この記事でわかること

  • 訪問看護の仕事内容
  • 訪問看護業務の一日の流れ
  • 訪問看護業務における留意点
これまでずっと病棟勤務を続けてきた看護師のなかには、訪問看護というお仕事に興味を持ち、これから転職しようかどうかで悩むまたは前向きに検討されている方もいらっしゃることでしょう。

そんな看護師の方の参考になればと思い今回、病棟勤務を辞め訪問看護という世界に飛び込まれ、のちに管理者も務めたご経験をお持ちの看護師、ゆかさんにお話を伺うことができましたのでお伝えしていきます。

ゆかさん、はじめまして。

はじめまして。訪問看護管理者をしていました看護師のゆかと申します。

よろしくお願いいたします。まずは自己紹介と看護観について教えてください。

 

私は小さい頃から信頼される看護師になることを目標に夢を追い続け、いちばん早く看護師に就ける最短の道を選び、高校衛生看護科、専門学校を経て20歳で社会に出ました。

  • 内科病棟
  • 外科病棟
  • 整形外科病棟
  • 回復期リハビリテーション病棟
  • 療養病棟

とありとあらゆる科で13年間、経験を積みました。

忙しい病院業務のなか、患者様一人ひとりと向き合い関わってきましたが、臨床経験10年目のときにようやく私の看護観は確立したといえます。

一人ひとりといいましても時間をかけて対応していくことには限りがあり、ムリがあるため私は、だんだんと葛藤するようになっていきました。要は患者様としっかりと関わりたい、そんな気持ちが強くなってきたのです。そこで多忙な病棟勤務を辞めよう、日勤だけ働くような今までとは違う分野に興味を持ちはじめました。そんなときに訪問看護への転職という道を見出したのです。

学生時代の見学実習でその現場を目の当たりにし訪問看護は、ベテラン看護師でないとむずかしいというイメージが定着していました。そのため興味はあったものの踏み出せない日々を送っていました。そんななかやっぱり気になり、訪問看護をしていた友人にあれこれと情報を聞きだしていくうちに「私でもなんとかなる、やってみよう」と思い始めたのです。

そこからはその友人の紹介であれよあれよと転職することができ、この世界にうまく飛び込みました。

しかし訪問看護を1年経験したあと、結婚を機に新居へと引越し。そこでまたご縁をいただき、今度は思いがけず「訪問看護管理者」という役割を引き受けてほしいといわれ、1年間、務めさせていただきました。

ところで訪問看護とはわかりやすくいえば、どのようなお仕事なのですか?

 

訪問看護とは?

そうですね。わかりやすく箇条書きにすると

・利用者様一人ひとりに向き合って対応する
・ご本人様、ご家族様が困っていることなどのサポートをする
・看護師という仕事の原点に戻れる

お仕事ですね。病棟勤務のように限られた時間という概念はなくゆったりと一人ひとりに関われます。患者様とじっくりと向き合って対応したい看護師には向いていると思います。

また訪問看護というお仕事は利用者ご本人様だけではなく、そのご家族様が困っていることなどのサポートをすることもあり、その過程で信頼関係が構築できやすくなります。

そしてなによりも看護師という仕事の原点に戻れるような気がしました。自動車の運転ではよく、免許取り立てのほうが上手で慎重に運転するといいますが、私が訪問看護という新天地に慣れるまで、学生時代に勉強したことなどを思い出しつつ意識しながら、初心者の運転と同じように慎重にことに当たっていました。

そのためこれまで病棟勤務では使わなかった知識などがよみがえり、十分活かせたような気がしたのです。

最初の1年目、看護師としてどのような毎日を送られていたのですか? できれば訪問看護のタイムスケジュールを教えてください。

 

訪問看護のお仕事 一日の流れ

私の職場では朝9時から夕方18時までが稼働時間で、以下のタイムスケジュールで業務を行っていました。

09:00 出勤、情報収集
09:30 訪問準備、午前訪問出発 1~2件の訪問
12:00 休憩
13:00 午後訪問出発 3~4件の訪問
16:00 ステーションに戻ってくる、片付け、記録、月末に提出する報告書類作成
17:00 管理者、オンコールを持つ看護師へ申し送り、ケアマネジャーへ報告
18:00 退勤
1日あたりに担当する利用者様は4~6人なのですね。これだとたしかに一人ひとりに向き合えそうですね。
ところでさきほど訪問看護のお仕事はベテランがするというイメージであったといわれていましたし、病棟勤務とはまったく異なるスケジュールだと感じましたが、訪問看護ナースのお仕事はこうあるべきなど留意点があれば教えていただけないでしょうか?

 

訪問看護のお仕事の留意点

1.病院・病棟での振る舞い・患者様への接し方のままでは通用しない

訪問看護のお仕事は、病院で多々見られる多忙なルーティン業務ではなく一人ひとりと向き合いながら生活のサポートをしていきます。そこは治療の現場ではありません。そして対象は病院でみられるいわゆる患者様ではありません。

訪問看護利用者様ですがその実態は、病気と向き合いつつもご自宅で普通に暮らされている人生の先輩がほとんどです。こちらから生活をされている場所に踏み込むわけですから礼儀正しく、そして優しく、笑顔で対応しなければなりません。

病院内では患者様に対しどちらかといえば上から目線になりがちですが、上から目線の態度を改めないと務まらないのです。利用者様のペースに合わせそっと、人生の一コマとして寄り添うことが肝要です。これが訪問看護師のあるべき姿と思います。

2.時間管理が問われる訪問看護、必要な業務を効率よく

訪問看護は介護保険という貴重な資金源でのご依頼が多いのが実情で、利用者様のご自宅訪問は週1、2回程度です。時間も30分~1時間という感じですからよく「時間が足りない」と悩む訪問看護師もいます。そのなかで

  • 利用者様に必要なことは何かを見極め
  • ただ行動するのではなく、よく考え
  • 優先順位を決めて効率よく

看護をしなければなりません。

3.基本、多職種連携の訪問看護、報連相・引継ぎに注力

多職種連携をしているのも訪問看護の大きな特色のひとつです。時間内に終わらせることができなかった場合は時間を延ばすのではなく引き継ぎをして、各担当者にお願いします。

そのため報連相・引継ぎの力が問われます。

なるほど。その点は日勤から夜勤に引き継ぐ病院、病棟勤務と変わらないわけですね。ところで訪問看護はどのような職種と連携しているのですか?

訪問看護の多職種連携

そうですね。同僚看護師のほか医師はもちろん、利用者様によっては

  • 薬剤師
  • ケアマネジャー
  • 福祉用具専門相談員

といった職種の方たちと連携をさせていただくことがあります。

4.連携においては縁の下の力持ちに

訪問看護において多職種連携となる場面では、看護師は円滑なコミュケーションを図ることを忘れず、ときに担当者をうまくフォローできるようなチームの柱、縁の下の力持ちであることが求められます。

ところで訪問看護師を目指している看護師の方からこのような質問をお預かりしています。
訪問看護は点滴、注射を打つ場面が頻繁にないと聞きます。看護師として勘を忘れ、今度また病院や・病棟で働きたくなっても戻れなくなってしまうのではないかと不安に感じています

 

なるほどですね。たしかに訪問看護は生活サポートに主軸を置きますが、ご質問にあるようなことはないと断言できます。

病気と向き合いつつ生活をされている方のサポートをするお仕事ですが点滴、注射が必要な方も現実いらっしゃいます。私たち訪問看護師はアセスメントをしっかりとし、本当に点滴、注射が必要かなどを観察し見極めていきます。しかも病院のように毎日観察ができないため訪問時の限られた時間のなかで読み解き、評価していくのです。

ありがとうございます。今度は管理者として、どのようなタイムスケジュールで動かれていたのかについても教えていただけますか?

 

訪問看護管理者のお仕事 一日の流れ

結婚後、管理者として別の訪問看護ステーションで働くようになったのですが、以下のタイムスケジュールで業務を行っていました。

09:00 出勤
09:30 スタッフのスケジュール管理、体調の確認
10:00 医師、ケアマネジャーへの連絡、相談、新規受付など電話対応
11:00 戻ってきたスタッフから申し送りがあれば聞く
12:00 スタッフ休憩中に電話対応や事務作業
13:00 休憩
14:00 新規契約、担当者会議、営業
16:00 戻ってきたスタッフから申し送りがあれば聞く、指導、助言
17:00 スタッフの記録確認、実績確認
18:00 退勤
利用者様との接点がほぼなくなるわけですね…。もし管理者としてのお話があり、引き受けることになった場合、どのようなことに留意すべきですか?

 

訪問看護管理者のお仕事の留意点

1.スタッフとのコミュニケーションを密に、利用者様を把握する

スタッフが利用者様に苦手意識を持たないよう、利用者様の性格や特徴など個別性を見出し把握し、サービスが円滑にできるよう常に声かけ、不安や悩みを聞き出しアドバイスをします。

2.伝え方はスタッフごとに工夫、研究する

スタッフもまた人ですから、性格やマインドによって管理者の思いや発した言葉に対する受け止め方が違ってきます。そのため感情の赴くまま発言し伝えるのではなく、日々、言葉選びには工夫と研究が必要となります。

3.スタッフのお手本となれるよう自分の姿勢で示していく

管理者は病院・病棟でいう看護師長といった立ち位置でスタッフのお手本的存在にならなければなりません。まずは多職種連携の仕方を自らが積極的に対応して見せます。

特にケアマネジャーとの関わりはひと工夫が必要で、医師に話すような感覚で医療用語を使い話してしまうと伝わりにくいです。そこで相手の立場になって介護士などにもわかるように共通言語を考えて私は伝えるようにしていました。

4.経営しているという自覚も求められる

訪問看護管理者はもちろん、経営者ではなくスタッフの一員なのですが、経営に少なからず関与しているともいえます。数字を把握するほか売上に貢献するためにはどのような利用者様を獲得していくべきか思いをめぐらすこともあります。

新規利用者様からの相談や申し込みがない時期は、どうやったら訪問看護を利用してもらえるかなど集客のアイデアを出していくことも必要です。

運営会社の多くは訪問看護ステーションが不採算となれば廃止します。私たち看護師がお仕事を失うだけならまだしも、利用者様もサービスを受けられなくなり困ってしまうことになります。そのような事態は極力避けたいところです。

5.スタッフを鼓舞し、モチベーションを上げる

数字が悪い、新規利用者様が来ないと管理者が焦ったり落ち込んだり、またイライラしてスタッフに八つ当たりしているようでは訪問看護の世界に飛び込んでくれた看護師たちに失礼です。

私はいかにスタッフのモチベーションを上げるか、訪問看護のお仕事を好きになってもらうか、奥深さを感じてもらえるかまでもを考え、スタッフにアドバイスし、ときに鼓舞してきました。

一人ひとりと向き合いたいと始めた訪問看護でしたが、ほどなくして管理者に。プレイヤーではないためもどかしく感じた時期もありましたが、せっかくいただけたお話でした。

管理者の姿勢や態度はスタッフのみならず訪問看護ステーション全体の健全性を左右します。ご機嫌を取れということではありませんが叱るべきは叱り、褒めるべきは褒め、しっかりとスタッフの心を掴む。そのために必要なのはやはり密なコミュニケーションです。

 

まとめ:訪問看護を志すナースにアドバイス

病院とは違うため訪問看護と聞くと、転職する勇気がより一層、必要な気がしますが、訪問看護経験者はまだまだ少なく、経験の浅い方も多いため今ならまだ、パイオニアとして挑戦できる余地が残されていると思います。

またほんの少し前まで病院、クリニックで働いてきて同じく未経験でこの世界に飛び込んだ看護師の方が転職先にいれば、新人の気持ちもわかってくれるはずですから、不安なこと、わからないことは積極的に聞けて、アドバイスをもらえる、助け合える。そんな環境だといえます。

また今まで経験してきたことを応用できるのが「訪問看護」です。

ほんの少しの勇気が必要ですが基本、伸び伸びと看護ができる世界だと思います。医療現場ではなく、忙しい毎日とは程遠いのですが看護師として、胸を張って仕事ができます。

一人ひとりに向き合える看護をしたい方はぜひ、訪問看護の分野に足を踏み入れてほしいです。

ゆかさん、ありがとうございました!

こちらはクラウドワークスを通して看護師(訪問看護管理者)のプロフィールを確認できた方から実際に寄稿いただきましたものを当方で編集させていただきました。

興味を持たれた方は看護学校時代の友人などの伝手を頼り現役訪問看護師の方にお話を聞かれたり、看護師転職エージェントのキャリアアドバイザーに助言を求めたりし、自分に合っているか、うまくやれそうかなどをしっかりとご確認いただき、希望するに至った方はぜひ、訪問看護の道に歩を進めていただければ幸いです!

訪問看護ステーションに転職したいとお考えの方はぜひ、こちらもご参考いただけますと幸いです。