題となったのが、いわゆる「痴漢冤罪保険」です。また、ここ近年、「自転車保険」への加入者も増えています。

 

損害保険の市場規模と現状

損害保険業界の正味収入保険料(市場規模)は、8兆2438億7900万円※で、3大メガ損保(後述)の平均年齢は44.5歳、平均勤続年数は19.7年、平均年収は1205万円となっています。

8兆2438億7900万円のうち、4兆691億3400万円※が自動車保険の正味収入保険料であり、昨年もお伝えしていたとおり、損害保険会社は「自動車保険」に依存している状態だといえます。その次に多いのが火災保険の1兆1377億6500万円※なのですが、前年度よりマイナス14.9%の大幅減となっています。

参考資料

一般社団法人日本損害保険協会 種目別統計表(2016年4月~2017年3月)の数値

 

損害保険業界 ~今後の展望~

損害保険業界の今後の動向として昨年お伝えしていたキーワードが、『海外保険事業への参入』でした。

今後、新たに保険業界全体の風となり得るのが『インシュアテック』です。金融業界では『フィンテック』が席巻しているように、保険業界にも同じくITの波が押し寄せています。

“インシュアテックとは保険(Insurance)とITをかけ合わせて、これまでにない保険商品を開発したり高度な保険業務を実現したりする取り組みの総称だ。金融とITをかけ合わせたFinTechに続き、2016年ごろから日本でも動きが活発になり始めた。”

と日経BP社ITproでも報じています。

参考文献:

生損保「インシュアテック」に動く, 日経コンピュータ

 

同記事によると、

  • 新たな保険商品の開発
  • 顧客向けサービスの改良
  • バックエンド業務の高速化や効率化

に役立つそうです。

 

2017年7月4日の最新事例では、THE BRIDGHの記事によると、2017年7月、クラウド型保証書管理サービスを展開するWarranteeが、東京海上日動、三井住友海上、あいおいニッセイ同和損保の参加、三井物産インシュアランスを代理店とするWarrantee Nowなるスマホアプリによる保険加入サービスを開発すると発表しています。これは1日10円台から24時間いつでも保険加入・解約ができるシステムのようです。

同様に、数年前から登場している自動車運転テクニックを測る技術「テレマティクス」を活用した(運転テクニックが高いほど保険料が安くなる)自動車保険の動向にも注目したいところです。

 

損害保険業界の主要企業及び年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

3大メガ損保と年収一覧

  • MS&ADインシュアランスグループホールディングス 1138万円(前身:三井住友海上+あいおいニッセイ同和損害保険)
  • 東京海上ホールディングス 1347万円(前身:東京海上日動+日新火災)
  • SOMPOホールディングス 1131万円(前身:損保ジャパン+日本興亜)

詳細は、比較表を参照ください。

 

【参考】その他の主要な損害保険会社

SBI損害保険、セコム損害保険、ソニー損害保険、トーア再保険、日立キャピタル損害保険、朝日火災海上保険、共栄火災海上保険など

 

損害保険業界を代表する企業の基本情報

MS&ADインシュアランスグループホールディングス

MS&ADインシュアランスグループホールディングスは、あいおいニッセイ同和損害保険、三井住友海上をグループ企業に有しています。

あいおいニッセイ同和損害保険は、日本国内で初の「運転挙動反映型テレマティクス自動車保険」を開発し、三井住友海上はイギリス保険市場(ロイズ)第2位のアムリン買収を機に、海外事業戦略委員会を立ち上げ、さらなる海外事業の拡大を目指しています。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

日本国内初 運転挙動反映型テレマティクス自動車保険の開発について

http://www.aioinissaydowa.co.jp/corporate/about/news/news_dtl.aspx?news_id=2017031400356

基本情報

  • 正味収入保険料(売上高):3兆4073億8900万円
  • 経常利益:3526億1200万円
  • 社員数:329名
  • 平均年齢:46.9歳
  • 平均勤続年数:22.3年
  • 平均年収:11,381,616円

 

東京海上ホールディングス

東京海上ホールディングスは、2000年のインド合弁損保設立など、国内だけにとどまらず海外でも積極的に保険事業を展開しています。

近年では約9413億円でアメリカのHCCインシュアランスを買収しています。

基本情報

  • 正味収入保険料(売上高):3兆4804億7800万円
  • 経常利益:3876億5900万円
  • 社員数:587名
  • 平均年齢:43.7歳
  • 平均勤続年数:19.8年
  • 平均年収:13,479,494円

 

SOMPOホールディングス

2016年10月、「SOMPO」ブランドの強化を図るため、損保ジャパン日本興亜ホールディングスから名称を変更した同社は、保険事業だけではなく介護事業にも注力し、経営の多角化に乗り出しています。

介護事業会社は、子会社として「SOMPOケア」、「SOMPOケアメッセージ」、業界大手であった「ワタミの介護」を買収し子会社とした「SOMPOケアネクスト」、関連会社として「シダー」があります。

基本情報

  • 正味収入保険料(売上高):2兆5503億3600万円
  • 経常利益:2417億1300万円
  • 社員数:514名
  • 平均年齢:43.1歳
  • 平均勤続年数:17.1年
  • 平均年収:11,310,054円

 

参考文献

  • MS&ADインシュアランスグループホールディングス株式会社第9期有価証券報告書
  • 東京海上ホールディングス株式会社第15期有価証券報告書
  • SOMPOホールディングス株式会社第7期有価証券報告書
  • 日経業界地図 2017年版 日本経済新聞出版社
  • 週刊ダイヤモンド 2016年4月23日号 株式会社ダイヤモンド社

 

転職・就職へのアドバイス

昨年もお伝えしていたように、損害保険業界への転職・就職を考えている場合、3大メガ損保については業界の基礎知識として頭に入れ把握しておきたいものです。

損害保険業界を牽引している3社の歴史は、損害保険業界の歴史でもあります。台風の目のように吸収・合併を繰り返しながら大きくなったメガ損保は、今後も勢力を拡大していくと安易に予想できます。

損害保険会社に転職・就職する場合、

  • 営業部門
  • 損害サービス部門

のどちらかに分かれます。

これより、あいおいニッセイ同和損害保険の採用情報ページを参考にし、職務内容を説明します。

営業部門は、代理店支援指導部門と言い換えることができ、代理店に対し、

  • 新商品について説明
  • 事務処理指導
  • 保険契約を検討している方に対してどう提案すべきか、その方法の教示

などを行います。

損害サービス部門は、

  • 事故報告受付
  • 事故の状況を調査
  • 保険金の算出から支払いまで

を行うといいます。

 

損害保険業務は、いわば知的労働に近いものであり、転職・就職したあとは、保険約款、民法などの関連法、保険関連の裁判例などインプットが非常に多く、日々の研鑽が必要です。

また、コミュニケーション能力も備わっていないと、その後の定着がむずかしいと思われますし、転職サイトやエージェントを利用しても実際にこのようなアドバイスをされます。

営業部門では、代理店の経営者やその社員、損害サービス部門では、契約者、事故の相手方、調査担当者や医療機関、修理工場、ときには弁護士などとも円滑なコミュニケーションを図る必要があります。

そのため、ビジネスマナーだけではなくコーチングの関連書籍を読み、対人スキルを磨いておきたいものです。また、証券外務員やフィナンシャル・プランナーといった金融系のスキル、行政書士やビジネス実務 法務検定などの法律系のスキルも持っておくと有利に働きます。

海外保険事業に携わりたい場合は、ビジネス英語の習得状況や海外企業との取引経験を積極的にアピールするといいでしょう。