「英語圏などの海外にいつかは住んでみたいけど実際はどれくらいの英語力が必要なんだろう…?」「やっぱり英語はペラペラじゃないと難しいのかな…?」なんて思っているみなさん。それらは、個人の海外生活におけるライフスタイルなどによって様々なパターンが考えられるので一概には答えられない難しい質問なのですが、滞在目的(仕事・留学など)によって大まかに説明ができます。

今回は、英語という言語に絞り、海外生活で求められる英語力の目安ついて生活の目的別に詳しくお話しします

 

英語が話せなくても海外で生活できる?

まず、旅行でもない限りは、英語圏であろうが非英語圏であろうが、日本語だけでやっていくのはかなり厳しいです。確かにボディランゲージなどを駆使して意思を伝えることも可能ですし、それも大切なスキルの一つなのですが、あくまでもサバイバルスキルです。腰を据えて海外に住むのならば、少なくとも英語や現地の言葉を学ぶことは必須です。

とはいうものの、英語圏でない国と英語圏の国々では少し求められる英語力は多少異なるともいえます。アジアの非英語圏の移住先として絶大な人気を誇るマレーシアやシンガポールは、英語が共通語(第2言語)として話されている国々です。これらの国々の現地人は流暢な英語を話しますが、やはり第2言語話者ということもあってか、ネイティブ英語話者に比べてわかりやすい英語を話しています。また、彼らの話す英語はいわゆるスタンダード英語(ネイティブが話す英語)とは異なる点も多くあり、相手からも「上手な英語」は求められていないと感じることでしょう。

そういった意味では、非英語圏の方が流暢な英語を使わないといけないなどといったプレッシャーをあまり感じないため、少なくとも気持ちの面でのハードルがやや低くなると筆者は感じています。特にアジア系の非英語圏の人々は、わりと文法などはそこまで気にせずコミュニケーションを取っている場合が多いです。彼らは「正しい英語」というよりは「伝わる英語」であるかどうかを重視しコミュニケーションを取っているのです。

読者のみなさんに知っておいて欲しいのは、英語圏であったとしても別に「ネイティブのような発音」で「完璧な英語」を話す必要は全くありません

先ほどのお話で筆者が伝えたいのは、もちろん最低限の英語の知識・レベルは必要ですが、英語圏でも非英語圏であっても英語を使った「伝える力」を持つことが一番重要であるということです。伝える力とは、アクセントがあったとしても、自分の持つ表現や語彙、時にはボディランゲージなどを駆使して言いたいことを相手に伝えられる力です。

いずれにせよ、最低限の英語力=自分の言いたいことは言え、相手の言っていることが(聞き返すことがあるとしても)理解できるというレベルまで持っていくことが大切です。

 

基本的な海外生活で必要なスキルは「スピーキング」「リスニング」>「リーディング」>「ライティング」力

海外に一定期間住むとなると、銀行口座の開設、郵便局での手続きから仕事や学校でのコミュニケーションといったことからは逃れられません。つまり多くの場合は、個人の差はあれやはり日常生活ではスピーキングリスニングというアウトプット力は常に必要となってきます。リーディング・ライティング力ももちろん重要なスキルで、メールの読み書きなどでは必須です。どのスキルも大切なのですが、あえて優先順位をつけるとしたら、アウトプットスキルが上位にくるでしょう。

 

求められる英語力を数字であらわすとするとどのくらいか?

一般的には、IELTS(アイエルツ:英語の4技能(リスニング・リーディング・ライティング・スピーキング)を測る能力試験。海外大学に留学するためのアカデミックモジュールと、永住権などの申請に求められるジェネラルモジュールの2種類があります。)のジェネラルでOverall 6.5程度が移住に必要なレベルの目安と言われています

日本でよく知られているTOEICは2技能しか測らないためあくまでも参考ですが、750〜800点ほどあれば良いでしょう。しかし、これらの目安も目的によりけりです。語学留学であればこの限りではありませんし、アカデミックな目的であれば特に高いリーディング・ライティング力が必要とされます。

以下に、目的別に必要な英語レベルをもう少し詳しくこれから説明していきます。

 

現地の企業に就職する場合(駐在やインターンッシップを含む)

海外の企業に現地就職したり日本の企業から派遣されて駐在したりする場合は、全体的に高度な英語力が求められます。1日のほとんどの時間を過ごす職場で、会議や電話応対・商談などで使われるビジネスに特化した表現を知っていることが大切。また、駐在員であればローカル社員のマネジメントに関わることも少なくないので、ローカル達に信頼されるためにはそれ相応のコミュニケーションが取れる必要があります。

さらに、日系であれば英語に多少不安があったとしても少なからず日本人がいるので安心材料があるでしょう。反対に、外資系であればより求められる英語力は高くなるでしょう。また、様々な国籍やバックグラウンドの人々と連携することが求められることが多いため、独特のアクセントや表現などに慣れることも必要です。

例えば、インド人の話す英語は、発音・語句のチョイス等の面においてかなり独特と言われます。筆者は生まれて初めてインド人と話した時、何ら変わりない挨拶程度のやりとりでも彼らが英語を話していると分かるまでに時間がかかり(!)、コミュニケーションに苦労した覚えがあります。初めは慣れるまで時間がかかるかもしれませんが、だんだんと理解ができるようになります。

また、アジアでは中には英語力をそこまで求めていない職種もあります(例えばマレーシアのコールセンターなど)が、これらは例外でしょう。また、その職種からスタートするにしても将来の昇進(チームリーダーなど)を考えるのならば、結局は英語力が必ず必要となってきます。

 

大学などで専門分野を学ぶ留学の場合

ここでは、英語「を」学ぶ語学留学ではなく、英語「で」特定の分野を学ぶ留学に焦点を当てていきます。つまり、海外の大学・大学院または専門学校等に入学し、現地人と一緒に同じクラスで授業を受けるといった場合です。アカデミックな分野でも、現地で就業する場合と同じく全体的に高い英語力は必要です(でないと、学んでいる内容が理解できませんよね)。ただし、就業する場合とは少し重要視されるスキルが変わってくるでしょう。

学びの場となると、就労する場合に比べてリーディングライティングがより重要視されます。多くの場合に、論文や専門的な内容を含む長文の資料を読むこと(=リーディング)が、宿題や復習・課題で必須となるからです。そして課題や研究などのシチュエーションでは、それを一定量の文書としてアウトプットすること(=ライティング)も欠かせません。さらに、海外の大学では日本とは異なり講義よりもディスカッションの機会が多いので、スピーキングリスニング力ももちろん大事ですし、もし留学しながらアルバイトもする場合はなおさらです。また、必要となる英語の分野も主にアカデミックな用語となります。留学する際に多くの場合受験必須になるIELTSやTOEFLの対策をしていれば想像がつきやすいかと思います。

 

英語力アップを目指す語学留学の場合

一方で、英語を学ぶために語学学校に通い、同じく英語を外国語として学ぶクラスメイト達と多くの時間を共にすることになる語学留学は、あくまでも「英語を勉強すること」が目的になっており、前もって高い英語力を持っている必要性はそれほどないでしょう。入学においても、英語試験で一定のレベルを求める学校はほとんど見られません。語学留学の場合は、最低限の日常生活に必要な中学生レベルの英語力を持っていれば、そこまで心配する必要はありません。

ただし、全くの初心者でいきなり語学学校へ行くことは悪いことではないものの、語学留学のメリットを最大限享受できるかといえば、少し考えものだと思っています。なぜなら、語学学校での授業はあくまでも英語で行われるので、講師の言っている英語は理解できるレベルである必要があるからです。そして意思疎通がまともにできるレベルでなければ、せっかく学校に通っても日本人以外の友達を作ることが難しくなってしまします。

そのため、やはり語学留学の場合でも、「英語がわからなくても何とかなる」と考えてしまうのではなく、ある程度の英語の勉強を積んだ上で留学に臨む方が、より効果的に語学力を鍛えることへとつながります

 

ワーキングホリデーで就労する場合

ワーキングホリデーは留学とは異なり、個人によって目的は大きく異なってきます。数ヶ月の語学学校での勉強+就労を経験する方から、語学学校を挟まず働くことを重視する方、そして学びも仕事も抑えめにして、長めのホリデーを満喫する方までいることでしょう。そのため、語学留学や就労など、先ほどの説明の様々な要素をミックスして必要となる英語レベルを考えることが必要です。

もっとも、ホリデー中心であればこの限りではないでしょう。自分のワーキングホリデーで何を重視するか?ということは考えておくといいと思います。

 

ホリデー滞在の場合

先ほどのワーキングホリデーでお話ししたことと少し重複しますが、長期間の旅行など、ホリデーを目的とした海外滞在であれば、高い英語力を持つことは必須ではありません。

ただ、旅行は旅途中の出会いも魅力の一つ。世界中からの旅行者とコミュニケーションをとり交流を深めたいのであれば、多少なりとも旅行英語などに触れて勉強しておくことはおすすめです。この場合は、スピーキングリスニングを重点的にトレーニングすると良いでしょう。

 

自分の英語力を知ろう!

さて、ここまで英語のどのスキルを重視するか・一般的にどのくらいのレベルが求められているかについて説明してきましたが、みなさんは自分の英語力を客観的に測ったことはありますか?これからの英語学習のモチベーションにも繋がりますので、せひ一度でも何かしらの英語能力試験を受けることをお勧めします

IELTSTOEFLまたは英検は日本で広く受験されている「英語4技能」を測る英語能力試験です。

留学目的であればIELTSまたはTOEFLそうでないなら英検を利用しましょう。また、日本ではまだマイナーですが、「ケンブリッジ英検」という試験も、日常生活レベルの英語力を測るツールとして世界的には広く知られています。いずれも少し値段は張りますが、ぜひ一度受験をしてみて自分の英語レベルがどのくらいの位置にいるのかを知ってください。そのレベルによって学習方法も異なるからです。

一般的に知られているTOEICは、英語2技能(リーディング・リスニング)しか計測しないため、「英語力全般を知るため」という目的には沿うものではありませんが、ビジネス英語の知識を増やすため、そしてそのレベル感を測るにはとても良い試験です。多くの企業でもTOEICの点数を一定以上求めているので、仕事で英語を使いたいと考えている方にとっては必須の試験となるでしょう。ただ、別の能力試験を利用してスピーキング・ライティング力を測ることは強くお勧めします。TOEIC にはTOEIC Speaking & Writing Testというアウトプットスキルを測るテストもあるので、このテストを利用するのも良いでしょう。

 

現地に行ってから慣れる時間も必要になる

英語のレベルにかかわらず、初めて海外に行く場合はやはり「慣れ」の時間は必要です。英語圏であっても多かれ少なかれ訛りは存在します。また、地域独特の英語表現もあります。

アメリカ英語ではセーターはsweaterですが(日本人にとっては分かりやすいですね)、イギリスではjumperと言います。もちろんイギリスでsweaterと言っても通じますが、初めて聞くと「?」となってしまうこともあると思います。

一般的に、3ヶ月〜半年程度で現地の英語に慣れ、さらに英語を話す自分にも慣れてくると言われます。なので、現地についてからは慣れを習得するまでを長い目で見てあげることが必要です。

 

英語力が全てではないが、目標を持って英語学習を続けてレベルアップすることは大切

今回は、海外生活に求められる英語レベルをお話ししました。「英語レベル」と一口に言っても、その人の目的や生活によってレベルおよび重視されるスキルは様々です。また、ここでお伝えしたいのは、英語力が全てを決めるということではありません。一般的なコミュニケーションスキルや異文化への理解なども海外生活で必須となるものです。

ただ、どのような場合でも、英語力はあるに越したことはないのです。英語の学習をする際は、自分の目的に合わせ、こつこつと知識を積み上げていくことが大切です。楽しく学習することができるとより効果的にスキルアップへと繋がりますので、まずは自分のお気に入りの学習方法を見つけてみてはいかがでしょうか。