アウトソージングや分社化でリストラされやすい社内SE
パナソニック、シャープなど多くの会社がコスト削減を目的にこれまでIT部門をリストラ化してきました。
ただ、リストラしても結局は再びIT人材を補充し、しばらくすると再びリストラをする。という悪循環に陥っている会社が多く見られます。
リストラの代名詞 社内SE
私自身も実際にリストラされましたが、社内SEは本当にリストラされやすいです。
今年のはじめにパナソニックの社内SEリストラ事件が起こりましたが、今後もこの動きは続いていくでしょう。
関連記事:新年のあいさつ リストラが続く社会で生き残るために本気で取り組みます
経営者層は、IT部門は利益を生み出さないという認識が強く、コンサルティング会社もそのように経営層に吹き込みます。
その結果、部門の一部が別会社になったり、ITベンダーに売り飛ばされたり、共同の子会社を作り転籍させられたりします。
分社化して外販で稼ごう。という例もよくありますが、90%は失敗します。
元情シスのスキルでは、まともに商売をすることは難しいです。
経験しているので分かりますが、元いた会社から追放されるということは精神的にかなりきついです。
所属が変わると元同僚は途端に冷たくなりますし(業務上)、労働のモチベーションもガクンと落ちます。
そもそも、リストラ対象になる人は元々うだつが上がらなかった人が多いので、職場の雰囲気は全体気にやる気がなく最悪です。
リストラ時はIT部門の全員を分離。ということは少なく、会社全体のIT戦略を立てる人は残されることが多いです。
業務アプリケーションを見ていた人などはリストラされることが多いです。
IT部門をリストラすると再び社内にIT部門ができる
こうしてIT部門をリストラした会社ですが、IT部門が無くなると、今後は勝手に社内にIT部門ができる傾向があります。
例えば、事業部制をとる大きな会社などでは、本社ITの統制が行き届いていないことがあります。
そのため、部署内でITに詳しい人が勝手にマクロを作って配ったり、HTMLを組んだり、ASP.netのプログラムを作ったりし始めます。
共に、フリーの開発ツールを落として作り、共有フォルダなどに配置すれば使えますから、そこそこスキルのある部署の人は勝手にやってしまいます。
こうして、社内でいつの間にかITに関わる人が増えていきます。
また、リストラした結果、業務が回らなくなり再び中途採用で人を雇う。というケースもよくあります。
外から取るくらいなら、リストラした人を戻せよ。と、言いたくなりますが特定の人だけをやっぱり戻すということも難しい(回りが納得しません)ので、結局新規採用になります。
社内で自然発生したIT人員とキャリア採用者は、いずれ同じIT部門に統合されます。
そして、人が増えてきたところで、再び経営者がリストラを行います。
不毛な話ですが、会社はこのサイクルをずっと繰り返します。
特に、大きな会社や外資系によく見られるパターンです。
社内SEの仕事っぷりを見直して欲しい
切ない立場の社内SEですが、リストラされる背景には「会社への貢献度が低い」というレッテルがあるのでしょう。
確かに、適当にやってSIerに丸投げの会社もありますが、相当頑張っている社内SEも多いです。
例えば、先述のパナソニックの社内SEには、グローバルでのシステム導入のため、全世界を飛び回って調整していた人もたくさんいます。
私の会社などでも各人がPM(プロジェクトマネージャー)を務め、しょっちゅう海外へ出向いて話を纏めています。
業務の細かなニーズを聞き、円滑に仕事ができるようしっかりと機能を作りこむことができる社内SEもいます。
こういった人は業務の現場をガッチリと支えており、貢献度は計り知れません。
社内SEの経営層へのアピールの仕方もあるのでしょうが、こういった働きは本当に評価して欲しいと感じます。
逆に言うと、社内SEは経営に貢献しているという実態がなければ、リストラされても仕方ないのかも知れません。
経営層・IT部門共に、考え方や働き方を見直していかなければ、永遠に繰り返されるリストラと採用は止まらないように思います。
コメント