バルカン半島にある内陸国、セルビア。東西ヨーロッパの交差点でもあり、ヨーロッパの国々を旅行する際には立ち寄ってみようと計画される方もいらっしゃるかと思います。旅行をする上でやはり気になるのがインターネット事情ですよね。

セルビア国内では空港、バス車中やバス停、カフェやレストランなど無料のWiFiが使える場所が多くありますし、たいていのホテルではWiFi環境が完備されています。しかしWiFiがつながらないところもありますし、慣れない土地では地図アプリで常に位置を確認できるインターネット環境があると安心できると思います。

セルビアでは物価が全般的に安く、通信費も格安ですので、金額の面では現地でSIMカードを購入するのがおすすめです。この記事では各社のSIMカードの特徴や使い方について解説していきますので、セルビアでの滞在に役立てていただければ幸いです。

 

短期滞在者向けSIM セルビアの通信キャリア3社の料金比較

まず現地で販売されているSIMカードの使用にあたっての大前提ですが、当然のことながら、日本で使用しているスマートフォンでSIMロック解除ができることが条件となります。お使いのスマートフォンによってはロック解除ができない場合もありますので、詳細は各キャリアにご自身で事前にお確めください。日本では2015年に総務省がSIMロック解除を義務化する方針を定めたことで、新しいスマートフォンは解除できますが、古いものは対応していないことがありますので、特に注意が必要です。

また、ヨーロッパの国々を何ヶ国も周遊する予定のある方は、ヨーロッパ旅行専用のSIMカードがAmazonなどでも販売されています。例えば使用できる期間が15日間、対象国がヨーロッパ49カ国、通信速度が4Gで2,000円弱で使えるものもあるようです。ただし商品によってはセルビアが対象でない場合もあったり、セルビアのみに滞在する場合などは現地で手配した方がお得となるでしょう。また、EU圏内ではローミング料金が撤廃されたことにより、EU加盟国内を旅する場合は1枚のSIMカードで十分ですが、セルビアはEUに加盟していませんのでご注意ください。

では、セルビアでプリペイドのSIMカードを購入するとき、どのようなプランがあり、どのくらいの料金がかかるのでしょうか?

各社の短期滞在向けに用意されているプランをご紹介していきます。
セルビア国内における通信キャリア

  • MTS(https://mts.rs/)
  • Telenor(https://www.telenor.rs/)
  • VIP Mobile(https://www.vipmobile.rs/en/private)

の3つがあり、現地でSIMカードを入手しようというときは、この3社から選択することになります。

ユーザー数が最も多いMTS

MTSは「Mobilna telefonija Srbije」の略称で、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モンテネグロ、オーストリアでも事業を展開していますが、セルビア国内での加入者は3社のなかでも最多で、国内最大の通信キャリアといえます。MTSで短期滞在者用のSIMカードを購入する場合は、「Tourist SIM」と「Super Tourist SIM」の2種類があります。

*Tourist SIM

  • 料金:600ディナール(約630円)
  • 容量:無制限
  • 期間:3日間
  • 通信速度:4G

追加でチャージする場合の料金は下記のとおりです。

  • 4Gのインターネット(24時間):250ディナール(約263円)
  • 無制限国内通話(7日間):499ディナール(約524円)
  • 無制限国内SMS(7日間):399ディナール(約419円)

※上記の追加チャージのプラン含めた、スターターパックは30日間有効ですが、カード自体はアクティベイトしてから1年間有効です。しかしながらチャージ後に残額があっても、90日経過すると自動的に消滅してしまう仕組みになっています。

30日を過ぎた場合は、下記の料金プランとなります。

  • 国内通話(1分あたり):11.9ディナール(約12円)
  • 国内SMS:5.9ディナール(約6円)
  • MMS(国内・国外):12ディナール(約13円)
  • インターネット(1MBあたり):60ディナール(約63円)

※最低チャージ金額は200ディナール(約210円)です。

長期滞在の方には、下記のカードがおすすめです。
*Super Tourist SIM

  • 料金:1,800ディナール(約1,890円)
  • 容量:10GB
  • 期間:30日間
  • 通信速度:4G

こちらは 30分の国際電話と120分の国内電話のサービスがついています。
追加チャージの場合の金額はSIMカードのパッケージに記載されていますので、確認するようにしてください。

国内シェア第2位のTelenor

国内で第2のシェアを誇るのがTelenorという会社です。こちらの会社のプランは下記のとおりです。

*Tourist package

  • 料金:545ディナール(約572円)
  • 容量:10GB
  • 期間:15日間
  • 通信速度:4G

追加のチャージは、1MBあたり1ディナール(約1.05円)で申し込むことができます。

ちなみに各キャリアではモバイルWiFiルーターも販売していますが、基本的にはショップで契約し後払いで自宅に請求書を届けてもらうシステムです。したがって旅行客が利用するのは難しい仕組みになっています。

一方このTelenorでは、USBモデム、そしてモバイルWiFiルーター(MiFi)をプリペイド式で購入できるサービスが存在します。それぞれ有効期間は30日間で、容量は10GBです。価格はUSBモデムが2,995ディナール(約3,145円)、MiFiが5,000ディナール(約5,250円)です。
SIMフリーでないスマートフォンを使用していたり、複数人でインターネットを使用したいときには、モバイルWiFiルーターを使うのが便利なこともあるかと思います。そんな場合はぜひ検討してみてください。

オンラインで申し込みができるVip Mobile

Vip MobileはTelekom Austriaというオーストリアの企業によって運営されています。

*Visitor SIM

  • 料金:990ディナール(約1,040円)
  • 容量:30GB
  • 期間:14日間
  • 通信速度:4G

このプランはデータ容量が多いのが特徴で、また Facebook、 Facebook Messenger 、Viber、WhatsAppのアプリを使ったインターネット通信の場合には、30GBのデータ容量とは別に、無制限で使うことができます。

さらに店頭で並ばずにSIMカードが入手できるというのがこのプランのメリットです。オンラインで申し込みをすれば、ホテルやアパートなどの滞在先に届けてくれるサービスがあります。または最寄りのVIP Mobileのショップで受け取ることが出来ます。公式のWebサイトによれば追加料金もオンラインでチャージできるとのことでした。

このプランではインターネットのみの利用ですが、追加料金をチャージすれば通話、SMSのやりとりも行うことができます。その場合の料金は下記のとおりです。

  • 通話(最初の1分):12ディナール(約13円)
  • 国内SMS:4.9ディナール(約5円)
  • 国際SMS:12ディナール(約13円)
  • インターネット(30GBを使い切ったあとチャージする場合):1MBあたり1ディナール(約1.05円)

各キャリアのSIMカードプラン比較まとめ

SIMカードの有効期間が3日間、2週間、30日間と3通りあり、また容量のちがいもありますので、ご自身の滞在期間やスマホの利用頻度などを考えて、最適なプランを選んでいただければと思います。

いずれにしても、セルビアの物価は安いため、国際ローミングを利用するより、現地でSIMカードを手に入れた方がはるかに安く済むケースが多いと思います。
1日あたりに支払う料金を換算すると、Telenorのプランが最も安く、1日約38円と大変リーズナブルです。一方、Vip mobileはデータ容量が大きいのが利点です。
また、どのプランも基本的には追加チャージできるようになっています。しかし予定していたよりも滞在が長引くなどの場合、プランによっては追加でチャージをするよりも、電話番号は変わってしまいますが、SIMカードをさらに新規購入して使用するほうが安いということもあるかと思います。

 

プリペイドSIMが購入できる場所はどこ?おすすめと注意点

Vip mobileのようにオンラインで購入できる場合もありますが、実際に足を運んで買いたい場合は、どこに行けばよいのでしょうか?

セルビア国内でSIMカードを購入できる場所は大きく分けて、通信キャリアの店舗キヨスクの2つがありますが、旅行客の方には前者をおすすめします。キヨスクは365日24時間営業しているニューススタンドで、飲み物やお菓子、新聞などが売られている場所で、SIMカードも販売されています。

(街中で見つけることができる”Moj Kiosk”)

しかしキヨスクに置かれているSIMカードは現地で暮らしている人に向けたもので、上記で取り上げた短期滞在の旅行客向けのSIMカードは、キヨスクには置いていないことが多いため、通信キャリアのショップに出向いて購入するのがおすすめです。

(キヨスクなどで販売されているSIMカード”MOJ PRIPEJD” 説明書はセルビア語のみ)

店頭ではお店の人にプランや料金を詳しく確認した上で購入できるというメリットがあります。キヨスクではセルビア語しか通じない可能性がありますが、ショップで働いている店員の方は若い方が多く、英語が通じる可能性が高いです。

各社が提供しているプランによって、使用できる期間やデータ容量が異なりますが、同じ会社の同じプランの場合は、公式ショップで購入すれば金額が変わるということはありません。しかしながらべオグラードのニコラ・テスラ空港でもプリペイドSIMが販売されており、通常よりもかなり高額での販売が行われているとの情報があります。トラブルを避けるため、空港では購入せずにショップへ行くのがもっとも安全な方法かと思います。

 

ショップに行ってみよう!

使用したいプリペイドSIMの種類が決まったら、実際に店舗に足を運んでみましょう。

首都ベオグラードでは、どの通信キャリアの公式ショップも、繁華街のクネズミハイロバ通りをはじめ街の中心地に店舗がいくつかあり、見つけるのはとても簡単です。

MTSのショップ情報

MTSの「Tourist SiM」を購入するため、MTS Beograd – Lola 2店(住所:Bulevar Kralja Aleksandra 84)を訪れてみました。

(MTS Beograd – Lola 2店の外観)

セルビア全体ではクレジットカード文化があまり浸透していませんが、こちらの店舗ではVISAやMastercard、American Expressのカードが使えます。

店内は清潔に保たれており、相談カウンターや新機種のデバイスがディスプレイされていたりと、日本の通信会社のショップとあまり変わりのない雰囲気でした。入り口付近に番号札の発券機が設置されている場合は、タッチパネルのボタンを押して発券します。

(店内の発券機)

画面では選択できるボタンのうち、「Mobilna telefonija/ Fiksna telefonija/ Internet/Televizija」と書いてある方を選びます。

ボタンを押すと番号札が出てきます。

番号札の上のディスプレイに、順番が表示されています。KLIJENTは番号札の順番RADNO MESTOはお店の方が対応してくれるブースの番号です。

待ち時間はお店の混雑状況や時間帯によりますが、30分以上、ときには1時間弱待たされることもありますので、時間に余裕を持って訪れましょう。

自分の順番が来たら、お店の人に希望の短期滞在者向けのSIMカードを伝えると、バックヤードから持ってきてくれます。(セルビアには旅行客自体がそれほど多いわけではなく、この日もお店には地元の人ばかりでした。お店の方もTourist SIMの存在について詳しく知らない場合がありますので、ご注意ください。

(3日間有効なTourist SiM)

お店では希望すれば持参したスマートフォンにSIMカードをセットしてくれます。他の国と同様、SIMカードのサイズはSIM(miniSIM)、microSIM、nanoSIMの3種類があり、任意のサイズにカットできるようになっていますが、お店で購入した場合には、この作業をしてくれることになります。また、カードを取り外しの際に必要なSIMピンを忘れたときはお店の人に頼むとよいでしょう。手続きにあたっては、スマートフォンの言語設定が日本語になっているとお店の人が苦労してしまいますので、あらかじめ英語にしておくと親切だと思います。

手続き自体は10分程度で完了します。書類の記入などもないため、簡単に手続きを済ませることが出来ます。SIMカード購入の際には、身分証の提示が求められない場合もありますが、万が一に備えてパスポートを忘れないようにしましょう。店頭で支払いを済ませますが、支払い方法は現金かクレジットカードから選べます。

ベオグラード市内で旅行客がアクセスしやすいMTSの店舗は下記のとおりです。

  • クネズミハイロバ通り、繁華街にある店舗(住所:Knez Mihailova 1-3)
  • ホテルモスクワのすぐ近く、テラジイェ店(住所:Terazije 24)

また、セルビア全土のショップの情報はこちらhttps://mts.rs/Privatni/Korisnicka-zona/Kontakt/Kako-do-nas)を確認することができます。営業時間は店舗によって異なりますが、例えばクネズミハイロバ通りのショップは9時〜21時までと朝から夜遅くまで開店しており、さらに日曜日も営業しています。しかしショップによっては土曜日の営業時間が短い場合や、日曜日は休業の場合がありますのでご注意ください。

次に、他の2社のショップでアクセスしやすい場所をご紹介します。

Telenorのショップ情報

Telenorの場合も繁華街や旅行客の多いエリアにショップがあるので安心です。

  • クネズミハイロバ通り(住所:Kneza Mihaila 24)
  • 聖サヴァ大聖堂とホテルモスクワの中間地点にあるショップ(住所:Kralja Milana 25)

(Kralja Milana店)

Telenorのショップを探したいときは、こちらのページhttps://www.telenor.rs/en/consumer/support/shop-locations/)を参考にしてください。各店舗の位置や営業時間も確認できます。

Vip Mobileのショップ情報

旅行客が足を運びやすいクネズミハイロバ通りには2店舗あります。

  • Vip centar(住所:Kneza Mihaila 9)
  • Vip centar – Rajićeva shopping center(住所:Kneza Mihaila 54)

他には、

  • スラヴィア広場のマクドナルドの近くにも店舗があります。(住所:Nemanjina 36)

(Nemanjina店)

Vip Mobileのショップを探したいときは、こちらのページhttps://www.vipmobile.rs/o_vipu/prodaja/prodajna_mesta)で検索できます。こちらも営業時間が店舗によって異なり、土日は短縮営業か、日曜日は休業の場合がありますので事前にお確かめの上、来店されることをおすすめします。

ここまで、旅行客が訪れやすい首都ベオグラードのショップを取り上げましたが、いずれの通信会社のショップも各都市に存在しますので、よほどの田舎でない限り、見つけるのに苦労することはないかと思います。

 

SIMカードを挿入してみよう

ここではMTSの3日間有効なSIMカードを例にあげて説明します。

MTSの場合、パッケージから取り出すとプラスチックのカードが出てきますが、このカード裏面の上部右側に電話番号が書かれてあります。064からはじまる10桁の番号です。チャージするときにはこの番号が必要となります。

まず自分のスマートフォンのSIMカードにあったサイズに切り取ります。

SIMピンを使って中に入っているカードを取り出します。

(もともと入っていたSIMカードはMTSのものでした)

こちらのタイプのスマートフォンは2枚のSIMカードを入れられるデュアルタイプのものでした。
microSDカードを外してできた空間に今回新しく入れるほうのSIMカードをセットしました。

無事にセットできると、発信画面には、どちらの電話番号からかけるか、選択できるボタンが現れました。

データ容量の確認や追加チャージをしたい場合は、「*300# 」の番号に発信します。この番号は英語での案内ですが、「*100# 」はセルビア語での案内となります。

発信後、選択画面がでてくるので、さらに番号を押して必要な情報を確認します。

英語での案内「*300# 」はセルビア語「*100# 」よりもつながりにくいような気がしました。接続に少し時間がかかることもあります。

以上、MTSのSIMカードを使ったケースをご紹介しましたが、通信会社によって、チャージや残高の必要な発信番号は異なります。

必要な番号はカードのパッケージに書いてあるはずですので、こちらもあわせてご確認ください。

 

追加料金をチャージしたいときはどうする?

料金をチャージする必要があるときは、キヨスクに行くのがおすすめです。

通信会社のショップでももちろんできますが、待ち時間が長いことが想定されます。いずれの場合も、電話番号とチャージしたい料金を伝えるだけで大丈夫です。キヨスクでは若い店員さんの場合は英語が通じる可能性がありますが、場合によってはセルビア語しか通じないということもあるでしょう。

数を表すセルビア語と会話表現は下記のとおりですので、いざというときには参考にしてください。発音は難しくないので、カタカナの通りに読めば大体通じます。自信のない人は電話番号を紙に書いて渡すのも手段の一つです。

0 = nura(ヌラ)、1 = jedan(イェダン)、2 = dva(ドゥヴァ)、3 =tri(トリ)、4 =četiri(チェトリ)、5 = pet(ペット)、6 = šest(シェスト) 、7 = sedam(セダム)、8 = osam(オサム)、9 = devet(デヴェット)

<キヨスクで使える会話表現>
*チャージしたいのですが:Hteo/htela bih da uplatim kredit na moj mobilni telefon.
(フテオ/フテラ ビフ ダ ウプラティム クレディト ナ モイ モビルニ テレフォン)
男性の場合はhteo、女性の場合はhtelaを使います。

*(店員)いくらチャージしたいですか?: Koliko želite da uplatite?
(コリコ ジェリテ ダ ウプラティテ)

*250ディナール分チャージしたいです。: Hteo/htela bih da uplatim 250 dinara.
(フテオ/フテラ ビフ ダ ウプラティム ドゥヴェスタペデセット ディナラ)

*(店員)電話番号は何番ですか?: Koji je vaš broj?(コイ イェ バシュ ブロイ?)

*私の番号はxxxです。: Moj broj je xxx(モイ ブロイ イェ xxx-xxxx-xxx)

 

各社のスマートフォン用のアプリがあり、アプリにクレジットカードの情報を登録してチャージをすることもできるのですが、言語設定がセルビア語のみであったり、旅行客向けではありません。

今後アプリの使い勝手が改善される可能性もありますが、現時点ではキヨスクに行くのが最もシンプルな方法です。

 

旅の味方、セルビアのSIMカードまとめ

今のところ、旅行者の方がセルビア国内でインターネット環境を整えたいというとき、現地でプリペイドSIMを購入するのが通信費を最も安く抑えられる方法です

各プランの条件や料金などは今後変更になる可能性もありますので、MTS、Telenor、Vip Mobile各社のWebサイトで情報をうまく収集していただければと思います

セルビアでは首都ベオグラードでは英語が通じる場合も多いですが、年配の方との会話や、他の都市に行った場合は、セルビア語しか通じないこともあるでしょう。またレストランではセルビア語のメニューしか置いていないことも。そんなときはインターネットに常に接続できる状態にしておき、単語の意味を調べたり、翻訳アプリを使うことができたりすると安心ですよね。

SIMカードをうまく使いこなして、セルビアの旅を存分に楽しんでいただければ幸いです。