英会話レッスンといえば、テキストに沿って順番にチャプターを進めていく授業を思い浮かべる方は多いと思います。しかし、それ以外でも英会話学校によっては、時間制の「フリートークレッスン」を設けているケースが多くあります。また、最近話題になっているオンライン英会話レッスンも、このフリートーク制になっていることが多いです。
この「フリートークレッスン」、様々な効果的な使い方があるのをご存知ですか?今回は、海外大学院で英語教育を専門に学ぶ筆者の視点から、フリートーク英会話レッスンの活用方法をご紹介します。
フリートークレッスンとは
これは、テキストやカリキュラムに沿った定型的なレッスンとは異なり、文字通り受講者が自由にトピックを選んで、講師(や他の受講者)とともに会話の練習を積むレッスンです。もしトピックが思いつかなければ、講師主導でレッスンを進められることとなるでしょう。受講者の好きなようにレッスンを進めることが可能なことがメリットなのですが、回数を重ねると次第にトピックのネタが尽きていき、マンネリになってしまう…なんて感じたことのある方はいるのではないでしょうか。そうなってしまうと受け身でレッスンを受けることが増えてしまいますが、より学習効果を高めるためには、やはり能動的にレッスンを受けたいですよね。今回は、英会話フリートークレッスンで使える効果的な方法を詳しく話していきます。
準備が大切!レッスンごとに目的をはっきりさせる
語学の勉強に限らず、学習というものはいつでも目的を持って行うことが非常に大切です。そうでなければ結果が見えづらくなってしまうから。目標設定をすると、一つの学習の区切りごとにそのゴールを達成することができたかをフィードバックし、反省点や改善方法を考えることへと繋がります。反省点を織り込みながら次の学習を進めるにつれて、抜け・漏れが埋められていきます。こうして学習を積み上げていくにつれて知識の伸び、そしてスキルアップが望めるようになるのです。
つまり、これを英会話フリートックレッスンに当てはめると、話すトピックなどを全て講師任せにして、何も考えずただ流されるままにレッスンを受けるよりも、毎回のレッスンの内容や目標をはっきりさせてから受講する方が間違いなく効果的であるということです。
次に、具体的なレッスンの活用法を説明します。注意点としては、これらはあくまでも例であり、講師やスクールなどによっては対応ができない可能性もありますので、あらかじめ講師に対応可能かの確認を取ることをおすすめします。
フリートークレッスンの活用法7選
自分の好きなトピックを選び、それについて話す
これは一番やりやすい方法ですね。話題をひとつ(またはふたつ)あらかじめ決めておき、それに沿って講師と会話しながら会話力を鍛えていきます。
まずは、話すトピックを一度書き出してみましょう。あなたの好きなもの、趣味、これまで行ったことのある旅行先、興味のある国や文化、学生時代の思い出、仕事についてなど、様々なものが挙げられます。まずは大きなテーマを決めて、それに沿ってだんだんとトピックを絞っていくとやりやすいでしょう。
そしてそのトピックごとに、今度はあなたの意見やあなたが話す相手に(講師)聞きたいことをリストアップします。これは同時に話の引き出しを増やすことにも繋がるのです。「自分の考えを持ち、それを相手に伝え、ディスカッションをする」ということはどんな場面でも必要になるスキル。そして特に海外に住んでいると「あなたはどう思う?」というように意見を求められることが総じて増えます。よって、レッスンではトピックについての事実をただ述べるだけにとどまるのではなく、意見交換まで持っていけるようにするべきです。単に語学力をつけるだけではなく、コミュニケーション力や「なぜ自分はそう思うのか」を伝える力を養うトレーニングになります。
ライティングの添削
自分が書いた英文のチェックをしてもらうことも選択肢としてあります。筆者の知り合いは、転職活動で必要となる英文履歴書の添削をしてもらうというレッスンの利用の仕方もしていました。英会話講師はもちろん社会人ですので、彼らの経験に基づいた英文履歴書の良い構成や書き方なども学べるところもメリットとしてあるでしょう。また、仕事で英文メールのやりとりをする人は気になる表現をメモしておいて、それがビジネスシーンで適切か・または他の同じような表現を教えてもらうなどもできるでしょう。
そして、英語能力試験の対策にも使えます。英検・TOEFLやIELTSなどのライティングセクションの問題に取り組んだ時の自分のエッセイをチェックしてもらうということです。場合によっては、担当の講師へ前もって自分のエッセイのデータを送っておき、レッスン中に添削内容について聞き、疑問点をその場で解消することもできると思います。むしろ、レッスンを受ける側としては、そちらの方が限られた時間を有効活用できますね。もちろん先生の方の都合もありますが、可能であればこのような使い方をすると良いでしょう。
自分で学習していて出てきた疑問点の解消
こちらはみなさんが取り組みやすい活用の仕方です。むしろ、筆者としては、「自主学習の疑問点の解消」は常に頭に入れておいてほしいことです。せっかくお金を払ってレッスンを受講しているので、一人では解決できなかった問題は常にリストアップしておき、レッスンを受けるごとに解消していきましょう。
発音チェックをしてもらう
特にネイティブの講師など、あなたが参考にしたい発音を持つ講師によるレッスンを受けることができる場合、発音のチェックや練習を積むのにレッスンを活用することも選択肢の一つです。
はじめにネイティブ講師と言いましたが、これはオンライン英会話の場合はフィリピンやセルビアなどの非英語圏の国々から講師を採用している場合もあることは知っておくといいでしょう。とはいえこれらの国々の講師も、多少のアクセントはあるかもしれませんが、総じてとても綺麗で分かりやすい発音で英語を話しますので、発音練習を積むのには変わらずとても良いロールモデルと言えます。個人の好みもありますが、「可能な限りアメリカ発音に矯正したい」などといったこだわりを強く持っているのではなければ、「自分では気づかない部分の発音を矯正する」「分かりやすい・通じる発音を身につける」くらいの気持ちでチェックをしてもらうのが良いのではないでしょうか。
また、世界では本当に色々な英語のアクセントがあります。英語圏の国のアクセントだけではなく、マレーシア・シンガポール・インド・フランスなど、言語の数だけアクセントもあるのです。そのため、それら世界の様々なアクセントを知るために異なる国出身の講師のレッスンを受けるということも、もう一つの考え方としてあるでしょう。
多くの日本人は、日本の義務教育(あるいは高等教育)がアメリカ英語ベースである場合がほとんどなので、英語のアクセントとなるとアメリカのものが一番馴染みがあるかもしれません。しかし、昨今のグローバル化の影響を受け、世界の人材の活発な流動があるため、一つの国のアクセントだけに関わりがある環境なんてほぼないと言って良いでしょう。しかも、英語圏のアクセントよりも、アジア系のアクセントに触れる機会がかなり多くなることが多いです(中国などは発展が著しいので、どの環境にいても中国人とやりとりすることが頻繁に発生します)。このように、異なるバックグラウンドを持ち、異なるアクセントで英語を話す個人と交流することは、思っている以上の大きな価値があるのです。
様々な国籍やバックグランドを持つ講師と話し、異文化理解を深める
先ほどは異なるアクセントの英語という視点でお話しましたが、ネイティブ・非ネイティブに関わらず異なる文化を知るということも英語学習では大切であると考えられています。日本にいると気づきにくいですが、自分の中では当たり前のことがむしろタブーだった、なんてこともあり得るからです。
アクセントの場合は、特定の国やエリアごとによってあえて分類することができますが、文化とは個人個人で大きく異なるものです。つまり、同じ国・州・地域出身であっても、宗教や信条などが違えば、その人々の持つ文化が全く違うということが十分にあります。日本の感覚だと、宗教や信条の違いというものがいまいちピンとこないことが多いのではないでしょうか(少なくとも筆者はそうでした…)。例えば同じシンガポール人でも、(国自体はとっても小さいにも関わらず)インド系(ヒンディー)とマレー系(ムスリム)では持つ文化が大きく異なるということです。これは人類のるつぼと比喩されるアメリカでもこういったことがあるでしょう。
先ほどの話と少し重複しますが、将来海外で生活したいと思っているのであれば、この異文化に対する理解はとても重要です。そのため、この異文化理解を養うためにレッスンを利用するということも大きな価値があるといえます。
ディスカッションの練習
英語で議論する力をつけることは英語力を伸ばすということに大きく影響します。よって、ディスカッションを中心にしたレッスンもまた一つのレッスンのかたちとなります。ここで言うディスカッションとは、あるテーマに沿って賛成または不賛成を選び、なぜそう考えるかを議論し合うということです。ディスカッションのテーマとしては時事問題系が多くなるので、自然とニュースなどを通し世界の出来事を広く知ることへ繋がります。例えば、「夫婦共働きは子供に悪影響を与えると思うか」「小学生の子供に携帯電話やスマートフォンを与えるべきか」「日本は死刑制度を廃止するべきかどうか」「大学生のインターンシップを卒業要件に加えるべきか」「大学生の留学を必修にするべきか」など。また、「オンラインショッピングの長所と短所」「喫煙が社会に与える影響」など、賛成・不賛成に分類されないトピックも良いでしょう。
ここで、これらのテーマ例を見て「どこかで見たことある!」なんて思った方もいるのではないかと思います。そう、英検・TOEFLやIELTSなどのスピーキングおよびライティングテストの問題ですね。語学能力試験でアウトプット力を測る場合には、このように(多くの場合)正解のない問題に対して自分の意見を述べるということからは逃れられません(試験でなくとももちろんそのスキルは必須ですが)。つまり、この練習は試験対策を含め様々なメリットを享受できるのです。
メリットをまとめると、
- 時事問題に強くなる
- その問題に対し「考える」という習慣がつき、会話の引き出しも増える
- ディスカッション力が鍛えられる
- 英語能力試験の対策にも使える
となります。これは、筆者が是非皆さんに実践していただきたい活用法です。
専門分野の議論の場
最後に、英会話レッスンを特定分野の理解を深める場として使う方法についてお話しします。
他の活用の仕方と比べると実用度は低くなるかもしれません。また、若い英語講師だと社会人経験が少ない場合もあるので、全ての講師が対応可能という訳でもないでしょう。しかし、対応できる講師がおり、あなたがもし仕事などで専門分野を持っているのならば使える方法です。海外駐在に備えるという考え方もできるでしょう。だたし、ここでは講師を選ぶ必要が出てくるので注意です。あなたの専門分野に関わりのある、または知見のある講師を探し、選ぶことです。
とはいえ、「先生の専門の分野を知りたい」という場合はこの限りではありません。自分のニーズによって使い分けると良いでしょう。
英会話のフリートークは様々な活用法がある
学習者の皆さんが使えそうなレッスンの活用法をいくつかご紹介しましたが、注意点もあります。裏技的な活用法もありますので、(繰り返しになりますが)全ての講師が上記の全てを実践できるとは限りません。そのため、前もって担当の講師に対応ができるかを確認しておくことをお勧めします。
その上で、対応が難しいと言われてしまった場合は別の講師を試してみたり、別のスクールやオンライン英会話に変えてみたりすることも選択肢として考えておくと良いと思います。
いずれにせよ、多くの英会話教室やプログラムのフリートークレッスンをただ講師任せにしてしまうのはもったいないです。「レッスンを講師と一緒に作る」といった感覚でレッスンに取り組めば、より自分のニーズにあったトレーニングが積め、効果的に英語学習に取り組むことができます。気になる活用法があればぜひ試してみてくださいね。
コメント