就職活動でかならず目にする単語が「会社説明会」「エントリーシート」といった言葉です。就職活動を成功させるためには、この2つをよく知っておく必要があります。
ここでは、IT業界で7年間の勤務経験がある立場から、会社説明会とエントリーシートについて、体験談を交えながらご紹介していきます。これから就職活動を行う人は、参考にしてみてくださいね。
文系が挑んだIT業界の就職活動の思い出
私は文系出身のSEとして7年間働いた経験があります。
(SEを選んだ経緯はこちら)
そんな私がどのようにIT業界の就職活動に挑んだのかというと、かなりの手探り状態でした。というのも、私自身、SEになりたいという思いはあったものの、就職活動というものがどういうものかはっきりわかっていなかったのです。
そのため、同じくSEを目指す友人に誘われて参加した就活セミナーをきっかけに、少しずつ就職活動を進めていった覚えがあります。
わけが分からないまま参加した「会社説明会」
就活セミナーに参加した私は会社説明会というイベントの存在を知ります。どうやら企業に就職するためには会社説明会というのはほぼ必須のイベントのようでした。実際、エントリーする条件として会社説明会に参加することが必須のところも存在します。
私は名前だけは聞いたことはある程度の認識だったので、この会社説明会がそんなに重要なものだとは知りませんでした。そして、わけのわからないまま1社目の会社説明会に参加し、見事に失敗してしまいます。
<失敗その1:会社の説明を聞きに行ってしまった>
会社説明会なのだから会社の説明を聞きに行くのは当然でしょう?そう思ってしまったあなたは危険です。私と同じ失敗をする可能性大です。確かに、会社説明会というのは企業が学生にPRする場です。しかし、同時に学生が企業にPRする場でもあるのです。
会社説明会ではどこでも質問の時間というのが設けられます。ここで、積極的に質問をする学生というのは人事の印象に残ります。あなたが人事担当だったら、説明を聞きに来て帰っていく学生と、企業に対して積極的に質問や意見を持っている学生、どちらを採用したいですか?答えは言うまでもありませんね。
<失敗その2:いつもどおりの荷物で行ってしまった>
会社説明会ではいろいろと持ち物があります。代表的なものでいえば、筆記用具、スケジュール帳、学生証などです。私もここまではいつも持っていたので問題ありませんでした。失敗だったのは、クリアファイルを持っていかなかったことです。
会社説明会ではさまざまな資料や書類を配られます。書類の中にはエントリーシートなども含まれている場合があるので、これらの重要書類をきれいに持ち帰るためにはクリアファイルは必須アイテムです。でないと、しわくちゃのエントリーシートを提出することになるかもしれません。しわくちゃのエントリーシートを送ってきた学生に対して人事は何を思うでしょうか。
といわけで、こうして1社目の会社説明会で多くの教訓を得た私は、2社目、3社目でしっかり参加することができるようになりました。
1社目は「お試し」企業だったので良かったですが、本命企業を就活の1社目に持ってくるのはやめましょう。人間、いくら予習をしていても、本番になればあたふたしてしまうものです。
四苦八苦しながら書いた「エントリーシート」
会社説明会に出たら次はエントリーシートの提出です。私は「エントリーシートってなに?履歴書と何が違うの?」というレベルでした。
エントリーシートというのは企業への自己PRの書類です。学生時代に何に取り組んだのか、自分の長所・短所はどこなのか、といったことを書いていきます。書類選考だけのものと思われている人もいますが、面接ではエントリーシートは参考資料にもなるほどの重要書類です。
いまとなっては本当に恥ずかしいですが、ここでもいろいろと間違えてしまいます。
<間違いその1:情報を詰め込みすぎた>
どうやって書いたら良いのかわからなかった私は、あれこれアピールしようとして書きすぎてしまいました。アルバイトで頑張ったこと、人とのコミュニケーションが得意であること、ゼミではどういったことに取り組んだのかなど、書けることを書けるだけ書きました。
しかし、エントリーシートで書けることには限りがあります。限られた余白で効率的に自分をPRするには書きたいことは絞り込むということも重要だったのです。あれこれ書いた結果、すべてのエピソードが薄くなってしまいました。人事からは私は「そこらへんにいる学生と大差ない人」という印象しか残らなかったでしょう。厳選した情報を深掘りして書くこと、それがエントリーシートの書き方だということを知ったのは1社目が終わってからでした。
<間違いその2:間延びした文章を書いてしまった>
自分がどういった人間かをアピールするときに、効率的なのは「わかりやすいこと」です。そのためには「結論ファースト」を意識する必要があります。これは文章を書くときやプレゼン、ビジネスコミュニケーション全般で使えるテクニックなのでよく覚えておいてください。
文章を書くことになれていないと、ダラダラとエピソードを並べた挙げ句、どこが結論か分からないような文章になってしまいがちです。こうした文章は読み手に届きません。読み手というのは、この場合は人事担当者ですね。
私も「理由」「結論」という構成で失敗しました。読み手を惹きつけたいのであれば「結論」「理由」という書き方にするべきでした。このことを知ったのは1社目の説明会が終わった大学の就活相談窓口でのことです。最初から相談していれば、こんなに悩むこともなかったのにと後悔したのを覚えています。
このように、エントリーシートの書き方1つ取っても、何をどのように書くべきか、ということを知らなければ自分を売り込むことはできなくなってしまいます。これに個人の能力はほとんど関係がなく、知っているか知らないか、それだけの違いでしかありません。
適切な対策を知る、有効な情報を集められるかが、就職の成否だけでなくその後の人生にまで影響してしまうということです。
会社説明会、エントリーシート攻略情報まとめ
ここで、会社説明会やエントリーシートを攻略するための情報をまとめておこうと思います。意外に見落とされがちな部分ですが、重要なポイントになりますのでしっかり読み込んでおきましょう。
就活で出てくる3つの「説明会」
就活では「説明会」と名のつくものが3つあります。「就職説明会」「合同説明会」「会社説明会」がこれに該当します。それぞれの特徴を知っておきましょう。
・ 基本的な情報を集めるなら「就職説明会」
就職活動に関する内容を説明してくれるのが就職説明会です。どのように就職活動に臨むべきか、どのように考えれば理想の企業に入ることができるのか、といったことを説明してくれます。就活初心者であれば参加すれば有益な情報を得ることができるでしょう。
主に企業が主催していることが多いです。なぜこのような慈善活動をするのかというと、企業側としては説明会という名目で早くから自社のアピールができる、もしくは有望な学生と接触できるというメリットがあります。
基本的に内容はどこの企業が開催しても同じですので、参加するのは1回だけで十分です。そのかわり、この1回で不明点を残すことのないよう、疑問に思ったことは積極的に質問するようにしましょう。
・ 一度に複数企業を知れる「合同説明会」
リクナビなどの第三者企業が主催する、複数企業による説明会を合同説明会と呼びます。基本的に近い業界の会社が集まって説明することが多く、あまり企業を知らない学生にとっては新たな企業との出会いの場となります。
私も合同説明会は参加しましたが、普通に調べているだけではわからない企業の魅力や、知らなかった企業に巡り会えることもあります。「世の中にはこんな企業もあるのか」と驚かされますよ。合同説明会の熱気を感じることで一気にモチベーションが上がることもあるでしょう。
・ 参加必須のところも?「会社説明会」
企業が自社の事業内容、採用情報などを説明するものです。入れ代わり立ち代わり企業がPRしていく合同説明会と異なり、じっくりと説明を聞くことができるのでより詳しい情報を手に入れることができます。
企業によっては、会社説明会に参加することが次の選考に進むための必須条件であったりするので注意しておきましょう。会社説明会では質問コーナーがあるはずなので、不明点は遠慮せずにどんどん質問していきましょう。また、事前に企業情報をチェックしておいて、自分なりに質問項目をまとめておくと有効です。
誰もがぶつかる疑問「服装はどうするべき?」
就活といえばリクルートスーツのイメージがあると思いますが、最近では説明会に参加するときの服装を「服装自由」「私服でお越しください」「クールビズ」というように記載する企業も増えてきています。服装自由といわれると、「本当に普段着でいいの?」「採用側のワナなのでは?」という疑問が湧くでしょう。実際のところはどうなのでしょうか?
・人事が許容できる「服装自由」はどこまで?
リクナビが採用担当500人に対して実施したアンケートによれば、「服装自由」と指定した場合に期待する服装は以下のとおりです。
<「服装自由」に期待する服装>
<「私服でお越しください」に期待する服装>
参考:リクナビ就職ガイド
オフィスカジュアルとスーツが期待されている服装といえるでしょう。ほかにもその人らしさが伝わる普段着とありますが、これはその人のセンスによっては「ギャンブル」になりかねません。控えたほうが良いと思います。
また、どういう意図で「服装自由」「私服でお越しください」という指定をしているのかについてもアンケート結果があります。
<「服装自由」に指定した理由>
<「私服でお越しください」に指定した理由>
参考:リクナビ就職ガイド
特に意図はないというのがほとんどですね。あまり考えてはいないそうです。だからといって好きな服装を着て良いとはなりませんよ。
では、クールビズの場合はどうでしょうか?就活は夏場に佳境を迎えます。私も真夏にスーツを来て外を歩き回るのはかなり大変だった覚えがあります。
<「クールビズ」に期待する服装>
参考:リクナビ就職ガイド
多くがスーツでネクタイなし、ジャケットなし、というものを想定しているようですね。オフィスカジュアルはあまり想定していないようなので、スーツを着るということは外さないほうが良さそうです。
・自分はどうしたか?
私のときはスーツにしました。あれこれ悩むくらいならスーツにしておけば間違いはありませんし、これからサラリーマンになればスーツは必要になるわけですから、練習も兼ねて着ていましたね。ただ、時計やハンカチ、ネクタイなどの小物はいやらしくないものを選ぶようにしました。高額で派手なものをつけていると悪目立ちします。あくまでフレッシュマンであるイメージは大切にしましょう。
ただ、最近はIT系の会社だとかなりラフな会社も増えていますので、そこまで気にしなくても良いのでは?と考える人もいるかと思います。中にはそういう会社もあると思いますが、ほとんどの企業はある程度しっかりした服装を求めていると考えたほうが無難です。ある会社では普段着、ある会社ではスーツと分けてしまうと自分の気持ちも安定しないのであまりおすすめしません。
もし、オフィスカジュアルを選ぶのであればせめて襟付きのシャツやブラウスなどを着て、その上にジャケットは羽織っておきたいですね。色は落ち着いた色のブラック、ネイビー、ベージュ、ホワイトあたりが良いと思います。爽やかさを重視しましょう。
エントリーシートを提出するタイミングは会社ごとに違う?
実は、エントリーシートは企業ごとに提出する時期やタイミングが異なります。パターンとしては3パターンあります。
間違えると致命傷になることもあるので、会社ごとにエントリーシートの提出のタイミングは事前にチェックしておくようにしましょう。
・ パターン1:会社説明会前に提出
参加希望者が多い一流企業などはこのパターンが採用されることがあります。会社説明会前にエントリーシートをチェックすることで、参加希望者を絞り込むためです。なお、細かいプロセスは会社によって異なります。
たとえば、エントリーシートを最初に提出させ、書類選考を行ったうえで、合格者にだけ会社説明会の案内を出すというパターンもあります。つまり、会社説明会の案内が来なければ不合格ということですね。
会社説明会よりも前にエントリーシートを提出するということで、企業情報は自分で収集しなくてはいけません。事前にしっかりと企業研究をしておかないと内容の薄いエントリーシートしか書けずに脱落する可能性は上がるでしょう。
・ パターン2:会社説明会で提出
会社説明会の当日にエントリーシートを持参するというパターンです。このパターンのときは会社説明会の案内の持ち物に「エントリーシート」と明記されているので、案内情報は隅から隅まできっちり読み込んでおきましょう。
当日エントリーシートを忘れてしまえば、せっかく説明会に参加してもエントリーできないという最悪の状況になります。企業によっては後日郵送で対応してくれる可能性もありますが、これは本当に最後の最後の手段になります。あまり期待しない方が賢明です。
・ パターン3:会社説明会のその場で書いて提出
このパターンが一番たいへんです。説明会の予定にエントリーシートの記入時間が組み込まれていることがあります。つまり、説明を聞いた後に「では、エントリーシートを書いてください」といわれるのです。
上記2つのパターンでは事前に調査をしたり、文章を推敲したりする時間が取れますが、その場で書かされるということはこれができません。時間も結構シビアで15分~30分程度で書かないといけません。つまり、ボーッと説明を聞いていたら急にESを書かされてボロボロになる、ということが予想できます。
ここまで読んでわかるように、事前提出や当日持参の指示がない場合はとくに注意しましょう。こういうパターンでは説明会前に予習をして、説明を聞きながらどのようにESを書いていくかを考えておく必要があるということです。でないとボロボロのESを書く羽目になってしまいます。
ライバルに差をつけられるエントリーシート攻略術
エントリーシートは単なる書類ではありません。企業の採用担当が書類だけで自分を判断するわけですから、自分の分身ともいえるものです。内容についてしっかり書けていることはもちろん、そのほかにもポイントがあります。
・なるべく早く提出する
会社説明会前にエントリーシートを提出するのであれば、当然のことながら締切日というものがあります。基本的には提出期限までに提出すれば問題はありません。しかし、ここでなるべく早く提出することで人事採用に好印象を与えることが可能になります。
受付開始からすぐにエントリーしてくれた学生がいて、内容もしっかり書かれたものであれば、「その学生は熱意があってウチに来たいのだな」と考えるのは当然のことでしょう。もちろん、特別扱いをされることはありませんが、好印象を与えることができます。
企業によってはエントリーシートの締め切りは「第一締切日」「第二締切日」を設定しているところもあります。こういう場合は第一締切日までに提出するようにしましょう。とにかくスピード感をもって進めることが就活で成功する秘訣です。
・なるべくキレイに提出する
私の失敗談でも紹介しましたが、皺だらけのエントリーシートを送ってくるような学生を採用担当はどう思うでしょうか?面接まで進んでも、面接官の前にグシャグシャのエントリーシートがあれば、なんとなく偏見を持って面接されてしまうかもしれません。
わざわざそんなハンデを負わないためにも、書類は大切に保管できるようにするべきです。そのため、会社説明会ではクリアファイルが必須の持ち物となります。書類をまとめられるように便箋を用意してくれる企業もありますが、クリアファイルのほうが折り曲がりにくいですし、濡れても書類を守ってくれるのでおすすめですよ。
ぶっちゃけトーク!IT業界の就職活動の感想
正直な話、文系からIT業界に就職するということに関して、とくにハンデを感じる部分はありませんでした。企業の採用担当者からも「文系ウェルカム」の雰囲気を感じることがありましたし、理系の人が理系分野の話ができるのは当たり前、自分には自分の強みがあるということを意識して就活に臨んだことを覚えています。
SEはデスクにかじりついてパソコンを使っているイメージを持たれがちですが、意外に大切なのはコミュニケーション能力です。大小の違いはありますが、プロジェクトによっては最大で数千人にも達する大規模なものもあります。
所属や考え方の違う人間が集まってシステムを構築するためには、チームワークがなければ成立しません。そのため、コミュニケーション能力や対人での問題解決能力の分野でアピールできると強いです。
もちろん、技術的なミクロな会話もできればいいですが、そっちが苦手な場合は会社の方針や今後取り組んでみたい分野など、マクロな視点での質問も有効でしょう。大切なのは自分のやりたいことと会社の進んでいる方向が一致していることをアピールすることです。
元SEが話すIT業界の就活ウラ事情
もし、あなたがIT業界に興味があるけど、文系出身ということを気にしているのであればそれは気にしないでください。というのも、IT業界は慢性的な人手不足に陥っています。これは業界自体がまだ若く、人の入れ替わりが激しいというのも要因でしょう。
情報システムやWebサービスというのはこの10年を見ても分かるように大きく変わってきました。つまり、時代の流れについていけない会社は潰れ、新しいビジネスモデルが生まれれば、そこに新しい会社が生まれるということを繰り返しているのです。人の流出入は、ほかの業界と比べて多いといえるでしょう。
時代の変化についていくには、似たような人材が集まっている企業は弱いといわれています。似たような能力の人間が集まっても発想が似通ってしまいますし、思い切った方針転換もできません。そのため、企業としても人材に多様性を求めているのが近年の傾向といえるでしょう。これはIT業界だけに限らず、どこの業界でもいえることです。
とくに、ITエンジニアの人手不足については政府が対策を打っているほどで、調査でも年々人手不足は拡大していくという見通しが出ています。
(詳細はこちら)
また、業務がキツイといって辞めていく人もいますが、それは自分にあった会社を見つけられていないからです。2019年度からは残業に上限ができました(中小企業は2020年度から)。これを破った雇用者には罰則規定が設けられましたので、エンジニアの労働環境は今後より良くなるはずです。
参照:時間外労働の上限規制(厚生労働省)
会社説明会とエントリーシートはしっかり対策を!
会社説明会とエントリーシートについて、私の経験を交えながら解説してきましたが、両者のポイントをしっかりおさえておけば問題なくクリアできるはずです。とくに、IT業界は売り手市場になっていますので、エンジニアやプログラマーになりたいということであれば狙い目といえます。まずは、就職説明会などに参加して全体の流れを掴んでみてください。
やることさえ明確になれば就職活動は怖くありません。重要なのは押さえるべきポイントを知っているかどうかになります。そのためにも情報はしっかり収集しておくことです。就活での情報力が今後の人生まで左右するので頑張りましょう!
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