整理解雇とは?実際に左遷に遭った・リストラで追い出し部屋行きになった方の体験談、3つの退職勧奨対処法を解説

転職のノウハウ
この記事でわかること
  • 整理解雇の定義と4要件
  • 左遷の実態(体験談)
  • 追い出し部屋の実態(体験談)
  • リストラや退職勧奨の対処法

リストラは現在も、日本のどこかで行われています。

最近の事例ですとJDI(ジャパンディスプレイ)が2019年6月、1200人規模のリストラを発表しています。人員削減だけではなく工場稼働停止及び閉鎖、社長交代という具体案があがっていました。

また損害保険業界大手のSOMPOホールディングスが、保険業界から介護業界への配置転換(具体的には損保ジャパンから介護事業子会社へ)という人員削減案を発表しています。

ねえセイジさん、リストラとか追い出し部屋って違法ではないの?

いい質問ですね。リストラ(整理解雇)は実は違法ではなく、国(厚生労働省)も要件を満たせばという前提で認めているのです。

厚生労働省によると整理解雇とは、

“使用者が、不況や経営不振などの理由により、解雇せざるを得ない場合に人員削減のために行う解雇”

と定義しています。整理解雇は下記項目と照らし合わせ有効か否か判断します。

以下4点は整理解雇の4要件ともいわれています。

  • 人員削減の必要性
  • 解雇回避の努力
  • 人選の合理性
  • 解雇手続の妥当性

不況・経営不振などによるか、会社側が配置転換や希望退職者募集などで解雇を避けようとしたか、整理解雇の対象選定は公正(客観的・合理的)か、労働組合や労働者に納得のいく説明を行ったかなどを厳しく見るのです。

解雇回避の努力。この要件を満たすために追い出し部屋や望まない子会社への出向(左遷)という異動・配置転換命令が出ているのでは?

鋭いですね。残念ながらその可能性はあります。要件を満たすため私たちの気持ちを踏みにじる、そのようなこともあるのでしょう。

許せない気持ちもありますけど。左遷や追い出し部屋の実態はどのような感じなのか、できれば事例を知りたいです。

そこで今回、実際に
本社から営業所への左遷
研修課という名の追い出し部屋
についてお二方から体験談を寄稿いただきましたので、お伝えしていきます。

 

人間関係のもつれから孤立、左遷されやりがいのある仕事と役職を剥奪された

※体験談本文中の役職名はすべてプライバシー保護のため転職とキャリアアップのほうで、設定を変更しています

私は当時、本社勤務。事務職として働いていました。社歴も比較的長く班長という役職も拝命し、直属の部下もいて、各営業所の女子事務員をまとめる管理業務も任され、ネット会議を行うなど円滑なコミュニケーションを心がけるようにしており毎日、忙しいながらも充実した日々を送っていました。

ほかの社員らに私は嫌われるようなことをしていなかったですし、実際に嫌われていなかったと思います。なのにこのような仕打ちをされるとは…。

会社では社員が順当に出世していくほか、メーカー側から役職付きで出向してくるケースがあり、私の職場も例外ではありませんでした。

メーカー側の出向者は、現場や仕事のことをわかっていない方が多く、最初は社員らから疎まれやすく出向者vs既存社員という構図ができ、基本的にしばらくの間、維持されていくものです。

しかしなかには現場や仕事に理解を示し、少しずつ社員に歩み寄ってくれる出向者もいます。そのため私はこれまでどんな出向者に対しても、特にこれといった感情を露わにせず、中立かつ平和的に人間関係を築いていったつもりでした。

ある日、新しい次長が出向してきました。まさか私の人生を左右する人物になるとは当時、夢にも思っていませんでした。私を追いやった人ですから次長ではなくAさんと呼びます。

聞く話によるとAさんは、会社の経営陣の懐にうまく入り込んだらしく、経営陣らと仲良くなり次長ポストを勝ち取ったようでした。

最初はわかりませんでしたが、Aさんが「人の好き嫌いが激しい人」とわかると、周囲の同僚たちがみな、嫌われないよう、干されないよう、いじめられないよう、よく思われようと個々思い思いに気を遣い、ご機嫌をとるようになりました。

今思えばそこから少しずつパワーバランスが変わり始め、そのような同僚らの姿をどちらかといえば冷ややかに見て、淡々と自分の仕事をこなしていた私だけがいつの間にか、干されてしまったのです。

気づいたときはもう遅く、これまで慕ってくれていた部下らも次第に敬遠しているように感じ、Aさんと懐に入り込んだ大勢vs私という、意図もしていなかった派閥構図のようなものが職場でできあがってしまいました。要は孤立したのです。

私も素直に、長いものに巻かれておけばよかったのかもしれませんが、私は自分のスタンスを貫き守ることにしました。結果、職場内でどんどん浮いた存在になっていきました。

人の好き嫌いが激しい性格からAさんは、私の孤立した姿をおもしろおかしく見ていたようです。私が周囲からまったく相手にされず、うろたえている姿を見て、楽しんでいるかのようでした。

以前から職場にいる室長や課長らはこれまで通り私に接してくださり、ときにかばってくれているようにも見えましたがあくまでも表面上だけでした。でなければ私は左遷されるわけがなかったのです。

Aさんが次長になって1年、12月の社内通達で、私は本社から離れ営業所に行くことになりました。いわゆる人事異動という名の左遷です。あっけなく私の主任という役職もやりがいのあった仕事も剥奪されました。

左遷先は人数が少ないという理由で主任というポストはなく、かといって管理職も埋まっていましたので昇格も見込めず、私は現在、営業所の中で若手と同じヒラという立場で、かつてまとめていた女子事務員らと同じ仕事をしています。

今でも本社に所用で行くと、私に普通に接してくれる人もいますが、私のいないところでAさんとつるみ、何を言っているか…。信用できません。

 

人間関係はちょっとしたことでも脆く崩れ去り、仕事まで奪われることがあるのだということを、改めて痛感しました。

 

「研修課」に異動、その実態は追い出し部屋で5カ月後退職を余儀なくされた

私は6年前まで、某IT企業に勤務していました。しかし会社の経営状態は年々悪化し3年連続で赤字決算という状況でした。そんななか総務部のなかに「研修課」という30人規模の新しい部署が創設されたのです。まさかそれが私の人生を狂わせるとは…。

30名もの社員が異動する研修課の長は、総務部長が兼務するという今思えば不自然極まりないスタートの仕方で、私はその課とは無縁で「異動する人らは何をするのだろう? IT人材教育研修の講師にでもなるのかな?」といった感じで完全に他人ごとととらえていました。

しばらく経って突然、人事異動発令というタイトルのメールが全社員宛に送られてきました。開くと研修課へ異動するメンバーが書かれており、全部門の社員がランダムに抽出されたような感じでした。目を疑いましたがそのなかに私の名前も含まれていました。しかも翌日付という急な異動命令で引継ぎもままならず…。いえ厳密に言えば、引き継げるような案件はその頃、何も持たされていませんでした。

「研修講師は自分に向いているだろうか?」「会社が決めたことだ。頑張ろう」と心で思いながら帰路につきました。翌朝、半分不安、半分期待に満ちた心情で出社したことを記憶しています。玄関に着くと『研修課社員は大会議室へ』と書かれており、「お、いきなり会議か」と意気揚々と廊下を歩きます。

しかし大会議室に着くと、そこが「研修課」の部屋に様変わりしていたのです。

・前日まで見たこともない長テーブルやパイプ椅子
・丁寧に据え付けられた各社員の貸与パソコン
・シュレッダーが数台

おそらく昨夜のうちに一気にセッティングされたのでしょう。あまりの用意周到さと新部署とはいいがたい備品群に、何かイヤなものを感じました。

始業時刻になり総務部長が入室すると、研修課に異動した社員全員を前に「研修課の仕事は自分を見つめ直し自分のスキルを磨き直すことです。そのためにネットラーニングを行います。毎日レポートを提出してください。また庶務的な仕事もお願いしたい」と言われたのです。

「見つめ直すってなんだ?」
「教える側じゃなく教わる側かよ!」

そんな声が漏れてくるほど、室内はザワつきました。以来、私たちはネットラーニングで研修を受け、レポートを提出することになりました。ネットラーニングの合間にお願いされるお仕事といえば、不用書類をシュレッダーにかけるだけの退屈なものでした。

異動初日の話に戻します。午前中のうちは気になりませんでしたが、総務部社員が1時間に一度は研修課に入ってきて室内をうろつき、ジロジロと私たちの様子を見て観察していきました。そして最後の見回りが終わって夕方、終業時刻が近づくとみんなで、このような会話を展開するようになりました。

「俺らって監視されてるみたいだな?」
「研修を受けろというけど、何かおかしくないか?」
「これって、いわゆる追い出し部屋では?
「…」

そうです。私たち30人は追い出し部屋に閉じ込められたのです。

しかし私たちはどうすることもできず毎日、その部屋に行く以外の選択肢がありませんでした。そして私含め多くの社員が、総務部長に

「あなたは自分自身と向き合っていない」
「自分の欠点が何かを理解できていない」

と言われ続け、レポート再提出を命じられる日々に苦しみました。

監視体制を敷かれ、いつ総務部社員が来るかわからず息をつく暇もない感じで、一瞬たりとも油断することもできませんでした。このため次第に、気持ちが鬱積していきました。

さらに状況は悪化し、研修課異動後1カ月もすると総務部長と人事部長が研修課社員を1人ずつ呼び出して、面談を始めました。内容は

「あなたのレポートを見ると、もうあなたが活躍できる場所は社内にはないように思える

という衝撃発言から始まるひどいものでした。さらに「あなたはこの事実についてどう向き合いますか」と尋ねてきます。

私も対象外ではなく同じ質問をされたため「いえ私だからこそ貢献できることがきっとあるはずです」と答えたのですが「それは何ですか?」と返され、私が答えに詰まると「即答できないのが答えですよね?」とさらに追い詰めました。

このやりとりは一度のみならず何度も続いたため精神上この上なくツラくなり、私は泣いたこともありました。とうとうパニック障害の症状が出て結局、研修課で5カ月耐えたものの自ら退職するという道を選びました。

 

これって退職勧奨の事例といえますよね? 追い出し部屋に入れられ具合まで悪くして、退職を余儀なくさせられるって正気の沙汰ではないです。セイジさん、何とかならないものですか?

そうですね。何とかしたいですよね? 次章で対処法についてお伝えしていきます。

 

リストラや退職勧奨の当事者になったらどう対処?3つの方法

会社に居座れば何かと手を打つ方法はあります。しかし退職してしまうと基本的に何もできなくなります。退職勧奨を受けてもカッとならず、たとえ心が折れたとしてもしばらく耐えて、なるべく退職しないようにと、お願いしたいところです。

どうしてスグにこちらから先に辞めたらいけないのですか?

シンプルに自ら一度退職すると、もう二度とカンタンには会社に戻れなくなるからです。また自分から「退職してやる」などと啖呵を切ると最終的に自己都合で辞めることとなり、退職勧奨を受けたという既成事実が塗り替えられます。証拠があれば別ですが、それはのちに会社を訴えたくなってもできなくなることを意味します。

そんなものですかね? 退職勧奨をはねのける方法とかはないのでしょうか?

そのためにも会社に残ろうと粘る必要があります。これより3つの方法をお伝えしますのでぜひ、参考にされてください。

1.執拗な退職勧奨を受け続ける

退職を決めて退社届を出し退社日を迎えてしまうと一切できなくなるのが、この執拗な退職勧奨を受け続けることです。もちろん心が折れる話し合いですが、ただただ証拠づくりのためだけに耐え、淡々と録音をして記録を残すのです。そして次の手段に出ます。

2.退職せずに厚生労働省に頼る

退職する前に、厚生労働省が用意してくれている

  • 総合労働相談コーナー
  • 都道府県労働局長による助言・指導
  • 紛争調整委員会によるあっせん

いずれかの窓口・制度を利用します。冒頭部でお伝えした整理解雇に当たるかどうかも含め判断を仰ぐのです。パワハラなどがあればそれも訴えます。

弁護士に相談する方法もありますが、その前に厚生労働省です。

3.然るべき法的手段に出る

独立行政法人労働政策研究・研修機構のホームページには以下の記載があります。

“執拗で、繰り返し行われる半強制的な退職の勧め(退職勧奨、いわゆる肩たたき)は違法となる

違法ということは不法行為に基づく損害賠償請求の余地があることを意味します。退職勧奨で受けた精神的苦痛を慰謝料というかたちで解決できる場合もありますから、法的手段という方法もぜひ、頭の片隅に忘れずに置かれておいてください。

 

まとめ:決して1人で戦わず協力を得ることが大事

  1. 執拗な退職勧奨を受け続け録音する
  2. 退職せずに厚生労働省に頼り違法性を訴える
  3. 違法なら然るべき法的手段に出る

ことで退職勧奨だけではなくパワハラ、退職強要、不当解雇もはねのけることができるはずです。

1人で戦うのは正直、ムリがあります。家族にはなんでも話し、外部の支援も素直に受け活用することできっと、事態は好転していくはずです!

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