「オーディオブックリスニングへの道」では、オーディオブックを聞き取れるようになる方法を紹介しました。
リスニングの基礎を固めたら、いよいよオーディオブックに挑戦です。
今回は、初めてオーディオブックに挑戦される方が、どのようなオーディオブックを選んだらよいか、ポイントをまとめました。
オーディオブック選びのポイント
1.読めるレベルよりも少し下のレベルを選ぶ
読めない本を聞くことは出来ません。
オーディオブックは、150語〜180語/分の速度でよどみなく読み上げられますので、そのスピードでスラスラ読める本でなければ耳のみで理解することは困難です。
自分にとって少し簡単かな?と思うレベルの本を選ぶと失敗しにくいと思います。
リスニングレベルを確認するには、多聴多読ステーションサイトにある「多聴多読素材難易度ガイド」が参考になるかと思います。
多聴多読素材難易度ガイド
多聴素材難易度ガイド | 多聴多読ステーション 立ち読み・試聴してみよう!
この表はX軸にLL(リスニングレベル)、Y軸にYL(読みやすさレベル)を取り、オーディオブックやTOEIC、英検のリスニング難易度、有名スピーチなどの読みやすさ、聞きやすさをプロットしています。
この表を詳しくみてみましょう。
英語圏の幼児の読み聞かせによく使われる、「The Cat in the Hat」は、読みやすさレベルは1ですが、リスニングレベルは5.5と高めです。
絵本は読むと簡単なのですが、オーディオブックの場合は集中力のない幼児の気を引くために早口で緩急がつけられていたり、韻を踏むために意味のない言葉が多用されていたりして、初心者がオーディオブックで聴くには不向きです。
ドラマでもお馴染みの、Little House in the Big Wood/ 大草原の小さな家は読みやすさレベル7−8ですが、リスニングレベルは3で、TOEICのリスニングパート2と同じくらいのリスニングレベルになります。
読みやすさレベルは高くてもリスニングレベルが低ければ、目で読むことが出来れば聞いて理解出来る可能性は高くなります。
こちらの表のリスニングレベル程度を知るためには、ベンチマークページの音声を聞いて、どのレベルまで理解出来るか試してみるとよいでしょう。
2.ストーリーを知っているものを選ぶ
オーディオブックリスニングに慣れるまでは、内容を知っている本を選ぶと挫折しにくくなります。
日本語で読んだことがあるか、洋書で読んだ本であれば、内容が頭に入っているため、少し聞き取れない箇所があっても、その後置いてきぼりになる事がなくなります。
3.短い本を選ぶ
オーディブルならば、どの本を選んでも1冊11ドル〜14ドルの定額なので、コストパフォーマンスの良い長時間の本を選んでしまうかもしれません。
問題なく聞き取れるのであれば良いのですが、聞き取れない場合は苦痛でしかありませんし、オーディオブックリスニング自体に嫌気がさしてしまう場合もあります。
初めてであれば、2時間〜5時間程度の短い本から始めるのが無難でしょう。
私は慣れないうちに80時間超の聖書オーディオブックを購入し、挫折してしまいました。
確かに12ドルで80時間ならばコスパは最高なのですが、信心深くもないのに聖書は聞けません…。
自分の興味がある内容の本で、4−5時間程度の本がちょうど良いです。
慣れると40時間の本でも飽きずに聞き続ける事が出来るので、慣れるまでの辛抱です。
初心者が避けたほうが良い(かもしれない)オーディオブック
1.幼児向け読み聞かせ絵本
逆に初心者が避けたほうがよいオーディオブックもあります。
それは、上記でも引き合いに出しましたが、幼児向け読み聞かせ本です。
2−3歳の子供に聞かせる本なら簡単に違いない、と思ってしまいがちですが、ナンセンスな言葉遊びが多いため、あまりリスニングの練習にはなりません。
The Cat in the HatなどのDr. Seussシリーズなどは、英語圏の子供ならば絶対に知っているシリーズですが、言葉遊びの部分が分かりにくかったり、テンションが高過ぎたりしますので、避けたほうがよいかもしれません。
ヤングアダルト本も朗読スピードが早めです。
2.複数のナレーター、ドラマ仕立て本
大多数の本は、一人のナレーターによって読まれますが、時々複数のナレーターで朗読されるドラマ仕立てのオーディオブックがあります。
声の演じ分けが分かりやすく、テンポも早いので楽しいのですが、初心者にとってはテンポが良すぎて聞き取り難易度が高いです。
3.苦手なアクセントのナレーション
オーディオブックにはアメリカ英語、イギリス英語の朗読があり、数は少ないですが、時々インド英語、オーストラリア英語のものもあります。
アメリカ英語ばかり聞いていた人がいきなりイギリス英語のオーディオブックを聴くのは厳しいでしょう。
イギリス英語でも標準的でかえって聴きやすいものもありますが、地方訛りやコックニーアクセントのものなどは大変難しいです。
アメリカ英語にも南部訛りのものもあります。AudibleやiTunesでは冒頭部分を試聴することが出来ますので、聴きやすいアクセントかどうか確認しましょう。
おすすめオーディオブック
それでは実際にお勧めのオーディオブックを紹介します。
1.Frog and Toad CD Audio Collection
日本でもお馴染み、かえるとがまくんのシリーズ4冊、20作品を収めたコレクションです。
作者本人による朗読で、1作品あたり5分程度、全部で90−100分になります。
I can readシリーズのレベル2にあたりますので、英語は中学校レベルでも十分に理解出来ます。
このレベルが聞き取れなければ、もう少し基礎力をアップしてから再挑戦したほうがよいかもしれません。
2.Who Moved My Cheese
「チーズはどこへ消えた?」のオーディオブックです。
ネズミと小人により語られる寓話の形をとっていますが、自己啓発書です。
1時間程度と短い本ですが、人生について考えさせられます。何度も繰り返し聴くのにも適した本だと思います。
3.The 7 Habits of Highly Effective People
ビジネスマンに人気の「7つの習慣」です。
色々なバージョンがありますが、完全版はUnabridgedと書かれた5000円程度のバージョンです。
作者本人による朗読なので、言葉に重みが感じられます。こちらの本も、日本語版、英語版がありますので、読んで内容を把握してから聞くと良いと思います。
オススメはウォーキングしながらの自己啓発系オーディオブックリスニングです。
前へ前へと進みながらポジティブな言葉を聞くとやる気が満ち溢れてきます。英語学習と読書と運動を一度に出来るので大変効率的です。
4.Justice: What’s the Right Thing to Do?
「ハーバード白熱教室」で人気のあったマイケル・サンデル教授の本です。
コチラの本は朗読スピードが他の本と較べてかなりゆっくりです。
オーディオブックは150語/分以上で読み上げられるものが殆どですが、サンデル教授は120語/分とゆっくりめ。
内容は正義、哲学と硬いのですが、サンデル教授は難しいテーマを身近な話題を用いて分かりやすく説明しています。
まるで実際に教室にいて先生の話を聞いているかのようです。
リスニングレベルは易しめですが、用いられている語彙は少し難しいものもありますので、本を読んで内容を把握してからのほうが良いでしょう。
5.Harry Potter シリーズ
初心者向けではないのですが、ハリー・ポッターシリーズも是非紹介させて下さい。
こちらはTOEICで900点を越えたあたり、または多読でYL7−8レベルを読み慣れてからのほうが良いかとは思いますが、オーディオブックの醍醐味を感じられる大変素晴らしい本です。
朗読はジム・デール版とスティーブン・フライ版がありますが、お勧めなのはスティーブン・フライ版です。
この2つの違いは、ジム・デール版はアメリカバージョンの本で、スティーブン・フライがイギリス版の本だということです。
言葉の選択にちょっとした違いがありますが、ジム・デールもイギリス人なので、アメリカ英語というわけではありません。
スティーブン・フライ版の良いところは、朗読を聞いているとはっきり情景が浮かんでくるところです。
登場人物が顔を”grimace”したといえば顔をしかめる様子が自然と浮かんできます。
本の持つ力と朗読者の力量を感じる事の出来た本でした。
子供向けのファンタジー本なので好みの問題はあるかと思いますが、日本語版を読んだことがある、または映画を見て興味を持った方などは挑戦してみてはいかがでしょうか。
まとめ
本選びは個人の趣味によるところが大きいので、色々と試してみることが大事だと思います。
特にこだわりがなければ、自己啓発系がお勧めです。ある程度自己啓発書を読んだ事がある方ならば、だいたいのパターンは掴めますし、自己啓発書ならばファンタジー系のように突拍子もない事は言いません。
万人に向けた説得力のあるエピソードが語られるという点で、初めてのオーディオブックとして適していると思います。
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