「返り読み」という言葉をご存知でしょうか。英文を読む際に漢文のレ点をつけるようなやり方で、英文を後ろから前に日本語に訳していくやり方です。
例えば、“I went to the sea yesterday.”という文章をみてみましょう。
日本語で「私は昨日海に行った」と訳すためには、I, yesterday, the sea, went to の順で英語を読んでいますね。
学生の時は、「この文章を日本語に訳しなさい」というテスト問題に対応するため、英文の前後を行ったり来たりして日本語らしく訳す必要がありました。
ところが、英語の返り読みには弊害があります。
今回は、返り読みを今すぐ止めるべき理由とその方法を紹介したいと思います。
返り読みの2つのデメリット
1. 英文を読むのに時間がかかる
返り読みをしながら英文を読むと時間がかかります。
I went to the sea yesterday. 程度の短い文なら良いかもしれませんが、複雑な構文を含む長文などでは、いちいち訳していてはいくら時間があっても足りません。
書類に目を通す、たくさんの英文メールを処理する、など仕事で英語が必要な場合は、正しい日本語での翻訳は必要ではなく、書いてあることが理解出来れば良いのです。
英語→日本語への翻訳をして第三者に見せるというのでなければ、英語を英語の語順のまま理解する方法を身につけるべきです。
2. リスニング上達の妨げになる
返り読みしながら読むのを止めるべき理由の一つは、リスニング上達の妨げになるからです。
リスニングでは、ある一定以上の早さで流れていく英文を聞きながら理解する必要があります。
耳からどんどん入ってくる英文を頭のなかで行ったり来たりして並べ替える余裕はありません。
英語を脳内で並べ替えつつ日本語に訳すより、耳に入ってきた語順のまま理解するほうがはるかに容易です。
返り読み癖を直す方法
1. 語順に従って文字を隠す
返り読みを防止する一番簡単な方法は、読みながら指や紙で読んだ部分を隠す方法です。
隠す道具は何でも構いませんが、指、紙切れ、定規など、下の文字が透けないものがよいでしょう。
使用する英文は、頻繁に辞書を引く必要がないよう、自分のレベルよりも少し下のものが良いと思います。
気をつけなければいけないのは、文章の意味が分からないからといって、行ったり来たりしないことです。
これでは文章を隠した意味がなくなってしまいます。
一度読んで意味が分からなかった時は、文頭に戻って読み直すか、もしくはパラグラフ全体を読んで流れを把握してからその文章に戻ります。
難しい文章の場合は、すぐ後に“すなわち・・”と易しい表現で言い換えられていることもありますし、大事な文章であれば言い方を変えて何度も出てくる場合があります。
2. Spreeder を利用する
Spreederは、速読訓練のソフトを開発している会社が無料で提供している読解力改善のためのオンラインソフトウェアです。
元々は速読訓練用のソフトなのですが、好きな英文をコピー&ペーストし、リーディングスピードを調節することで、返り読み防止用にも利用出来ます。
英文をコピー&ペーストし、リーディングスピードと表示する単語数を設定すると、単語が次々と現れては消えていきます。
画面上に出現する単語を次々と読んでいくため、返り読みをすることは出来ません。
デフォルトでは一分間に表示される単語数、words per minute は300語/分と速読訓練用になっているので、100語/分など自分のレベルにあわせてゆっくりにすると良いでしょう。
chunk size (words)を1-6に変更することで、一度に出現する単語数を調整することも出来ます。
まとめ
普段自分がどのように英文を読んでいるか意識していなければ、返り読み癖があることに気づいていない方もいらっしゃるかもしれません。
返り読みしか出来ない状態で英語学習を続けてしまうと、リスニングにも支障をきたします。
英文を語順のまま理解出来るよう、早めに矯正しましょう
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