鉄道業界の動向・年収・大手企業の調査・比較【2018年度】

業界研究

学生時代に青春18きっぷで旅行に出たことがある方も多いのではないでしょうか?

  • 鉄道に乗ることを楽しむ「乗り鉄」
  • 車両やその走行風景などを撮る「撮り鉄」
  • 走行音やアナウンス音、接近・発車メロディなどを収録する「音鉄」
  • 松井玲奈さんのように車両先頭部を楽しむ「顔鉄」

など、今回はコアで根強いファンも多い鉄道業界の基本情報、今後の展望、年収、転職・就職のアドバイスをお伝えいたします。

この記事でわかること

  • 鉄道業界の基本情報と歴史
  • 鉄道事業者の職種

鉄道業界の基本情報

鉄道業界は、大きく公共交通機関としての鉄道事業者と地下鉄事業者、鉄道車両製造業に分けられます。

そして鉄道事業者は、国鉄から民営化したJR私鉄に分けることができます。

公営地下鉄は、東京都のほか、7つの政令指定都市(札幌、仙台、横浜、名古屋、京都、神戸、福岡)で運行されています。

民営・準公営(第3セクター)事業者には東京メトロや今年4月に大阪市から民営化した大阪メトロなどがあります。

鉄道事業を管轄しているのは国土交通省で、鉄道事業者は国の許可を取得してはじめて経営可能となります。

鉄道車両製造業4社

  • 日立製作所
  • 川崎重工業
  • 日本車輌製造
  • 三菱重工業(交通システムに強い)

そのほか線路、制御システム、踏切、きっぷ販売機、自動改札機、電光掲示板、広告、売店、土産店、駅テナント、商業施設、飲食店、ホテル、旅行社など例を挙げるとキリがないほど鉄道に関連する業界は多岐に渡ります。

 

我が国の鉄道の歴史(簡略版)

我が国の鉄道発祥の地は、長崎県といわれています。

1865年、貿易商だったグラバーがイギリス製の蒸気機関車を走らせたのが最初です。

明治時代に入ると、新橋~横浜間で正式に鉄道が開通し、昭和初期には上野~浅草間で地下鉄も開通しました。

その後、戦争によって疲弊した鉄道ですが、敗戦後、経済成長とともに復興し発展していきます。

昭和後期には新幹線が登場し東京~博多間が開通しますが、昭和末期に国鉄はJRへと民営化します。同時期に電電公社(現NTT)や日本たばこ産業(現JT)も民営化をはたしています。

とくに民営化後のJRは、私鉄同様、鉄道事業以外の不動産業、飲食業、旅行業、ホテル業などにも進出し多角経営化をしていきます。

商業施設やホテルを併設した巨大ターミナルの建設だけではなく、駅周辺を巻き込んだ地域再開発プロジェクトの遂行、さらには豪華列車の導入などを行い、通勤・通学・ショッピング・旅行と私たちの日常や非日常に深く関わっている。これが今日の鉄道業界の姿といえます。

そんな鉄道業界の規模はJR6社の合計が6兆円超、大手私鉄16社の合計が7兆円超で合わせて14兆円を上回る市場となっています。

 

鉄道業界 ~今後の展望~

鉄道業界の今後のカギとなるキーワードは、『豪華列車・観光列車』と『リニア中央新幹線』です。

豪華列車・観光列車

【2019年卒】就職試験の時事問題オススメ最新対策本・2017年の出来事まとめでも取り上げているように、四季島、瑞風、ななつ星in九州など長期滞在型のクルーズトレイン・豪華列車が話題となっています。

そのほか、長期滞在型ではないものの外観や内装に凝り、食事サービスなどもついた

  • 或る列車(JR九州)
  • ろくもん(しなの鉄道)
  • TOHOKU EMOTION(JR東日本)

などラグジュアリーな観光列車も人気を集めています。JR・私鉄とも、いかにこのブームを一時的なものではなく継続していけるものとして定着させるかがカギとなっています。

リニア中央新幹線

北海道・九州に新幹線が延伸・開通するなか、最終的に品川~大阪を67分で結ぶリニア中央新幹線が品川~名古屋の区間で2027年の開業を目指し建設中です。

関連して工事入札に不正の疑いがあったとし、大林組、鹿島建設、大成建設、清水建設が独占禁止法違反の容疑で刑事告発されています。

 

鉄道業界主要企業と年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)

鉄道車両製造業

  • 日立製作所 849万円
  • 川崎重工業 739万円
  • 日本車輌製造 599万円
  • 三菱重工業 842万円

鉄道事業者

  • JR北海道(決算公告のみ)
  • JR東日本 710万円
  • JR東海 733万円
  • JR西日本 673万円
  • JR四国(決算公告のみ)
  • JR九州 564万円
  • 東京急行電鉄 750万円
  • 小田急電鉄 740万円
  • 京王電鉄 724万円
  • 東武鉄道 696万円
  • 京浜急行電鉄 653万円
  • 京成電鉄 741万円
  • 近鉄グループホールディングス(近畿日本鉄道) 800万円
  • 阪急阪神ホールディングス 931万円

地下鉄民営事業者

  • 東京メトロ(東京地下鉄) 726万円
  • 大阪メトロ

 

業界を代表する企業の基本情報

JR東日本

東京都、東京23区、横浜市など首都圏だけではなく、青森県まで包括する幅広い地域をサービス提供エリアとして擁する同社は、JRグループで群を抜いた売上高を誇っています。

アトレやルミネといった商業施設を展開するほか、品川駅周辺の大規模な再開発にも取り組んでいます。

また今では、タイやインドなど海外の鉄道にノウハウや知識・技術を提供することに力を入れています。

基本情報

  • 営業収益:2兆8808億200万円
  • 経常利益:4123億1100万円
  • 社員数:48212名
  • 平均年齢:40.5歳
  • 平均勤続年数:17.1年
  • 平均年収:7,108,700円

 

 

 

東京急行電鉄(東急)

東横線や田園都市線、世田谷線などを有する関東私鉄大手です。

東急百貨店、東急ハンズのほか、渋谷ヒカリエなども展開しています。

2018年秋には渋谷ストリーム・渋谷代官山Rプロジェクトが、2019年には渋谷スクランブルスクエアが開業予定です。

基本情報

  • 営業収益:1兆1173億5100万円
  • 経常利益:764億4900万円
  • 社員数:4402名
  • 平均年齢:40.3歳
  • 平均勤続年数:18.5年
  • 平均年収:7,508,792円

 

近畿日本鉄道(近鉄)

難波線・奈良線、京都線・橿原線(かしはらせん)を有する関西私鉄大手です。

近鉄百貨店、近商ストアのほか、あべのハルカスを展開しています。KNT-CTホールディングス(近畿日本ツーリスト)、都ホテルズ&リゾーツも同グループです。

基本情報

  • 営業収益:1兆2048億6700万円
  • 経常利益:566億8900万円
  • 社員数:30719名(連結会社)
  • 平均年齢:46.3歳
  • 平均勤続年数:0.8年
  • 平均年収:8,007,245円

 

参考文献

  • 東日本旅客鉄道株式会社第30期有価証券報告書
  • 東京急行電鉄株式会社第148期有価証券報告書
  • 近鉄グループホールディングス株式会社第106期有価証券報告書

 

転職・就職のアドバイス(鉄道事業者)

鉄道事業者には次の2つの顔があります。

  • 徹底した安全管理の下、列車を運行する鉄道業
  • 快適な鉄道の旅を提供するサービス業

それゆえに集中力、洞察力、時間管理、危機管理、衛生管理、対人コミュニケーションなどさまざまな能力やスキルを求められます。また後述しますが職種も多岐に渡ります。

どの職種なら自分に合っているか、長続きするか、自分の得意分野や能力を発揮できそうかの観点で自己分析をし、志望職種を絞るところからはじめてもよさそうです。

 

鉄道事業者の職種

JR東日本の採用情報を基にお伝えしますと、まず

  • 新卒採用
  • 社会人採用

に分かれていました。

新卒採用については、さらに

  • ポテンシャル採用(総合職)
  • プロフェッショナル採用(現業職)

に二分されていて、

ポテンシャル採用(総合職)は

  1. 営業・事業企画
  2. 列車制御システム・エネルギー・情報通信
  3. 輸送・車両・機械
  4. メンテナンス(線路/土木)・建設
  5. 建築
  6. IT

の6つの職種に。後者は

  1. 駅・乗務員
  2. 列車制御システム・エネルギー・情報通信
  3. 車両・機械
  4. メンテナンス(線路/土木)・建設
  5. 建築

の5つの職種に細分化されていました。また2017年に執り行われた、社会人採用活動においては、下記分類で募集があったようです。

  • テクニカルエンジニア
  • 国際事業
  • 技術事務
  • 事業用地管理

テクニカルエンジニアは、さらに保線・保守土木、列車制御システム エネルギー 情報通信(メンテナンス/工事・開発)、車両などに分かれていました。

いずれの部門においても、まずは現場からスタートしますが、将来的に企画部門や現場管理者へとキャリアアップしていけるような人材を求めているようです。

このように社会人採用枠もありますので、鉄道業界へ転職をしたい方は企業公式サイト内の採用情報を探してみられることをオススメします。

またピンポイントに、求人が出される場合もありますので、転職エージェントに登録し、鉄道業界に入りたい旨、キャリアコンサルタントに相談して伝えておく必要もあります。

鉄道業界を志す場合、転職エージェントは取り扱う求人件数や業界・職種が幅広い大手がいいでしょう。

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