この記事でわかること

  • 急性期病院とは?
  • 循環器内科などのお仕事内容、やりがい
  • 急性期病院にはどんなナースが向いている?
7年目の現役看護師、美樹です! ナースのみなさんは急性期病院にどのような印象を持っておられますか?

・急性期病院は忙しくて大変そう
・働いてみたいけれど、どこの診療科がいいかわからない

と思っている方もいるかもしれません。そこでこの記事では

  • 看護学生さん
  • 転職を考えている看護師さん
  • 循環器内科、心臓血管外科、整形外科に興味のある看護師さん

に向け、それぞれの診療科のお仕事内容や留意点、やりがいなどをご紹介していきます。

※現役看護師が執筆しています

 

急性期病院とは?

まず急性期病院とは? について説明させてください。“疾患の急性憎悪などで緊急・重症な状態にある患者に対して入院・手術・検査など高度で専門的な医療を提供する病院”のことです。[引用:急性期病院(学校法人福岡保健学院)

慢性期病院は病状の安定している患者様に長期間の入院医療を提供するのに対し、急性期病院は入院期間が短く、集中的な医療が基本となります。

入院期間は短いですが、人命に関わりますので、短期間でも信頼関係が構築できたり、「ありがとう」と言ってもらえたりすることが多く、とてもやりがいのあるお仕事です。

それではここから順を追って循環器内科、心臓血管外科、整形外科についてそれぞれ説明していきますね。

 

循環器内科勤務看護師のお仕事内容と留意点

主な疾患、お仕事内容は次のとおりとなります。

循環器内科で診る主な疾患

  • 心不全
  • 心筋梗塞
  • 不整脈

循環器内科で働くナースのお仕事内容

  • 心臓カテーテル治療前後の看護
  • ぺースメーカーやICD、CRT-Dの挿入前後の看護※
  • 点滴や内服薬の投与・管理
  • 採血の実施とデータの確認
  • 医師が行う処置の介助
  • 症状や心電図モニターの観察
  • 体重や水分量のチェック
  • 退院に向けた疾患指導
  • 急変対応、死後処置
  • 精神面のケア
ねえ美樹さん、現役看護師の方や看護学生なら補足説明はなくても理解できていて当たり前だと思うんですけど、個人的にぺースメーカー、ICD、CRT-Dってどのようなものなのか興味があります。私にもわかるように、やさしく教えていただくことってできますか?
しょうがないなぁセイジさん(笑) わかりました。看護学生さんたちにも読んでいただけるはずですから、補足説明をしていきますね。

ぺースメーカーとは

心臓徐脈性不整脈を24時間監視し、またリズムを整える必要があれば本体から電気刺激を送り治療する。チタン製(表面)のペースメーカー本体と心臓電気信号感知・電気刺激伝達の役割を担うリード(電線)で構成。[参考:ペースメーカーって?(フクダ電子)

ICDとは

Implantable Cardioverter Defibrillatorの略。日本語でわかりやすくいうと植込み型除細動器。不整脈治療のため装置を体内に植込みます。あくまでも不整脈の防止ではなく不整脈の発作に反応し電気ショックを発生させることで突然死を防ぎます。[参考:ICDとは(大阪医科大学外科学講座胸部外科学教室)]

CRT-Dとは

CRT-Dの前にCRTについて説明する必要があります。Cardiac Resynchronization Therapyの略で心臓再同期療法といい、ペースメーカーを用いた心臓ポンプ機能改善を図る重症心不全患者向けの新療法です。

対してCRT-Dは、Cardiac Resynchronization Therapy – Defibrillatorの略で、両心室ペーシング機能付き植込み型除細動器といいます。ペースメーカー機能、CRT機能、ICD機能を搭載しており、心室同期障害のほか心室頻拍、心室細動などの不整脈を起こす可能性のある患者様に用いられています。[参考:CRTとは(大阪医科大学外科学講座胸部外科学教室) 心臓再同期療法(CRT)とは?|CRT-Dとは?(アボットメディカル)]

 

循環器内科の特徴・留意点

循環器内科病棟の特徴は点滴管理が多いことです。そのためさまざまな薬の効果や副作用を把握し、正しく投与することが求められています。また循環動態を注意深く観察しなければいけません。日々症状やバイタルサイン、心電図モニターの観察だけでなく、活気や表情など「いつもと何か違う」という“気づき”が重要になります。

また患者様の急変のリスクも高いため、急変時は自分の役割を見つけてチームで迅速に対応する行動力も求められます。

医師との関わりでは「点滴や薬は気をつけているけれど、安静度は変えていなかった」ということもあるため、今どのくらい歩いていいのか、シャワーに入ってもいいのかなど、安静度について医師に積極的に確認していきましょう。退院に向けて安静度の拡大は重要です。

患者様との関わりでは入院前の生活習慣について情報収集し、退院に向けた疾患指導をすることが大切です。個別性に合わせて改善すべき点を一緒に話し合いましょう。必要に応じて医師からの説明や、薬剤師や栄養士とも連携しながら必要な指導を行います。

忙しさもありますが、循環器内科はすべての疾患の基礎となる部分が多く、専門的な知識や技術が身に付くためスキルアップにはおすすめの病棟です。

次は心臓血管外科についてです。

 

心臓血管外科勤務看護師のお仕事内容と留意点

心臓血管外科で診る主な疾患

  • 心臓弁膜症
  • 大動脈解離
  • 胸腹部大動脈瘤
  • 閉塞性動脈硬化症
  • 下肢静脈瘤

心臓血管外科で働くナースのお仕事内容

  • 開胸術前後の看護
  • 経皮的血管形成術(PTA)前後の看護
  • 点滴や内服薬の投与・管理
  • 採血の実施とデータの確認
  • 医師が行う処置の介助
  • 症状や心電図モニターの観察
  • 体重や水分量のチェック
  • 退院に向けた疾患指導
  • 急変対応、死後処置
  • 精神面のケア

心臓血管外科の特徴・留意点

心臓血管外科病棟の特徴は、開胸術など患者様にかかる身体的・精神的負担が大きいことです。患者様の不安を緩和するために、術前から患者様の思いに耳を傾けます。

術直後は集中治療室で数日過ごしますが、病棟に戻られてからも胸腔にドレーンが入っているなど患者様の状態はまだまだ回復している段階とはいえません。胸腔ドレーン※の管理には充分な知識を持ち、常に気をつけておく必要があります。

胸腔ドレーンとは

“6~7mm径の透明なビニールチューブ”で、肺から漏れる空気や胸中にたまった水を体外へと出す役割があります。[引用・参考:手術を受けられる患者さんへ(神奈川県立がんセンター呼吸器グループ)]

また手術には重大な合併症のリスクもあるため、創部の感染兆候がないか、循環動態の変動や呼吸苦の出現はないかなど、注意深く観察していきましょう。

医師との関わりでは毎日、指示の変更がないか確認するようにします。術後の状態は変わりやすく、日々点滴の流速や内服薬の変更があり得るからです。

患者様との関わりでは、安静度が守れるように関わることも重要です。負担の大きい手術のため術後せん妄※になってしまうこともめずらしくありません。大きな手術は術後の安静度が制限されるため、しっかり安静度を守り、回復して患者様が退院できるように細心の注意を払いましょう。

術後せん妄とは

手術後“一定期間意識が混乱すること”で、症状には個人差が見られますが落ち着きがなかったり、怒りっぽくなったりするほか、幻覚が見えていることをほのめかすような言動をされることがあります。[引用・参考:入院するとせん妄が起こることがあります(市立豊中病院 せん妄予防対策チーム)]

心臓血管外科は集中力を必要とするお仕事なのですが、大きな手術後に患者様が順調に回復する姿を見ると一緒に喜びを感じることができ、やりがいのある診療科です。

最後に整形外科について説明いたしますね。

 

整形外科勤務看護師のお仕事内容と留意点

整形外科で診る主な疾患

  • 大腿骨頸部・転子部骨折
  • 腰椎圧迫骨折
  • 前十字靭帯損傷
  • アキレス腱断裂
  • 反復性肩脱臼
  • 肩腱板断裂

整形外科で働くナースのお仕事内容

  • 術前後の看護
  • 疼痛コントロール
  • 神経症状の観察
  • 創部の観察
  • 医師の処置の介助
  • 点滴や内服薬の投与・管理
  • 採血の実施とデータの確認
  • リハビリテーション

整形外科の特徴・留意点

整形外科病棟の特徴は、術後の疼痛コントロールとリハビリテーションの実施です。

術後はほとんどの場合、痛みを伴います。痛みの程度は患者様にしかわからないため、疼痛スケール※などを使用しながら痛みを確認しましょう。

疼痛スケールとは

痛みの強さを目視などで評価するもので日常生活への影響、パターン、強さ、部位、経過、性状、治療反応などに分けて行います。評価方法には

  • Visual Analogue Scale (VAS 視覚的アナログスケール)
  • Numerical Rating Scale (NRS 数値評価スケール)
  • Verbal Rating Scale (VRS 口頭式評価スケール)
  • Face Rating Scale (FRS 表情尺度スケール)

のほか機器を利用する場合もあります。[参考:がん疼痛の薬物療法に関するガイドライン2010年版(特定非営利活動法人日本緩和医療学会)痛みの診断と評価(一般社団法人日本ペインクリニック学会)痛みの定義(中外医学社)

また術後は大きくADL(日常生活動作)※が下がるため、理学療法士によるリハビリテーションが行われます。リハビリが進んできたら理学療法士に相談して病棟でもできる歩行練習などを行うようにしましょう。なるべく入院前よりもADLを落とさないような関わりが重要になります。

ADL(日常生活動作)とは?

Activities Of Daily Livingの略で、起き上がり座る、歩行、階段の昇り降り、車椅子の操作、食事のほか、排泄、洗顔、歯みがき、洋服の着脱、入浴、コミュニケーションと日常生活に必要といえる活動全般を指します。[参考:ADL障害(東京女子医科大学病院リハビリテーション科)]

医師との関わりでは

  • 自宅に帰れそうか
  • リハビリ病院へ転院するのか

患者様の年齢や術後の経過によっては、長期のリハビリテーションが必要になることがあります。

急性期病院ではまず長期入院がむずかしいため、退院後の方針を早め早めに確認することが必要です。早い段階から転院調整や自宅での調整(介護サービス手配や自宅内に手すりを設置するなど)を行います。

患者様との関わりでは、自立支援を行うことが大切です。通常は術後の経過とともにできることが増えていきますので、できることは基本、患者様ご自身で行っていただくようにし、たとえどんなに時間がかかったとしても見守っていきます。

また骨折などの受傷により、普段当たり前にできていたことができなくなることにショックを受けられる患者様も多いため、精神面のサポートも心がけることが大切です。術後できるようになったことは一緒に喜ぶようにし、同時にリハビリテーションを頑張っていることをねぎらうような声かけをしましょう。

整形外科は回復していかれる様子が目に見えてわかりますので、比較的やりがいを感じやすい診療科です。また自分でできることが増えると、看護師の介助も不要になり、看護師側も身体的負担がどんどん軽くなっていきます。

 

まとめ

急性期病院とくに

  • 循環器内科
  • 心臓血管外科
  • 整形外科

での看護師のお仕事内容は、患者様の入退院が多く毎日めまぐるしく変わっていきます。患者様が回復されていく姿を見て安心したり喜んだりすることもあれば、急変し救命処置が必要になることや、時には死に直面して落ち込むこともあります。

しかしそんななかでも、スタッフや他職種の担当者と声をかけ合いながら患者様を救命できたときや「いつもありがとう」と感謝の言葉をかけてもらえたときは正直、大きな達成感や喜びを感じられます。

看護師としてスキルアップを目指したい方や、人命を救うための医療現場で働きたいナースの方は急性期病院が向いていると私は思います。

ここでご紹介したように診療科によって仕事内容や患者様の症状(重症度など)はまったく異なるため、自分に合った診療科はどこだろうかと一度、考えていただくことをオススメします。

私、美樹が経験してきたなかでは、どの診療科も、大変だと感じること、やりがいを感じること、それぞれ多々あります。

今回は循環器内科、心臓血管外科、整形外科について説明してきました。この記事が急性期病院に興味のある看護師・ナースのみなさまの参考の一助になれば幸いです。

美樹さん、ありがとうございました!
今回、急性期病院について執筆された現役看護師の美樹さんには、転職とキャリアアップの看護師向け転職エージェントご紹介記事もすべて監修いただいています。

診療科を変えたい、急性期病院に転職したいとお考えの方はぜひ、こちらもご参考いただけますと幸いです。