皆さんはいわゆる「日本人英語」の発音についてどう思われますか?
発音学習は、取り組む人と取り組まない人の差が大きい分野です。
「発音よりも中身が大事」という意見もあれば、発音専門の英語スクールなどもあるほど。
今回は、「通じればいい」は本当か、日本人の英語発音について考えてみたいと思います。
発音よりも中身が大事は本当?
「発音よりも中身が大事」、「ペラペラと流暢に話していても、中身がないと相手にされない」という意見があります。
確かにそうです。
ですが、これは発音が下手なままで良いという言い訳になり得るでしょうか?
「発音よりも中身が大事」という意見の具体例として、ノーベル賞をとった日本人の英語スピーチのエピソードがあります。
受賞者は決して英語が上手くはなかったが、講演会では皆が熱心に耳を傾けていた、発音は悪くても中身があれば皆聞いてくれる、というものです。
ごもっともな意見ですが、ノーベル賞受賞者のような意義のある話が出来る日本人がどれほどいるというのでしょう?
発音がいくら下手でも、あなたが大事な顧客や取引先だったり、会社の上司であれば、相手はじっと熱心に話を聞いてくれるでしょう。
異文化交流会などで知り合う人々も外国人の英語には寛容だと思います。
ところが、自分が海外の取引先に仕事を取りに行かないといけない、海外の大学の学部入学または大学院で留学し、顧客や同級生など立場が同等またはこちらから何かを提供しなければならない場合。
あまりにも発音が悪く、コミュニケーションに差し支えがあるレベルだと、相手にされない場合もあります。
実際に留学や海外業務を経験した人は、自分の英語が通じなかったために相手にされず、悔しい思いをした人もいらっしゃるのではないかと思います。
「発音よりも中身が大事」という意見自体に異議を唱えるつもりはありませんが、開き直らずに発音を改善する努力を続けることが大事です。
英会話に大事な要素
日本語は比較的平坦なので、英語を話す時も日本語を話すように強弱なく平坦に話してしまいがちです。
英語ネイティブからすると、この平坦さが聞き取りにくい原因のひとつのようです。
具体的には、英語のイントネーション、リズム、アクセントの位置が日本語とは違うため、これを意識しないと伝わりにくい英語となります。
英語は音楽のようなもので、英語らしい音程、リズムがあります。
これは英語をたくさん聞き、自分でも真似して口に出すことで慣れていくしかありません。
英語のセンテンスのどこで息継ぎをするか、どの単語にストレスを置くか、などは、実際にたくさん英語を聞くことで、パターンがわかってきます。
英語らしいイントネーション、リズムを身につけるには、たくさん英語を聞き、聞いたまま同じように口から出す練習が効果的です。
ちょっとしたアクセントの違いで、簡単な文章でも理解してもらえないことがあります。
例えば、歌手のマドンナは「マドンナ」と発音しても通じず、「マドナ」と、ンの音が消え、ドのみが強調されます。
“I like Madonna.”程度の短い文章でさえも、日本語発音だと通じないことがあるのです。
英単語のアクセントについては、新しい単語に出会った時に必ず発音記号を確認する癖をつける事で対応出来ます。
現在は、Weblio辞書や、Oxford Leaner’s Dictionaryなど、単語読み上げ機能があるオンライン辞書もあります。
知っているつもりの単語でも、いちいち確認してみることをお勧めします。
オススメの発音テキスト(アメリカ発音)
発音が悪い事を恥じ入るあまり、全く話せないというのは困りますが、聞く相手に負担をかけず、楽にやり取りしてもらえるレベルまで練習する必要があると思います。
日本人英語の発音のままでいいとは言いませんが、「ネイティブのような発音でなければならない」というこだわりまでは不要です。
口の中に鏡を入れて舌の位置を確認するメソッドなどもありますが、そこまでする必要はないと思うのです。
英語らしいリズム、イントネーション、アクセントの位置に気をつけるだけでも、英語らしさが格段に増します。
リスニングの際は、ただ聞くだけでなく、聞こえたままの音を口から出す練習を心がけてみて下さい。
日本人英語の特徴として、よくLとRの区別がついていないことがあげられます。
これは確かに日本人が英語を発音する時の問題ではありますが、日本人の英語が日本人発音のままではなかなか伝わらないのは、LとRだけの問題ではありません。
日本人の英語発音が分かりにくいのは、イントネーションが平坦で、単語のストレスを置く位置が間違っている、子音の後に余計な母音がくっついている事が大きいのではないかと思います。
また、母音の発音の仕方、単語のストレスのおき方、イントネーション、リズムなど、気をつけるポイントはたくさんあります。
今回は、オススメの発音テキストである、Mastering the American Accent と、American Accent Training を紹介し、この2冊の教科書を使う時期、学べる内容、テキストを使う際の注意点などを紹介します。
発音を学ぶタイミング
美しい発音への憧れから、発音学習を学習初期にメインにしてしまう方がいらっしゃいますが、発音学習は一番最初からではなく、ある程度文法やリーディング、リスニングなどを学んでから、サイドメニュー的にやるのが効果的だと思います。
いくらFebruaryやLibraryを美しく発音出来たからといって、”I went to the library yesterday.” を、ウー、アーと唸りながらひねり出すようでは、せっかくの発音の特訓成果を活かせません。
発音テキストを使うなら、短文でもいいので、ある程度自分の考えを言えるようになってからのほうがよいでしょう。
発音テキストで学べること
中身の例文や発音やイントネーションを学ぶ順番に多少の違いはありますが、学ぶべき内容は2冊ともしっかり網羅されています。
これらの本では、母音、子音の詳しい発声方法、ストレスのおき方、文章中のイントネーション、語彙の連結、消失などを学びます。
母音の発音の仕方では、a だけでも5つの種類の違う音があります。
これらの音の出し方を、喉と舌の位置を示し、CDで繰り返し正しい音を聞いて学びます。
また、toが ”タ” と発音されるリダクション、take him のhimがイムになる連結、it is のt がd になる音の変化の法則なども学びます。
LとRの発音についても、LとRが単語や文章のどこにあるかによって発音の仕方も違います。
LiceとRiceの違いというような単純な問題ではないのです。特に日本人は、Lの後に子音がつく音が苦手だそうです。
Cold, Old Schoolなど、普段は意識していなかった部分も、教科書で注意点を学ぶことで、正しい発音に近づけることが出来ます。
発音学習の際の注意点
テキストには口腔内の絵が書いてありますので、舌の位置を確認し、付属のCDで正しい音を聞いて独習することも可能です。
ただ、自分で出来ているとは思っていても、日本語にはない母音の微妙な違いや、tがdに変化する音などは英語ネイティブでないと正しく判断出来ないこともあります。
Skypeを使ったオンライン英会話レッスンで発音指導が出来る先生を探し、日頃の練習の成果を聞いてもらうとよいです。
発音の問題点は自分が思っていた以上にたくさんあります。自分では出来ていると思った発音でも、ネイティブの先生に聞いてもらうと、細かい違いを指摘されることがあります。
CDを聞いてもなかなか正しい音が出せない時は、オンライン英会話の先生に違う単語例や文章例を作ってもらい、先生の後について何回も発音し、音を比べてみることが大事です。
まとめ
Mastering the American Accent と、American Accent Trainingの良い点は、発音を系統立てて学ぶことが出来ることです。
自分で考えている以上に発音のポイントが数多くあることに気付かせてくれます。
発音の教科書は、数回読んだだけでは発音が劇的に改善することはありません。付属のCDを繰り返し聞き、何度も口に出して練習することが大切です。
練習するうちに、日本語では使わない口や舌の筋肉が鍛えられます。練習すればするほど、滑らかに音が出てくることを実感出来るでしょう。
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