今では完全に必需品となった携帯電話ですが、海外で日本のSIMカードを挿したまま現地で通信を行うと、帰国時に高額な請求書が待ち構えています。国内で月5千円程度支払っていた携帯電話料金が、突然数万円になることもあり得ます。

この高額な請求書を避けるためには、現地のSIMカードを入手し、そのSIMカードで通信を行う必要があります。しかし、どこで入手するのか、入手した後、携帯電話の設定をどう行う必要があるのかがわからなければ、使用することはできません。また、携帯電話によっては、日本を発つ前に準備する必要があります。

本記事では、日本を発つ前にどのような準備を行う必要があるのか、現地に到着した後どこで現地のSIMカードを入手し、どのような設定を行うのかを説明いたします。

 

日本を発つ前の準備

日本を発つ前に保有している携帯電話についていくつか確認しておかなければ、いざ現地でSIMカードを入手しても使えないという状況になる可能性もありますので、必ず次の点について確認の上、出発してください。

端末の対応周波数帯の確認

携帯電話には、通信できる周波数帯が決まっており、その電波を受信する通信会社の周波数帯もまた決まっています。もしお使いの携帯電話が通信会社の周波数帯に対応していなければ、通信することができませんので、事前に確認する必要があります。

通信会社 Magti Geocell Beeline
通信規格 LTE 3G LTE 3G LTE 3G
対応周波数Band 3 1 3 1 20 1
20

ご自身の携帯電話がこれらの周波数帯に対応しているかは、メーカーのサイト、携帯電話の説明書や購入した店舗・通信会社に確認する必要があります。例えば、日本で販売しているiPhone Xsの場合は、次の周波数帯に対応しています。

iPhone Xs対応Band
1, 2, 3, 4, 5, 7, 8, 11, 12, 13, 14, 17, 18, 19, 20, 21, 25, 26, 28, 29, 30, 34, 38, 39, 40, 41, 41, 46, 66

もしお使いの携帯電話がLTEバンド3に対応しているが20に対応していない場合はMagtiとGeocellのみ使用可能で、もしLTEバンド20に対応していて、3に対応していない場合はMagtiとBeelineのみ使用可能になります。

日本で販売されている携帯電話の多くは3又は20もしくは両方に対応しているものが多いですが、念のため出国する前に確認し、もしいずれの周波数帯にも対応していないのであれば、携帯電話を変える等を検討する必要があります。

SIMロックの解除

SIMカードとはSubscriber Identity Moduleの略で、このSIMカードをもって、契約者を判定し、通信を認めるかを判断しています。そして、一部の通信会社では「SIMロック」というものを携帯電話に施しており、自社のSIM以外は受け付けない場合があります。(つまり、他の通信会社のSIMカードを挿入しても、携帯電話がSIMカードを読み込めず通信できないことを意味します。)

海外通信会社のSIMカードを使用するためには、携帯電話にSIMロックがない又は外されていることが必要です。携帯電話を購入した時「SIMフリー」携帯と説明がついていれば、特段日本で準備することはありません。(なお、「白ロム」と書かれている製品は、「SIMフリー」ではありませんのでご注意ください。)しかし、SIMロックがされている携帯電話の場合はそのロックを外す必要があります。

SIMロックがされている携帯電話は、通信会社の手続きに従ってショップに行って解除する必要があります。解除手続きは、各通信会社によって異なりますので、契約している通信会社に確認してください。

docomoでのSIMロック解除手続きについて
https://www.nttdocomo.co.jp/support/unlock_simcard/
auでのSIMロック解除手続きについて
https://www.au.com/support/service/mobile/procedure/simcard/unlock/
SoftbankでのSIMロック解除について
https://www.softbank.jp/mobile/support/usim/unlock_procedure/
Y!mobileでのSIMロック解除手続きについて
https://www.ymobile.jp/support/process/unlock_procedure/

SIMロックが解除されれば、準備完了です。渡航時に忘れずSIMロックを外した携帯を持って行きましょう。また、忘れがちですが、SIMカードを取り出す際に必要なSIMスロットピンも持参することをお忘れなきようご注意ください。

 

トビリシ空港でSIMカードを入手するなら要注意

ジョージアに到着したら、すぐにでもSIMカードを入手し、携帯を使いたいと思います。そして、トビリシ空港の到着ロビーに出たら、通信各社のデスクがあり、それぞれ「Free SIM Card」と書かれている看板を掲げています。

しかし、ここではSIMカードを入手したいという衝動を抑えてください。理由としては、空港にある通信会社のデスクは、正規のデスクであるものの、観光客に特化しているデスクで、不必要に高い料金プランへの登録に特化しているからです。

各デスクには「Free SIM Card」と書かれていて、確かに偽りなく無料でSIMカード「は」入手できます。しかし、その「無料」SIMカードを入手する条件として、提示される料金プランのいずれかを選択し、支払う必要があります。

ここにトリックが隠されており、Beeline以外の通信会社は、観光客専用の高額料金プランのみ受け付けており、市内の通常店舗でSIMカードを入手するより4~6倍の価格を支払う結果になります(最も安い料金プランがGEL 30、約1,100円です)。

唯一Beelineのデスクでは、通常の料金プランでSIMカードを入手することができますが、次の各通信会社の特徴をご理解いただいた上、選んでいただければと思います。

 

ジョージアの各通信会社の特徴

ジョージアに通信会社が3つあります。そしていずれの通信会社においても、通話とインターネットがセットになっている料金プランとインターネットのみ利用というプランがあります。

Magti

ホームページ:https://www.magticom.ge/en/
Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.mymagti
iPhone版
https://apps.apple.com/jp/app/mymagti/id1005596171

Magtiは、ジョージアの最大通信会社で、最も通信品質が高いです。設備投資に積極的で、ジョージアにおいて最も広く4Gのネットワークを展開しており、近く5Gの展開も行うと発表しています。また、iPhoneでも採用された新規格、eSIM(物理的なSIMカードを必要としない仕組み)に唯一ジョージアで展開している通信会社です。さらに2008年のロシア・ジョージア戦争時に唯一継続的に通信できたネットワークであった等、災害に強い通信会社とも知られています。

また、Magtiは日本のdocomoと提携しており、もし長期的にジョージアに滞在し、一時的に日本に戻るといった生活を予定されているのであれば、Magtiはいい選択しかもしれません。もしジョージアで仕事をしていて、一時帰国したとしても電話を受けることができます。

Geocell

ホームページ:https://geocell.ge/en
Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.leavingstone.mygeocell
iPhone版
https://apps.apple.com/jp/app/my-geocell-app/id1223419170

Geocellはジョージア初の携帯電話会社で、元はジョージアとトルコとジョイントベンチャーでした。今ではSilknetという固定電話・インターネット回線会社に買収され、近く名称をGeocellからSilknetに統一される予定の通信会社です。

Geocellは、最初の携帯電話だけあって、地理的カバー率はMagtiと共にトップですが、相次ぐ経営不振の影響で、インフラ投資が追いついておらず、4G網はMagti社には及びません。

Geocellは日本のSoftbankと提携しており、一時帰国した場合でもGeocellのSIMカードで電話を受信することが可能です。

Beeline

ホームページ:https://www.beeline.ge/en/
スマホアプリ:
Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=ge.beeline.odp
iPhone版
https://apps.apple.com/jp/app/mybeeline-app/id973841868

Beelineはロシアの通信会社で、旧ソ連圏に広く展開しています。ジョージア市場には最も遅れて参入した会社で、設備投資も追いついていません。4Gネットワークは都市圏を中心に展開しており、地方では3Gのみの場所も多いです。しかし、それを補うためか、3通信会社の中では最も料金が低い会社です。「Freemium」というプランに加入すれば、無料で毎月インターネット100MB及びジョージア国内100分の通話、SMS100通送信できます

また、他の通信会社では、4か月間入金がないと番号が失効してしまうのに対し、Beeline のSIMカードで、例えプリペイドであっても、アカウントに残高があれば、どれだけ長い期間使用しなくても、失効しないという点です。これは、例えば年に1回ジョージアに行く方にとっては、毎回SIMカードを買い替える必要がなく、到着直後から携帯電話が使えるので、非常に便利です。

残念ながらBeelineは日本の通信会社と提携していないため、帰国しても電話やSMS等一切の通信・通話をすることができません

各通信会社の料金表(インターネットプランのみ掲載)

レート(GEL1) 36.8 (2019年7月31日現在)
Magti Geocell Beeline
MB 料金(GEL) 料金(円) MB 料金(GEL) 料金(円) MB 料金(GEL) 料金(円)
1,000 5 184 750 4 147 1,000 4 147
3,000 9 331 1,500 6 221 2,000 5 184
5,000 12 442 3,000 9 331 4,000 9 331
20,000 30 1,104 5,000 12 442 10,000 15 552
30日使い放題 150 5,520 8,000 15 552 30,000 25 920
20,000 30 1,104
1日使い放題 5 184

(Geocellの1日使い放題以外は全て30日間有効)

尚、各社随時キャンペーンを行っていますので、場合によっては上記の表より安く契約できる場合もあります。

 

SIMカードを入手しましょう

トビリシ空港以外でSIMカードを入手する場合、店舗によって差はありませんので、宿泊場所の近い店舗でSIMカードを入手することが最もオススメです。各通信会社の店舗はGoogleマップの他、各社のサイトに掲載されています。

Magti
https://www.magticom.ge/en/useful-info/offices

Geocell
https://geocell.ge/en/private/help-support/get-in-touch/our-offices?list_mode=1

Beeline
https://www.beeline.ge/en/map/?ot=&oid=&z=8&

店舗に入ったら、受付に行き、SIMカードを欲しい旨を伝えます。店舗によっては番号札発行機を設置している場合もあります。その場合は、単純にボタンを押して番号札を引いて、番号を呼ばれるまで待ってください。

SIMカードを店舗で入手する場合、SIMカード発行手数料としてGEL1~5(約36~184円)請求されます(店舗・通信会社によって料金は異なります)。また、その場で料金プランも選びます。インターネットプランだけ欲しい場合は、インターネットと欲しいGB数を指定すれば、相手が料金を提示します。問題がなければ、同意してください。その後パスポートを求められますので、パスポートを提示し、差し出される申込書にサインすれば、SIMカードを渡され、手続きは完了します。

尚、ジョージアのSIMカードはサイズを選べるようになっているので、ホルダー等サイズを合わせるような器具は不要です。

 

料金プランの選択方法―ジョージアではWiFiが広く普及しています

ジョージアでは無料のWiFiが広く普及していて、ほとんどの店では、店員にWiFiパスワードを確認すれば教えてくれます。また、トビリシの市内であれば、路上でも「Tbilisi Loves You」という市が提供する無料WiFiが設置されています。その為、極端な話ですが、大都市圏のみで滞在する予定であれば、WiFiだけに接続し、SIMカードを購入しないという選択肢もあります。

しかし、WiFiは必ずしも早くないですし、郊外や地方に出たい方や店員にWiFiパスワードを聞くのが恥ずかしい方、また万が一に備えるためにもSIMカードを入手しておいた方が安全です。その為、郊外に出る頻度やネットを使う量・場所を考えたうえで料金プランを選ぶことをお勧めします。

 

SIMカードを使用するためのAPN設定

通常SIMカードを携帯電話に挿入すれば、すぐにSIMカードを使用できます。しかし、中にはSIMカードに登録されているAPN(Access Point Name)設定を読み取れない場合があります。その場合は、手動で入力する必要があります。現在知られている各通信会社のAPNは以下の通りですが、場合によっては変わることがあります。SIMカードを入手した店舗で最新のAPN情報を入手することをお勧めします。

MagtiのAPN設定

Internet APN:
Name: MagtiCom
APN: 3g.ge
Proxy: Not Set
Port: Not Set
Username: Not Set
Password: Not Set
Server: Not Set
MMSC: Not Set
MMS Proxy: Not Set
MMS Port: Not Set
MCC: 282
MNC: 02
Authentication Type: Not Set
APN type: default
APN protocol: Ipv4
APN roaming protocol: Ipv4
Enable/disable APN: APN Enabled
Bearer: Unspecified
MVNO type: None
MVNO Value: Not set

GeocellのAPN設定

Name: Geocell
APN: internet
Proxy: Not Set
Port: Not Set
Username: Not Set
Password: Not Set
Server: Not Set
MMSC: Not Set
MMS Proxy: Not Set
MMS Port: Not Set
MCC: 282
MNC: 01
Authentication Type: Not Set
APN type: default
APN protocol: Ipv4
APN roaming protocol: Ipv4
Enable/disable APN: APN Enabled
Bearer: Unspecified
MVNO type: None
MVNO Value: Not set

BeelineのAPN設定

Name: Beeline Georgia
APN: internet.ge.beeline.net
Proxy: Not Set
Port: Not Set
Username: Not Set
Password: Not Set
Server: Not Set
MMSC: Not Set
MMS Proxy: Not Set
MMS Port: Not Set
MCC: 282
MNC: 04
Authentication Type: PAP
APN type: default
APN protocol: Ipv4
APN roaming protocol: Ipv4
Enable/disable APN: APN Enabled
Bearer: Unspecified
MVNO type: None
MVNO Value: Not set

 

自分のSIMカードへチャージする方法

長期滞在時やストリーミングサービスを頻繁に使っているとデータ通信量が足りなくなる場合があります。このような場合はチャージをする必要があります。チャージする方法は3つあります。

街中にあるPayboxを使用する

街の中には様々な料金を支払うためのPayboxというものがあります。

この機械を使うことにより自分のアカウントにチャージすることができます。

使い方は、言語設定を英語に変えてMobile Paymentを選択。その後自分が使用している通信会社のボタンを選択し、携帯電話番号を記入し、Nextを選択したら現金を機械に入れてください。Payboxはお釣りを支払うことができないので、大きなお札は予め崩した上で、チャージしたい金額だけ入れるようにしてください。入金後、画面に表示された金額を確認し、OKを選択すれば入金プロセスは完了です。

なお、Payboxでチャージする場合、手数料(チャージ金額の0.5%)を取られますのでご注意ください。

通信会社の店舗で入金する

SIMカードを入手した時と同様に、通信会社の店舗でチャージをすることが可能です。手続きはSIMカードを入手した時と同じで、窓口に行きチャージしたい旨(「チャージ」では通じませんので「入金」―「put money into account」と言って下さい)を伝えるだけで済みます。チャージ時にはパスポートの提示は不要ですが、電話番号を伝える必要があります

店舗でチャージする場合、お釣りが出ます。その為、例え大きな金額のお札しかなかったとしても、チャージしたい金額を明確に伝えればお釣りをもらえます。

専用アプリを使用する

各通信会社は無料の専用アプリを提供しており、そのアプリで料金プランの選択や自身の電話番号の確認、その他様々な設定を行うことができます。そして、アカウントにチャージをすることもできますが、一点注意点があります。

専用アプリを使用してチャージをする場合、日本やジョージア外で発行されたクレジットカードは使用できませんので、観光客等にはあまり向きませんが、長期滞在者にとっては非常に便利なものになります。さらに、ジョージアでは、観光客でも銀行口座を開設することができ、様々な利点があるので、検討の余地があるかもしれません

各社の専用アプリは次のリンクでダウンロードできます。

Magti
Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.mymagti
iPhone版
https://apps.apple.com/jp/app/mymagti/id1005596171

Geocell
Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.leavingstone.mygeocell
iPhone版
https://apps.apple.com/jp/app/my-geocell-app/id1223419170

Beeline
Android版
https://play.google.com/store/apps/details?id=ge.beeline.odp
iPhone版
https://apps.apple.com/jp/app/mybeeline-app/id973841868

なお、アプリ経由の入金は手数料を引かれません。

 

長期滞在者向けのサービス:MNP

日本でも取り扱われているナンバーポータビリティー制度ですが、ジョージアでもその制度は存在します。ジョージアと日本ではいくつかの差異がありますので、ジョージアにおけるMNP手続きと合わせて違いを説明します。

ジョージアでMNPを行う場合、日本と違い、転出元(現在契約している通信会社)に通知や申請を行う必要がなく、直接移転先(加入したい通信会社)の窓口に行きます。その際、契約名義人を確認するためにパスポート等の公的身分証明書が必要になります。

窓口でMNPの申請を行うと、新しいSIMカードと開通予定日時を伝えられます。その開通予定日時までは現在の転出元通信会社のSIMカードを使用することになります。MNPが無事両通信会社から承認されたら、新しい通信会社での通話・通信が可能となります。その際、転出元の通信会社で保有していた残高は、手数料等を一切引かれずそのまま移転先のアカウントに引き継がれます。

尚、1度MNPを利用すると、次のMNPまで30日以上の期間を開ける必要がありますのでご注意ください。

もし現在使用している通信会社の電波が悪い又は安い会社に移転したいけど番号は変えたくないという時は、MNP制度をご利用してみてはいかがでしょうか。

 

まとめ~SIMガードの入手は簡単で安い

近年では、海外に行く際、モバイルルーターを契約して、観光期間中そのモバイルルーターを使用して通信をすることが多くなってきていると思います。

しかし、ジョージアのような国の場合、モバイルルーターを1日借りる料金と現地SIMカードで20GB(30日間有効)を契約するのと同じ料金になります。さらにジョージアで現地のSIMカードを入手するのは容易ので、せっかくなので安い方を契約してみてはいかがでしょうか。