SE研修が終わり、私の配属先での最初のお仕事は以下の内容でした。
「実際に社内で使われるプログラムを5000Step開発すること」
はて?、普通この規模の企業だと、自社でプログラムは作らず外注しかしない、と思っていたのですが…かなり予想と違いました。
私が入社した日立製作所はSIerとしても知られていますが、ほとんど一次受けしかせず、実際の作業は二次受けに丸投げして管理だけをやっている。状態でした。
それにも関わらず、与えられた仕事内容はプログラムを5000Step開発する。というものでした。
大手電機メーカーで行ったプログラミング:ものづくり実習
新入社員にプログラミングをさせる理由は「ものづくりを実際に行い理解しておくこと」というものでした。
これは「ものづくり実習」と呼ばれ、「製造業の社員なら、自ら手を動かして製品を作り上げた経験は必須。しっかりと経験と理解をしていて欲しい。」というものが当時の事業部トップの狙いでした。
この仕組みは他の会社でも採用しているケースが多く、例えば大手システムベンダーであるJSOLなども、最初にコーディングや単体テストなど開発を経験させる風習があります。
懇親会で同期が事業部長と喋り、
同期「SEとして成功するにはどんな資格を取れば良いですか?」
事業部長「資格なんか今は考えなくて良いから、とにかくアプリを作れ。」
と言われていました。
このように、大手と言えども技術や現場仕事の大切さが浸透している会社であり、情報システム関連の新入社員(一部除く)は1年目に実際に開発を行うことになります。
ものづくり実習の内容
私が任された作業はプログラムだけではなく、以下のようなシステム開発における中~下流の工程を一通りやるというものでした。
- 基本設計
- 詳細設計
- 開発・単体テスト
- 結合テスト
私はプログラムは得意だったため、このタスクにはかなり乗り気でいましたが、上流工程のみでまったりやりたい、と考えていた同期はかなり面喰っていたようです。
配属される部署によって多少内容に差異があり、要件定義から始める場合もありました。
要件定義はかなり内容が厳しく、部長のレビューを何ヶ月も通過できない者もいました。
この部門では、新人のノルマとして必ず実施しているようで、期末に事業部長の前でパワーポイントを用いて成果発表をするというオマケまでついています。この発表が本当に厳しく、毎年病み気味になるものが続出していました。
大手電機メーカーでも新入社員にプログラミングをさせる理由と効果
このお仕事。完全に勘違いしていて後々悟ったことですが、実は趣旨はプログラムを作ることではなく、各工程の意味・重要性を身を以て体得することでした。
「なんだ、プログラムつくりゃあ良いんだろう」
と鼻歌交じりでしたが、本当に知ってほしかったのは、
- ユーザから案件を得ること
- 要望を設計に落とし込むこと
- 見積りを立てること
- スケジュール化し各工程を推進すること
これらの基本的な流れと難しさを知ることにありました。
当時の私はあまり気が回らず、とにかくサッサとコーディングして終わらすことばかりを考えていました。
テストを軽視する、関係者とのレビューを疎かにするなど、SEとしてやってはいけないことばかりしてしまいました。
成果物として、期限内に設計書の作成、コーディングを終えることで、
- JAVA:3000[Step]
- COBOL:2000[Step]
を難なく開発し、発表も無難に終わりましたが、本質は何も学べていませんでした。
上述の要素の大切さに気付くのは、次のプロジェクトに入った後の事でした。
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