わたしが前職で勤めていた会社はコンサルタント会社です。扱っていたものは「購買」に関することです。

 

コンサルタント会社?とりあえず入社!

「購買」と聞くとあまりピンとこないかもしれませんが、そもそも「購買」とは何なのでしょうか。

「購買」とは、企業が事業活動に必要なものを外部から購入することです。

例えばどこの企業もオフィスがあり、そこで仕事をするときに必要になってくるものは沢山ありますよね。

電話、コピー機、印刷する紙、備品の文具、PC、店舗を構えている販売業などでは商品を並べる棚や店舗入り口にあるマット、紙媒体の広告など、必要なものは本当に多くあります。

どこの企業も仕事をする上でそれらの備品を購入、またはリース契約をして仕入れています。この一連の流れを「購買」と言います。

前職ではそういった業務に必要な備品を仕入れるときに掛かる費用について、もっと安く仕入れることができますよ、そのお手伝いをしますよ、ということを行っていました。
前職で自分が所属していた部署は主にクライアントとやりとりをしてサービスを提供、フォローする部署だったのですが、そこはいくつかのユニットに分かれていて、ユニットごとに担当する業種が決まっていました。

ユニット1は福祉や法人系、ユニット2は小売業、といった具合です。わたしのいたユニットはアパレル、小売業担当でした。各ユニットはクライアントとやりとりをし、案件の提案、実際に経費削減に向けてのトータルサポートをしていきます。この具体的な仕事内容については後程詳しくお話します。案件が無事に終了したらわたしたちは報酬を頂きます。そして息継ぎする暇もなく他の案件のスタート、という流れでした。これを延々繰り返します。

さて、少し特殊に思われる前職、コンサルタント会社ですが、わたしはなぜこの会社に入社したのでしょうか。そしてどこでこの会社を見つけてきたのでしょうか。

実は、知人に紹介してもらいました。一言で言ってしまえばコネ入社です。当時わたしは訳あってフリーターをしていたのですが、「そろそろ正社員としてしっかり勤めたいな」と考えていました。

しかし、沢山ある求人を前に、何を基準に選んで良いのかが全く分からなくなっていたのです。そこで知人に相談をしたら、知人の知人が勤めているということで紹介してくれたのです。そして話を取り付けてもらい、入社したという流れです。

コネ入社でしたが面接や面接の準備は行いました。当時は将来自分が何をしたいかといった具体的なビジョンが何もなく、本当に流されるように目先の仕事に飛びついた感じでした。今思うと情けない動機ですね。

 

あれ?合格?即終わった入社までの日々

上でお話した通り、端的に言えばコネ入社をしたため、採用までは本当に一瞬で終わってしまいました。
まず知人に相談し、前職に勤めていた知人の知人(前職ではわたしの先輩になりました。以下Y先輩と呼びます。)にわたしの話をしてもらいました。

その後、数日もしないうちにY先輩から電話が掛かってきました。軽いノリで「聞いたよー、どう?面接来てみる?」と真っ先に言われました。わたしの人柄も何も知らないはずなのに。とりあえず、あまり詳しい仕事内容などは何も聞いていなかったので、Y先輩に聞いてみました。そうすると、かなり噛み砕いて教えてくれました。実際に勤めている人の生の声を聞いた上で面接するかどうかを決められたので、これは非常に恵まれていたなと思います。業務内容、残業について、福利厚生などの各種手当て、職場の人たちの雰囲気、全て大まかにですけれど教えてくれました。そしてそれを聞いて、とりあえず受けてみようかなと思い、面接の約束をしたのです。

いくら知人の紹介とはいえ、入社のために面接をするのですから多少の準備を行いました。

まずは履歴書の準備です。特別何か資格を保有しているわけでもなく、大学卒業以来フリーターだったので、とにかく志望動機に力を入れようと頑張りました。しかし、いかんせん流されるように受けることを決めたわたしです。頭をフル回転させてもテンプレのような面白みのない志望動機しか思い浮かびませんでした。それでは受からない、と勝手に思い込んでいたわたしは姉からアドバイスを貰いながら1週間程度かけて履歴書を作成していました。姉は当時、人材派遣会社に勤めていたので、面接官の目を惹くような履歴書などの知識について色々知っていたため非常に助かりました。

他には、身なりを整えるくらいの準備をして、わたしの試験対策は終わりました。筆記試験がないと聞いていたので、本当にこれだけで乗り込んでいったのです。今思うとなかなか強気な自分にびっくりします。

いざ、選考です。面接ではY先輩と、その直属の上司(Kさん)、総務の方の3人が待っていました。
面接は思っていたよりフランクな感じで進みました。固い感じは一切なく、Y先輩とKさんが漫才みたいにやりとりをしている中で自分が受答えをするような感じでした。いわゆる「あなたの志望動機を教えてください」や「なぜわが社を選んだのですか」という面接でお決まりの質問は1つもされませんでした。本当に面接だったのでしょうか。そして、談話のような世間話を30分程度して言われたことが、「じゃあ数日後には入社に必要な書類とか一式送るね」でした。あっけらかんと言われたので「え?合格なんですか?」と聞き返した程です。

入社しばらくしてKさんに聞いたことですが、Y先輩の知人の紹介だから悪い子じゃないのは分かってたし、話している感じがすごくしっかりしているように思えたから、だそうです。非常に軽い理由で合格していました。

 

馬車馬です、山盛りの仕事と1つの案件

入社してから実務に移るまでは本当に早かったです。

  • 1日目は動画を見て基本的な仕事の流れの理解
  • 2日目はPCの各種設定や業務に使っているものの設定だけ
  • 3日目にはY先輩の隣の席に座り、アレコレ実際にやって覚える

という感じでした。前職は研修制度が整っておらず、誰しも仕事を山のように抱えていたので丁寧に研修している暇がなかったのでしょう。そしてY先輩は何でも実際にやって覚えろという体当たり的な指導方法の人だったので、その影響もあったでしょう。

ここで具体的な仕事内容を説明します。

こんな案件どうですか?

全てはクライアントに提案をすることから始まります。クライアント企業の中で、どの項目について経費削減の取り組みをするかを相談するのです。

契約締結をしてから案件開始までの間に、事前に、クライアント企業から全体的な経理情報を頂いておくのですが、それを分析して、年間どの項目にどれだけの経費がかかっているかを徹底的に洗い出します。その情報から、どの項目が経費削減の取り組みを行いやすいか、大幅に削れる項目はどれかを調べ、上位のものから提案をするのです。

例えば、わたしの所属していたユニットではアパレル、小売業担当だったので、販促系はどのクライアントもある程度の金額がかかっていました。なので、販促系は特に多く取り組んでいた項目です。

クライアントにはこの項目は大幅に金額がかかっていて、「弊社の過去実績からみても平均○%下がっているので取り組みましょう!」と提案するわけです。そして合意を得て案件開始です。

案件が開始すると、本当にもう怒涛のごとく仕事が発生します。1つの案件につき、終了までは1~3月を目安に動くのですが、年度末などはこちらとしても早く報酬を獲得したいわけですから、無理やり1月弱で案件を完了させたりもしました。

 

ここが肝!スケジュール管理

クライアントにどのようなスケジュールで案件を進めていくかを説明します。案件開始から2週間後にはこの段階まで、4週間後にはここまで、など予定を全部説明するのです。このスケジュールを決めるのもわたしたちの仕事です。

取り組む項目のボリュームによってスケジュール調整を考えたり、同時進行している案件との兼ね合いなど考えられる全ての要件を考慮して、スピーディに完了するように最短のスケジューリングをします。同時進行している案件と書きましたが、基本的に常時案件は5~多いと10件程度同時進行しています。それを遅滞なく、頭の中でどの案件がどの状態かを全て把握しておかなければならないので、頭はフル回転状態、というか、パンク寸前でした。

そして、辛かったのが、社長が横暴な人だったことです。社長に今この案件どうなってんだと聞かれたときに、すぐさま答えられないと始末書という感じだったので、本当に常に頭は色んな案件の内容のことを考え続けている状態でした。ちなみに本当に仕事が多すぎたので、始末書なんかに時間をとられている暇などありません。

 

見積もりをお願いする企業選び

次にサプライヤー企業の選出です。今まで「経費削減」と何度も書いてきましたが、具体的にどうやって削減しているの?と思ったことでしょう。答えは「相見積もり」です。
ここでサプライヤー企業の登場です。前職では、○○企業がこういう取り組みをするので、相見積もりに協力してくれませんか?と同じ業界の会社に片っ端からお願いをしていました。そのお願いをして、実際に相見積もりに協力してくれる企業のことを「サプライヤー」と呼んでいたのです。

勿論、どの企業でも良いと言うわけではなく、過去に他社や同社で取り組んだ同じ項目、似た項目で協力してくれた企業を中心に、クライアントの要望も聞きつつ選出していきます。あとは現行でクライアントが契約している企業です。例えば、通信機器で白犬を起用している企業と契約しているならば、そこの営業担当の人に連絡をして、「お願いします」、と言うわけです。

現行契約している企業からしたらこの提案に乗らなければ顧客を逃してしまう、サプライヤー企業からすれば新しい取引先を獲得するチャンスとなるわけです。

 

清く正しく美しく!資料を極め続けろ!

スケジュール管理をしつつ、サプライヤー企業選出をしつつ、実際にクライアントと打ち合わせを行い経費削減の取り組みをする中での具体的な要望をヒアリングしつつ、仕様書と呼ばれる見積もりをお願いする際に使用する書類を作成します。この仕様書が非常に重要です。

クライアントの現状の取引条件をそのまま反映させて、且つ新たな要望を全て盛り込まなければならないのです。それはなせか。

例えば、あるサプライヤー企業が現行よりも大幅に低い金額を提示し、その企業とクライアントが新たに取引を開始する場合です。クライアント企業からすれば、新たに取引を開始する場合でも、それまでの慣れたやり方があったり、このタイミングでサービスを提供してくれないと都合が悪い、といったことがあります。それを全て仕様書に分かるように示すことで、それを見たサプライヤー企業がこの条件ならば仕事を受けられる、この条件だとうちは厳しいと判断をし、最終的に相見積もりに参加するかを決定するからです。

ここで適当な仕様書を作成して、いざ新しい企業との取引が開始することになったとき、双方で条件面での相違が発覚、締結後にこんな仕事できません、なんてことになったら洒落になりませんよね。なので時間が許す限りでクライアントと打ち合わせを行い、条件面での要望を搾り出すかのように確認・擦り合わせを行います。そして、わたしたちは仕様書の精度をより上げていきます。この

仕様書ですが雛形はあります。しかし、クライアントによって異なる要望を反映させるので、言ってしまえば、完成形が存在しません。このクオリティによって、相見積もりに参加してくれる企業の数も変わってきます。参加企業が少ない場合、案件が失敗する確率も高まってしまうので、それはもう手塩をかけてクオリティアップに努めます。ここが激務の所以かもしれません。

なぜかというと、完成がないということは、裏を返せばどこまでも探求できるため終わりがないということです。これは仕様書だけにいえることではありませんが、コンサルタントなんていう目に見えづらいものをサービスとしている仕事は、資料で根拠を説明して納得、信頼してもらうしか成功への鍵がないのです。なので、全ての資料は本当にどこまでも精度を上げ続けます。
そして、1つの案件に必要な資料といえば、最低10個程度。これは案件によっても前後しますが、根拠を示すために必要だと思われるものは全て資料として作成して提示します。そのためこれくらいの数は作るのです。それを同時に抱えている案件分。そしてそれぞれのステータスによって作る資料は異なり、蛇足ですが打ち合わせも日に2件程度は必ずあり(最高1日6件打ち合わせに行きました)、電話はひっきりなしに鳴り…。さらにはY先輩からの厳しいチェックも入り。毎日3時間は余裕で残業していました。朝も1時間は早く出社して、朝一の打ち合わせに必要な資料をギリギリまで作成・修正して、「馬車馬の如く」とはこのことか、と実感をしていたものです。

 

地獄週間、早すぎる巣立ちのとき

ここで、蛇足ついでに、1つエピソードをご紹介します。
それはわたしが入社して1月半くらいのときだったでしょうか。少し業務にも慣れてきた頃です。あるときY先輩がこう言いました。「来週から1週間、あたし新婚旅行でいないから。」へー、どこいくんですかー、いいですねーなんて返したと思います。しかしすぐ我に返りました。え?仕事どうすんの?と。Y先輩は一言ばっさりと「頑張って!」と言って話を終わらせました。いくら業務に慣れてきたと言っても、まだ右も左も分からない新米が、いきなり動いている案件(確かそのときは7件程度だったと思います)を全て1週間なんとか滞りなく動かすことになったのです。

打ち合わせも1人でなんてしたことありませんでした。しかも、その頃は新規顧客も稼動しましょうという大事なときでした。そのときのわたしの本音、「まじかよ…」でした。絶望を感じた瞬間でした。
念入りに引き継ぎ、どうやったら良いか、NG事項、Kさん(上でサラッと登場した上司)との事前準備をして、いざ新婚旅行週間です。わたしは「地獄週間」と勝手に名付けていました。ちなみにその1週間はKさんがY先輩に代わりわたしについてくれました。でも基本は全てわたしが資料を作成して、打ち合わせ準備をして、クライアントとやりとりをして案件を進めなければなりませんでした。Kさんは打ち合わせに同行、資料確認などバックアップメインです。

そうして始まった「地獄週間」、本当に地獄でした。わたしは本当に無知で、打ち合わせに必要な資料で作成したことがないものもあった状態です。それをいきなりアドリブで作ることになり、打ち合わせはKさんが全面的に進めてくれましたが、それを元に次の打合せまでに必要な資料を全て洗い出し、次の日の打合せの資料も準備し、頭で今日どうしてもやらなきゃいけないことを整理しつつ時間と戦いながら行い…と、途方もない仕事量をこなしていました。その週は本当に毎日終電で帰っていました。そして朝は始業1時間前に出社の日々でした。死ぬかと思いました。毎日20時を過ぎると社内も大分落ち着いてきます。外線もかかってこなくなるので、みんなひたすら自分のタスクをこなし、21時くらいになるとピリピリしていた空気は一転、和やかモードに入り、お菓子を食べながら世間話も交えつつ仕事をしていた感じです。

その中でわたしとKさんは次の日の作戦会議です。まず打合せは何件あるのかを確認し、それに必要な資料を1つ1つ確認していきます。その後に当日中に絶対消化しなければならない仕事のチェック、漏れがないかを確認します。それが終わったら、次の日の打合せに必要な資料の確認と修正です。ここでまだ未完成のものがあったら勿論作ります。延々と。そして全てOKのサインが出て、初めて今日のお仕事終了、といった感じでした。

再三となりますが言っておきます。まだ入社1か月半くらいです。Kさんや他の先輩に沢山助けて頂きましたが基本的に全て自力でこなしました。
そうして今日が何曜日だかの感覚も抜けてきた頃、1週間が終わりました。金曜日の夜にKさんとの確認が済み「頑張ったねー」と褒めて貰えたときは涙が出ました。実話です。

Kさんとそのとき残っていた優しい先輩Mさんに「よく頑張った、不安だったでしょ」と慰めてもらい、必死で頷いていました。Y先輩から1週間不在にすると聞かされたとき、本当に不安だったのです。自分1人でできるのか、できないことしかないくらいなのにできっこない、しかもY先輩はうちの稼ぎ頭なのにその代わりなんて努まるわけないと、とにかく不安で、同時に心細かったのです。やり方は体育会系的な感じでさっぱりしていて、無茶もよく言いますし理不尽な教わり方もしました。でもY先輩は全てを抱えて仕事していたのです。その凄さを噛み締めました。そしてY先輩を尊敬すると同時に、こんなに甘えていたんだとも実感しました。

次の週、さすがに疲れ果てていたので午前半休をとって午後に出社すると、Y先輩がこれでもかってくらい褒めてくれました。後にKさんから聞いた話ですが、Y先輩はほぼ人を褒めないのだそうです。Kさんから「入社してずっと見てきてるけど、人のこと褒めてるところ片手に収まるくらいしかないよ」と聞いて、すごく嬉しく思いました。お土産も誰より1番多く買ってきてくれました。そのとき、少し自分を誇らしく思いました。でも、もうY先輩がいない1週間なんて体験したくないとも思いました。

 

経費削減のカラクリ

話を戻しまして、次の段階です。仕様書がクライアントの了承を得て完成したら次は金額の確定です。金額の確定というのは、相見積もりをお願いするときの開始金額というものを決めることです。

仕様書の作成前に、クライアントには取り組む案件について直近1年にかかった費用を伝えています。実際に取り組む際に、その金額より低く見積もりをしてもらわなければ取り組む意味がありませんよね。なのでその金額を元に、大体5~10%下げた金額をサプライヤー企業に提示します。「今クライアント企業さんはこの値段(5~10%下げた金額、実際に年間100万で契約をしていたなら90万)で行っていますよー」という感じです。相見積もりに参加してもらう企業には、この金額を下回る金額提示を絶対条件として提案して頂きます。そうすると、クライアント企業は必ず現行より経費が下がるという仕組みです。この金額をクライアントと確認して、合意を得たらお待ちかねの相見積もり開始です。

 

見積もりお願いします!仕様書見て!

選定したサプライヤー企業に、一斉に仕様書を開示します。独自のシステムに登録してもらい、そこにアクセスしてもらうと仕様書がダウンロードできるという仕組みです。各サプライヤー企業が仕様書をダウンロードしたか、見積書をアップしてくれたかを一元管理できるシステムなので、もし仕様書を開示して数日してもダウンロードしてくれていない場合は、こちらから電話をかけてダウンロードお願いします!と追撃します。見積書の提出期限は開示後2週間を設定しています。

最初の1週間が経過したときに、1度質疑応答を受け付けます。仕様書の中での不明点、実際に取り組む際にここはどうしたらいいのか等の質問を募り、2日後には全社に向けてその質疑と回答を開示します。1社が分からないことは他の企業でも分からない場合があり得るので共有しよう、ということです。不明点を抱えたまま各自の判断で見積書を提出してもらった場合、後々に確認を行った際に相違が発生してしまう恐れがあります。それを事前に防ぐのが狙いです。

そうして2週間、こちらからしつこいくらいに電話をかけて、仕様書のダウンロード、何か分からないことはないか、実際にご提案できそうか、提出日に間に合いそうかなど段階を得てヒアリングしていきます。1つの案件につき10社程度だとこの電話作業も楽なのですが、50社程度まで増えると本当に骨が折れます。サプライヤー企業の窓口は基本的に営業の方なので出払っていることが多く、なかなか電話で捕まえるのが難しいのです。しかし、この電話かけが非常に大切な作業で、これをしっかり細かく行うと見積もり提出率は飛躍的に上昇します。

クライアントからしたら、見積もりを提出してくれる企業が多ければ多いほど比較できる範囲が広まります。そして、こちらからしても見積もりを提出してくれる企業が多いほどにより高額な削減を提案できる機会が増えるので嬉しいことなのです。

ここで少し報酬について触れておきます。前職での報酬ですが、実際の削減金額の50%を報酬としていました。

例えば、現行100万円から80万円まで削減できたとします。そうすると削減金額は20万円になりますよね。その50%がクライアントから報酬として頂けるのです。

これ20万円の削減金額で考えると、これだけの手間と労力を使ってたかが10万ぽっち?と思うでしょうが、案件規模が大きくなればなるほど結構良い額になります。わたしが獲得した金額で一番高額だった案件は3,200万円でした。Y先輩は最高で6,000万強、社内の歴代1位の獲得金額は7,700万円だったそうです。これらは獲得金額なので、実際は2倍の金額を削減させたのです。

これだけの金額を背負ってるのですから、正直胃が痛くなります。これだけの高額案件になると、何かの不手際等で案件が不成立になるだけで会社の売上げにかなり影響がでます。なので社長からの圧もかなり強くなり、毎日背後から「○○―!!お前あの案件どうなってんだ!?ちゃんとやれや!!」と怒鳴られながら仕事をすることになります。しかも、その案件を獲得するために、他の小さな案件は捨てろとまで言われていました。

クライアントの信頼を崩すわけにはいかないので勿論そんなことはしませんが、社長の前で他の案件の仕事をしているとかなり煩く怒鳴られるので、打ち合わせ後にどこかのカフェに寄ってその仕事を進めていました。打ち合わせが長引いてしまって…というような嘘をついてです。「お前の打ち合わせの進め方が悪いからそうなるんだろー、本当使えねーな」位は言われますが、逆を言えばそれだけで終わるので楽だったのです。
今思えばそれだけで済んで楽と思うとは、我ながら毒されていましたね。

 

鬱陶しい役もやります、見積もり提出期限

さて、見積もり提出期限になったら、ここからまた作業です。

まずは、見積もりを提出してくださった企業にお礼と、この金額に本当に間違いはないかなど、細かに確認の電話を行います。見積もりは総額だけでなく、細かな単価まで全て提示してもらいますが、その単価の根拠までしつこいくらいに聞きます。きっと鬱陶しく思われていたでしょう。こちらとしては適当な提案はできないので詳細を確認したいだけなのですが、忙しい時間を割いて細かな見積書を提出してくれたのに、その金額を疑うような質問をされるのですから。棘のないように確認するための話術はこの電話作業でかなり鍛えられたと個人的に思っています。誰とでもフレンドリーに、丁寧に、話しやすい雰囲気で、というスキルは今でも非常に役立っています。ここで実際の仕様とは違った提案をしてくれる企業もいるのですが、その企業には新たな提案内容を詳しく聞き、クライアントにちゃんと説明できるように頭に叩き込みます。

次に、見積りを提出してくれなかった企業に、「今日期限ですけどどうですか?」と追い討ちの電話をします。見積書を提出してくれなかった企業は大体2つのパターンに分かれます。確定金額を下回れない場合、そして、期限に間に合わなかった場合です。後者の場合はギリギリまでこちらも待ちます。
そうして集まった見積書を元に比較表を作成します。

  • どこの企業が一番価格が下がったか?
  • 何%削減できているのか?

などをエクセルにまとめます。

これらの作業を、本当に時間がない時は1時間半で終わらせます。それが例え50社相手であってもです。これは本当気合で乗り切ります。なんせ見積もり提出期限の2時間後に打ち合わせが発生するということがザラにあったからです。

なぜそんなカツカツなスケジュールなのかと言うと、これは大体クライアントの都合です。「早めに見積もり欲しいからこの日打ち合わせあるし、その日の正午締め切りにしてくださーい」というような。嫌とは言えないので必死です。このときばかりは常に電話片手にひっきりなしに電話対応して血眼になりながら比較表を作成していました。この比較表の金額の誤りは絶対許されません。直接報酬に関わってくる金額だからです。余裕があるとき、というか普通は締め切りから打ち合わせまで3日~5日程度は設けられていますが、わたしが担当していたクライアントは無茶を言ってくる企業があったので、必死でした。馬車馬です。

 

あと一息!それでも終わらない案件たち

てんやわんやで比較表を作成して全ての確認を終えたら、それを元にクライアントに結果を報告します。

そして、「どこの企業にします?」と選んで頂き、クライアントが選んだサプライヤー企業との面談を取り付けます。これは選ばれた企業に電話をかけて日程を調整するだけなのですぐ終わります。選ばれなかった企業には協力して頂いたお礼と、選ばれなかった理由を合わせて伝え、最後にまた似たような案件があったらご協力お願いします、と言っておしまいです。

そうして、クライアントが面談を終わらせて、どこと契約を締結するかを決定して頂き、最後に削減金額を確認、そこからわたしたちの報酬がこれで間違いがないかの確認をして、合意を得たら1つの案件において行うことはおしまいです。最後の報酬の支払い等の諸々の作業は総務部が行ってくれました。

これで1つの案件は終了ですが、わたしたちは常に同時進行で他の案件も複数進めています。そして、1つの案件が終わったら次の案件を提案します。そして息つく間もなくすぐ次の案件開始です。クライアントにもよりますが、どこのクライアントも同時に3件程度は案件を進めています。そして、担当しているクライアントが複数社、なので絶えず5~8案件くらいは同時進行させています。
休む暇などありません。でも案件が終了して報酬が確定するとやはり、「あー1つ片付いたー」と少し安心します。実際には10分程度の休憩もありませんでしたが。

 

自信の根源になった大きな存在

ここまで前職の仕事内容を実体験を交えて説明してきましたが、これを読んだ皆様はどんな感想を抱いたのでしょうか。凄まじい、あり得ない、難しそう、社長酷い、とかでしょうか?
わたし個人の感想ですが、わたしは前職に就いて良かったなと思う面が7割、悪かったなと思う面が3割です。

良かった面ですが、まず一番の要因はY先輩の下で働けたということが大きいです。これは本当にわたしにとっては非常に大きな成長をもたらしてくれました。Y先輩は基本的に体育会系の人だったので、丁寧に仕事を教わったことなどありませんでした。実際にやって覚えろという人で、分からないのでアドバイスを下さいと言うと、誰か他の人に聞いてきて、と投げ捨てられるような教育方針の人でした。でもこれがわたしには凄くマッチしていました。

 

丁寧に教わるより実際にどんどんタスクをこなしていき、分からないことが出てきたら色んな人に聞くという方が個人的には合っていたのです。一個ずつ教わっても、実際に体験しないとできないことは多くあります。百聞は一見にしかず、という諺がありますが、これに似たような感覚だと思います。

また、Y先輩は本当に驚く程に仕事ができる人でした。実際、稼ぎ頭であり、役員の方からの信頼も非常に厚かったです。やり方こそ多少雑ですが、それでもわたしは憧れました。そして、わたしがある程度仕事を1人でこなせるようになってから、Y先輩はわたしに仕事を沢山任せてくれました。これは本当に誇らしかったです。基本的なビジネスマナーも、効率の良い仕事の進め方も全てY先輩から学びました。勿論Y先輩も完璧な人ではないので、時々失敗をしたり、多少抜いた仕事のやり方をしていたりしましたが、それをフォローできたこともわたしには嬉しいことでした。Y先輩の存在は本当に大きな自信を与えてくれたのです。

次に、やはり、業務量が多かったことがプラスにもなりました。多くのことを同時にこなし、全て処理をする。実際に行ってみると凄く難しいことでした。しかし、それができるようになり、わたしの仕事の基本スキルは飛躍的に向上したと思っています。この仕事を効率良く、スピーディにこなす能力は現職でも役立っています。

また、社内では初期の頃から評価を頂いていたりしましたが、それでも自分に自信がなかったので素直に受け止められませんでした。しかし、自分で能力の向上に気付けたとき、また、Y先輩と同等の仕事量を自分1人でできたとき、大きな案件を成功させたときに自信がつき、素直に周囲の評価を受け止められるようになりました。

悪い面は忙しすぎることです。本当に毎日毎日残業ばっかりで、どれだけ手を動かして頭を使っても仕事は延々に発生していきます。毎日4時間~5時間睡眠で仕事中は常にフル稼働、息抜きをする時間も惜しい程の過酷さでした。抱えている案件の規模が大きければプレッシャーもその分負荷となります。入社して3ヵ月後程には500万程度の案件を抱えていましたし、それだけ期待をし、できると信じてくれていたのは嬉しかったですが精神を削るように働いていました。やりがいもあるし楽しいのですが、一生この生活をできるかと聞かれたら到底できないでしょう。きっと若い体力のあるうちしか、あんな無茶な仕事はできないと思います。
あとは、社長がなかなかの曲者だったのも悪かった要因です。しかしこれは本当に運が悪かった、としか言いようがないですね。最初からどんな人かなんてことは分からないですし。

 

コンサルタントは泥仕合?

コンサルタントはかっこいいなんてイメージを聞きますが、実際は泥試合をしている気分です。かっこよくなんかありません。

毎日睡眠不足と戦い、膨大な業務量とノルマを背負い、社内の人間はみんな基本的にはピリピリしているのです。途中で一度思ったことがあります、自分は何と戦っているのだ…と。

コンサルタントは本当に激務です。この職業を希望する人はとにかく激務を覚悟してください。

そして、理不尽なことも非常に多いです。激務故に皆苛立ち、当たってくるのです。それに耐えられる神経の図太さもあった方が良いと思います。これは個人の気質の問題なので強要できることではないですが、ストレス耐性が強い人の方が良いとは確実に思います。

わたしは自分が勤めていた会社しか知りませんが、どこのコンサルタント会社もノルマは厳しく、激務だと聞きます。それを分かった上で希望をした方が現状を知ったときに落胆することもないでしょう。わたしは落胆したりギャップを感じたり、ということは無かったですが、予めどれだけ忙しいものなのかは知っていたかったと思っています。決して、ただの憧れだけで希望することはお勧めしません。

他社では精神的に弱ってしまい退職するという人が多くいると聞きます。自分を守るためにも、下調べを詳細に行った上で、やはりこの仕事に就きたいと思ったら希望するというプロセスを経ることをお勧めします。どんなに憧れていても自分が壊れてしまったら元も子もないと思いますからね。自分を守ることは本当に大切なことです。入社して荒波に揉まれ、才能を発揮する人がいるかもしれません。しかし、挫けてしまう人も一定数必ずいます。自分の力量をある程度見積もり、希望する、行動することができると何かあったときにも対処しやすくなるはずです。

ここまで注意点というか、実際に勤めてきたことを踏まえて書きましたが、悪いことだけではありません。

確かに激務です。神経を削るような毎日です。しかし、その分、やりがいや達成感は本当に大きいです。これは思っていたより大きかったです。

毎日なんとなく過ぎていくなんて日常はまず起こりません。毎日刺激だらけです。ハプニングやイレギュラーもこれでもか、と発生します。退屈しないのです。わたしが仕事をしていて楽しいと思ったのはこれが理由です。トラブルなんて無いに越したことはありません。イレギュラーも無ければ良いと思っています。日々カツカツの業務ですから何か起これば何かが遅滞してしまうか、それを挽回するべき手を打たなければなりません。これらのあらゆる問題をクリアしていくことが快感に繋がっていました。どんな問題だってクリアしてみせる、という負けん気が発揮されて、言ってしまえばゲームのような感覚で楽しんでいました。

わたしのような負けず嫌いな人、どんなハプニングも「やってやる」と楽しめる人は、この仕事は向いていると思います。前職には一見大人しそうな人もいました。でも、その人はこの仕事のおかげで嫌でも性格が前向きになったと言っていました。仕事が性格まで変えてしまうなんて凄いですよね。何かにチャレンジしたい、自分をもっと活かしたいと考えている人も、挑んでみて良いと思います。わたしは元々勝気なタイプな人間なので性格が変わるということはなかったですが、それでも自信はつきましたし、前より人との接し方は上手になれたと思っています。また、多少のトラブルに動じることもなくなりました。慣れてしまったのですね。

あとは、お給料は良かったです。最初に話したとおり、わたしは第二新卒で入社しました。その当時資格も何もなし、それまでの経歴だって何もありません。そして、ペーペーの新米24歳が、初任給で30万近く手取りで貰えました。普通だったらあり得ない金額です。ボーナスもなかなかいい額を貰えまして、無資格新人が1年目で年収500弱手にしました。業務の多忙さから見れば果たして多いのか少ないのかは、個人の裁量になってしまうと思います。でも、わたしはこんなに貰っていいの!?と思いました。同年代と比べても多いと思いましたし。

個人の体験を元にした注意や向いている人等を並べてきましたが、最後にコンサルタントを希望している人へアドバイスです。

わたしは本当に無知な状態から入社しました。コンサルタントって何やるの?からのスタートでした。これは下調べを怠り、適当に流されるように入社を決意した自分の責ですが、それでも一人前に仕事をこなすことができました。周りのサポートがあってこそ成り立ったのですが、それでもなんとかなりました。そして、その成功体験は本当に自分の大きな財産になっています。あまり参考にはならないと思いますが、この世界、やったもの勝ちだと思います。ガツガツやっていけば成功に向かうと思います。失敗しても落ち込む暇がないのも確かですが、それでも良いと思います。

次に同じ失敗を繰り返さないということは非常に大切なポイントですが、勝気に挑んでください。目の前の業務の多さ、ストレスの多さに辟易することはありません。もし、この記事を見てコンサルタントを希望する人がいるなら、視野を広く、なんとかしてみせる、という思いを持って挑んでください。そうすればきっとあなたは力になれるはずです。