合成繊維業界の動向・年収・大手企業の調査・比較【2014年度】

業界研究

日本の経済は敗戦後、繊維業を中心に復興を遂げてきました。

この記事では、そんな高度成長の立役者である繊維業界のうち「合成繊維業界」に着目して動向・年収 、大手企業の調査・比較をしていきます。

合成繊維業界概要

生活の三大要素として「衣・食・住」の一番目に来ますのが衣、その中心になるのが繊維です。

繊維には、植物や蚕などから作られる天燃繊維と、科学的な手法で作られる化学繊維、あるいは人造繊維があります。

これには再生繊維(レーヨン,キュプラ,リヨセル),半合成繊居(アセテート)、無機繊維(ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維など)などあり、その中で中心となっていますのが合成繊維です。

 

この合成繊維は、1935年アメリカのデュポン社が、世界で初めて合成繊維ナイロンを開発しました。

そしてイギリスでポリエステルが生まれ、次いでアクリルが生まれ、衣料用の3大合繊時代が、フッション界をリードすることになります。

日本では、京都大学の櫻田一郎博士により、ビニロンが誕生しました。石油から作られる合繊と言っても、多岐に渡っており、特に衣料用に使われているのがこの3大合繊です。

 

ポリエステルは、婦人のスーツ、ジャケット、ブラウスボトムなどのアウターウェアから下着などのインナーウェアまで、幅広く使用されています。

アクリルはジャージや、セーターなどニット製品が主力です。

ナイロンはランジェリー、スポーツウェアなどに使われています。

最近注目されていますのが「ナノファイバー」と呼ばれる超極細の糸です。

織物やニット市場に使われ、注目の素材です。

日本を含む東アジア地域は、世界の合繊の大半を生産する大産地です。

 

東レ、帝人、旭化成、クラレなど日本のメーカーは開発、生産技術では世界の最先端を行くトップメーカーと言えましょう。

ひと頃から比べて、各メーカーが扱う合繊比率は減少したとはいえ、世界の合成繊維のリーディングカンパニーであることは変わりません。

こうしたことを考えれば、成長産業の一つと言えるでしょう。

 

繊維産業は空洞化が進行

いま日本の繊維産業は、空洞化が急速に進んでいます。

その中で合繊の生産量は、中國を始め、台湾・韓国などアジアの成長国に押されているのが現状です。

こうした激化する国際的な競争、取り巻く環境の変化に対応するため、合繊各社が独自の事業戦略を打ち出しています。

また自動車や航空機に使われる炭素繊維の将来性は明るく、この汎用性の高い繊維の用途開発が進んでいます。

 

そのため、国際競争に立ち向かえる優秀な人材を求めているのは確かです。

就職・転職希望者にとっては一つのチャンスかもしれません。

年収は他の業界と比較して高値にあり、650~750万が平均年収と言えましょう

 

合繊産業の企業群

  • 東レ
  • 旭化成
  • 帝人
  • 東洋紡
  • 三菱レイヨン
  • クラレ
  • セーレン
  • ユニチカ
  • 東邦テナックス

 

合成繊維大手企業の概況

【東レ】

繊維売上高7098億円、総売上高1兆5923億円 営業利益834億円、平均年収834億円(36歳)

合成繊維最大の総合繊維メーカーで、合成繊維を一早くデュポンと提携し、日本の合成繊維ブームを作った素材メーカーです。

異形断面氏糸「東レシルック」を開発、初めてデパートと素材メーカーの共同キャンペーンを打ち出し、日本のファッション界をリードしてきました。

連結事業は、繊維40,プラ・ケミ25、情報通信15、炭素繊維5、環境・エンジニアリング11、ライフサイエンス4、他1となっています。

最近は、炭素繊維に続き、紙おむつに使われる不織布をインドネシアで生産拡大、また国内でユニクロと提携したことで話題を呼びました。

主な製品は炭素製品、水処理膜、衣料戦維。

 

【帝人】

繊維売上高3483億円、総売上高7457億円 営業利益124億円。平均年収679万円(41歳)

東レと並んで、合成繊維の大手原糸メーカーです。

繊維、フイルムで、構造改革を実施、大きく変貌しています。

炭素繊維では東レに次いで世界第2位を占め、現在は、医薬品、在宅医療で大きく進展しています。

連結事業は、高機能繊維・複合材料15、電子材料・化成品24、ヘルスケア19、製品32、他11となっています。

 

【クラレ】

繊維持売上高413億円 総売上高3694億円 営業利益492億円 平均年収679万円(41歳)

特に高機能素材に強い化学メーカーです。

水溶性樹脂ポバール、ガスパリア樹脂エバールは世界トップです。

米デュポン社の、ビニルアセテート事業を買収し、米国自動車向けや韓国等における補完は好調に推移しています。

連結事業は、樹脂34、化学品13、戦維11、トレーディング29、他13となっています。

 

合成繊維業界への就職・転職アドバイス

今、日本の合繊産業は、生き残るために、高機能繊維の開発が重要視されています。

その一つの例として、飛行機や自動車に使われています、炭素繊維です。これは、これまで、汎用繊維を中心とした衣料分野でも、高機能繊維が続々と誕生し、活用されています。

トップメーカーの東レなど好成績を残した要因ともなっています。そのため採用者は増員し、適性に合った人材確保を求めています。

しかし自ら活躍の場を求めた前向きな就職・転職でも、希望通りの仕事や会社に出会えるとは限りません。

そこで、現在の生活や、家族の将来を考慮し、どの辺なら妥協できるか、事前に考えておくのも必要でしょう。

この「妥協ライン」を明確にすることも就職・転職する際には大切な事と言えましょう。

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