- 書類選考で落とされる2つの大きな理由
- 書類選考を通過できる唯一無二の方法
転職活動をしていて発生するおもしろいことに「募集要項の応募条件を完全に満たしているのに、書類選考に落ちることがある」というものがあります。
求職者側からすると「え、なんで落ちるの???」と不思議に思ってしまう現象です。
どんなに素晴らしいスキルを持っている優秀な方でも、ほんの一握りの選ばれた人しかできないような経験をしてきた方でも、書類選考で落とされることはあります。
これを挫折ととらえるか、これからの可能性が広がったととらえるか、私は後者が正解だと思っています。
え? だって行きたいと思っていた、好きだった会社に落とされるんですよ? この世の終わりと思ってもおかしくないですよね?
書類選考で落とされる主な理由は、大きく分けて2つあります。
- 求職側の落ち度や失敗
- 求人側の都合や裏事情
で、前者なら反省し二度と同じ失敗などを繰り返さない、後者なら可能性が広がったととらえるべきです。
今回はスキル・経験など募集要項を完全に満たしているのに書類選考で落とされる理由について細かく考察してみることにします。
転職書類選考に落ちる明確な理由
書類選考で落とされたとき、その会社に「自分の何をわかっているんだ!?」と悔しい気持ちになりませんか? 実はそれは正しく、その会社は求職者のことを何ひとつわかっていません。履歴書や職務経歴書で私たちの経験やスキルを読み取れても、良さまで理解できるはずがないのです。
そして書類選考の実情をお伝えすると、がっかりされるかもしれませんが、悲しきかなこれが現実です。
一人あたりにかける書類選考時間は、わずか数分
以内なのです。想像に容易いのですが人事採用担当者は履歴書・職務経歴書をほぼ斜め読みしています。そしてその数分でまずいちばんに判断するのは、募集要項を満たしているかどうかでしょう。
えーっ! あれだけ時間かけて作成した書類なのに? わずか数分しか見られないならなんか、報われないな…。
たしかに理不尽ですよね。しかしこれは慎重かつ丁寧に作成された書類のお話で、いいかげんな履歴書・職務経歴書は数秒しか見られないと考えていただいてもおかしくありません。
秒殺っていうことですか?(驚)
いいかげんな履歴書・職務経歴書
まず最低限の常識・ルールが守られていない履歴書・職務経歴書は、人事採用担当者が内容を吟味する前の段階で落とされます。
みなさんわかっておられると思いますがルールを守られていない履歴書・職務経歴書では以下のようなことが起こっています。
- 用紙が汚れている
- 修正液や訂正印を使用している
これだと読まれる前に選考から、落とされる可能性が高いです。
- 表記の統一性がない
- 殴り書きのような字
- 誤字や脱字がある
- 句読点の使い方が適切ではない
- 空白や改行が適切ではない
これだと秒速で書類選考から落とされるでしょう。
今ではパソコンで履歴書を作成する方もいると思うのですが、Webページからコピペした痕跡がある書類も落とされやすくなります。
えっ? コピペってわかるんですか?
カンタンですよ。たとえば
・ほかの箇所がすべて明朝体なのに、1カ所だけゴシック体
・ほかの個所が同じフォントなのに、1カ所だけ小さい(大きい)文字
って不自然ですよね?
あ、体裁さえも気にしていないパターンですか(笑) たしかにそういう細かいところを気にかけていなければバレますし、アウトですね! 普段の仕事もいいかげんそう…。
そう見られてもおかしくないです。また業務と無関係の資格を多数、記載するのもNGで、人事採用担当者は「自社や業務のことを本当に理解して応募してきたのか?」と疑問に思うでしょう。
基本的に社会人なら、まず許されない対応ばかりですね。
そうですね。よほど人手不足で困っていたとしても、まともな履歴書・職務経歴書の書けない応募者を採用するほど会社は甘くないです。仕事も恋愛と同じで、最初は中身より見た目が重要となります。
どんなにやる気があっても人間性がよくても、いいかげんな仕事をしているうちは、書類選考通過はむずかしいでしょう。
書類送付時のミス
次に履歴書・職務経歴書自体には何ら問題がなくても、書類送付の際にミスをしてしまったことで書類選考から漏れる可能性はあります。送付前に今一度、立ち止まって以下の項目をチェックしてみましょう。
- 定形外郵便で出そうとしているか?
- 封筒への書類の入れ方は正しいか?
- 封筒を綴じる方法は正しいか?
- 宛名などにケアレスミスはないか?
- 切手の貼り忘れはないか?
まず封筒は白色のA4サイズが入る定形外郵便で出すものを使用します。また封筒宛名書きでは「左」と「佐」など似ている漢字もありますので細心の注意を払い書写します。最後に誤字、脱字などがないかも一度読み返し、チェックしましょう。
次に封筒に入れる際はもちろん履歴書や職務経歴書は折りません。できれば新品のクリアファイルに入れるようにします。向きや順序を確認し相手が封筒を開けた際に「書類が上下逆さまだった」ということはないように気をつけましょう。また封筒を綴じるときは“のり”を使用します。そのほか、
- 郵便番号の間違い
- 字が雑で読めない
- 番地が正確ではない
- 切手が貼られていない
などさまざまなケアレスミスが重なれば、到達するどころか自宅に戻ってきてしまう可能性がありますので、丁寧な対応を心がけましょう。
郵送する際はポスト投函ではなくできれば、最寄りの郵便局の窓口で出すことで、切手貼り忘れや料金不足を予防できます。
締め切りに間に合わなかった
期限が明記されていれば期限内に書類を提出するようにします。締め切りに間に合わなかった段階で、書類選考さえ受けられません。ここでは必着と消印有効について補足説明しておきます。
提出期限を守れなかった人にありがちなのが「必着」と「消印有効」を間違えてしまうミスです。例えば締め切りが令和元年5月31日までだったとします。
必着→5月31日中に会社に届くこと(人事採用担当者が受け取る)
消印有効→郵便局が切手に消印を押した日が5月31日→6月1日以降に届いてもOK!
ということになります。
速達やゆうパックのほか、今はメール送信という手段もありますが、1日でも1分でも遅れると基本、無効となりますので注意が必要です。早めに余裕をもって提出したいところです。
ギリギリになると慌てたり焦ったりして、ケアレスミスを誘発します。冷静に慎重に丁寧に対応できるスケジュール感をいつも心がけたいものです。
募集要項の応募条件を誤解していた
私たち求職者が会社に対しアクション(行動)を起こすはじめの一歩が、募集要項を読むことです。会社がどのような人材を求めているのか、こと細かく書かれてあるのですが、それを読み誤り自分のいいように解釈してしまうと、いくら完璧に近い履歴書や職務経歴書を提出しても書類選考を通過できない可能性があります。例えば、
・商品管理の募集なのに品質管理の募集と誤解する
などといった具合です。
募集要項は何度もじっくりと読み返し、不明な点は自己解釈せずどのような意味かネットなどで調べることをオススメします。直接、応募しようとする会社に問い合わせる、支援をお願いしているキャリアアドバイザーに相談するのも一手です。
会社が求めている人物像に合わなかった
私たちが会社の求めている人物像とかけ離れている場合はもちろん、書類選考で落とされやすくなります。
ねえセイジさん、もしかして人物像に年齢、性別、学歴とかも関係あります?
日本では雇用対策法も施行されていますので回答に慎重にならざるを得ない非常にデリケートな問題です。年齢、性別、学歴で落とされたと考えるよりも、ここはその会社とご縁がなかったと考えていただくほうが精神衛生上よさそうです。
どうしてです? やっぱり落とされたら悲しいです。
例えば女性だけの職場にて女性社員が辞め欠員補充の求人が出たとします。最初から配属される先が決まっているわけです。もしそこに気の弱そうな20代前半男子が入社してきたら、どのようになると思います?
あ、それは適材適所ではないかもですね。
ですよね。入社してくれるなら誰でもいいと考えている、人材は駒と割り切っている会社でないかぎり、人事採用担当者も採用後、その人材が配属先で既存社員らとうまくやっていけるか、長続きしそうかも含めてある程度シミュレーションしていくはずです。
会社の内情をよく知る人事採用担当者は、どう見ても「非・適材適所」と考える採用と配属を避けようとするのです。
でも実際、採用してみないとわからないのでは?
会社も採用・教育に多大なコストをかけます。せっかく教育したのに定着せず去られてしまうのは大きな痛手で、損失となるわけです。また人事採用担当者の責任問題にも発展しかねないため、極力、回避するでしょう。
以上の理由から自分を責めて必要以上に傷つく必要はなく、書類選考に落ちたのは適材適所ではなかった、ご縁がなかったからと考えたほうがよく、実際それが正しいのです。
ねえセイジさん、冒頭部で求人側の都合や裏事情で落とされる場合があるって説明されていましたよね? これはそのパターンですか?
そうですね。スキルや経験も申し分ない、履歴書や職務経歴書もほぼ完璧なのに会社側の都合や事情で一方的に落とされてしまうケースといえます。このほかの事例はすべて、次章に譲ります。
転職書類選考の裏側でこういうことが起きると落とされる
書類選考は人事部で行われますが、私たちの書類はどのように見られていくのでしょうか。私の知るかぎり、
Javaの開発経験2年以上、設計書の作成経験
と書かれている求人案件に、
Javaの開発・設計書作成経験ともに3年以上、COBOLもできる
というような人が応募した場合でも書類選考で落とされてしまったことが過去、実際にありました。非常に理不尽ですが、こんなやりとりがあったと推測できます。
採用担当B「ほぼ全員条件クリアです! ただ忙しいので全員との面接はムリですね」
A「今日までの到達分で締め切り、絞ってしまおう!」
B「はい。わかりました」
A「Javaの開発、設計経験3年以上、COBOLもできるってどう?」
B「そうですね、COBOLができる人も今回、チラホラ見かけますよ」
A「この人は設計もできて英語もできる。実は人事部長から預かった応募書類」
B「この人もポイント高いですよ。まだ若い割にプロジェクトリーダーを経験してます」
A「さっきの人も申し分ないけど惜しいな。なんとなく付加価値がほしいよ」
B「教育すれば伸びそうですけどね…」
A「教育なしでも大丈夫そうな応募者が多いし今回、彼は見送るか…」
という感じで展開されていきます。実はこれからご説明する項目を上記会話中にエッセンスとして組み込んでいました。上記会話内容を踏まえ読み進めていただければ幸いです。
自分よりも優秀な人材の応募が殺到した
大手・上場企業・大企業などはもちろん、人気のある職種、業種、有名企業が求人を公開すると、自然と優秀な人材が応募してくるものです。全部で段ボール2箱分、ありえないことでもなさそうです。
たとえ私たちが募集要項の応募条件を十分クリアしていたとしても、応募が殺到しかつ自分よりも優秀な方が多ければ書類選考で落とされる可能性が高くなります。
ここで優秀というのは
- 立派な学歴がある
- 素晴らしい職歴を経ている
- 豊富な経験がある
- レアな資格を保有されている
などです。
ビジネスは競争ですから自分より利益を出せる、会社に貢献できる優秀な人材が登場すれば、これ以上の出る幕はないというのはおわかりと思います。実際に起こってしまったことはもう覆せませんからここがダメなら次、もっと実績を積んでリベンジという感じでスイッチを切り替え、他の正社員求人やなりたい自分の方向性を模索していく、そんなドライさも必要です。
予想以上の応募が来て早めに締め切った
10名くらい募集があれば御の字と考えていたのに、気がつくと30通。求人公開当初から会社側の予想を遥かに上回る応募があった場合、早めに求人を締め切ってしまうことは十分、予見できます。
もちろんザザッと見た感じ、優秀な人材、応募条件や人物像を満たす人からの応募が少なければそのまま締め切りまで募集を打ち切ることはないのでしょうけど…。
ある程度、めぼしい人材から応募があった時点で、以後の応募書類はすべて目を通さないという企業対応もないとはいいきれません。そのため思い立ったが吉日という言葉とおり、応募書類は早め早めに提出するのが望ましいです。
ライバルたちからの応募書類がまだまだ届かず殺到する前であれば、人事採用担当者から意欲が高くやる気のある人材と好印象に見られるだけではなく、じっくりと内容を読んでいただける場合もあり、早々と書類選考通過し、面接に呼んでもらえる可能性もあります。
もちろん提出スピードが速ければいいというわけではありません。早く提出するなかにもじっくりと時間をかけて履歴書を丁寧に書き、職務経歴書は何度かブラッシュアップするくらいのことはしたほうがいいです。
社長や管理職が推す人材が別ルートで入ってきた(コネ入社・縁故採用)
通常、履歴書・職務経歴書などの書類選考に通り面接に合格しなければ、入社することができませんが、世の中にはそのようなプロセスを無視して入社してくる方もいます。
いわゆるコネ入社というやつですね。
縁故採用ともいわれるもので、コネ入社にもいろいろなレベルがあり、
- 一切の選考過程を免除
- 最終面接(役員面接)のみ
- 一次選考免除で二次選考から
- 書類選考だけ免除
などがあります。
社長や常務、専務など人事部長職でも敵わないような権力者から推薦され送り込まれた人がいた場合、それが最後の枠なら私たちはまず勝ち進めませんね…。
もちろんコネ入社という事実は表に出ることはなく秘密裏に行われますので、第三者が立証するのは困難なのですが…。
スキルも経験も十分あったのに書類選考で落ちた場合は、その裏側でこんなドラマのような展開が繰り広げられていたのかもしれません。
人事部・採用担当者が仕事で忙殺されている
会社によりけりですが、人事部では採用活動だけではなく
組織構成/人員配置/教育研修/人材評価/労務管理
など人事全般を取り扱い、担当しています。そのため基本、一年中忙しいと思料できるのですが、求人を出した時期と人事部としての繁忙期が見事、重なってしまった場合、仕事に忙殺されていて面接官は採用面接に時間を割けません。そのため応募条件を完全に満たしていても、書類選考通過人数はかなり絞り込む必要があります。その結果、選考から漏れてしまうということは普通に起こりえます。
閑散期なら腰を据えて書類選考や面接に取り組めますので、できるかぎり興味のある人材には時間を割いて面接に来社していただこうと思うはずです。しかし繁忙期ならどうしても面接に割く時間がとれません。そのため面接へ呼ぶ人材は書類選考でかなり絞り込まざるをえないのです。
経験・スキルを満たしているが教育が必要と判断された
最後になりますが中途採用後、会社に人材を育てる土壌すなわち時間や予算がなく、研修や教育に手間をかけられないという現実問題も書類選考落ちの理由として見え隠れしていることがあります。
転職は元来、即戦力の移籍を意味していましたから、教育や研修をしなくてもいい優秀な人材を採用するのを大前提と考えている企業も少なくありません。教育研修不要の人材からの応募は確認できた。ならば教育研修が必要そうな人材は書類選考で落とそう。そういう展開になります。
以前、転職するなら新入社員だけではなく中途入社組にも研修を行う企業が望ましい旨、ご説明していたのですが、
中途採用社員に研修を行わない会社のほうがむしろ多いですし、その必要性をわかっていたとしても時間や人員の関係でむずかしい会社も少なくありません。その場合は採用を見送る一択となります。
転職活動、一生に何度も経験することではありませんし、自分が心から入りたい会社や、なりたい職業と出会うのもそう多くはないですよね? そんなチャンスを不意にせず、書類選考通過を勝ち取るにはどうしたらいいのでしょうか?
いい質問です。最後にお答えしますね。
転職書類選考通過を勝ち取る唯一無二の方法
私の経験上いえることですが、たったひとつ“職務経歴の充実度で目を引き、面接まで持ち込む”しかありません。
書類選考を通過するために私たちができることは、職務経歴書を充実させることです。採用担当者の目を引き付け面接まで持ち込めれば、あとはこちらのもので自分次第です。
私にかぎっていえば、経験年数5年以上の案件に社会人経験2年半で応募したり、SAPコンサル経験3年程度の募集要項求人に0年なのに突撃をかましたりしたこともありました。それにもかかわらず書類選考で落ちたことがなかったのです。
私は自分のことを書類で高く売り込もうと決めて内容もかなり考え、アピールできることはアピールしまくる姿勢で、採用担当者の気持ちが揺さぶられたらいいなと思い、応募書類をつくり込んでいました。
具体的にはどのようなことをされていたのです?
実績や自分のレベル、実力を正確に記すため具体例を準備し数字を出して伝えていました。またスキルを見える化させるために、エンジニアとしての自作コードを別紙にプリントアウトしたこともありましたし、なによりも2~3分で伝わるようにと何度も読み返し、自分でもイヤになるくらい何度も何度も推敲しブラッシュアップしていました。
休日の午前中から作成を始めたのに気がつくと夕方で、周りが真っ暗になっていたことも。今ここで再現してと言われても、当時の文章は憶えていて、スラスラと出てきます。
ただ応募した案件が欠員補充、業務拡大などで欠員となった人材と同等のスキルを求めている、進めようとしている新規事業や新生プロジェクトに必要な能力を持った人材を採用しようとしている場合は、正直この手は通用しにくいです。
しかし以前、募集要項の応募条件は満たさなくても、果敢に挑戦してほしいとお伝えしていました。
そして私のように書類選考通過、採用されることもありますので、応募条件がすべてではないということも併せてお伝えしておきます。
まとめ:転職活動では職務経歴書で自分を高く売り込む
- いいかげんな履歴書・職務経歴書
- 書類送付時のミス
- 締め切りに間に合わなかった
- 募集要項の応募条件を誤解していた
- 会社が求める人物像に合わなかった
- 自分よりも優秀な人材の応募が殺到した
- 予想以上の応募が来て早めに締め切った
- 社長や管理職が推す人材が別ルートで入ってきた(コネ入社・縁故採用)
- 人事部・採用担当者が仕事で忙殺されている
- 経験・スキルを満たしているが教育が必要と判断された
このような場合は、募集要項の応募条件を完全に満たしていても落とされる場合があります。
そのためまずは丁寧に、次に裏事情などがあることも承知し、最後はわずか2~3枚で最大限、自分自身のことを高く売り込めかつ数分でわかっていただけるような工夫を凝らした職務経歴書を作成したいものです!
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