英作文上達のためには、とにかく沢山書くことが必要です。
ただ、たくさん書くことが大事だと分かってはいても、すぐに実行に移すのは難しいものです。
どこからどのように手をつけたらよいか分からない時は、最初に書き方の流れを学ぶと書きやすくなります。
今回は、Time for Kids Ready, Set, Write! で紹介されていた、英作文の書き方の基礎をご紹介します。
続けて、英作文で有効とされるパラグラフ・ライティング、最後に自分のレベルをチェックできるツールにについて触れます。
これらを一通り見ていただけますと、英作文上達のための基礎が完成します。
英語ライティングの流れ
1.下準備
リストを準備する
ライティングのネタになりそうなことを日頃からメモ帳などに書き留めておきます。
何かを書こうと思った時に、ネタとなるリストがあると取り組みやすくなります。
集めたネタはすぐに使わなくても、しばらく寝かせることで考えがまとまる事もあります。
トピックを絞る
書きたいトピックが決まったら、できるだけ焦点を絞ります。Time for Kidsでは“Narrow it down.”と説明されています。
例えば、教育問題について何か書こうと考えたとします。
「今日の教育問題について」というトピックではテーマが大きすぎます。
教育問題ならば、初等教育なのか、大学教育の話なのか、英語教育なのか科学教育なのか。
1学級あたりの生徒数なのか。「教育問題」という大カテゴリから徐々に的を絞り、一番小さい単位にまで分解します。そのほうが焦点を絞って書きやすくなります。
2.下書き
ブレインストーミング
頭のなかにあることをノンストップで書き出します。
文章構成や出だしなども関係なく、アイデア全てを書きます。
文章にするのが難しければ箇条書きでも構いません。
あやしい綴りがあったとしても途中で手を止めず、後でチェック出来るよう印をつけておきます。
とにかく思考を中断せず、自分の考えを全て吐き出す作業です。
ライティング
ここから本文を書き始めます。
文章のスタイルは、エッセイライティングや書評、課題レポートなどで異なりますが、ここまでの流れは全て同じです。
ブレインストーミングした内容を参考にしながら文章構成を考え、アイデアを提示する順番を考えつつまとめていきます。
3.見直す
スペルチェックをする
単純な文法ミス(3単現のs、冠詞など)の間違いやスペルなどをチェックします。
いくら内容が良くてもケアレスミスを連発してしまうと信頼性の低い文章だと見なされかねませんので、丁寧に見直しましょう。
声に出して読み上げる
音読し、読みにくい部分がないかをチェックします。
声に出して読み上げることで、目で読むだけでは気づかなかったミスや、不自然な言い回しに気付くこともあります。
批判的な目で読み返す
言いたいことがはっきりしているか、読みやすいか、読み手の興味をそそる文章かなどに注意しながら読み返します。
4.一晩寝かせてから校正する
最後に校正する前に、出来れば一晩おき、翌日フレッシュな目で読み直します。
書いた当日は素晴らしい出来に思えても、時間を置くことで新たな気付きが得られることもあります。
もう一度ケアレスミスがないか、話の流れはスムーズか、分かりやすく明確に書かれているかなどを確認します。
5.添削してもらう
出来れば英語のネイティブ・スピーカーにチェックしてもらいましょう。
先生によっては文法ミスのみ添削する方もいらっしゃいますし、文章構成やライティングのルールまで詳細にチェックしてくださる方もいます。
自分の到達目標に応じ、どのような添削スタイルがよいか先生と相談するとよいと思います。
今回紹介した方法は、Time for Kidsという小学生向けのライティング教本に書かれていたものですが、大学生向けのライティング教本でも基本的な流れの部分はこの本と同じ事が書かれています。
エッセイライティングやレポート、書評など、多くのライティングに用いることが出来ますので、是非試してみてください。
パラグラフ・ライティング
1文単位なら文法的に正しい文を書くことは出来るのに、分かりやすく伝わる文章を書くことが出来ないと悩んだことはありませんか?
パラグラフ・ライティングをご存知でしょうか。
1つのトピックをイントロダクション→ボディ→コンクルージョンと展開していく方法です。
日本語の「起承転結」とは違います。英語圏で教育を受けた人は、小学校低学年の頃から英作文の型を徹底して習います。
パラグラフ・ライティングとは英作文の型の一つで、この決まった型に沿って書く練習をしながら、細かいルールを学んでいきます。
もちろんパラグラフ・ライティングが全てではありませんが、エッセイライティングの基礎を学び、日本の作文との違いを学ぶ事で、ライティングだけではなく、スピーチにも役立てることが出来ます。
今回はパラグラフ・ライティングの学び方を紹介します。
パラグラフとは何か
パラグラフ・ライティングでは、何を主張するかというトピックセンテンスを示し、自分の考えを提示するメインのアイデア、そしてその考えの根拠となる理由を展開します。
「1つのパラグラフには1つのアイデア」というルールがあり、自分の意見を支持する根拠となる理由のみを述べ、色々なアイデアを混在させることはありません。
日本語エッセイとの違い
日本語のエッセイでありがちな悪い例を紹介します。
「〇〇という意見がある。△△という考えもある。一方で××と主張する人もいる。
結論:この問題について更に検討する必要がある。」
このように、日本語での考え方のまま英文に直してしまうと、英作文のテストでは減点の対象となります。
英文のエッセイでは、まず自分の主張を決める必要があります。
例えば、「〇〇について賛成か、反対か」といったトピックで、「賛成である」と思ったならば、どうして賛成だと思ったのか、その理由を挙げていき、最後に「こういった理由で私はこの意見に賛成である」とまとめます。
反対派はどういっている、こんな考えもある、という意見を同じ段落に混ぜることはありません。
パラグラフ・ライティングの構成
典型的な5パラグラフ・ライティングでは、イントロダクション→ボディ3段落→コンクルージョンという構成になります。
イントロダクション
〇〇について論じます、というトピック・センテンスを含みます。
このトピック・センテンスでは、論じる内容を的確・簡潔に総括する必要があります。
例えば、「最近〇〇が問題になっている」、と書き始めたならば、「自分はこの問題に対してこう考えており、その根拠は以下に示す3つである」というような形でイントロ部分を終えます。
ボディ
イントロで示した自分の意見を裏付ける理由を3つほど用意し、1つのパラグラフで1つの理由を提示します。
1つのパラグラフでメインとなる理由を書き、さらに詳細に説明していきます。
3つパラグラフがあるならば、この3つの段落は大体同じボリュームとなるようにします。
コンクルージョン
もう一度、トピック・センテンスに対する自分の主張を書きます。
〇〇という問題に対し、自分は〜という理由でこう考える、とこれまでの流れを簡潔にまとめます。
気をつけなければならないのは、結論で新しいアイデアを付け加えないということです。
ボディ部分に合わないが一言付け加えたい意見があったとしても、ボディ部分でその話題に触れていないのであれば、新しいアイデアを付け足してはいけません。
英作文の練習をする際は、日本語で考えた事をそのまま英訳するのではなく、英語圏で使われているパラグラフ・ライティングの型を意識して文章を構成するとよいでしょう。
英作文レベルをチェック出来るオンラインツール
自分が書いた英文のレベルをチェックすることの出来る無料のオンラインツールがあります。
日本語の文章であれば、それが「小学生並み」なのか、教養ある大人が書いた文章なのか判断することが出来ますが、英作文となると自分がどの程度のレベルの英文を書いているのか分かりにくいと思います。
時にはこれらのツールを使って、現在のレベルを把握し、成長過程を記録すると今後の学習の励みになります。
今回は、無料で英作文レベルチェックが出来るBluecentauriとPaper Raterを紹介します。
Bluecentauri
こちらのWriting Sample Analyzerは無料で登録も不要です。
まずはText Sampleのところに自分が書いた英文をコピー&ペーストしてみましょう。
コピペした後にAnalyzeボタンを押します。
すると右側に判定結果が表示されます。項目を見ていきましょう。
Number of Sentences
英作文中のセンテンスの数です。今回用いた文章は41文のエッセイでした。
Words Per Sentence
1文あたり何単語使用されているかという数字です。
この数字が低いということは、短い文章で成り立った文章であることを示しています。
中学生の書く文章が1文あたり11単語、大人で21単語という統計がありますので、今回の13という数字は大人が書いた文章としてはちょっと短い数字です。
Characters Per Word
1単語あたり平均何文字使われているかという数字です。
Flesch Reading Ease
英文の読みやすさを示しています。
スケールは1−100まであり、60−70が中学2年生〜3年生、50−60が高校1年〜3年生レベル。30以下が大学生レベルと対応しています。
目安として保険の文章は40-50レベルで書かれているようです。今回使用した文章は76.5なので中学生レベルにも達していないことになります。
Flesch-Kincaid Grade Level
文章の読みやすさを表す指標です。Fog Scale:5は読みやすく、10、15、20と数字が上がるに従って難しい文章ということになります。
New York TimesのFog Scaleは11−12だそうです。今回の数字は8.28でしたので、簡単な英語と言えます。
Flesch-Kincaid Grade Level
平均的な学生がその英文を読むことが出来る学年を示しています。
今回5.82でしたので、平均的な小学校高学年ならこの文章を理解出来るという判定です。
Paper Rater
次に同じ文章をPaper Raterで試してみました。こちらも無料で登録も不要です。
レベル評価だけではなく、スペリングやグラマー、使用語彙レベルもチェックしてくれます。
トップページのUse Now Freeボタンを押してください。
Analyze Your Paperというボックスに自分が書いた文章をコピー&ペーストします。
盗作チェックもしたい場合は、その下にあるWorks Citedというところに今回引用した文章を入力します。他のサイトから引用した箇所がなければ空欄のままにします。
Select the education level of this paper’s authorでは、自分の最終学歴を選びます。これは文章を判定する際に、同じ最終学歴や学年の人と較べて程度かという参考になります。
入力がすんだらterms of use にチェックを入れ、Get Reportボタンを押します。
右側に結果の項目が表示されます。
スペリング間違いは赤、文法間違いは緑、単語の使用法の間違いは青でハイライトされます。
今回は、and also と単語の重複を指摘されました。
Styleの項目をクリックします。Transitional phrasesに基き、自分と同じ学歴の人の中でどの程度のレベルの文章かが表示されます。Transitionalフレーズとは、therefore, furthermoreなど、文章をつなぐ単語のことです。これらのフレーズを使うことで文章の流れがスムーズになります。
次にVocabulary Wordsをクリックします。
使用した語彙のレベルが判定されます。同程度の学歴の人と使用した語彙レベルを比較します。語彙不足のために平易な単語ばかりを用いるとこのスコアが低くなります。
Gradeをクリックし総合評価を見ます。ここで注意しなければならないのは、あくまでも機械判定ですので、文章の中身や構成などは考慮されていないという点です。
スペルや文法、語彙レベルなどで判定されています。目安程度にはなると思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
何度でも使用出来ますので、時々レベルチェックを受け、単純すぎる文章を書いていないかチェックしてみるのも面白いと思います。
コメント