トレーニングをしていないという方でも一度は聞いたことがある、世に多くのトレーニング種目がある中でも最も人気といっても過言ではないのがベンチプレスです。

分厚く、逞しい大胸筋に憧れてトレーニングを始めた。という方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?
分厚い胸板を持っているだけでファッションや、着こなしも大きく変わります。

しかし、一方で
「ベンチプレスは肩や腕ばかりに効いてしまって胸が大きくならない。」という悩みや、
「正しいフォームがわからず、なんとなくやってしまっている」など、苦戦している方が多い種目でもあります。

そこで今回は、メジャーなのに実は難しい、ベンチプレスについて徹底的に解説します!

この記事では正しくベンチプレスを理解していただくために

  • ベンチプレスの概要
  • 期待できる効果
  • 大胸筋にしっかり効かせて、刺激を逃さないフォームとコツ
  • 高重量挑戦への道筋

などについて解説します。
この記事をしっかりと読むことで、うまくおこなえば最も高重量の刺激をダイレクトに入れられる、大胸筋カテゴリー最強の種目『ベンチプレス』をマスターし、分厚い胸が手に入りますよ!!

 

1.ベンチプレスとは?

トレーニングにおけるベンチプレスの位置づけ

ベンチプレスはこれまで紹介してきた、「デッドリフト(リンク)」、「スクワット(リンク)」以上に人気で、トレーニングをしない方でも一度は耳にしたことがあるほどメジャーな種目です。

よく、テレビなどで力自慢の芸人さんたちがベンチプレスの挙上重量で力比べをするような光景も良く目にしますね。

「デッドリフト」、「スクワット」の2種目に「ベンチプレス」を加えた3種目が、トレーニングにおける“BIG3”と呼ばれています。

また、ボディビルディングのようにカラダの完成度を競う競技だけでなく、パワーリフティングという力の強さを競う競技においても、この3種目の合計を競う種目がメジャーです。

力の強さをはかる意味でもボディメイクをするという意味でも真っ先に名前が上がる重要度の高いトレーニングだと言えるでしょう。

どんなトレーニングなの?

非常にメジャーな種目なので説明は不要かもしれませんが、ベンチ(Bench)に寝て重りをプレス(Press)する種目です。

効果として、大胸筋に効くというイメージが先行しますが、実は胸にしっかり効かせるにはテクニックやコツが必要で、難易度の高いトレーニングです。

特に初心者の方は、日常生活でよく使用することで神経系が発達している

  • 肩(三角筋前部)
  • 腕(上腕三頭筋)

を必要以上に動員してしまうことで刺激が分散されてしまい、大胸筋に刺激が入りづらい傾向があります。

この記事でしっかりと胸に効かせるためのコツやテクニックを解説していきますので安心してくださいね!

 

2. ベンチプレスに期待できる効果(解剖図、起始停止、コンパウンド種目)

具体的な方法論に入る前に、ベンチプレスに期待できる効果について説明します。

大胸筋を中心に、上半身を総合的に鍛えられる

ベンチプレスは大胸筋だけでなく、三角筋前部、上腕三頭筋をはじめとして上半身の特に前部を総合的に鍛られる種目です。

三角筋は大きく分類して三部位に分かれており、画像中青色で塗った箇所が三角筋の前部です。

上腕三頭筋は上腕部分の背面にある筋肉です。
余談ですが上腕三頭筋は体積が大きく、手っ取り早く腕を太くしたいという方はアームカールなどで上腕二頭筋(腕の前面)を鍛えるよりも、上腕三頭筋を鍛えることがおすすめです。

(引用:SuppVersity EMG Series – M. Deltoideus, M. Infraspinatus, Supraspinatus and Teres Minor: The Very Best Exercises for Broad Shoulders and Capped Delts)
http://suppversity.blogspot.com/2011/08/suppversity-emg-series-m-deltoideus-m.html

上の表は三角筋前部の筋活動の大きさを表すEMG(筋電図)を種目ごとにまとめたものです。

ベンチプレス(紫の棒グラフ)は三角筋前部を鍛える際に一般的なフロントレイズ(緑の棒グラフ)の筋活動を上回っています。

つまり、ベンチプレスは大胸筋をメインターゲットとする種目ながら、三角筋前部など他部位にも大きな刺激が入る種目なのです。

このことは、ベンチプレスがコンパウンド種目(多関節種目)であることで、多くの筋肉を動員し大胸筋の限界を超えた重量をも扱えるという特性からきています。

比較的大きい筋肉を含む多くの筋肉を動員するため、成長ホルモンの分泌や、基礎代謝の上昇も見込めます。

後ほど「5.ベンチプレスのバリエーション」で詳しく説明しますが、少しの工夫やコツ、フォームの変更で、より効率的に様々な部位を強化できる種目です!

大胸筋を総合的に鍛えられる

色々な部位を総合的に鍛えられるのはわかったけど大胸筋を総合的にってどういう意味?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。

順を追って説明します。

筋肉と骨の構造において「起始」(支点となる部分)と「停止」(作用点となる部分)があり、この起始から停止にかけて走る筋肉が収縮することで身体を動かしています。

大胸筋という筋肉は、起始を鎖骨の内側、胸骨、腹筋の一部、停止を上腕骨の外側に持つ筋肉です。

胸の内側周辺広範囲に起始を持ちますが、停止は上腕骨の外側に集約されていますね。

肩関節をまたぐ筋肉なので主な働きとしては、

  • 肩関節の水平内転
  • 肩関節の屈曲(初期)
  • 肩関節内転
  • 肩関節外旋

と、以上のように主に肩関節を動かす働きがあります。

上画像のように大胸筋が収縮することで上腕骨を動かすような仕組みですね。

起始が大きく分けて3か所あるのに対して、停止は上腕骨、腕の骨の外側1か所しか無いことで、大胸筋は収縮の方向が少しずつ異なっていることに気づいた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そのとおりです。
このように3方向に起始及び筋肉繊維の方向がわかれていることから、トレーニングにおいても大胸筋上部、中部、下部とわけて鍛える場合が多いです。

しかし、高重量を扱うベンチプレスでは、この3か所に対して同時に大きな負荷を与えられます。

更に少し工夫するだけで、ターゲットを上部、中部、下部というように変化をつけられるのもベンチプレスの特徴です。

これについても後ほど5.ベンチプレスのバリエーションで解説しますので、読んでいってくださいね。

余談ですが、大胸筋が腕の骨についているというのは以外だった方も多いのではないでしょうか?

このようにトレーニングをする前にざっくりとでもターゲット部位の仕組みを理解しておくことは非常に重要です。

正しい動作、気をつける点などを調べることも必要ですが、そもそもの身体が動いている仕組み、どんな時にその筋肉は使われているのかを理解することで自然に正しいフォームが身につきます。

別のトレーニングにおいてもしっかりと仕組みから解説していますので、気になったトレーニングのページを覗いていってくださいね。

 

3. ベンチプレスの筋肥大に効果的なセット数とレップ数

ベンチプレスをいざやろう!と思った時にまずぶつかるのが1セット何回で組めば良いの?どのくらいの重さでやれば良いの?ということでは無いでしょうか?

同じ種目をおこなうとしても重量設定やどの程度回数をこなすかによって得られる効果は全く変わります。

ここでは筋肥大を目的とした場合に最も効率的にトレーニングを進めるためのセット数とレップ数(挙上回数)について解説します。

目的毎の回数設定

下記の表に目的別の推奨する回数を示しました。

強度(最大筋力に対する割合のパーセンテージ) RM(最大反復可能回数) 主な効果
100 1 神経系の発達・筋力強化
95 2
93 3
90 4 神経系の発達・筋肥大・筋力強化
87 5 筋肥大・筋力強化
85 6
80 8
77 9
75 10-12
70 12-15 筋肥大・筋力強化・筋持久力強化
67 15-18 筋持久力強化
65 18-20
60 20-25
50 30-

1RMというのは最大で1回反復が可能という意味です。

低い回数であればあるほど筋力強化の傾向が高く、数を重ねるに連れて、筋肥大→筋持久力の強化というふうに変化していっています。

筋肥大を目的とした場合は、4-15、特に筋肥大にフォーカスする場合は5-12回に1セットに収めましょう。

なお、RMが少ないほど、インターバル(休憩時間)は長く、セット数は少なく組んだ方が良い傾向があります。

これも原則として覚えておくと良いでしょう。

セット数

セット数に関して実は諸説あり、最も効率的に筋肥大するようなセット数というのは、学術的には未だ証明がされていません。

マイク・メンツァーというボディビルダーが考案し、1992年、1993年と続けて世界最高峰のタイトル「ミスター・オリンピア」を獲得したドリアン・イエーツ選手や、日本では空手家の角田信朗氏も実践していたヘビーデューティー法というトレーニング方法では、各種目1セットのみを超高強度、低頻度でおこなう方法を推奨しており、このトレーニングを取り入れて結果を出している選手も前例のように多くいます。

一方で、ウォーミングアップを除いて2セットで組む場合や、1種目3セットを基本とするなど、様々なセット数によるトレーニングがあり、いずれも人によって結果が出ているので、セット数に関して必ずこれが正しいというセオリーは存在しません。

傾向として言えるのは、限界値を少しでも超えることが効率的で効果的な筋肥大につながっているらしい。ということです。

上に挙げたヘビーデューティー法は顕著な例で、セット数は1セットですが、非常に高強度で、究極に近いほど限界まで追い込みます。

ヘビーデューティー法はあまり、おすすめできるトレーニング法ではない理由がこの点にあり、初心者の方、一人でトレーニングをおこなう方で、1セットで充分なほど追い込むというのは非常に難易度が高いです。

一方日本のトップボディビルダーで、現在はメジャーリーガーのダルビッシュ有選手などのトレーニング指導もおこなう、山本義徳さんは「101理論」を提唱しており、自分の100%を1%でも超えることを重視しているようです。

2セットや、3セットを使って疲労感も加えつつ筋肉を追い込んでいく。という方が難易度は低く、結果として筋肥大をさせやすい方がほとんどでしょう。

逆にこれ4セット数が多くなってしまった場合には、オーバーワークに陥る可能性が出てきます。

トレーニングという行為自体は消耗で、トレーニング時はカタボリック状態(異化状態:筋肉が分解されている状態)それに対するアナボリック(同化状態:組織が新しく合成されている状態)によって筋肉は強く、大きく育ちます。

トレーニング時間が長くなり過ぎてしまったり、同じ部位を酷使し続けることでカタボリック、アナボリックのバランスがカタボリックに傾きすぎる可能性があります。

加えてここでは、細かく解説しませんがテストステロン(男性ホルモンの一種)レベルは個人差がありますが、60分以上トレーニングを続けると徐々に降下し始めます。

トレーニングは有効な範囲でなるべく短く終えるのがベストなのですね。

補足として、トレーニングにおける「追い込む」は疲労感とは比例しない。と考えた方が良いでしょう。

著者自身も追い込むには辛くないといけない。と考えていた時期がありましたが、辛さとカラダの成長は全く比例しませんでした。

「追い込む」というのはあくまで筋出力の大きさに関してなのです。
自分が過去出したことのない出力値を毎回トレーニングで出せば身体は更に筋肉が必要。という判断をし、筋肉を大きくしたり強くしたりします。

そのために、何セット必要なのか、というのは個人差があり1セットで過去最大出力までもっていける人もいれば、3セットかけ3セット目に力を出せる方もいます。

数値を計測できるケースは少ないので、そういったことを意識しつつ何セットでやるのが筋肥大の効率が良いか、色々と試してみながら探ってみてくださいね。

重量設定

回数設定、セット数が決まればあとは何キロでやるのかということを決めるだけですね。

重量設定には

  • RM換算表を参考に決める方法
  • 実践しながら調整していく方法

という概ね2つの方法があります。

引用:https://bodix.jp/15173

上の表がベンチプレスにおけるRM換算表です。

実はMAX重量にトライすることにはリスクがあり、特に頻繁におこなうことで怪我や故障の原因になってしまいます。

そこでこのRM換算表を使用することで概ねの自分のMAX重量の推測ができる。というのがこのRM換算表の本来の目的です。

例えば75.0kgで8RMの人の1RM(MAX重量)は90.0kgというようなことが簡単にわかります。

このRM換算表にある数字は
MAX重量=使用重量÷40.0×レップ数+使用重量
という計算式で導き出せますが、いちいち計算しなくても表を見るだけで直感的に自分のMAX重量を推測できてしまうのが嬉しいですね。

今回の場合であれば、先に紹介した回数設定で既に大体の回数は決まっていますね?
自分の1RM(MAX重量)が既にわかっている方は、

上の表のように、MAX重量と、取り組みたい回数から概ねの使用重量を逆算で導き出せます。

注意していただきたい点として、これはあくまで参考値です。

MAX重量が100kgの方でも80kg×10はできないという方や、逆に80kgが10回挙げられても100kgは上がらないという方は思っているより多くいらっしゃいます。

神経系の発達具合の違いや慣れなど原因は様々ですが、ここでは筋肥大が目的なので、概ねの重量だけわかれば良いと思い切り、あまり重量にこだわり過ぎないようにしましょう!

 

4.ベンチプレスの基本フォーム

それでは、いよいよ基本となるベンチプレスのフォームについて解説していきます。

ベンチプレス|準備

  • ラックの高さを調整する
  • セーフティバーの高さを調整する
  • ラックとバーの距離を調整する

【ポイント】

ベンチプレスは高重量を身体の上で扱う競技なので、準備を怠ると危険が伴う種目です。

まず、バーを乗せるラックの高さを調整します。

このラックの位置が高すぎると、いざラックアップ(ラックからバーを持ち上げる)時に、せっかく内転、下制した肩甲骨が開放されてしまいます。

また、高重量でベンチプレスをおこなう場合、非常に危険です。

一方でラックが低すぎる場合、ラックアップ時に無駄な力が入ってしまいます。

無駄な力が必要なく、背中でベンチを押した感覚だけでラックアップできる位置にラックを調整しましょう。

写真で使用しているのはパワーラックという器具で、調整が可能ですが、ベンチ台によっては調整ができないものがあります。

パワーラックはベンチプレスの他に、スクワットやデッドリフトなど様々なフリーウェイト種目で使用ができるように調整の幅が広く、結果として調整の必要がありますが、調整ができないベンチ台は基本的にベンチプレスにおける使用に限定されているため、そこまで調整に気を使う必要はないので安心してください。

ここでもう二点、注意していただきたい点があります。

上の写真、良くない点が二点あります。

一度写真をよく見て考えてみてください。

正解は

  • ラックと挙上したバーとの距離が近すぎるという点
  • セーフティバーが低すぎるという点

の二点です。

ラックと挙上したバーとの距離が近すぎることで、動作中にラックとバーが激突してしまい、事故につながってしまいます。

逆にラックとバーとの距離が遠すぎるとラックアップ時に肩に負担がかかってしまい、インピンジメント(肩の故障)の原因になってしまいます。

ラックに乗っているバーが下の写真のようにちょうど目線の真上に来るようにするというのが一つの正しいボディポジションの目安です。

セーフティバーは万が一持ち上げられなくなってしまった際や、バーを落としてしまった際に守ってくれる役割があります。
安全と怪我、事故の予防のため必ずメニューに入る前に

  • ラックの高さ
  • ラックとの距離
  • セーフティバーの高さ

について調整するようにしましょう。

ベンチプレス|スタートポジション

  • 手幅の広さを調整する
  • 肩甲骨の下制内転
  • アーチをつくる

【ポイント】
「手幅の広さを調整する」
手幅を肩幅ほどに狭くすることで大胸筋上中部をターゲットにするナローベンチプレスという種目もありますが、ここでは基本的なベンチプレスの手幅についてまず触れます。

推奨される手幅は肩峰の1.5倍程度の位置に人差し指のラインがくるようにすると最も自然にベンチプレスをおこなうことができ、怪我をしにくいとされています。

グリップ幅がこの1.5倍を超えて広くなってしまうと、肩にストレッチがかかった状態で負荷が乗ってしまうようなフォームになってしまい、負担が大きく怪我や故障の原因になってしまいます。

狭くする分には目的が変わるだけで怪我の原因にはなりづらいので、肩峰の1.5倍をボーダーに、いろいろな手幅を試してみて、最も自分の大胸筋に刺激が入る手幅を見つけてください。

バーに親指をかけないいわゆるサムレスグリップと親指を握り込むグリップがありますが、バーを落としてしまう危険性があるので基本的にはサムレスグリップではなく、親指をしっかりとかけ、握り込むようにするのが良いでしょう。

また、上の写真のようにまっすぐにバーを握ってしまうと、重量が増えた際、手首に大きな負担がかかることになります。

 

「肩甲骨の下制内転」、「アーチをつくる」

足を踏ん張り、お尻を持ち上げて胸を張った状態を作りましょう。

首の付けねから肩甲骨の上部にかけてベンチに押し付けるようにすることで胸を高く持ち上げられます。

その状態で胸を張った状態はなるべく維持したままお尻をベンチに戻しましょう。

肩甲骨は下制、及び内側に寄せるようにしましょう。

肩甲骨を下制内転し、胸を張る状態を作ることはベンチプレスをはじめ、大胸筋の種目をおこなう際の基本です。

なぜこのようなことをする必要があるのでしょうか?

一つはアーチを組むことで、肩甲骨周辺を安定させ、支点をつくる意味合いがあります。

また、アーチを組み、肩甲骨を寄せて下げた状態で固定することで怪我をしづらく、しっかりと大胸筋をメインに使ったベンチプレスが可能です。

ベタッとベンチに寝た状態でベンチプレスをおこなおうとしても、肩の力や腕の力に頼るような形になってしまい、大きな力を安定して発揮することはできません。

最後に先程見た図をもう一度ご覧ください。

これは、ほとんどのトレーニングに言えることですが、筋肉は収縮した状態から更に収縮することはできません。

強い力で筋収縮をおこなうためには、その前にストレッチが必要です。
これは、ゴムなどで例えて考えるとわかりやすいかもしれません。

そのために、ベンチプレスにおいてはアーチを作り、肩甲骨を寄せることでしっかりと胸を張り、起始と停止をなるべく話した状態で進めることが大胸筋の強い収縮につながるのですね。

肩を前に出してしまうと、既に大胸筋が収縮してしまっているような状態になってしまいます。

肩甲骨はスタートポジションから動作が終了するまでしっかりと寄せて下げた状態を維持しましょう!

ベンチプレス|バーを下ろす

  • バーを下ろす

【ポイント】
バーを下ろす位置について注意してください。

下ろす位置が上すぎるつまり頭に近い位置に下ろしてしまうというのは、脇が開いてしまっている。もしくは、前腕が頭側に傾いてしまっている可能性が高いです。

また、直線でバーを下ろそうとしてしまうと必然的に下ろす位置が高くなってしまいます。

逆に下ろす位置が低すぎる場合は脇が締まりすぎている、前腕が脚方向に傾いてしまっているのが原因である可能性があります。

正しい位置はみぞおちのあたり、や乳首のラインなど諸説ありますが、これは腕の長さや効く脇の開き具合の角度にもより個人差が非常に大きいのであまりあてになりません。

一つの基準として、前腕が傾かず立っている状態か、少し頭側に傾いている状態にとどめましょう

加えてバーベルを下ろす時にしっかりと大胸筋に重さが乗っている感覚を大事にしてください。

肩や前腕、上腕三頭筋に力が入ってしまっていると大胸筋から負荷が逃げてしまいます。

コツとして、初動でどの部位に力が入っているかを重視しましょう。
トレーニング全般に言えることですが、一度入った力を動作中に脱力するのは難しく、初動において力が入った部位を動作終了までそのまま使ってしまう傾向があります。

ということは、初動で肩や腕に力が入ってしまうと、ベンチプレス一連の流れで胸に大きな負荷をかけることは難しくなります。

なるべく大胸筋を意識し、それ以外の部位は脱力に近い形にもっていけるのがベストです。

ベンチプレス|バーを挙上する

  • バーを上げる

【ポイント】
脚で地面を踏み込んだ反発を利用して一気にバーを押上げます。

このときも腕や肩ではなく胸をしっかり使って上げるようにしましょう。
スタートポジションでせっかく作ったブリッジや固定した肩甲骨をここでも崩さないように意識してください。

この際に肩甲骨をベンチに押し付けるような意識で挙上すると大きな反発が得られ、肩甲骨やブリッジを崩さず大胸筋で挙げる感覚がつかみやすいですよ。

 

5. ターゲット別ベンチプレスのバリエーション

ここまで基本のベンチプレスについて説明してきましたが、実はベンチプレスにはこの他にも多くの種類があり、更にターゲットを特定して上半身を鍛えることが可能です。

ここでは、目的とターゲットごとにいくつかベンチプレスの種類をご紹介します。

スタンダードなベンチプレスに加えてぜひ試してみて下さい!

広い可動域が取れる|ダンベルベンチプレス

ダンベルベンチプレスと通常のバーベルを用いたベンチプレス、何が違うの?と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?

ダンベルでプレスおこなうことで

  • より広い可動域が取れる
  • バランスを取る必要があり、より細かい筋肉動員される傾向がある
  • 手首を捻るなど、軌道の自由度が高い
  • 左右の筋肉のバランスがとりやすい

という大きく4つのメリットを享受できます。

一方で通常のベンチプレスと比べて扱える重量が落ちてしまうのがデメリットですね。
また、可動域が広く取れることは調整が必要とも考えられ、初心者の方にとっては怪我や故障のリスクが上がってしまう恐れがあります。

スタートポジションにもってくる際に一度座った状態でダンベルを膝の上にのせ、跳ね上げる動作がありますが、意識する点や動作については通常の基本のベンチプレスをおこなう場合と同じです。

大胸筋下部を鍛える|デクラインベンチプレス

次は、大胸筋の特に下部を中心に鍛えるベンチプレスです。

写真では、ベンチ台の角度を平行以上に下げられないため、脚を上げることで強制的に角度を作り出していますが、ジムによってはデクラインベンチが用意されていることもありますよ。

脚をこのようにベンチに乗せた状態は非常に不安定ですので、脚を滑らせた場合やバランスを崩してしまった場合にケガをしてしまう恐れがあります。

撮影の都合上セーフティバーを外していますが、必ずセーフティバーを設置するように注意してください。

また、角度は少し緩やかになりますが、

このようにお尻を浮かしたままの状態でベンチプレスをおこなうことで、安全に大胸筋下部に刺激をより入れられますよ。

デクラインベンチプレスでは、上の写真のように身体と押す力のベクトルをより鋭角にすることで、

このように大胸筋下部に刺激をより多く入れられるのですね。

それでは、この逆はどうでしょう?

大胸筋上部を鍛える|インクラインベンチプレス

ほとんどの方の予想した通り、大胸筋上部をターゲットにしたインクラインベンチプレスです。

大胸筋上部は大胸筋の盛り上がりを強調する為に最も重要な部位です。

注意したい点は、インクラインベンチの角度を立てすぎない。ということです。

ベンチの角度が立つに従って、肩への刺激の割合は大きくなります。

あくまで大胸筋の上部を狙うために、胸を張り、肩甲骨をしっかりと引いた状態でおこなうようにしましょう。

なお、インクラインベンチプレスは、大腰筋の中心部にも刺激が入りやすい傾向があります。

大胸筋中央部、上腕三頭筋を鍛えるベンチプレス|ナローベンチプレス

手幅を狭めておこなうベンチプレスです。

肩甲骨を寄せず、ブリッジを作らずにおこなうことで上腕三頭筋に大きな刺激を入れられる種目でもあります。

通常のベンチプレス同様におこなった場合はより大胸筋中央部に刺激を与えることが出来ます。

このように自分がどの部位をターゲットにするかを明確に意識することで、はたから見ると同じ種目でも、鍛え分けることが可能ですよ!

 

6. まとめ

ベンチプレスの記事はいかがだったでしょうか?
最後にベンチプレスのポイントを再度お伝えします。

  • 準備をしっかりとおこなうこと
  • どこを鍛えるのかを意識し、最大限ストレッチ、収縮をおこなうこと
  • 肩甲骨を下制内転し、ブリッジをくむこと

分厚く逞しい胸板をつくるのに必要不可欠なベンチプレス、今までおこなってきたアイソレーション種目の前に刺激の大きなコンパウンド種目であるベンチプレスをおこなうことで、より効果的で効率的なトレーニングが出来るはずですよ!