ヨーロッパの中央に位置する、旧ユーゴスラビアの国、セルビア
時計回りにハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、マケドニア、コソボ、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチアに囲まれた内陸国です。
かつての内戦のイメージを持つ方も多いかもしれませんが、現在は治安も安定しており物価が安く、日本人にフレンドリーなため旅行で訪れるのにもおすすめです。旅行の際には交通機関を上手に使って、快適に効率よく移動したいもの。
しかしながらセルビアの交通機関は観光客には使い方がわかりにくい点も多くあります。
この記事ではセルビアで利用できる交通機関の種類と、それぞれの手段を利用する際の注意点、メリットとデメリットをご紹介していきます。
バスorタクシー、空港についたら乗るのは?
セルビアは国土面積が北海道ほど、人口が埼玉県と同じくらいの小さな国で、空港は国内に1つしかありません。セルビアの著名な発明家の名前を冠した「ベオグラード・ニコラ・テスラ空港」が首都のベオグラードにあります。
空港に着いたらまずはベオグラードの中心部に出たいというとき、空港からの距離は約18kmで、移動手段はタクシーとバスの2つがあります。荷物が多い場合やホテルに直行したいときはタクシーの方が便利ですが、料金がバスの6〜7倍しますので、地元の人はほとんどバスを利用します。
各交通機関の運賃の支払いについては、セルビアではクレジットカード文化がさほど浸透していないため、まずは現地の通貨(ディナール)でのお金を用意していることが前提となります。空港には両替所がありますが、日本円からディナールへ直接両替はできないため、あらかじめ円をユーロかUSドルに交換しておいた方が良いでしょう。1ディナールはほぼ1円(1.06円程度)です。
便利だけど割高なタクシー
空港に到着しロビーに出ると、タクシーの客引きの方たちが声をかけてきます。中年男性の場合が多いですが、彼らは外国人旅行客を狙っており、通常の5~10倍ほどの高額な料金を請求してくることがありますので、利用しないほうが賢明です。
タクシーを利用するときは、空港ロビー内にある「TAXI INFO」に行って申し込みをします。黄色と黒の看板が目印で、24時間営業です。出迎えの人や客引きで混雑している場合は見つけづらいのですが、到着口から見て真正面にある両替所(赤い看板)の左隣にあります。
カウンターで行き先を告げると、係りの人が料金を計算し、行き先と支払うべき金額が書かれた引換券をくれます。そして空港の到着ゲートから出た先、「TAXI POINT」という看板が立っている場所で待機しているタクシーを案内してくれます。運賃はカウンターでは支払わず、ドライバーへ引換券を見せて支払うシステムになっています。料金は行き先によって異なりますが、ベオグラードの中心部へ向かう場合だと、2,000ディナール(=約2,120円)ほどが相場です。
家族連れでの移動など人数が多い場合、荷物が多いときにタクシーを利用している人が多いです。
約300円で乗れるリーズナブルなバス
空港の到着ゲートを出ると、左手に「A1」と書かれたバス乗り場を見つけることができます。
たいていは席数が少ないミニバスで、予約制ではなく先着順です。乗客が多い場合は立って乗ることになります。
バスは土日祝日にかかわらず早朝から深夜まで出ていますが、夜間になると本数は減ります。
7時20分から18時40分までは20分おきにバスがあり、そのあとは本数が減り、19時30分、 20時30分、22時、23時、 0時、1時、2時、5時、6時の便があります。
チケットは定額で1人あたり300ディナール(=318円)と、安価な値段で購入することができます。
運賃の支払い方法は、ドライバーの方がバスの外で待機している場合には、チケットを購入してからバスに乗り込みます。ドライバーの方が見つからない場合はバスに乗ってから発車前に支払います。
支払いを済ませるとピンク色のチケットを渡してくれます。
スーツケースは車内に持ち込みますが、運転手席の右隣のスペースは荷物をまとめて置くスペースになっています。
乗車時間は30分ほどで、途中、上限速度が時速100kmの高速道路を走り、市内の中心部までは直通なので、タクシーを利用した場合のスピードと比べても差はほとんどありません。
このA1バスはノヴィ・ベオグラードのフォンタナバス停留所(住所:Pariske komune)、ベオグラード中央鉄道駅(住所:Savski trg 2)を経由し、スラビヤスクエア(住所:Trg Slavija)が終点です。ベオグラード中央鉄道駅またはスラビヤスクエアで下車する乗客がほとんどです。
黄色の大きな建物が目印のベオグラード中央鉄道駅で下車すれば多くのバス停があり、ここからさらに路線バスに乗ることもできますし、タクシー乗り場もあります。
(※ベオグラード中央鉄道駅は移転計画によって、現在は鉄道駅としての機能は果たしていません)終点のスラビヤスクエアではヒルトンホテルの目の前が降車場所です。
さらに割安なバスも
上記のミニバスを使わず、路線バスで中心部にアクセスする方法もあります。
到着ゲートから一つ上の階に出て、第1ターミナルの出口を出ると「72番」のバス停を見つけることができます。
こちらのバスではゼレニ・ベナッツ広場(Zeleni venac)方面に行くことができます。所要時間は40〜45分ほどで、停車駅が多いためA1バスよりは時間がかかります。
運賃は車内で現金で支払うことができます。その場合運賃は150ディナールです。(※普通の路線バスと同じなので、後述する「BUS PLUS」での支払いもできます)
72番のほかに、ノヴィ・ベオグラード(サヴァ川の左岸にある新市街)方面に行くことができる607番のバスも出ています。
いずれも運賃が安い反面、時間がかかることとバスの本数が少ないことが難点です。
空港からの移動手段のまとめ
金額の差が大きいタクシーとバス。バスに比べ割高なタクシーは、それに見合うだけのメリットがあるわけではありません。
コストパフォーマンスを考えると、A1バスの利用がおすすめです。停留所のベオグラード中央鉄道駅やスラビヤスクエアの近くにはホテルも多くあります。スムーズに行動したいときは、このエリアで宿を予約しておくのも賢い方法の1つでしょう。
ベオグラードの街中で便利に使える交通機関は?
ベオグラードはヨーロッパ最古の都市の1つと呼ばれ、紀元前からの歴史を感じられる要塞やセルビア正教会の美しい建造物もあります。
市内に点在している主な観光スポットを効率よく巡るためには、バスや「トラム」と呼ばれる路面電車、タクシーなどの交通手段を上手に使うことがポイントです。
日本と比べると格安なタクシー
まず旅行客が利用する交通機関として、もっともハードルが低いのがタクシーです。
タクシーの乗り方は日本と同じように走行中のタクシーに対して手をあげて拾う方法、タクシー乗り場に行ってそこから乗車する方法があります。
運賃は日本よりも安く、各社共通で下記のとおりとなっています。乗車するのが日曜や祭日だったり、22時を過ぎる場合、またベオグラード郊外に出るときには少し高めになります。
・月曜〜土曜(祭日除く)6時〜22時
初乗り運賃 170ディナール(約180円)、1kmあたり65ディナール(約69円)
・毎日 22時〜6時
初乗り運賃 170ディナール(約180円)、1kmあたり85ディナール(約90円)
・ベオグラード郊外に出るとき
初乗り運賃 170ディナール(約180円)、1kmあたり130ディナール(約138円)
例えば日中にベオグラード市内の約6kmの区間をタクシーで移動した際には、500〜600ディナール(約540〜648円)ほどかかります。
チップを渡す場合は運賃の5%程度ですが、必須ではありません。上記はベオグラードでのタクシー料金で、セルビア国内の他の都市ではさらに安く乗車できます。
タクシーを使うときはこんなことに注意!
日本と比べるとタクシー料金はリーズナブルですが、ドライバーの運転が荒いことがあります。乗ったら必ずシートベルトを装着しましょう。日本では車酔いしないという人も、ベオグラードでは注意した方が良いです。
タクシーに限ったことではありませんが、路上での交通事故件数はかなり多く、ベオグラードだけで1日に40件起きているとも言われています。渋滞するとクラクションを鳴らすのも日常茶飯事で、車間距離もかなり近いので最初はびっくりすることもあるかもしれません。
タクシーの車内は清潔で快適に過ごせたり、そうでなかったり、当たりはずれも大きいところが難点です。メーターのほか、大半の車にはナビも搭載されています。
多くの運転手は英語が通じますが、英語が通じないケースに備えて行き先の名称や住所をメモしておくと安心です。外国人であることがわかると通常よりも高い料金を請求される可能性もありますので、メーターに表示される金額をよく確かめるよう注意してください。
実はアプリを使う方法も
「CAR:GO」というUberに似た配車アプリ(https://appcargo.com/)を使う選択肢もあります。
言語は英語なのでセルビア語ができなくても安心です。料金は1回の利用でアプリの利用代が61ディナール、1kmあたり59ディナール、1分あたり6ディナール。最低乗車料金は289ディナールです。料金はこのアプリを利用したときの方がおおむね安く済みます。22時を過ぎてからタクシーを利用する場合には確実にお得です。
さらにぼったくりの可能性がほとんどないため、旅行客が使うのにも安心です。アプリに乗車地点と目的地を入力すると、概算の見積もりが出るのであらかじめ金額も把握できるという利点もあります。運賃の支払いは乗車後、事前に登録しておいたクレジットカード(Mastercard、Visa)から支払われる仕組みになっています。
利用者側にとっては便利なサービスなのですが、2018年に既存のタクシー会社のCAR:GOに対する不満が噴出、ストライキが起こる騒ぎに発展し、タクシー会社と政府との話し合いが持たれました。CAR:GOのドライバーはセルビアのタクシー運転手に必要な特別な免許証を持っていないということもあり、今後このサービスが禁止され、利用できなくなる可能性があります。
ベオグラード市民がよく利用するバス
市内を走るバスはGSP(ベオグラード交通支局 http://www.gsp.rs/)が運営しています。ベオグラードのバスを語る上で欠かせないのが「ヤパナッツ」と呼ばれる黄色いバスです。ヤパナッツはセルビア語で「日本人」を意味します。
1990代の紛争後、経済的制裁を課せられたセルビアに対して、2003年に日本政府による無料資金協力が行われ寄贈されたバスであることから、このような名前がついています。バスの側面には日本とセルビアの国旗が描かれています。
他のバスのほとんどは赤色ですが、サイズは2車両が連結したタイプだったり小さめだったり、サイズや内装はばらばらです。架線からの電気を動力源としたトロリーバスも走っています。
バスを利用するにはまず、車内では現金で運賃を支払うことが基本的にできないため、事前に「BUS PLUS」と呼ばれるICカードを購入し、必要な料金をチャージしておく必要があります。
片道料金は89ディナール(約94円)で、90分が有効な時間です。この90分は乗車後読み取り機にタッチしてからカウントされます。BUS PLUS1枚でバス、トラム、トロリーバスすべてに対して使うことができ、90分以内なら何度でも乗り継ぐことが可能です。
バスが利用できるエリアには第1ゾーンから第4ゾーンに分かれており、上記の条件は第1ゾーンのみで適用になりますが、観光で訪れる場合は第1ゾーンの範囲内に収まりますので、他のゾーンのことは気にしなくて大丈夫でしょう。
BUS PLUSは片道料金で購入できるほか、1日間乗り放題のチケットが290ディナール(約307円)で購入できます。そのほか、740ディナール(約784円)で3日間有効、1040ディナール(約1,105円)で5日間有効のチケットを購入することもできます。
また1枚のカードで複数人分の運賃の支払いに使うこともできます。
上記のカードを購入、チャージできる場所は「キヨスク」と呼ばれる小さな売店で、飲み物やお菓子、たばこ、新聞紙や雑誌なども売られています。キヨスクはバス停のすぐ近くにあることもありますし、街中には数多くあるため探すのに苦労はしません。基本的に毎日24時間営業しています。
売店の中にいる方に声をかけ、カードを購入します。しばらく待つと、レシートとともにカードを手渡してくれます。
バスのルート、到着時間を確認する方法は?
バスの路線図が掲示されているバス停もありますが、汚れて読みにくかったり、設置されていない場合も多くあります。
路線図は下記のサイトで確認することができます。
街中で印刷された路線図が入手できる場所はないため、必要な場合は事前に印刷しておくことをおすすめします。
http://www.belgrademaps.com/en/
バス停ではWiFiに接続できることもあり、例えばMoovit(https://moovitapp.com/)などのアプリで出発地と目的地を入力してルートを確かめることもできます。ただしルートが複雑でわかりにくい場合もあるため、自信のないときにはホテルで尋ねたり、人に聞くほうが早いこともあります。
セルビア人は外国人には優しいため、街中でもたいていの場合は親切に教えてくれるでしょう。英語で尋ねたい場合は若い人のほうが英語が通じる可能性が高いです。
バスは終日運行していますが、夜間は本数が減ります。バス停によっては時刻表が掲示されていることもありますが、時間通りにバスがやって来ることはまずありませんので信用しないほうが良いです。
バスの本数は多いため、何十分もバスが来なくて困った、ということまれです。
バスがいつ来るか確かめる方法はありますが、残念ながら現地で発信ができる携帯電話・スマートフォンを持っている場合にしか使えません。もしも現地で手配することがあれば下記を参考にしてください。
- バス停の看板などで、バス停に割り振られている番号を確認します(下の写真の場合は「149」)
- 「*011*(バス停の番号を入力)#」、発信します
- 携帯電話・スマートフォンの画面に、それぞれのバスがあと何駅で到着するかが表示されます
バスの乗り方と降り方のコツ
街中にあるバス停は見つけやすいですが、セルビアでは車は日本と逆で右側通行のため、バスの進行方向やバス停の位置にご注意ください。
車体には前・中央・後ろに1つずつドアがあり、どの入り口からでも乗車することができます。
日本と同じように降車する人を待ってから車内に乗り込むのがマナーです。
まずは入り口付近で、手すり部分に設置してある液晶画面のついたカードの読み取り機械を見つけます。最初の画面では下のように表示されています。
この状態で、液晶ディスプレイの下、電波と手のマークがついている箇所に、カードの裏面の磁気ついた箇所をタッチさせます。
問題なく読み取れれば、画面が緑色に切り替わり、ЗОНА(=利用ゾーン)、БРОЈ КАРТА(=残りのカードの枚数)、ВАЖИ ДО(=有効期限)、КРЕДИТ(=残高)が表示されます。
写真では往復のチケット分をチャージしたので、残りのカード枚数は「1」と表示されています。
誤って複数回タッチしても、その分運賃が差し引かれることはありません。必要以上にタッチした場合は黄色に切り替わります。
液晶画面の右上、「ENG」の部分をタッチすると英語表記に切り替えることもできます。
複数のバスやトラムをを乗り継ぐ場合は、乗車するたびにタッチします。
1枚のカードに複数人分のカードをチャージして使用する場合は、まず画面の右上にある「групна карта」のボタンをタッチします。
次の画面で数字が表示されるので、利用する人数のボタンをタッチします。5人まで選択することができます。
次に、利用区間の選択画面が表示されます。第1ゾーンの赤いボタンをタッチしたあとで、読み取り部分にバスカードを接触させます。
しばしば乗客がチケットを所持しているかどうか、運賃をきちんと支払っているかを確認するため、検査する人がやってきます。このときに料金を支払っていないことが発覚すると、罰金を支払わなければなりません。
検査官の方がやってきた来た際にはカードを手渡し、その方が持っている機械で読み取ってもらえばOKです。
バスに乗車した際、旅行客以外でICカードをタッチしている人を実はほとんど見かけることがありません。
これはもちろん他の乗客が無賃乗車をしているのではありません。月額制のICカードを使用しているからで、この場合は毎回タッチする必要がありません。
車内では日本と同じように優先席があり、お年寄りや妊娠している方、身体に障がいのある方には席を譲る文化があります。車内では原則的に飲食禁止です。特に注意書きはありませんが暗黙の了解となっています。
携帯電話やスマートフォンで話をするのは問題ありません。車内ではバス会社が提供しているWiFi(TAQOO)がキャッチできることもあります。残念ながら、バス停の名前を告げるアナウンスはセルビア語のみで聞き取りづらいです。
車内には降車を知らせるボタンがありません。ボタンらしきものがある車両もありますが機能していないので押さないようにしましょう。各バス停には必ず停車しますので、降りる駅をバスの運転手の方に知らせる必要はありません。
ドアがすぐに閉まることがあるので、モタモタしていると降りれない可能性があります。スムーズな降車のため、目的のバス停が近づいたら出口付近に移動しておきましょう。
バスを利用するときの注意点
日本のバスと比較するとかなり運転が雑なため、車内での揺れには注意が必要です。また車両の故障も多く、途中で止まることもしばしばあります。特に注意していただきたいのは混雑した車両です。日本の山手線の満員電車並みに混み合うことがあります。
ベオグラードでは凶悪犯罪は少なく治安はとても安定していますが、観光客がひったくりの被害にあうといったことをよく耳にします。身動きの取れない車内では被害にあってもおかしくありません。混雑した車両は見送り、次のバスを待つ方が無難です。
また、2019年4月現在、毎週土曜日の夕方には現政権に対するデモ活動が行われています。デモは2018年の秋頃から開始され、今後も継続的に行われる可能性があります。平和的に行われていますが、その時間帯にはバスが利用できなかったり、道が非常に混雑することもありますのでご注意ください。
レトロでカラフルなトラムも
バスのカードはトラムでも利用することができます。
乗り方もバスと変わらず、乗ったらICカードをタッチします。バスと同様にWiFiが利用できることがあります。車体の色は基本的に赤色ですが、たまに緑やクリーム色だったり、車体のデザインが少々異なりますが、どれもカラフルでバラエティに富んでいます。日本の電車のように色によって路線がわかるというようなことはありません。
地下鉄も実は「BUS PLUS」が使えます
あまり知られていませんが、地下鉄という選択肢もあります。
ベオグラード郊外に住んでいる人が通勤のために利用することが多く、観光で訪れる方が使うことは少ないです。便利なところは前述のBUS PLUSが利用できることで、料金体系も同じです。
主要駅はサヴァ大聖堂の近くのカラジョルジェ公園、ノヴィ・ベオグラード、ゼムンなどです。
路線図は下記の右上の点線で囲まれている部分を参考にしてください。https://beovoz.rs/srbija_mapa_putnicki_vozovi.pdf
改札ゲートにはバスと同じようにICカードをタッチする画面が用意されているので、カードを接触させてゲートを通過します。
駅によっては改札ゲートが故障しており、カードをタッチする必要がない駅もあります。
ホームには列車の到着時間が表示されており、大概時刻どおりに列車は来ます。
車体にはグラフィティが全面に描かれていることもあり、日本では信じられないような見た目ですが、内部は意外に清潔だったりします。
車両に乗り込む際、数段の階段がありますが段差が急な場合があります。
また乗車する時は、列車とホームの間に距離がありますので十分気をつけてください。降りる時はバスと同じように、出口付近で待機するのがポイントです。
道を歩くときも気をつけて
街自体が小さいので、短い距離であれば歩きで移動する方が効率的な場合もあります。
例えば人気のある観光スポットの2つ、サヴァ大聖堂からカレメグダン要塞までは3kmですので、歩けない距離ではありません。
ただし特に旧市街はアップダウンがかなり大きく、道にかなり凸凹があるため、歩きでの移動は思ったより体力を消耗しがちです。道を歩くときも油断は禁物です。工事現場で仮囲いが十分でなかったり、1990年代に爆撃を受けた建物も残っていたりします。
基本的に何か起きても自己責任という文化なので、徒歩移動のときには障害物に気をつけてください。
特に注意が必要なのは、信号機のない横断歩道を渡るとき、渡る意思を見せないと車は止まってくれません。車が猛スピードで近寄ってきて停止線ギリギリか線を超えて急停車、という運転スタイルが普通なので、横断歩道を渡るのも最初は勇気がいるかもしれません。
また、歩行者の信号無視は見つかると罰金を支払わなければなりませんので気をつけてください。
またベオグラードはコンパクトな街なので、自転車で移動できたら便利なはずですが、路上は歩行者と車とで入り乱れ、自転車が通りやすいような道路ではありません。
ベオグラードの街中を自転車で移動する人は少数派で、残念ながら観光客用への自転車の貸し出しサービスも今のところありません。
市内で使える交通機関のまとめ
観光で訪れる人にはタクシーがもっとも便利な移動手段です。
2人または3人で移動するときには、タクシーを使えば1人あたりの運賃がバスの運賃より安く済むこともあります。
一方、バスやトラムには日本並のサービスを求めるとがっかりされるかもしれませんが、レトロな車両に乗り込むと、セルビア語のおしゃべりが聞こえてきたり、時間に追われていない現地の人々の暮らしぶりが垣間見えたりして、セルビアらしさを感じられる旅の醍醐味があります。
ベオグラードから他の都市へ行くためには?
ベオグラードから他の都市や国に移動する際、バスと電車の2種類の方法がありますが、ほとんどの人はバスを利用します。
電車の方が運賃が少々安いものの、駅までのアクセスが悪いことに加え、バスよりも時間がかかり、予定時刻よりも遅れがちなこともあって、人気がありません。
長距離バスの乗り方
ベオグラードからの長距離バスを使えば、セルビアの他の街(ノヴィ・サド、クラグイェヴァツ、チャーチャック、ニシュなど)のほか、旧ユーゴ圏の主要都市(ボドゴリッツァ、ザグレブ、サラエヴォなど)やオーストリアのウィーンなどへも向かうことができます。
ここではセルビアの第二の都市、ノヴィ・サドに行く方法についてご紹介します。
チケットの入手方法については、乗車日より前にもチケットを購入することができますが、購入するためにはバスターミナルに出向かなければなりません。バスが満席になって乗れない、ということはめったにないため、乗車日当日に購入することが一般的です。
まず、バスターミナル(住所:Železnička 4)に向かいます。
時刻表は事前に(http://www.bas.rs/basweb_eng/RedVoznje.aspx?lng=en)で確認することができますが、ターミナルに掲示されている場所もあります。
到着したらチケットカウンターに向かいます。
どのカウンターでもOKです。行き先と希望の乗車時間を告げてチケットを購入します。
チケットの左側部分には、目的地や出発時間、乗り場の番号など必要な情報が印字されていますが、セルビア語(キリル文字)で書かれていますので下記を参考にしてください。
Датум = 日付
Време = 時間
Перон = 乗り場番号
Кола = 車両番号
Седиште = 席番号
Цена = 金額
Cт уsлуга = サービス料金
Резервац = 予約料金
Укупно дин = 運賃合計
チケットの右側部分はあとでバスの運転手さんに渡すことになります。
チケット購入時に金属製のコインを渡されるのですが、コインは改札ゲートを通る時に必要となりますので、なくさないようにしましょう。
改札ゲートにはコインの挿入口もあるのですが、機能していないこともあるので、改札にいる係員の方にコインを渡したほうが安心です。
チケットの「Перон」の欄に書いてある番号の乗り場を探し、バスを待ちます。
バスが来たら運転手の方にチケットを提示し、乗車します。
席はチケットの「Седиште」の欄に書いてある番号を確認して座ります。
ノヴィ・サドまでの運賃は片道750ディナール(約810円)でした。
チケット代金は往復で購入した方が2割ほどお得となりますが、帰りの便の時間をあらかじめ決めておく必要があります。往復チケットを利用する場合には、目的地へ到着したのち、最寄りのバスカウンターへ行き、往復チケットでの利用である旨を伝えると、レシートを発行してくれます。
帰りのバスに乗車する際にこのレシートを提示する必要があるので持っておきます。
電車を使う方法も…
電車を使う場合は、まずベオグラード中央駅(住所:Prokop)へ行く必要があります。これは前述のベオグラード中央鉄道駅とは異なりますので注意してください。近年、駅までのアクセスが悪くなったことが原因で、地元の人でも利用する人は少なくなってきているそうです。
路線図は下記に詳しくあります。
https://beovoz.rs/srbija_mapa_putnicki_vozovi.pdf
ベオグラードからはノヴィ・サドやニシュなどの他市、さらにハンガリー、オーストリア、ブルガリアなど他国へ行ける路線がありますが、ベオグラードとノヴィ・サドを結ぶ区間は2019年2月から約1年間、改修工事のため運行を休止しています。
チケットの購入にあたっては事前に席を予約しておくこともできますが、直接駅に行くか代理店で申し込む必要があります。
時刻表はこちら(http://www.srbvoz.rs/eng/timetable.html)で確認できます。
運賃は長距離バスと比較すると、少し安いか同程度です。例えばベオグラードからニシュへ行く場合には、運賃は座席によって異なり、ファーストクラスの1226ディナール(約1,300円)か、セカンドクラスの834(約884円)ですが時間は5時間ほどかかります。
長距離バスを利用した場合だと運賃が1,100ディナール(約1,166円)、時間は3時間ほどなので、たいていの人はバスを選びます。
駅までのアクセスが悪い上に、バスよりも移動時間が長いことを考えると、あまりメリットのない交通手段です。
セルビアの交通機関まとめ
以上、セルビアで利用できる交通手段とその注意点をお伝えしました。
外国人旅行客にとってはなかなか使い方がわかりにくいセルビアの交通機関ですが、必要な情報を得ていればスムーズかつ安全に使いこなすことができるはず。
セルビアを旅するメリットは物価が安いこと、治安がよく親日国であること、セルビア人の心の温かさ、美味しい肉料理、レート換算が簡単なことなどが挙げられます。うまく交通機関を使って、セルビアでの旅をぜひ楽しく過ごしていただければ幸いです。
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