「フリーランス」というと自分の力を使って人生を切り開く、うまく時間を調整して人生を楽しんでいるようなイメージを持たれる人もいるかと思います。しかし、物事にはなんでもメリットとデメリットがあります。
フリーランスに憧れはあるけど、フリーランスが持つ特性をしっかり見極めたいという人のために、私の感じたメリット・デメリットを比較検討してみようと思います。また、どういう人はフリーランスに向いているのか、もしくは向いていないのかもまとめてみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
フリーランスとして働くということ
まず、フリーランスとして働くということは、正真正銘「自律」して生きるということに他なりません。企業や組織に属することなく、自分のスキルだけを頼りに収入を得るのが大前提となります。
「自立」ではなく「自律」と書いたのは、あらゆる点でセルフコントロールが求められるのがフリーランスだからです。自分を律することができなければフリーランスとして働くことは難しい。これは私が独立当初から未だに強く感じる事実です。
そして、フリーランスとしてある程度働けるようになって、ようやくメリットとデメリットが見えてくるようになるのです。
それでは、さっそくメリットとデメリットを見ていきましょう。
多くの人が勘違いするフリーランスのメリット・デメリット
多くの人はフリーランスのメリットの部分ばかりに目が行きます。しかし、フリーランスは良いことばかりではなく、人によってはデメリットのほうが多くなってしまうケースもあります。
11のフリーランスのメリット
フリーランスで働けば、会社員時代では考えられないようなさまざまなメリットがあります。
1. 働く場所が自由
フリーランスでは働く場所に制限がありません。もちろん、クライアントによっては移動しなくてはいけないケースもあります。しかし、ほとんどは仕事場を自分で選ぶことができます。
たとえば、私は仕事場を複数持っています。メインは自宅ですが、そのほかにも近隣のカフェで3軒ほど行きつけのお店がありますし、コワーキングスペースに行くこともあります。
また、旅行が好きなので1週間ほど海外に行って、半分仕事、半分は観光することがあります。会社員なら週末や三連休を利用して2泊3日、3泊4日で旅行するかもしれませんが、私はあえて長めにスケジュールを取り、そこで仕事をします。
その日の気分によって働く場所を変え、いつでもフレッシュな気分で仕事をすることができるのはとても魅力的ではないでしょうか
2. 働く時間も自由
会社員は9時から17時まで働きます。会社がそのように決めているからです。しかし、フリーランスはその日のどの時間に働くかは自分で決めることができます。急な予定が入っても柔軟に働く時間を変えることができるのです。
今日は午前中に約束があるから午後から作業にしよう。今日は夕方から友人と会うから、朝6時からスタートして午後2時には仕事を終わりにしよう。など、周囲とはまったく違う時間帯で作業し、プライベートの時間を確保することが可能です。
3. 働いた分だけ収入になる
フリーランスは仕事を受ければ受けるほど収入が上がります。会社の場合はいくら頑張ってもそれが給料に反映されることはありません(歩合やボーナスには影響するかもしれませんが)。そういう意味で、フリーランスは完全歩合制なので自分の頑張りがそのまま収入に跳ね返ってきます。
また、たくさん実績を作ってスキルアップしていけば単価も上がっていくので、頑張った分だけ稼ぎやすくなるという面もあります。
4. 仕事が自分の実績として残る
自分の仕事の成果が自分の名前で残るのもフリーランスのメリットといえるでしょう。会社ではそれがプロジェクトチーム、部署の功績として評価されるケースが多く、なかなか個人として評価されることは稀です。
そういう意味で、営業職は個人レベルで評価されるので、給与にも成績が歩合計算しやすいのでしょう。フリーランスはその仕事の質を直接クライアントに評価してもらえるので、成果物がよければ引き続き仕事をいただけることもありますし、報酬単価が上がることもあります。
5. 人脈を広げるのに有利
フリーランスは一人で仕事をするものですが、意外に横のつながりを大事にする人も多いです。どうしても一人では解決しにくいことや、誰かに相談したいことはかならず出てきます。そういうときに「人脈」があると仕事がしやすくなります。
また、クライアントとの会話で「誰かいい人いない?」みたいな話が出てくることがあります。こういうときに、自分の知り合いを紹介してあげると、今度は周りから紹介が回ってくることもあるのです。
人脈を広げたければフリーランスを相手にした「セミナー」や「勉強会」に積極的に参加するようにしましょう。そこでは、家で仕事をしているだけでは出会えない人材とたくさん知り合うことができますよ。
6. 経費で税金が安くなることも
フリーランスは確定申告をする必要があるので、否が応でも税金の勉強もするようになります。そうすると、いろいろなものが経費として計上できるようになることに気づくでしょう。
たとえば、自宅で仕事をしているのであれば、賃料の一部を経費にできます。これを家事按分といいますが、ほかにもインターネット料金や水道光熱費が同様に按分できます。税務関連の話をするとそれだけで記事が終わってしまうのでここでは省きますが、そのほかにも税務の知識をつけることでたくさんの節税効果が出てくるようになります。
7. 成長が収入に直結する
仕事をこなしていくと人は自然と成長していきます。この成長が収入アップに大きく影響してくるのもフリーランスのメリットです。そのほかにも、セミナーや読書などの自己投資で成長することも可能ですね。
会社勤めでも同じことです。会社員は成長しなくても一定額の給料はもらえますが、それ以上の給料をもらいたければ、新しい仕事に挑戦して成長していく必要があります。ただ、フリーランスは成長と収入の関係が会社員よりも顕著に出ます。
たとえば、私はあるライティングの基本もわからない時期は、文字単価が低いままでした。しかし、ライティングの本を数冊読んで実践したところ、単価は一気に倍にすることに成功しました。
自分を成長させることが収入アップの近道とわかれば、自己投資もしやすいですよね。
8. オンリーワンな人材になれる
個人事業主はある意味、個人の会社みたいなものです。自分というサービスをお客さんに使ってもらうために、いろいろなスキルや経験を身につけていきます。これを繰り返していると、いつの間にか周りとは違うオンリーワンな人材になることができます。
私の場合はライティングだけでなくWebマーケティングもお手伝いできますし、プログラミングもできます。少しずついろいろなことに挑戦していくことが、自分に厚みをもたらしてくれるのです。
9. 通勤がない
個人的にこのメリットは結構大きいです。会社員時代は朝早く起きて、朝食もほどほどに眠い目をこすりながら駅まで歩き、超満員電車に揺られて仕事をするという毎日でした。ひたすら席に座りやすいポジション取りに苦心し、家から1時間かけて会社につく頃にはかなりの精神力と体力を消耗していました。
夏はただでさえ暑いのに人混みにもみくちゃにされ、ぶつかった人には舌打ちされ、ストレスが尋常ではありません。これで午前中はヘトヘト、ランチのあとは睡魔に襲われて、エンジンがかかるのは夕方からという最悪の生産性で一日が終わります。
いまではそのような経験も過去の話なので、極稀に朝のラッシュの電車に乗ることがあるとびっくりすることがあります。
10. 人間関係に悩むことがない
実は、職場での1番の悩みは「人間関係」です。リクナビNEXTの調査では「上司・経営者の仕事の仕方が気に入らなかった(23%)」が1位、「同僚・先輩・後輩とうまくいかなかった(13%)」が3位となっており、人間関係の難しさが浮き彫りになっています。
フリーランスであれば、そこまで人間関係に悩むことはありません。合わない人とは仕事しなければいいだけですので、人間関係で余計なストレスを抱え込む心配もありません。
11. 仕事とプライベートのバランスを取りやすい
これも大きなメリットです。とくに、家族持ちの人のメリットは絶大です。たとえば、家族とどこかに出かけるにしても、週末より平日のほうがどこも空いています。子どもが熱を出して看病しなくてはいけないときも、都合をつけて休むことができます。
このように家庭の事情に合わせて仕事の量を調整することができるので、円満な家庭を築きやすいと私自身が実感しています。
私が感じる一番のメリット
やはり、自分の好きな場所、時間に働けるという点が一番大きいです。柔軟に働き方を変えられるスタイルは自分に合っている気がしています。もともと旅行好きというのもありますが、旅行先の滞在期間を伸ばしてそこで仕事をするのも楽しいです。
また、休みの日には週末よりも人が少ないレストランや商業施設で余暇を楽しむことができます。人気店にも並ばずに入ることができますし、お店によっては平日限定クーポンを利用できるお店やホテルもあります。待ち時間もなくストレスフリーで休日を過ごせるのは最高です。
9つのフリーランスのデメリット
もちろん、デメリットもあります。見てみるとフリーランスならではの不安定さというものが目立つ結果になりました。
1. セルフコントロールが難しい
フリーランスは自分との戦いと言っても過言ではありません。一人で仕事をしていると、注意してくれる同僚も上司もいないものですから、ちょっと始めたゲームや漫画で一日が終わってしまった、なんてことがあっても誰も咎めないのです。遊んで過ごして収入がなくなるのは自分自身です。
2. 働いた分しか収入にならない
会社員はダラダラ仕事していても一定の給料が出ますが、フリーランスは自分が結果を出さなければ報酬は受け取れません。つまり、結果を出し続けないといけない重圧に耐える必要があります。
3. 収入が安定しない
先月はたくさん仕事があって稼げたけど、今月はお付き合いしていたクライアントが一気にお仕事終了してしまって収入が激減、ということが普通にあります。収入が安定しないと、買い物をするのもドキドキです。
余計な買い物をしてしまって来月仕事がなかったらどうしよう…。同じ収入でも会社員であればできた支出も、フリーランスはよく考えて使うようになります。
4. スケジュールは自分で管理する
今週はこの仕事Aがあって、来週から仕事Bが始まるから、Aは今週中に終わらせておかないといけないな、というようなスケジュール管理を自分でする必要があります。カレンダーや手帳、アプリなどを活用しながら、常に状況を把握して動くのは必須スキルといえるでしょう。
5. 体調管理は必須
フリーランスにとって「体は資本そのもの」です。風邪を引く、怪我をするのはご法度。もし、風邪を引いてしまって仕事ができなくなっても有給はありません。働けなければそのまま収入減になってしまいます。
そのため、体調管理にはとくに気を使う必要があります。とくに睡眠不足、栄養不足、運動不足は天敵です。これらに気を付けながら良好な体調を維持するのはなかなか大変かもしれません。
6. 業務だけでなく営業、経理などの雑務も
会社員は自分の業務だけに集中していれば、雑務は事務や経理が処理してくれました。しかし、フリーランスはすべてのことを自分でこなす必要があります。領収書の管理、請求書の管理、売上の管理など、これまでやったことのないような業務も覚えなくてはいけません。
7. 将来が約束されていない
「将来」が約束されていないのもデメリットです。昇給もなければ昇進もありません。キャリアパスは自分で作るものです。どうすれば自分の思い描く未来にたどり着くのかはまったくわからないのです。
8. 福利厚生が弱い
会社員であれば当たり前に受けることができる福利厚生。フリーランスだと受けることが難しいです。フリーランス向けの福利厚生サービスを提供しているところもありますが、やはり一般企業と比べるとまだまだ弱い印象があります。
9. オンオフの切り替えが難しい
いつまで仕事があるからわからない状況というのはとても不安なものです。「自分は休んでいていいのか?」と思ってしまうと不安を紛らわすために働き続けてしまうのです。また、休みの日なのに仕事のメッセージのことが気になってしまう。少しの時間があると作業をしようとしてしまうなど、なかなかオンオフのスイッチが切り替えられないことがあります。
デメリットはメリットに転化できる
メリットとデメリットは表裏一体です。考え方次第でデメリットはメリットに転化できます。たとえば、「体調管理は必須」についてですが、健康的な体作りは大変かもしれませんが、睡眠時間や栄養バランスを考えた食事、適度な運動は本来人間に必要なものです。長寿化している現代で、長く健康的な体を維持するのは人生を楽しむためにも重要と言えるでしょう。そもそも健康になって損なことはなにもありません。
経理などの雑務が増えるのも、税金に対する知識がつくのは生活にも役立ちます。デメリットは自分をさらに成長させる要素でもあると考えれば、デメリットを気にかける必要はあまりないのです。
フリーランスに向いている人8要素
今度は私が考えるフリーランスに向いている人の要素を見ていきましょう。
1. 前向きな人
仕事をしていると心が折れそうなトラブルがたくさんあります。理不尽なクライアントにイライラする、パートナーに裏切られるなどさまざまです。そういったときに、自分で自分のメンタルを立て直すのが上手い人、つまり前向きな人はフリーランス向きといえます。
2. 自己管理能力が高い人
セルフコントロールの話であったように、自分を律する能力が高い人はフリーランス向きです。遊びたい気持ちをグッと堪えて仕事に集中することができる人は成功する確率が高いです。スポーツをやっている人はこの能力が高い気がします。
3. コスト感覚に長けた人
この場合は事業に関するコストの話です。無駄な支出ばかりをしている人はいくら稼いでも収入は増えません。経費だから大丈夫と思ってなんにでもお金を使っていると、後で大変なことになります。コスト感覚が身につくと自然とプライベートでも無駄遣いしなくなります。
4. 新しいことに挑戦するのが好きな人
常に自分をアップデートして成長させたい、新しいことに挑戦してワクワクしたい。好奇心の強い人はフリーランスに必要な自己成長力が高いといえます。成長を繰り返すことで収入も上がっていきますし、より高いステージに登ることができます。
新しい考え方、仕事の方法、分野などフットワークを軽くしてどんどん行動できる人はかなり強いですし、成長スピードも早いです。
5. コミュニケーション能力が高い人
フリーランスとはいえ、お客様があってのお仕事です。相手に対する礼儀、心遣いといった社会人として最低限のコミュニケーションスキルは必須スキルといえます。まして、会社と違って相手を不快にさせてしまってもフォローしてくれる同僚はいません。すべて自分で対処する必要があります。
6. 一人が苦にならない人
ずっと自宅で作業をしていることもままあります。私は最高で1週間ほど家から一歩も出ないときがありました(もちろん仕事です)。一人で作業をしていても、苦にならないというのは大きなポイントかもしれません。しかし、最近ではSNSもありますし、誰とでもネット上で繋がれますし、そこまで大変な話ではないと思っています。誰かと話さないと気が狂うということであれば、工夫が必要でしょう。
7. 自分で考え、行動できる人
言われたことだけをこなしているだけではフリーランスは務まりません。1つの作業に対して「どうしてこうなったのか」「何がいけなかったのか」「何が良かったのか」ということを考察し、改善案を考え、実行する。いわゆるPDCAを回す能力を高める必要があります。上司も先輩もいないフリーランでは自分を改善できるのは自分だけです。
8. 変化に柔軟に対応できる人
フリーランスは自分の仕事がどのように変化していくかわかりません。時代の流れに合わせてクライアントからの要求も変わっていきます。変化する時代に合わせて自分も柔軟に変化する必要があります。変化できなければ生き残れないのは企業と同じですね。
どの要素が一番重要か
個人的には「自分で考え、行動できる人」は最重要かと思います。これはビジネスにおける一番基礎的な能力です。考えて行動できるからこそ、変化にも対応できますし、PDCAを回しながら自己改善、自己成長を継続できます。
本やセミナーで学んでも実践できなければ意味がありません。行動力はなによりも大切なのです。
フリーランスに向いていない人4要素
最後に、フリーランスに向いていない人の要素を挙げてみました。
1. 安定を求める人
将来に不安を持ちたくない人や現状からの変化を嫌う人はフリーランスに向いていません。会社員であれば、よほどのことをしなければクビになることはありませんし、毎月一定額の給料とボーナスも期待できます。
現状にそこまで大きな不満を感じていないのであれば無理にフリーランスになる必要もないでしょう。
2. 同じ作業が苦にならない人
毎回同じように繰り返される作業をこなしていても苦にならない人は、会社員のほうがむいているでしょう。これはある意味1つの才能(または適性)ですので、同じ作業が苦にならないことが悪いというわけではありません。そのほうが社会の役にたてる最善の方法であれば、そちらを選ぶべきです。
3. 責任感のない人
個人事業主というのは自分がすべての責任を持ちます。納期に遅れた、成果物の品質が悪い、先方に失礼な対応をしてしまった、これらの行動はすべて自分の評価として返ってきます。自分の仕事には責任をもって当たれなければ、いずれ信頼を失いどこからも相手にされなくなってしまうでしょう。
4. マニュアルがないと動けない人
フリーランスにはマニュアルはありません。すべて自分で考え、決断し、行動することの繰り返しです。なにか新しいことをやるにしてもマニュアルがないと動けない人はフリーランス向きではないでしょう。
フリーランスに向いている人と、そうでない人の素養を紹介してきましたが、自分が向いていない人間に当てはまるからといってフリーランスになることを諦める必要はありません。
向いていない人でも変わればいい
やりたいことがあるのに、素質がないとすぐに諦める人がいます。それは果たして賢い選択でしょうか。もし、あなたが明確にフリーランスとして活動したいという動機を持っているのであれば、そのモチベーションはどんな素質よりも強力な武器になります。
なにもこれから医者や弁護士になるという話ではありません。素質というのは先天的なものもありますが、ほとんどのものが後天的なものです。これまでの人生で繰り返し行われてきた思考習慣があなたの行動となっています。自己啓発の本などではこれを「マインド」と呼ぶことがあります。
マインドを変えるのは大変ですが、本気でフリーランスを目指すのであれば、責任感を持ち、新しいことにワクワクし、わからないことがあればその理由を推察し、検証し、行動に移せばいいのです。
そのためにはまずはフリーランスとして活動している人に話を聞く、セミナーに参加するなど、人に会って実際に話を聞くことをおすすめします。
大切なのは変化する力
フリーランスにこれからなる人、目指そうと考えている人も大切なのは変化する力です。
変化を恐れず、変化を楽しむことができれば、ピンチになっても乗り越えることができます。そして、その変化がいつかあなたを唯一の人材にしてくれるでしょう。
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