「英語多読」という勉強法をご存知でしょうか。

やさしい英語をたくさん聞いたり、読んだりすることで英語を学ぶ学習法です。

「やさしい英語」とは、1ページの英文中に、知らない単語がないか、あっても2−3個程度。

または文中から意味を推測でき、辞書をほとんど使わずに読めるレベルの英語です。やさしい英語にたくさん触れることで、日本語を介さずに英語を理解することが可能になります。

今回は、伊藤サム氏の著書、英語は「やさしく、たくさん」と、酒井 邦秀先生の、「快読100万語!ペーパーバックへの道」をもとに、英語多読について紹介します。

英語多読のメリット

やさしくても英語は英語。「やさしく、たくさん」を実践することで、

  1. 基礎を復習しつつ読むことになるため、英語力に背骨が通る
  2. やさしい英語ならばなんとか訳さずに理解することができ、英語を英語のまま理解する理想的な学習姿勢になる
  3. やさしいから英語に接した量が飛躍的に増える

というメリットを実感出来ます。

 

どのように多読に入っていけばよいか

では、どのように多読に入っていけばよいのでしょう。

伊藤サム氏によれば、中学1年からやり直すのが実は一番の早道とのこと。

ジャパン・タイムズ社で落ちこぼれ新人記者の特訓をする場合に「やさしく、たくさん」を取り入れてきたとのことですが、たとえ帰国子女で英検1級以上の実力を持った記者であっても、中学1年レベルの簡単なものから読むよう勧めていたそうです。

多読用の語彙制限本で、レベル2−3の本をなんとか読めるからといって、そこから始めるのではなく、一度思いきってレベルを落としてみることをお勧めします。

 

酒井先生の多読3原則

いくら多読の良さを勧められ、興味を持ったとしても、いきなりペーパーバックのような普通の本を読める人は殆どいないでしょう。

レベルの合わない本を読むと、挫折の原因になります。そこで、酒井先生は、多読を進める基準となる、多読3原則を紹介しています。

  1. 辞書は引かない(引かなくてもわかる本を読む)
  2. 分からないところは飛ばして前へ進む(わかっているところをつなげて読む)
  3. つまらなくなったら止める(1.2の原則で楽しむ読めない本は読まない)

やり直し英語学習者にとって、辞書を引かずに読める本は限られてきます。

そのため、中学1年生レベル、またはそれ以下の、絵本レベルから読むことが推奨されるのです。

 

どのくらい読めばよいか

ひとくちに「多読」とはいっても、どのくらいの量を読めば「多く」読んだ状態と感じるのかは個人差があると思います。

100万語多読と、「やさしくたくさん」方式では、どれくらい読めばよいか基準を示しています。

100万語多読では、その名のとおり、100万語単位、伊藤サムさんの「やさしく、たくさん」では、読んだ本を積み重ねたら身長の2倍くらいになるくらいを目標にすることを勧めています。

ところが、気をつけないといけない点があります。100万語を読むのに10年かかっていては、英語に触れる量が少なくなってしまいます。

効果が薄いとされる従来の多読指導では、年間の読書量が1万語からせいぜい10万語だったそうです。

伊藤サム氏も、「コツコツ」勉強するより、「ガンガン」勉強することの効果を説かれています。

やさしいレベルの本をたくさん読むことで、日本人の英語学習者であっても、年間100万語〜200万語を読むことが可能であるとされています。

英文を語順のまま、頭から読む習慣が出来たあたりから英語多読に取り組み、最初の100万語を1年で達成出来るくらいを目指してみると確実に力がつくと思います。

 

私も英語のやり直し学習の1年目に多読法を取り入れ、半年間で100万語を達成しました。

問題集は、やり直し学習の初期においては英語のルールを理解するのを助けてくれる有用な学習法ですが、英語について「日本語で」理解している状態です。

英語について勉強しただけで、英語「そのもの」は勉強していません。

問題集英語はある程度で卒業し、英語そのものに触れる時間を増やすために、多読を取り入れてみるとよいでしょう。

 

レベル別の読み物や多読関連のサイトなどを紹介

ここまでは、やさしい英文をたくさん読むことのメリットや、多読3原則などについて説明しました。

続いては、具体的にレベル別の読み物や多読関連のサイトなどを紹介したいと思います。

 

レベル別(graded readers)の読み物

Graded Readers(GR) は、使われる英単語のレベルと構文を制限し、英語学習者が辞書なしで英文を読めるよう工夫された本です。

最大手はPenguin Readersシリーズで、古典や、映画のあらすじをやさしく書きなおしたものなどがあり、分野は多岐にわたります。

レベルは語彙制限200語から3000語までの7レベルです。レベルと対応するTOEICの点数と英検の級が提示されているので、自分のレベルに合った本を探しやすいのではないかと思います。

  • Easystarts 語彙:200語  TOEIC250点 英検4級
  • レベル1  語彙:300語  TOEIC250点 英検4級
  • レベル2  語彙:600語  TOEIC350点 英検3級
  • レベル3  語彙:1200語 TOEIC400点 英検準2級
  • レベル4  語彙:1700語 TOEIC500点 英検2級
  • レベル5  語彙:2300語 TOEIC600点 英検2〜準1級
  • レベル6  語彙:3000語 TOEIC730点 英検準1級

また、ほとんどのタイトルで別売りのCDがあるため、聞きながら読む方法もお勧めです。

 

Oxford Bookworms Library

初級者から上級者まで、7段階に分かれており、各レベルともに現代フィクションや古典、ノンフィクションなどが揃っています。

  • Starters 語彙:250語
  • Stage1 語彙:400語
  • Stage2 語彙:700語
  • Stage3 語彙:1000語
  • Stage4 語彙:1400語
  • Stage5 語彙:1800語
  • Stage6 語彙:2500語

 

マクミランリーダーズ

マクミランGraded Readersでは、リーディングレベルのチェックを受けられるページがあります。

こちらでレベルチェックをしてから本を選ぶと良いと思います。各社Graded Readersのなかでも特に読みやすい印象です。

  • レベル1  語彙:300語  TOEIC300点 英検3〜4級
  • レベル2 語彙:600語  TOEIC400点 英検3〜準2級
  • レベル3  語彙:1100語 TOEIC450点 英検準2〜2級
  • レベル4  語彙:1400語 TOEIC500点 英検2級
  • レベル5  語彙:1600語 TOEIC550点 英検2〜準1級
  • レベル6  語彙:2200語 TOEIC600点 英検準1級以上

 

マクミランRead Smart Readers

こちらは日本人のレベルや興味に合わせて編集された英文リーダーズシリーズです。

英検の級を基に設定した5つのレベルで構成されており、日本語訳全文が無料でダウンロード可能です。また、巻末の単語リストを確認しながら精読用としても活用出来ます。

  • レベル1  語彙:1000語  TOEIC300-400点 英検4級
  • レベル2  語彙:1300語  TOEIC400-500点 英検3級
  • レベル3  語彙:1600語  TOEIC500-600点 英検準2級
  • レベル4  語彙:2000語  TOEIC600-700点 英検2級
  • レベル5  語彙:無制限   TOEIC700-800点 英検準1級

ケンブリッジ English Readers

こちらのシリーズは、語彙制限はあるものの、内容は大人向けの書きおろしシリーズです。

大人が主人公なので、子供向けの語彙制限本は苦手、という方はお試しを。ミステリー部門など読み応えがあります。

  • Starter  語彙:250語
  • レベル1 語彙:400語
  • レベル2 語彙:800語
  • レベル3 語彙:1300語
  • レベル4 語彙:1900語
  • レベル5 語彙:2800語
  • レベル6 語彙:3800語

 

IBCラダーシリーズ

学習指導要領に準拠した中学校教科書の語彙レベル(1000語)からスタートし、TOEICテスト水準のレベル5まであります。

有料の音声データをダウンロードすると、リスニング教材としても使用出来ます。

  • レベル1  語彙:1000語  TOEIC300-400点 英検4級
  • レベル2  語彙:1300語  TOEIC400-500点 英検3級
  • レベル3  語彙:1600語  TOEIC500-600点 英検準2級
  • レベル4  語彙:2000語  TOEIC600-700点 英検2級
  • レベル5  語彙:無制限   TOEIC700点以上 英検準1級以上

 

YL(Yomiyasusa Level)とは

読みやすさレベル:YLとは、英語多読研究会SSSが読者の意見をもとに読みやすさを数値化したものです。

数値は0.0〜9.9まであり、数値が小さいほど読みやすいことを示しています。

このYLを用いることで、各社語彙制限本のレベルを比較したり、語彙制限本ではない一般の本のレベルを知ることが出来るようになります。TOEICの点数との比較が参考として出されています。

  • YL0.0〜0.8 TOEIC500点
  • YL0.5〜1.8 TOEIC600点
  • YL0.5〜3.0 TOEIC700点
  • YL1.0〜4.0 TOEIC800点
  • YL1.0〜5.0 TOEIC900点
  • YL1.0〜6.0 TOEIC900点以上

 

まとめ

SSSのYL別推薦基本洋書はWEBで公開されているページも参考になると思います。

伊藤サムさんの「やさしくたくさん」公式サイトにも、多読のヒントがたくさんありますので、是非読んでみてください。