- 外資系企業の定義
- 外資系企業の特徴
- 2019年秋のリストラ事情
- 外資系企業を目指す人に必要な力
- 外資系企業に向く人
実はこの記事、数年越しの本格的な更新となるのですが、2013年当時、私が懸念していたことが、ドンピシャリと当たってしまいました。
懸念=悪いことですよね。
はい。そうならなければいいなと思っていましたが…。
いわゆる行き先のないリストラが横行しています。詳しくは後述いたしますので、順当に読み進めていただければ。
今回、キーワードとなるのは「外資系企業」です。そこでその定義などについてこれから説明していきます。
外資系企業とは?
外資とは、海外の投資家が投資した資本のことを指し
- 日本で活動している
- 外国法人または外国人が一定以上出資した
企業を外資系企業といいます。経済産業省発出資料「第52回外資系企業動向調査」の概要によると外資系企業については次のような記載がありました。
①外国投資家が株式又は持分の3分の1超を所有している企業であって、外国側筆頭出資者の出資比率が10%以上である企業 ②外国投資家が株式又は持分の3分の1超を所有している国内法人が出資する企業であって、外国投資家の直接出資比率及び間接出資比率の合計が3分の1超となり、かつ、外国側筆頭出資者の出資比率が10%以上である企業 |
外資系って100%外資とは限らないのですね…。
はい。
私も実際に過去、外資系企業の方から「弊社は半分外資、半分内資でして」などと会社概要の説明を受けたことがあります。
また外資系企業には次の3タイプがあります。
- 既存海外企業が日本で設立した企業
- 日系企業と海外企業が共同出資し設立した企業
- 海外企業が日系企業を買収し外資系となった企業
ねえセイジさん、国内外資系の特徴、代表的なものでいいので、いくつか教えてもらえます?
では、次章で5つ、ご紹介していきます。
外資系企業の特徴5つ
1.プロセスより結果を重視
外資系企業はすべてにおいて日系企業と比べ、シビアに結果を見るといえます。
公務員としてまたは旧態依然の日系企業に勤めていると、業績に関係なく規程に則り、毎月決められた給与をいただけるものですが、外資系企業は結果を出した者が、給与をより多く受け取れます。
いわゆる出来高制、成果報酬制というやつね。
対し日系企業は結果も大事にしますが、
- マニュアル遵守
- 根回し
- かんばん方式
など結果が出るまでのプロセスをもっと大切にしています。いくら結果オーライでも、マニュアルに違反した、根回しをしなかったなどプロセスに何かしらの欠点があれば、評価されるどころか咎められて終わる可能性があります。
外資系企業は応募時、履歴書や職務経歴書に
- ある程度の実績があること
- それなりのポストを経験してきたこと
が書かれていることを求めます。
日系企業は基本、組織で動くのに対し、外資系企業は基本、個人で動くといえます。そのため外資系企業のほうが、与えられる仕事、権限、責任の所在まで明確です。
今後、割り振ろうとする職種で結果を残してきた人材か、今後の活躍につながる可能性があるかを外資系企業は見ます。
凡人スキルや普通の経験では外資系への入社は無理なのですか?
いえいえ、外資系について個人的におもしろいなと思える記事を公開されている松井博さんのnoteに、次のような記載がありましたので、引用してみます。
“日本企業でキッチリとした職歴がある人ってすごく貴重なんです。(中略)安定したパフォーマンスの方が入ってくれると、大変な戦力になります”
この2文を独自解釈すると、3年以上日系企業で辞めずに頑張ってきた、それも外資系企業は結果として見てくれるようです。
だったら私も外資系にチャレンジしようかな^^
2.専門性を深められる
すべてがそうとはいいきれませんが、先ほどもお伝えしたとおり与えられる仕事は明確。具体的には外資系企業は、職種別採用が通常です。
その職種での適性を見て採用を決めるため、入社後、企業側から他業種への異動を言い渡されることは例外中の例外で原則、希望する職種で経験を積み結果、専門性を高めていけます。
3.人間関係がフラット
日系企業の多くで
- 年功序列
- 上司と部下
- 先輩と後輩
の文化が根強く、すべてにおいて厳しい上下関係ができあがっています。
対し外資系企業はボスの権限は絶対ですが、基本的に年齢、入社時期関係なくフラットなものといえます。
・仕事について
・プライベートについて
主張すべきは主張でき、違うと思えば拒否することもできます。
日系企業でそういうことをすると、浮いた存在になりますよね…。
4.英語が飛び交う
外資系企業の多くが日本だけではなく、世界で活動しています。日本支社に勤務している海外籍の社員、海外支社の現地社員、現地取引先の人とも英語でやりとりすることも。
総合商社や貿易業などは日系企業でも、英語で話すシーンはありますが、外資系企業日本支社の中には公用語が英語という会社もあります。
ただし日本では取引先が日系企業、相手方が日本人であることが圧倒的に多いわけですから、発する文書や会話がすべて英語というわけではないです。
英語力に自信がない人にとっては朗報なのかな?
しかし英語力はある程度、求められますよ。
最近ではビジネスシーンで、チャットのやりとりも増えていますから、英会話だけではなく、英語読解力、書く力も求められています。
5.プライベートが充実
IT業界などを除き、外資系企業と日系企業、どちらかといえば外資系のほうがワーク・ライフ・バランスについて真剣に取り組んでいるといえます。
たとえばアメリカでは、夕方になると暗くなる前に仕事を切り上げ帰宅し、夕食は家族全員が食卓に揃い一緒に食べるのが通常です。
外資系企業は、結果さえ出ていれば定時で帰る、リモートワークで働く、コワーキングスペースで作業、いずれも自由だったりします。
結果さえ出していれば誰も咎めたりしないでしょう。
定時で帰ればそのあとは原則自由です。外食、趣味(習いごと)、デートなどプライベートを充実させられます。
でも自由度が高い代わりに結果が出せなければ、クビになりやすいのでしょ?
その点、別途、章立てしてお伝えすることにします。
外資系企業と日系企業のリストラ事情、速攻クビは本当?
ここまで外資系企業についてお伝えしてきましたが、この章では2013年、「外資系企業のリストラ事情」について執筆していた記事を必要に応じ加除し、お伝えしていきます。
あの、外資系のリストラってスグ、子会社や関連会社に飛ばすのです?
いえ、外資系のリストラ=速攻「Fire(クビ)」ですよ。
厳しすぎます…。
ただ日本には労働関係法があり、手当たり次第、今日をもってクビというのは考えられませんので、ご安心ください。しかしながら当時、私は
今後、日系企業にも同じようなことが当たり前のように起こり始めるのでは |
と懸念していました。
外資系企業は好調だと大量募集・経営不振だと人員削減
外資系企業は業績に応じて流動的に社員数を調整します。つまり会社が好調なら人員を拡大し、逆に経営不振ならスグに人員削減します。
かつて存在したサイト「ニートからのキャリアアップ」の管理人exneetさんは外資系IT企業に在籍しており“売上がない時期にリストラが横行していた”と赤裸々に書かれていました(IT職としてはかなり気になっていた話題で、よく読み込んでいました)。
例外もありますが外資系企業は原則、お金に対しシビアです。どのくらいシビアかといえば、採算がとれなかった国の支社をまるごと消し去るくらいシビアなのです。
フォーエバー21の日本完全撤退には驚きました。
破産に基づく撤退ですが、フィリピンでは継続のようですね。
撤退やリストラは、外資系企業社員なら日頃から覚悟しておくべきといっても実は過言ではありません。
ここからですが2013年当時の外資系企業の具体的なリストラ・転職事情を、振り返っていきます。
日本IBM・SAP社、IT系リストラ・転職事情(2013年)
「朝行くと椅子がない」
「40歳を越えるとリストラ・リストに載る」
とIT界隈で話題になったのが、日本IBMでした。
同社社員のなかには先に離脱(独立・転職)する人もかなり多く、私も元社員の方々と仕事上接してきましたが、ほぼみなさん「デキる人」でした。
だいたい親会社社員が守られ、子会社社員が先にリストラに遭うものですが不思議なことに同社では、子会社のほうがリストラされにくい(おそらく親会社と比べ給与水準が低いから?)という現象が起こっていたようです。
親会社残存組でいわゆる、うだつが上がらない人には理不尽な配置転換や退職勧告などをしていたのだそうです。
「5年もいれば大先輩」
もう1社、ERPパッケージでおなじみのSAP社日本法人は、そのようにいわれるくらい人材が定着していない感じでした。以前、仕事を共にした方は「給料が下がってもいいから終身雇用の会社に変わりたい」と呟いていました。
同社はハードワークになりがちで、離脱する人が多かったそうです。ただ一度、外資系で高い給与をもらうと、日系SIer、事業会社SEに転職しても、社内SEとしてもらえる給与はたかが知れていますから、満足できずにまた出戻ってきてしまう人もいたそうです。
安定業界の外資系企業でも普通にリストラは存在(2013年)
IT職は過酷ですからリストラはある程度、仕方がないことと思います。しかし無縁そうな安定業界でも、リストラは意外と起こっていました。
例えば製薬業界。医療分野は景気の影響を受けにくく安定しています。大手日系製薬会社は滅多にリストラを敢行しません。対し外資系製薬会社はやはり、ドラスティックなリストラを平気で行います。
好景気ならドバっと雇いドクターにどんどん営業をかけ、業績悪化なら不要な人材をリリースしてしまうイメージです。実際
・アボット
は世界的リストラを敢行。特にアボット日本法人ではMR(営業)がかなりバッサリと斬られたようでした。
あ、私の友人の旦那さんも外資系MRなんですけど。そういえばホームパーティにお呼ばれしたときに「いつクビになるかわからない」って嘆いていましたよ。
このような事情を受け今後、日系企業でも行き先のないリストラは増えると思っていました。
これまでは「外資系はリストラが多いのか」と他人事のように見ていたかもしれませんが、今後はそうはいえなくなるでしょう。 現に電機業界などはリストラの嵐が吹き荒れています。それでも子会社や別会社に転籍・異動し職は保たれている人が大部分でしょう。しかし行き先なしにリストラされるケースも増えてくるのではないかと思っています。 |
あれから、そのイヤな予想は当たってしまいました。外資系企業、日系企業関係なしにリストラが横行するようになったのです。
希望・早期退職=行き先なしのリストラです。
えっ? ちょっと待ってください。“業績好調なのに”って書かれてますけど、書き間違いでは?
いいえ。残念ながら、事実です。
業績好調なのにリストラが始まった
いずれも2019年、時代が令和になってからの記事です。
飲料メーカーのキリンもそして、セブン&アイも…。
タイトルだけで、おわかりいただけたと思います。
何か対抗できる、自衛できる、いい方法はないのです?
そうですね。
・スキルを磨く
・自己啓発
・人脈構築
にもっと力を注ぐべきです。リストラされるかもと感じたら、日系企業、外資系企業関係なしに転職を視野に入れてみるのもいいでしょう。
リストラされるリスク、もう日系、外資系関係なくなってきたのかも。ねえセイジさん、外資系に入るために必要なスキル、どのようなものがあるのです?
ナイスアシスト! それでは必要な力を7つ次章でまとめます!
外資系企業に入りたいなら身につけておくべき力
1.英語力
先ほどもお伝えしましたが、外資系企業に入りたいなら、真っ先に英語力です。英会話はもちろん、ここ近年メールはもとより、チャットでやりとりすることも増えていますから、読み、書きも強化すべきです。
また前出の松井博さんはこの点についても、次のように言及しています。
もちろんある程度、英語力があることが前提のようで、いくら英語力があっても瞬発力がなければ意味がない、面接官を納得させられないといわれているのでしょう。
2.瞬発力
2秒以内に答える、これは英語面接だけではなく、あらゆるビジネスシーンで求められている力かもしれません。
とっさに切り返せると、相手や周囲に頭がいい人という印象を与えられます。
また時代やビジネスのスピードが加速しています。その波に乗るときに必要なスキルのひとつがこの瞬発力といえます。瞬発力があると、一刻を競うビジネスを牽引すべきリーダーに抜擢される可能性もあります。
慎重に、丁寧に行動したほうがいい場合もありますが、立ち止まったばかりに競合に出し抜かれ、責任を問われることもあります。もちろん確認、検証をせず見切り発車するのではなく、迅速かつ慎重、丁寧に確認、検証を行うのも瞬発力が為せる業(わざ)ではないかと考えます。
3.アサーション
外資系企業では、人間関係がフラットな分、仕事について言いたいことが言える、やりたいことがやれる、イヤと思うことはしない。つまり自己主張しやすい環境がそこにはあるでしょう。
しかし自己主張が強すぎて
「建設的な意見を投げかけたのに通用しない」
「彼は人の話に一切、耳を傾けないようだ」
「一緒に仕事をしたくない」
と思われたら、その時点で企業人としてはアウトです。
そこで身に着けるべきはアサーションです。アサーションとは適切な自己表現のことで「自己主張をするのはいいことなのですが、相手の気持ちなどもよく考え、自己犠牲にならないように」というのがアサーションの基本です。
耳を傾けるの大事^^
4.傾聴力
外資系企業ではフラットな人間関係性のため、度々、仕事においてソフトな衝突が勃発すると思われます。
日系企業の先輩・後輩の間柄なら先輩として「無理だ」の一言で済んでいたかもしれませんが、外資系企業で同様の態度をとると、誰からも相手にされなくなります。
『MBA100の基本(グロービス著 嶋田毅執筆 東洋経済新報社)』の246ページに
と書かれています。Noと一蹴してしまうと、言われた側からの信頼は一気に削がれます。そこで「どうやって?」と聞き返し、人の意見に耳を貸す傾聴力を身に着けておくと、より建設的な議論や結果が生まれやすくなります。
それ日系・外資系関係なく大事かも。
5.自己管理力
外資系企業では結果が求められます。言い換えると、結果しか見てもらえません。
仮の話ですが、
・職場で感情を爆発させ騒動を起こした場合
・目標にあと一歩のところで及ばなかった場合
・たった1分だけど間に合わなかった場合
・大事な役目の日に高熱を出した場合
たとえどのような理由があっても、これまでいくら努力してきたとしても考慮、評価してもらえないのが外資系企業です。そのため
- 感情
- 目標
- 時間
- 体調
をできるかぎりコントロールできるよう、自分で自分を律さなければなりません。
6.洞察力
コトバンクによると“物事を深く鋭く観察する能力”を、洞察力といいます。
こういったことに気づかれていた方は洞察力がある人です。
洞察力がないと、旅行系情報誌のミニサイズを買っても、その小ささ、言い換えるとその便利さや価値に気づくことなく本棚か車のダッシュボードに収納し、期間限定パッケージは見ることなくクシャクシャにし、ゴミ箱に捨てるでしょう。
しかし洞察力が発揮できたおかげで何かしらの気づきがあれば、
「今関わっているクライアントの製品、ミニサイズって売れるかも」
「伝統のパッケージを目立つものに、刷新が無理なら期間限定で提案するか」
とビジネスにつながるアイデアを生むなど、結果を出せるのです。
現実、そこに気づいた人が取引先や経営陣に提案し、そういった価値あるものを世に送り出し企業や社会に貢献しているのです。
ここまでお伝えしてきた6つの力だけでは正直、足りません。最後にお伝えする力が加わってはじめて、諸々動き出すでしょう。
7.行動力
やはりと思われたかもしれませんが、行動力が伴いインプット、アウトプットできてはじめて、英語力は向上し、各スキルも強化されていきます。
もうおわかりのとおりここまで例示してきた力の共通点は、結果を生み出すために必要なものでした。
結果を出すために何が必要かを考え行動できれば、たとえ1~6のどれかが欠けていたとしても、外資系企業に応募時、入社後も評価される人材に成長していけるのではないでしょうか。
最後に外資系に向く人について説明し、この記事のまとめとします。
まとめ:外資系企業に向く人3パターン
1.自分責任論で行動できる人
日系企業のいいところは組織や部署で動け、たとえ失敗しても個人の責任をあまり問われないことです。
何かあったら上司が責任をとりますよね?
「いざというときは会社や上司が責任をとってくれる」「結果が出なくても会社はクビにできないし、給料はもらえるでしょ?」と考えている人は外資系企業には向きません。
外資系企業でうまくいく人は、成功も失敗もすべて自分の責任と受け止められる人です。他人に責任を転嫁する人は、成功要因や失敗原因も検証、分析できないだけではなく、信頼を失い、外資系企業内で共に働く仲間として周囲から受け入れられません。また、
・指示がないと動けない
・他人に依存しがち
な方もまた、外資系企業では結果を残すどころか、不要論が噴出して職場に残れなくなる可能性もあります。
2.どうすれば親切かを考えられる人
これは私の持論ですが、お金を出してサービスを受ける、商品を買うとき、何を基準に選ぶかといえば「親切であるか否か」です。
説明書がない製品は買いませんし、組み立て品よりも完成品に惹かれますし、アフタフォローのあるサービスを利用します。
転職エージェントも親切そうなところに登録しますよね?
外資系企業のAmazonもAppleも Googleもすべて親切なサービスや製品で大きく成長してきたといえます。これは3社の社員の中に「どうすれば親切か」を考える人がいたからです。
今だけのトレンドかもしれませんが、私は「親切」について真剣に向き合える人材がこの先10年以上、外資系企業に必要とされるのではないかと考えています。
3.結果を出せる人
やはり外資系企業が必要とする人材は「結果を出せる人」これに尽きます。
「経営者や上司は結果しか見てくれない」
「ここまで積み重ねてきた努力をちっとも評価してくれない」
「大切なのは過程でしょうよ」
と不満に思われていて、そのようなネガティブな理由で転職をお考えなら、外資系企業は向いていないのかもしれません。
くどいようですが外資系企業は結果がすべて。過程やプロセスを評価されたい方は日系企業にこのままとどまるほうが賢明です。
今まさに外資系企業で働いていてそのように思われているのであれば、過程やプロセスを重視し評価してくれる日系企業への転職を検討したほうがよさそうです。
- 自分責任論で行動できる人
- どうすれば親切かを考えられる人
- 結果を出せる人
はぜひ、外資系企業に果敢にチャレンジされてみてはいかがでしょう?
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