これから何の仕事に就くにしろ、その仕事の1日の流れがどんなものであるかを事前に知っておくのは重要なことです。
なぜなら、就きたい仕事の1日の流れを知ることで、実際の仕事をイメージしたり、できそうかどうかの判断基準にもなるからです。

特に就きたい仕事が警察の場合、1日の流れを知らずになってしまうと、あまりの大変さに「こんなはずじゃなかった」と後悔してしまうかもしれません。

今回は元警察官の私が体験した、警察官の仕事の1日の流れについてお話ししていきます。

 

地域警察官の1回の勤務は30時間にもおよぶ

警察には刑事課、交通課などの課があり、こうした課では朝に出勤して夜に帰るという勤務体系で、そのサイクルは一般的なサラリーマンとそう変わりません。
しかし、私が経験した地域課(交番のお巡りさん)の勤務体系は24時間勤務でした。

つまり、朝出勤して交番についたら、そこから次の日の朝まで24時間仕事をするというスタイルだったのです。
実際には交番につく前に色々やることがあり、24時間勤務を終えた後も次の係への引継ぎがあったため、1回の仕事時間は30時間近くありました

この30時間の間に休憩や仮眠がとれることもありましたが、毎回必ずとれるというわけでもありませんでした。
さらに、場合によっては夜まで残業するケースもあったので、かなりきつかったです。

 

地域警察官の朝は勤務準備から始まる

地域警察官の朝は、とても早いのです。
なぜなら、交番について実際に勤務を始める前に、勤務の準備や会議、さらには武道訓練まであるからです。

ここでは勤務日の警察官の朝について、お話ししていきます。
また次のパートからは、警察官になりたいという学生の質問に答える形式から話を進めていきます。

 

地域警察官の朝は早い!朝は7時に出勤

警察官の朝は早いと聞いたのですが、当時は何時くらいに出勤していたのですか?
朝7時くらいに出勤していました。新人の頃はもっと早くて6時45分くらいでしたね。
7時ですか!警察の勤務はそんなに早くから始まるんですか?
勤務が始まるのはもっと後なんですが、その前にやることが多いんですよ。

警察官の朝は早く、私は仕事のある日は朝7時ころに出勤していました。
当時は警察署まで1時間くらいかかる所に住んでいたので、起床時間は5時でした。

警察署では朝の8時25分から朝礼があったのですが、若手はそれよりも1時間以上前に来なければならなかったのです。
まず、警察署にはスーツで出勤し、署のロッカーで制服に着替えていました。

どのみち制服に着替えるのですから普段着で出勤してもいいように感じたのですが、察は規律が厳しく、こうした無駄に思えるルールが多いのです。
署のロッカールームはとても狭く、ロッカー前の通路は人ひとりがやっと通れるくらいの幅しかありませんでした。

そんな狭いところでスーツを脱ぎ、制服に着替えるのは大変で、着替えに10分以上かかることもざらでした。
着替え終わったら、会議室に荷物を持っていって朝礼の時間まで1時間近く待機していました。

新人の時は朝礼の後にある会議の準備をしていたのですが、係に自分の後輩が数人入ってくれば、私は特にやることはありませんでした。
1時間も待機しているのならもっとゆっくり出勤すればいいのにと思う方もいるかもしれませんが、そうはいかない理由がありました。

警察は縦社会のため、上司や先輩より遅い時間に出勤することは許されなかったのです。
そのため、自分の直近の先輩が出勤してくる少し前に、出勤しなければなりませんでした。

 

勤務開始前になぜか武道訓練がある

朝礼が終わったら、会議をして、勤務が始まるんですか?
いいえ、会議の前に武道訓練があります。

礼が終わった後は、柔道や剣道の訓練がありました。
柔道と剣道、どちらをやるか警察学校の時に選択し、現場に出てからも勤務前に武道訓練をしていたのです。

武道訓練の時間は特に決まっていませんでしたが、1回だいたい20分~1時間ほどでした。
私は柔道を選択していて、柔道の訓練では「受け身」から相手に技をかける練習の「打ち込み」、実際に試合形式で闘う「乱取り」など一通りの練習をしていました。

これから24時間勤務をする人間たちのやることとはとても思えませんでしたが、若い警察官は強制参加となっていたため、しぶしぶ参加していました。

 

交番につき、24時間勤務が始まる

武道訓練が終わったら、係の会議をしてから前の係と交代して、いよいよ24時間の交番勤務が始まります。
当時の私は自分が担当する交番に向かい、交番の管轄する地区の通報などに対応したり、実績を稼ぐ活動などをしていました。

ここでは24時間勤務の簡単な内容と実態について、お話ししていきます。

 

通報があれば現場に急行し、対応する

交番の勤務では、どんなことをするんですか?
地域警察官の仕事は色々ありましたが、通報の対応と実績活動がメインでした。

交番にはそれぞれ管轄が決まっていて、自分のついた交番の管轄内で通報があれば、現場に向かいました。
通報内容は色々で、事件事故トラブル駐車や騒音の苦情酔っ払いなどの対応が多かったです。

事件が起きれば、被害者から事件の状況を聞いて書類を書いて刑事課に報告したり、事故が起きれば、同じく事故の状況を書類に書いて交通課に報告したりしていました。
通報の数は、多い時で10件くらいでした。

通報に対応している時間の長さは、その内容によって様々でした。
けが人の出ていない車同士の事故なら10分程度で終わりましたが、事件が起きれば、内容によっては5時間ちかくかかることもありました

 

通報がない時は、実績を稼ぐ活動をする

通報がない時はどうしていたんですか?
その場合は、基本的に実績を稼ぐ活動をしていましたね。

通報がある時以外は、実績を稼ぐ活動をしていました。
地域の警察官には以下の実績があり、これにはノルマもあったのです。

  • 犯人の検挙
  • 交通違反者の検挙
  • 少年補導
  • 巡回連絡(管轄内の住人情報の収集)

このなかでも特に大変だったのが、犯人の検挙のための活動です。
犯人の検挙活動といっても捜査するわけではなく、自転車に乗っている人に声をかけて、自転車が盗んだ物じゃないかを延々確認する作業でした。

この自転車の検問のために、勤務中ほとんど休憩できない事態に陥っていたのです。
その理由については、後ほど詳しくお話しします。

 

一回の勤務で2時間の立番をする

そういえば、よく交番前で、警察官が長い棒を持って立っているのを見かけるんですが、あれは何なんですか?
あれは立番といって、交番や駅の構内を見張る仕事です。
立番って、楽そうでいいなと思ったのですが。
そんなことはありません。確かに楽なように見えるでしょうけど、実は結構大変なんですよ。

交番の前や駅構内で、警察官が立っている光景を見たことがないという人は、おそらくほとんどいないでしょう。
あれは「立番」と言って、交番の周囲や駅構内で犯罪が起きないよう見張る仕事です。

私のいた県警では、夕方5時と朝7時に、それぞれ一時間ずつ立番をする決まりになっていました。
事件対応中でなければ、立番は必ずするように上司から命じられていました。

この理由はおそらく、立番によって、警察がしっかり仕事をしていることを市民にアピールするためなのだと思います。
しかし、これは逆効果だとも思っていました。

なぜなら立番は基本的に、ただ突っ立っているだけだからです。
そのため市民から見たら、警察は楽だという印象を持たれてしまってもおかしくないでしょう。

楽そうに見える立番ですが、朝7時の立番はかなり大変でした。
なぜなら、それまでほぼ不眠不休で働いていたため、とにかく眠たかったからです。

強烈な眠気のなかで一時間も何もせず突っ立っているのは、軽い拷問のようにも感じていました。

 

勤務中は書類も書かなければならない

それから警察では、勤務中に色んな書類も書かないといけないんですよ。
警察って書類を書くんですか?
はい。管内で起きた事件や事故は全て、書類に残しておく必要があるので。

警察では事件や事故が起こるたび、書類を書かなければなりません。
例えば事件が起きた際は、「被害届」と「実況見分調書」という書類を作成します。

被害届は、被害者が事件の被害にあったことを申告するための書類ですが、被害者の話を聞いたうえで、警察官が代筆します。
実況見分調書は、被害の状況を事細かく、文章や図などを使って記載する書類です。

被害届は事件現場で書きますが、実況見分調書は交番に持ち帰って書く書類でした。
事件の内容によっては5~6ページほどになることもあるため、作成には時間がかかりました。

被害届と実況見分調書は、刑事課に提出する書類です。
実況見分調書は事件のあった日に出さなくてもいいのですが、遅くとも一週間以内には提出しないと、刑事課から怒られてしまいます。

さらに厄介なことに、事件が起こるたびに書く数も増えていくため、すぐにやらなければどんどん溜まっていってしまうのです。
過去には、半年間分の未提出の書類をロッカーに溜めているのがばれて、クビになった人もいるようでした。

そのため私は、短い休憩時間を削って、書類を必死に書いていました。

 

24時間勤務のうちの休憩時間は?

激務と言われている警察でも、24時間勤務のうち7時間半は休憩をとることになっていました。
しかし実際には、7時間半どころか、ほとんどまともな休憩をとることはできませんでした

ここでは、休憩がほとんどとれなかった理由についてお話ししていきます。

 

勤務中、休憩はほとんどとれなかった

24時間勤務のうち、休憩の時間はどれくらいあったんですか?
休憩の時間は特に決まっていなかったので、その日によりけりでした。でも休憩はほとんどさせてもらえませんでしたね。
えっ!いったいなぜですか?
もちろん、実績を稼ぐためですよ。

休憩をとる時は警察署にいる係長に電話をして、今から休憩すると伝えなければなりませんでした。

ある日、私は交番から係長に電話をして、「今から夕食を食べるので休憩します」と伝えました。
係長は了承しましたが、その10分後、係長から「おい、もうメシ食い終わったんじゃないのか?」という電話がかかってきました。
この電話の意味するところは、「休憩を終わりにして、外で自転車検問をやってこ」ということです。

犯人検挙のノルマは個人だけでなく、係全体でも設定されていました。
係の実績はその係の係員全員の実績の合計で、これがノルマに達さないと係長は署長や副署長から怒られてしまうのです。
そのため、係長は自分の係の人間たちに自転車泥棒を捕まえさせようと必死でした。
私は係長の問いかけに、「はぁ、まぁ」と答えたところ、係長からは「じゃあ今から外に出て、自転車検問やるな?」と言われて、「はい」としか答えられませんでした。

一応そう返事したものの、夕食の休憩が10分は短すぎると思った私は、電話を切ったあと休憩を再開しました。
しかし、その5分後、再び私のいた交番に係長から「お前なんでまだ交番にいるんだよ!やる気ないのかよ!」と電話がかかってきたのです。
「はい、ありません」とは答えられず、結局私は外に出て、すぐに自転車検問を開始しました。

結局、この一件以来、ろくに休憩も与えてもらえず、ひたすら自転車検問をすることになってしまいました

 

深夜から明け方も休憩がとれなくなった

それはひどいですね…。でも、さすがに深夜から明け方にかけては休めたんじゃないですか?その時間は、外に人もいないでしょうし。
確かに、もともとそれくらいの時間は仮眠をとらせてもらえていました。でも途中から、その時間も休憩できなくなってしまいましたね。

ろくに休憩をとらせてくれない係長たちも、さすがに深夜から明け方にかけての時間は、自転車検問をしろとは言ってきませんでした。
なぜなら、そんな時間に自転車に乗っている人なんていないはずだからです。

そのため、午前2時から4時くらいまでは自転車検問をすることもなく、2時間弱くらいなら仮眠をとることもできました。
しかしある日、別の係がその時間に、たまたま自転車泥棒を検挙してしまったのです。

それからは署長から、午前2時から4時のような深夜帯にも自転車検問をするように命じられてしまいました

当然、こんな時間には、自転車どころか出歩いている人すらいませんでした。

こうした無駄な時間も含めて、私たちは不眠不休で働かされていたのです

 

交代直前で事件が入れば残業に突入

24時間勤務が終わる時間が近づいてきても、決して油断はできませんでした。
なぜなら、警察の仕事にも、残業が発生することがあるからです。

ただし、警察の残業は、一般的なサラリーマンの残業とは違います。

ここでは、警察官の残業についてお話ししていきます。

 

交代直前に事件があると終わるまで帰れない

警察官にも残業があるんですか?
ありましたよ。しかも残業は交代直前に決まるので、交代直前はいつもドキドキでしたね。
交代直前に上司から残業しろと言われるんですか?
いいえ、交代直前に事件があると、処理が終わるまで帰れないんです。

私のいた県警の地域課は3交代制で、自分たちの勤務が終わると次の係と交代をして、業務が終了になります。
交代の際は携帯している無線機に一斉でアナウンスが届くのですが、交代のアナウンスが届く前にあった事件などは最後まで処理しなければなりませんでした。

それがどんなに時間のかかるものであっても、終わるまでは帰れなかったのです。

一番大変だったのが、交代直前で事件の犯人を検挙した時でした。
何の事件であれ、犯人を検挙すると、取調べなどでその処理に3~5時間くらいはかかってしまうのです。

そうなると、昼に帰れるはずだったのが、帰りは夜になってしまいます。

警察官として失格だとは分かっていますが、当時は交代直前に検挙はしたくないと思っていました。

 

まとめ

警察官の朝はとても早く、仕事のある日は5時に起きて、7時には警察署に出勤していました。
出勤後は武道の訓練をしてから交番に行き、そこから24時間勤務をしていたのです。

勤務中は通報の対応に追われながら、それ以外の時間は実績活動に充てていました。
実績にうるさい署長がいる署だと、実績活動のためになかなか休憩もとれません。

このように、警察官の仕事の1日は、とてもハードなものです。

これから警察官になりたいという方は、ぜひこの記事を参考にして、自分にできそうかどうか判断したうえで警察官になってください。