2017年2月、勤めていた会社で希望退職の募集が出ました。

希望退職の話はテレビや新聞でも報道されましたが、内容に間違いはなく、組合も合意しました。削減人数は2000人であり人数の多さが物議を醸したことを覚えています。

なお、社名はこのサイトの情報をご覧頂くと大体ご想像がつくと思いますが、某家電メーカーです。

今回は希望退職が出た際の会社の動きについて一応社名は隠しつつ、内部で起こった事柄をまとめてみました。

希望退職説明会と面談を実施

報道が出て1週間もすると、リストラがじわじわと現実のものになってきました。

会社では40歳以上の方を対象に、希望退職の説明会が行われました。

退職希望者はその旨を部長に伝え、面談を行った上で、申し込み手続きに進みました。

それと同時に、会社側が退職させたい人に対しては、逆に部長が直接面談を行い、応募するように勧告をしていました

自ら退職を希望した/会社から退職を促された人は、部長と1:1で話をして、募集するかどうかを決定していました。

部長の性格にもよると思いますが、基本的には無理強いするのではなく説得になるので、本人が嫌と言えば退職にはなりませんでした。

実際、私のチームにも54歳の丸投げシステム担当がいましたが、9回面談をされてもガンとして首を縦に振らなかったようで、その後も会社に残りました。

一方で、自ら手を挙げた場合は好都合ということで、スキルのない人はそのまま応募できたそうです。ただ、会社側が「この人に抜けられたら困る」という場合は、希望退職届を出しても受理されませんでした。

 

会社側からのリストラ勧告:非営利部門や単純労働部門を狙い撃ち

会社側からリストラを持ちかけたケースですが、主に管理部門、労働内容が単純な部門が中心になりました。

労務や経理・システム部門は真っ先に狙われる

例えば、私が所属しているような企画や戦略立案に寄与しないコーポレート系部門です。

これらの部門は、ルーチンワークや業者への丸投げで生きている人もが多くスキルの幅がないので、会社側も真っ先に切ろうとします。

ただ、リストラされる側も、会社を辞めてしまうと大体は再就職不可能になることを分かっているので、必死に抵抗します。

特に、50代~など年齢を重ねるに連れて、どんどん状況は悪くなるため早期退職勧告を徹底して拒否します。

研究・開発に寄与しない現場系の部門・サービス部門も対象

続いて対象になるのは、研究・開発に寄与しない現場系の部門です。

具体的に、修理部品の手配や発送を行う部門やコールセンターなどが対象です。前者はスキル要らずで本当に単純労働を繰り返している人も多いのですが、給料は言うほど悪くなかったので、会社としては削減対象として狙ってきました。

希望退職を募ると誰が辞めるのか?

お荷物社員は決して辞めない

勝手な予想なのですが、私自身は、希望退職を募ると募集対象と関係ない人が辞める場合が多いのではないか、と考えています。

今回の希望退職のターゲットは大体が40~50代です。この年齢層は、採用人数も多いですし、景気が良かった時に給料が上がっており、コスト的にも重たいです。

 

一方、我々のような20~30代は、昇給が低く抑えられていますので、同じ職位でも2倍程度差が生じています。

加えて、職位という視点で見ると、私の会社では管理職になっていない40~50代が大勢います。

前職が「出世競争に負けたらドロップ(役職定年)」、というスタンスでそれがスタンダードだと思っていたため、今の会社にはかなりの違和感を覚えます。

年齢に応じた責任を果たさなくても雇用はしっかり確保してやる、というのが今の会社のようです。

40~50代でマネージャーでもない、特殊なスキルも持っていない、という方は、正直どこも欲しがらないのではないでしょうか。

ある程度大きい企業になると作業が細分化されており、本当にルーチンワークをしている人も多々見受けられます。そのくせ、給料だけは要求してくるため、私が採用する側だと確実に×を付けます。

ということで、この年齢層は容易に辞めない(辞めれない)と思われます。

事実、該当する年齢の方が周りにたくさんいらっしゃいますが、そんな気は毛頭ないそうです。椅子に座って偉そうにルーチンワークをしています。

反対に、スキルのある20~30代の方はただでさえ低い給料が更に下がり、未来も暗いということで、会社を去る割合が増えるのではないでしょうか。

そういう意味で個人を名指した解雇の方がより効果的に感じますが、それをやらないのが日本企業の優しさでしょう。採算の悪い事業部単位で切ることはあっても、特定の人を狙うパターンはあまり聞きません。

このへんが優しさというか甘さのように感じますが、そもそも評価の仕方が不透明なので、現状を考えるといたしかたないのかなと思います。

 

面談の内容

隣の方が早速、上司と30分程面談してきたそうなので内容を聞いてみました。

「今、辞めると退職金がいっぱいだよ」

みたいな甘い言葉をかけて一応推奨すると共に、

「とはいえ、お子さんもいるし、ローンもあるから難しいよね」

と身辺を察し、決してプッシュはしない。といった感じだったそうです。

面接された方は元々全く辞める気はありませんでしたし、上記のような面談内容では気持ちは全く変わらないでしょう。

本当に、「形式上面談している」という感じですね。

先の記事でも触れていますが、断ることに何らペナルティもないので、他に強い当てがある人以外は辞めないでしょう。

募集人数に対して応募者は幾らになるのか、現状では誰も読めないと思います。

いっそのこと私のような若手まで対象年齢を引き下げればかなりの人数が減ると思います。ですが、それはコスト的にあまり意味はないですよね。結果は数か月後には分かり、マスコミにも公表されると思いますが、その時の数値がどうなっているのか見物ですね。

転職して来て2年も経たない私に対しては、

「大変な時期に来て、かわいそうだね」

と時々同情が入ります。

実際、運が悪い事には間違いがないのですが、

  1. まだ何とかやり直しが効く年齢である
  2. 仕事が楽である
  3. 毎日定時で帰れる生活には満足している
  4. 独身で終わる気であり、不動産や貯金も幾ばくかある

といった理由からあまり悲壮感はありません。

悲しいかな、一社目で数千億の赤字を見て不幸に慣れてしまったんでしょうね。

次に本当に驚く時があるとしたら、倒産する時くらいかと思います。

 

希望退職者を2000名募集したら2960名も集まった

これは報道でも発表されましたが、2000人の枠を募集したら実際には2960人に達しました。

この中には、手を挙げたにも関わらず拒否された人も含まれていると推測されるので、実際の退職者は少なかったと思います。それでも、全従業員の1/10に近い人数が会社から消える状態は、なかなかに壮絶でした。

オフレコで聞きまわった感じですが、スキルを持っている人はやはり強いようで、それを活かして別のところで頑張るようです。

システム屋でも技術よりの方は50代での働き口はあるようで、やはりSEは技術なのだなということが身にしみて分かります。

 

一方、管理主体の方はほぼ辞める気はなさそうです。偉そうにしてますが、自分の市場価値の無さくらいは理解しているのでしょうか。その点は、謙虚と言えます。

大手企業にいたからと言って、優秀とは限りません。

ここで言う「優秀」とは、頭が良いとかそういうものではなくて、市場に即応できるものを持っているかどうかです。

市場は即戦力を求めています。結局、その人が積み上げてきたものが何かで人生が変わってしまうのです。

ところで、中には新たに第二の人生を模索し、退職される方もいるようです。

地元に帰ってひっそりと農業をやる、などでしょうか。それはそれで、とても素敵なことだと思いますし、この雰囲気の中働くよりは良いのかも知れません。

 

希望退職者を募集すると会社は復活できるのか?

ここまで人を削ったからには、業績を回復したいところですが、果たして効果はあったのでしょうか。

大規模リストラはそれほど社会に例がある訳ではありませんし、やはりやってみないと分からない、という要素が大きいように感じます。

割と最近の例ですと、破産法を適用した某化粧品会社(カ○ボウ)の課長さんと会ったことがあります。その際は、グループ会社を潰しまくったそうで、

「世界広しといえど、私ほど会社を潰した人はいない」

とおっしゃってました。

同社は営業がまともに売上げを申告しない体制が慢性化しており、実際の売上げが全く異なっており、蓋を開けてみると大赤字。という状態でした。

そのため、多くの会社を潰し人をリストラし、ボーナスも数年間カットしてやっと持ち直した。という経緯がありました。

「多額の赤字を出したら、ここまでリストラをやらないと復活できない」

という顕著な例だと思います。

そう考えると、単純に2000人の人件費を減らした程度では復活は難しく、結局は後日外資系企業に買収される運命となりました

 

辞めていく女性社員からの言葉が重たかった

私が所属していたIT部門からも一定の人数が去りました。

ただ、他部門に比べると人数が少なかったため、これが後日私の身に降りかかった部門売却へと繋がっていきます。

 

私が入社する際に面倒を見てくれたIT部門の庶務のような女性も会社を去ることになりました。

セイジ「○○さん、2年間色々とありがとうございました」

女性「うん、またどこかで機会があったらよろしくね」

セイジ「はい、本当に感謝しています」

女性「あ、でも、セイジさん。次にホンマつぶれそうになったら、はよ辞めや~

 

ああ、みんなもうこの会社はダメだと分かっているんだな。

この女性の言葉は5年経った今でも鮮明に思い出します。愛社精神はみんなあるのですが、もうこれ以上は持たないことは悟っており、諦めていた人が多かったのでした。

 

「会社は守ってくれない」と改めて実感

今回の希望退職ではスキルがない人の多くが会社を去りました。

 

しかしまあ、30歳になる前にここまでの波乱を経験できるとは思ってもみませんでした。果たして、私の人生はどんな形で幕を閉じるんでしょうか…?

なお、2012年9月にこの記事を書いた時点では、

「また、苦しい時を乗り越えた体験というのは、決して悪いものではないと思いますので、苦境下で色々ともがいてみて、自身の経験に何か1つでも蓄積するのも一考か、とは感じています。」

と、書きましたが、この後、会社から関連会社へ転籍を見越した出向。という形でリストラされています。

会社に忠誠心と愛を持って仕えていても、会社側は決して従業員を守ってくれるわけではない。自らの道は自ら切り開いていかなければならない。ということを痛感することになりました。

大学を卒業する時、先生から、

「このご時世。会社は絶対1回は倒産する。そんな時、どこかに必要とされる力は身に着けておきなさい。社会は競争だよ。」

と言われましたが、本当にその通りだったなと感じます。