半年~1年の転職活動も、ようやく実を結び、内定通知が出た方もいるのではないでしょうか。しかし、会社から来た内定通知書を見て…

このページにたどり着かれた方、お察しいたします。ここでは、内定後の条件変更交渉の可否についてお伝えしたいと思います。

そもそも、内定後の条件変更交渉は可能なのでしょうか? まずは、内定から入社までの標準的な流れを今一度、確認・おさらいしておきたいと思います。

内定から入社までの流れ

①内定の連絡が入ってくる

書面、電話、メールなど、会社が合格者に対し内定を伝える手段はさまざまです。電話以外の方法であれば、入社予定日、条件(待遇)、勤務地などが掲載されているはずですので、確認しましょう。

 

②内定承諾書・雇用契約書が送られてくる

送られてきた内定承諾書・雇用契約書の内容に、とくに納得がいかない場合や不明な点がある場合は、会社に問い合わせをします。

合意できる内容であればサインをして提出をしましょう。その際に「身元保証書」や「健康診断書」の添付を求められることもあります。

 

③勤務中企業の直属の上司に退職の意志を伝える

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④提出した退職願が受理され、引き継ぎを終えたあと、退職

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⑤入社

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参考文献

採用獲得のメソッド はじめての転職ガイド 必ず成功する転職 2019年度版谷所健一郎著 マイナビ出版

基本的には、このような流れとなっており、書面での内定通知であれば、そこに条件などが提示されているはずです。

あれ? 面接を受けて内定をいただいたけど、条件交渉はしていなかったし、これからのはず。どうして条件が付されているんだ? と疑問に思って調べていた方もいるかもしれません。

高野秀敏氏の著書「失敗しない! 転職の技術」(高橋書店)を読むかぎり、給与交渉をしてもいい人は付加価値を持っている人である旨、書かれており、若くて成功体験に乏しい方や別の職種や業種から未経験で転職する方は、給与交渉はすべきではないとしています。

 

話は元に戻しますが、

  • 今の会社に不満がある
  • ステップアップするために転職したい
  • 好きな仕事に就きたかった

どんな志望動機であっても、長期の転職活動が実り、希望する会社から内定をもらえたら、うれしいものですよね。

しかし、内定通知書に書かれてある条件が、次のような内容だったら…

  • 給与の提示額が求人票に載っていた最低ライン
  • 本社勤務だと思っていたのに支社勤務になっている
  • 面接で伝えていたことが反映されていない

 

前職にとどまったほうがマシ!

 

このまま、転職しても何のメリットもありません。そんな場合、会社は条件変更に応じてくれるのでしょうか?

そこで、今回、私が以前お世話になったエージェント会社の方でもある(関連記事:転職サイトエージェント比較おすすめランキング)、現役キャリアコンサルタントの新田さん(仮名)に聞いてみました。

 

 

キャリアコンサルタントがアドバイス、内定後の条件変更ができるケース、できないケース

こんにちは。キャリアコンサルタントの新田です。

せっかくいただいた内定、このような感じだとテンションも下がりますよね…

率直に申し上げますと、会社によります。できるケースもあれば、できないケースもあるということです。あいまいな回答で申し訳ありませんが、これが現場の実情なのです。

会社の方針や状況によりケースバイケースですので、キャリアコンサルタントとして、100%こうです! とはお伝えしにくいのです。

まずは、できそうなケースについてお伝えします。

 

内定企業を天秤にかけることができる方は有利

A社から内定をいただいた方が、実はB社からも内定が出ていて、同時に2社からオファーをいただいているかたちの場合、積極的に交渉をしてもよいのでは? と思えます。

  • 仕事内容としてはA社に魅力を感じる
  • 給与はB社のほうが高い

などという場合、A社が本命なのだとしたら、A社の採用担当者に「悩んでいます」と伝えると、給与面での見直しを検討してもらえるかもしれません。

もちろん、このときに「給与が提示額のままであればB社に入りますよ」と“けんか腰”のような姿勢をとるのではなく、あくまでも「悩んでいます。相談させてください」とお願いする姿勢で臨むことが好印象維持のために大事なことです。

また、採用担当者に決裁権がある場合も条件交渉がしやすいです。たとえばですが、面接官・採用担当者が社長や経営者ということも中小企業ではよくあることです。

社長などに直接、伝えられますので、会社としてその条件変更に応じることができるか・できないかの回答をスグに得られる可能性が高いです。

最後に、可能なケースとして、ご紹介できるのは、求人票に給与条件が、

 

〇〇万円~〇〇万円

 

といった感じで記載されており、内定をいただいたときの提示給与が、下限額だったときには、交渉を申し入れ、結果、給与条件の上方変更に応じていただける場合があります。

 

今度は、できそうにないケースについてお伝えします。

 

給与体系・社内規程がしっかりしている会社はむずかしい

給与や福利厚生について、

  • 年齢で昇給などが一律で決められている
  • 社内規程で明文化されている

場合のほか、社として、

  • これまで認めたことがない
  • 前例がない

条件などへの変更は、正直むずかしいといわざるを得ません。

たしかに、よほどのことがないかぎり、社員ではない方が、給与テーブル(給与体系)や社内規程の内容を知ることはできません。

自分にとって、どうしても譲れないと思う条件については、応募前に、しっかりと会社や転職エージェント(キャリアコンサルタント)に確認をされることをオススメいたします。

ということでした。

 

条件変更ができなかった場合、

  • どうしても納得がいかない
  • 我慢して働くわけにもいかない
  • 給与面で不満が

という状況になることは必至です。そうなると、せっかく転職をしても、長くは続かないでしょう。

新田さんの話を聞くかぎり、求人票に記載されている給与の範囲で交渉を行う価値はありそうですので、「自分の能力、低く見積もられているな」と感じた場合は、ダメ元ですが、直接または転職エージェントを通じて条件変更の交渉申し入れをしてみましょう。

厳しいようですが、納得のできない給与条件での内定であれば断るのもひとつの手だと思います。

 

さて、ひとつ問題が解決したところで、もうひとつ、想定外のケースについて考えておきたいと思います。

たとえば、会社から内定をいただき、その条件は申し分のないものでした。しかし、

家庭の都合で生活・家計が一変した

そのため、条件を変更してもらえなければ働くことがどうしてもできなくなった場合、対応してもらえるのでしょうか? 見ていきます。

 

キャリアコンサルタントがアドバイス、家庭の都合で内定後の条件変更はしてもらえる?

以前、転職活動を行ううえで大切なのは、家族の理解であるとお伝えしていました。いつも、いつまでも公私ともに大事な家族。

  • 嫁が妊娠したので田舎に帰ることにした(支社勤務にしてほしい)
  • 父親が寝たきりになり介護をすることに(いつでも帰れるよう内勤にしてほしい)
  • 予定していたマンション売却が流れた(提示額では家計は赤字に)

というふうに、提示いただいた条件での転職が厳しくなることもあります。

はたして家庭の都合で勤務地や勤務時間を変えてもらうことはできるのでしょうか?

こちらも引き続き、キャリアコンサルタントの新田さんにアドバイスをいただきました。

 

はい。こちらも会社次第だといえます。

会社が条件変更を認めてでも、その人がほしい状況かどうかにかかってきます。こちらも、できるケースもあれば、できないケースもあります。

 

早速ですが、できそうなケースからお伝えしていきます。

 

人員上、問題がないかがカギ

たとえばですが、求人の段階で、

勤務地:東京本社もしくは大阪支社 ※希望勤務地を考慮します

という条件が明記されていた場合、当初、希望を出していた東京本社勤務から大阪支社勤務に変更をしてもらえる可能性はあります。

 

ただし、人員上、差支えがない場合にかぎられます。

すでに大阪支社の募集が終わっていて、人手が足りてしまった場合は、ほぼ認められないと考えます。

また、募集中だとしても、大阪支社の人事担当者から、求めていた人材とかけ離れていると判断された場合も認められないでしょう。

 

内定後、勤務時間と職種の変更は認められる?

勤務地は変わらないけれども、家庭の都合で、深夜手当がつく夜勤で働きたいと申し出るケースも同じです。

人員上、差し支えなければ、認められるでしょう。しかし、人員上、足りている、夜間責任者から夜間帯の業務に適している人材だと判断されなければ認められないでしょう。

また、「外勤営業から内勤事務に変わりたい」など、職種の変更を申し出る場合については、かなりむずかしいです。

 

職種の変更については、たとえ、同時募集がかけられていたとしても、認められる可能性は低いと思われておいてください。なぜなら、職種によって人事担当者や面接官、募集条件も異なるからです。

 

内定通知書には、

  • 給与
  • 勤務地
  • 職種

などの条件が記載されているのですが、その記載と異なる希望を出したいときは、

  • 断られても平気な場合
  • 辞退をしてもいい場合
  • 内定取り消しになっても仕方がないと割り切れる

そのようなときだけ、交渉をしてみるようにしましょう。

 

——新田さん、ありがとうございました。

 

今回、記事執筆にあたり、キャリアコンサルタントの新田さんからだけではなく、実際に内定獲得後、条件を変更してもらえた体験をお持ちの男性の方からもお話を伺うことができました。

これは、自動車関係の会社から広告関係の会社に転職をされたときのお話だそうです。内定をいただいたときは、年俸400万円の提示だけだったそうですが、年俸400万円+毎月の住宅手当+社宅という好条件に変更、大幅プラスとなったという成功事例です。

この成功事例をいただき、新田さんのアドバイスは現場の実情を物語っているのだと納得できる結果となりました。

 

内定後、家庭の都合で給与条件を変更してもらえたヒデキさんのエピソード

はじめまして。ニックネームはヒデキとさせてください。私は妻の妊娠を機に、地元に戻って子どもを育てたいと考え、地元の広告関係の会社の面接を受け、合格しました。

しかし、内定をいただいたときは、マンションを所有していました。地元に戻る前に売却をと考えていたわけですが、今のご時世です。そんなにトントン拍子にうまくいくはずがありませんでした。このまま転職をするとローン・管理費と地元での新居家賃の二重払いで家計を圧迫することに…

 

マンションを売却してから転職活動をすべきだったと反省し、内定を辞退しようと決めました。

意を決し、会社に「辞退したい」と連絡をしたところ、電話口で、次のように、いわれました。

 

住宅手当と社宅を提供するから会社に来てほしい

 

採用担当者から「社長が、住宅手当を支給し、社宅も提供するので、ぜひうちに、といわれていますがどうでしょうか」と条件変更の提案をいただいたのでした。

所有しているマンションが売れていないため、ローンの負担もあり、転職ができませんと正直に事情を明かし、絶望的な気持ちも伝えたところ、オーナー社長が即決してくれたのです。

オーナー企業だったからこそ、このような配慮をいただけたのだと、少し感動したことを今でも覚えています。

 

——ヒデキさん、ありがとうございました。

 

ヒデキさんの場合、自分から交渉を持ちかけたのではなく、内定辞退という覚悟ある申し出をした結果、会社が条件変更してくれたということになるのですが…

  • ヒデキさんは辞退をしてもいいと考えた
  • 会社はヒデキさんがどうしても必要な人材だと考えた

わけですから、これは新田さんがいわれていたように、「辞退してもいい」「その人がほしい状況」を満たしていたからこそ導かれた結果だといえそうです。

  • 書類選考から最終面接まで行った結果、ヒデキさんに匹敵するレベルの人材がいなかった
  • 会社として採用活動にこれ以上、予算や時間は割けないと判断した
  • これ以上、人手不足が続くと会社が上手く回らなくなるおそれがあった

など、あくまでも推測の域ですが、このような理由も背景にあったのかもしれません。

 

まとめ:内定後も条件変更に応じてくれる可能性は五分五分

残念ながら、

  • 採用活動中に出会えた応募者のなかに、ほしいと思える人材がほかにもたくさんいた
  • 採用活動をはじめたばかりで時間も予算もまだまだ割くことができる
  • 増員募集で人手不足ではない

このような場合は、認められない可能性が高いと思われておいたほうが無難なようです。

ただ、勤務地、勤務時間は人員上の問題ですが、給与条件は、自分で変えられる可能性を秘めています。

それを実現するには、給与条件を交渉できるようなオンリーワンなスキルや強みを身につけた付加価値のある人材になることです。

計画的にキャリアを構築し、ステップアップを図り、タイミングよく好条件で転職できるよう、意識して働いていきましょう。