ローイング徹底解剖 広背筋と僧帽筋の鍛え分け方法とは?

筋トレ

広く翼のように広がった広背筋、Tシャツの上からでも存在を主張する分厚僧帽筋、「男は背中で語る」という言葉もある通り背中のデカさは男の強さの象徴です。

少しでもボディビルディングやフィジークの試合を見たことがある方であれば、「本当に自分の背中と同じ筋肉で形成されているのか?」とまずその背中の大きさに驚くことでしょう。

しかし、目に見えない背筋群のトレーニングは意識する感覚が掴みづらく、

「なかなか進歩しない。」
「イメージが掴めない。」

というような悩みを抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか?

今回の記事はそんな方に向けて、背筋を広く厚くつくるために有効な「ローイング」という種目について解説していきます。

ローイングでしっかり成果を出していくためにこの記事では

  • ローイングの効果
  • 広背筋と僧帽筋の構造
  • 厚みと広がりの鍛え分け
  • 具体的なコツや注意点

などについて解説していきます。

筋肉の構造についてしっかり把握してから具体的な動作を学ぶことで正しい動作を頭に落とし込みやすく、本当の意味で理解が進むよう構成しました!

この記事をしっかり読み、頭に叩き込んだ上で実践することで初回からでも効果が実感でき、過去感じられなかった背筋の“ハリ”を実感できるはずですよ!

 

ローイングってどんな種目?

まずローイングとはどのような種目なのか、またどの部位を狙ったトレーニングに適しているのかここでは解説していきます!

具体的な方法論の前にまず概要を把握しておくことで全体像が掴め、動作がイメージしやすくなりますよ!

またフリーウェイト種目のベントオーバーローイングについても当サイトで徹底解説していますので、こちらも併せて読んで背筋種目のバリエーションを更に広げましょう!

ローイングとは?

ローイングとは「ケーブルローイング」、「シーテッドローイング」、「ワンハンドローイング」など主に背筋を鍛える種目であるローイング系種目の総称です。

以前解説した「ベントオーバーローイング(リンク)」もその名の通り広義ではローイングです。

既に他の記事も読まれている方はローイングと調べても、マシンを使うものからフリーウェイトの種目まで様々なローイングが出てきたことに驚かれたのではないでしょうか?

確かに広い意味で使われるローイングですが、共通しているのは背筋を使って引くという点です。
ウェイトに対して背筋を稼働して身体後方に向かって引く種目がローイングです。

ローイングは英語では「rowing」と書きます。
これは和訳すると「漕ぐ」を指し、ボートをオールで漕ぐ動作と似ていることからこの名がついています。

「ローイング」の位置づけ

トレーニングに全く興味のない方でも「腕立て伏せ」や「ベンチプレス」と言われれば殆どの方が動作をイメージすることができますが、「ローイング」と言われても全くわからない方が多いでしょう。

既にトレーニングを日常手近に生活に取り入れているトレーニング初心者の方でも、「ローイング」と聞いてもあまりピンとこない。という方が多いかもしれませんね。

そういった意味ではローイングは一般的にメジャーとは言えず、どちらかというとマイナーな領域のトレーニングでしょう。

しかし、同時に中級者以上のトレーニーであればほとんどの方が何かしらの形で背筋種目として取り入れている種目でもあります。

トレーニング初心者以下と中級者以上で評価が大きく乖離するトレーニングが、ローイングなのですね。

中級者以上がこぞって取り入れるだけあって効果は大きく、ローイングは背筋のトレーニングには欠かせないと言っても決して大げさな表現ではありません。

まだ試したことがないという方も効果が実感できないという方も、この記事を読んで身につけることで背筋を大きく変えるきっかけになってくれるはずですよ!

メインターゲットとなる部位

僧帽筋

広背筋

この2つの筋肉がメインターゲットとなる部位です。
どちらも面積、体積ともに非常に大きな筋肉であり、筋肥大することで体全体の印象をガラッと変えるインパクトを持っています。

よく「幅の広い僧帽筋」や「分厚い広背筋」がトレーニング次第でつくれると勘違いされますが、基本的には

厚み→僧帽筋
広がり→広背筋

が正解です。
筋肉の形は遺伝子で決まっている要素であり、その形にそって肥大させるしかありません。

「幅の広い僧帽筋」や「分厚い広背筋」をトレーニングで作ろうと努力するのは無駄です。
背中の広がりをつくりたいのであれば広背筋を、厚みをつくりたいのであれば僧帽筋をそれぞれ鍛えていくのが効率の良いやり方ですよ!

広背筋と僧帽筋は場所が近くトレーニングも似たものになることが多いので、なんとなく背筋を鍛える。というような意識で取り組んでしまいがちですが、これでは負荷が楽な方に逃げてしまい常にどっちつかずのトレーニングになってしまいます。

自分が今から取り組む種目でどういった目的で広背筋、僧帽筋どちらを鍛えるのかしっかり意識しておこなうことでメリハリのある背筋をつくりあげることができるのです。

 

ローイングの効果

ローイングの大体の輪郭が前章で掴めたのではないでしょうか。
この章ではローイングをすることでどのような効果が期待できるかについてお話します。

しっかりメリットを把握しておくことでトレーニングモチベーションの維持に繋がりますよ!

たくましい印象を周りに与えられる

ローイングによって広背筋と僧帽筋を鍛えることで一見して「たくましい!」と周りに印象づけることができます。

広背筋は背中の広がりを、僧帽筋は背中の厚みを演出する筋肉であることを前章で学びましたね。

身体の横のシルエットはお腹の脂肪か広背筋によってしか変えることができません。

お腹の脂肪を蓄えて洋梨のような下ぶくれした体型か、もしくは広背筋を広げて逆三角形の体系か、ですね。
どちらがかっこいいかは言うまでもありません。

また、背中の広がりによって逆三角形が形成されることで、相対的にウェストは細く印象付けられます。
メリハリのあるシャープな身体を得るためには最も効果的な部位が広背筋なのです。

僧帽筋を鍛えることで得られる背中の厚みは、例え服を着ていてもゴツさを周りに悟らせます。

胸を張っているにも関わらず背中も張っているという、横から見ても前から見てもデカいシルエットはローイングなしには得られません!

痩せやすい身体になる

体積の大きな筋肉を鍛えることで「基礎代謝」が上昇し、日常生活における消費カロリーが上がることから痩せやすい身体をつくる効果があります。

痩せるための原則は
摂取カロリー<消費カロリー
です。

これは収入(摂取カロリー)よりお金を浪費(消費カロリー)してしまったら貯金(貯蓄エネルギー)を吐き出すしかない。というイメージでわかりやすいですね。

ここで収入を少なくしてしまえば貯金を使わざるをえないよね。という発想が良くないダイエットの代表「食事制限」です。

何故良くないのか?それは吐き出される貯金の内訳が脂肪ばかりとは限らないからです。

確かに貯蓄されたエネルギーのうち脂肪から消費されるのであれば何も問題はありません。

しかし現実には筋肉も削られてしまうのです。
筋肉が落ちることで基礎代謝も減少し、一時的には痩せても太りやすい身体ができてしまうという難点があります。これがいわゆるリバウンドですね。

この真逆の発想、つまり基礎代謝を上げて摂取を変えないことで健康的に痩せるのが理想的です。

ローイングによって体積の大きい背筋群を鍛えることがその近道なのです。

全身の筋肉に効果が波及する

背筋のように大きな筋肉を刺激することで「成長ホルモン」の分泌が促進されます。

海外のプロボディビルダーなどはアナボリックステロイドに加えこの成長ホルモンを外部から注入することで、あのような巨大な筋肉をつくり、維持できるとまことしやかに噂されています。

それだけ成長ホルモンの効果は大きく、筋肥大、脂肪燃焼、脂肪抑制などトレーニーにとっては嬉しい効果が期待できる万能ホルモンです!

この成長ホルモンが分泌されることで背筋だけでなく全身の筋肉に良い効果が波及することが見込めるというわけです。

背筋を鍛える直接のメリットに加えて全身の筋肉、脂肪減少にまで良い効果をもたらすローイングをやらない手はありませんね!

 

 対象筋の構造を学ぼう!

いよいよ具体的に対象筋である広背筋、僧帽筋の構造について解剖学的な観点からチェックしていきましょう。

特にここでは「どこからどこにかけて付着している筋肉なのか」、「どのような動作をおこなうための筋肉なのか」の2点について注目して読み進めることで、スムーズにここから先の内容が理解できるはずですよ!

広背筋

起始:第6胸椎から第5腰椎にかけての棘突起、正中仙骨稜、腰骨稜後方、第9から           12肋骨、肩甲骨下角
停止:上腕骨小結節稜
作用:腕の伸展
腕の内転
腕の内旋
腕の水平外転

筋肉の骨格への付着部分を「起始」、「停止」と表現します。
筋肉が収縮することで起始に向かって停止が動くことで骨格を動かす。これが「作用」です。

つまり、この章で「どこからどこにかけて付着している筋肉なのか」、「どのような動作をおこなうための筋肉なのか」の2点というのはそれぞれ

  • 「どこからどこにかけて付着している筋肉なのか」→起始と停止はどこか
  • 「どのような動作をおこなうための筋肉なのか」→作用は何か

という風に言い換えることができます。

何やら細かく書いていますが、少し分かりづらいですね。
図を見てみましょう。

上の図で、黄色で囲った停止起始に向かって引きつけられるとどのような動きをするかイメージできましたか?

ここでもう一度作用を確認してみましょう。
腕の伸展、内転、内旋、水平外転
となっています。

要するに広背筋停止である上腕骨を起始である背骨や腰骨に向かって引くような働きがある筋肉なのですね。

因みに広背筋は縦幅の広い起始を持つため、実際に鍛える際には大胸筋や三角筋のように「広背筋上部」「広背筋下部」というように鍛え分けるとより効率的にバランス良く肥大させることができます。

僧帽筋

起始:後頭骨の上項線、外後頭隆起、項靭帯、第7頚椎以下全胸椎の棘突起、及び棘上突起
停止:鎖骨外側(1/3)、肩峰、肩甲棘
作用
上部:肩甲骨挙上、肩甲骨上方回旋
中部:肩甲骨内転
下部:肩甲骨下制
肩甲骨上方回旋

こちらもよくわかりませんよね。
こんな時は図で確認しましょう!

先程の広背筋が上腕骨に停止を持っていたのに対して、僧帽筋肩甲骨周辺に停止を持っていることがわかります。

どうやら肩甲骨を起始方向に引きつけるための筋肉のようですね。
起始方向と言っても停止から見て上、中、下と3方向に向けて起始があるようです。

この三方向とも同じ作用とは思えませんね。

それでは作用をもう一度確認しましょう。

上部:
肩甲骨挙上、上方回旋
中部:
肩甲骨内転
下部:
肩甲骨下制、上方回旋

やはり作用も分かれていましたね。
全て肩甲骨を動かすための作用になっているのにも注目です。

 

厚みと広がり、鍛え分けのポイント

前章を読んで「理屈はわかったけど具体的にどうすればよいのかわからない。」という方、ご安心下さい。
この章を読むだけで例え同じ種目でも意識して広背筋、僧帽筋の鍛え分けができるようになるはずですよ!

おさらい

前章で広背筋と僧帽筋、それぞれ起始と停止はどこについているのか、どこを動かす為の筋肉なのか、理解はできましたか?

広背筋は腕を、僧帽筋は肩甲骨を動かす為の筋肉でしたね。
なんとなく捉えていた背筋像がいまや明確に目的で棲み分けできました。

また

広がり→広背筋
厚み→僧帽筋

という点についても今一度ここでおさらいしておきましょう。

ポイント

トレーニングをする際に抑えておきたい重要なポイントをここでご紹介します。それは、「起始と停止を可能な限り離し、ターゲットの収縮で近づける」という意識です。

トレーニングの本質はここに尽きます。

先程の章で見た2つの図と起始停止作用の関係もそのようになっていましたね。
つまり、

作用にそった収縮を伴ったトレーニングこそ正しいトレーニングなのです。

このような意識を持つためにはそもそも起始と停止、作用の知識が必要になることから前章でまず先に解剖学的説明から入ったというわけです。

優先的に広背筋を鍛えるための意識

広背筋を鍛える際に特に意識したいポイントは

  • 肘を後方に引く
  • 脇を開かない
  • 肩を下制したまま引く
  • 骨盤を前傾させる

の4点です。

肘を後方に引く

バーを握った手や肩甲骨を意識してしまうと広背筋から意識がそれてしまいがちです。
肘を起始である脊柱付近から骨盤方向に向かって引くという意識でおこなうことで広背筋にうまく効かせることができますよ。

脇を開かない

ここでは広背筋を鍛えることが目的なので広背筋だけになるべく負荷を集中させられるのが理想的ですが、脇が開くことで肩甲骨が先に動き、負荷が僧帽筋に逃げてしまいます。
脇を閉じたままあくまで後方に肘を引くという意識が僧帽筋に負荷が逃げることを防いでくれるのです。

肩を下制したまま引く

こちらは主に僧帽筋の上部へ負荷が逃げることを防ぐのが目的です。
肩があがるということは肩甲骨も連動して斜め上方向に移動する。ということです。
しかし、広背筋の作用に上方向への動きというのは基本的になく、肩が上がっていることでフィニッシュの形も起始と停止が最大限近づいているとは言えません。
肩をしっかり落としたまま起始と停止をできるだけ近づけるように動作をおこないましょう!

骨盤を前傾させる

フィニッシュポジションで最大限の収縮を得るために必要です。

ここでもう一度解剖図の登場です。
緑で囲われた箇所が起始にあたります。
よく見ると腰骨にも起始があることがわかりますね。

広背筋を狙ったローイングにおいてフィニッシュのポジションでは、この起始と停止が最大限近づき収縮しきったポジションが理想的でした。
これを実現するためには骨盤が前傾している必要があるのです!

仮に骨盤が後傾していた場合、背中は丸まり広背筋の特に下部の収縮が完全なものではなくなってしまいます。

優先的に僧帽筋を鍛えるための意識

僧帽筋を鍛える際に特に意識したいポイントは

  • 肩甲骨を寄せる意識で動かす
  • ストレッチポジションでは肩甲骨が開く
  • 肘を張って脇が開く

の3点です。

肩甲骨を寄せる意識で動かす

僧帽筋は肩甲骨の動きを司っている筋肉なのでしたね。
そこで僧帽筋を狙ったローイングでは

バーを引く
肩甲骨を寄せる→バーが引かれる

というようにまず肩甲骨を寄せて、結果としてバーが引かれるというような意識でおこなうことが重要です。

腕の関与や僧帽筋の関与をなるべく減らすため僧帽筋以外の筋肉は脱力に近い状態を保つようにしたいですね。

ストレッチポジションでは肩甲骨が開く

逆にバーをマシンに引かれたストレッチポジションでは最大限の伸展、つまり肩甲骨と起始が最大限離れた状態が理想的です。

当たり前ですが肩甲骨を最大限寄せた状態から更に寄せるということはできませんね。
こレを考えると最大限離れ、最大限寄せるという動作を繰り返すことが最も僧帽筋が収縮している距離、時間が長く取れるということもわかります。

離すから近づける。近づくから離せる。という理屈です。

肘を張って脇が開く

これは体験してもらうとすぐに理解できます。

今この記事を見ながらで構いません。脇を閉じた状態で肩甲骨寄せ、肘を後方に引いてみましょう。

肩甲骨の感覚を覚えてくださいね?

では次に肘を張り脇が開いた状態でもう一度肩甲骨を寄せて肘を引いてみましょう。

どちらが肩甲骨(分かる人は僧帽筋)は寄っていましたか?

ほとんどの方が肘を張った後者ではないでしょうか?

脇を閉じてしまった場合は、先程も解説した通り広背筋が優先的に稼働されてしまい、広背筋の可動域に邪魔されて肩甲骨を寄せ切ることが難しくなってしまうのです。

 

シーテッドローイングの基本フォームとポイント(広背筋狙い編)

前置きはこれで終了です!
長文でしたがよくぞお付き合いくださいました。
ここまでしっかり読んだ。という方はもしかしたら既にローイングの大体のイメージを掴んでしまっているかもしれませんね。

この章と次の章では、これまで解説してきたローイングの重要事項をシーテッドローイングの動作に落とし込んだ上で「広背筋メイン」と「僧帽筋メイン」に分けてそれぞれ解説していきます!

シーテッドローイングには今回紹介するマシンを使うものの他に、ケーブルを利用するローイングもあります。

調整については解説どおりにいかないこともありますが、理屈が理解できていればおのずと正しい調整ができるようになっているはずですよ!

広背筋狙い

シーテッドローイング(広背筋)|スタートポジション

  • シートの高さを調整
  • バーの深さの調整
ローイングマシンのシートの高さを調整します。
広背筋を狙う場合は斜め上から斜め下方向に向かって引くような動きができるようにシートを少し高めに設定しましょう。

バーの深さについては、ローイングマシンによってバーの深さを調整できる場合胸パッドの出方を調整できる場合があります。

いずれにしても伸展動作でストレッチが充分にとれるように、なるべく深く設定するようにしてください。

写真のようにバーを握る箇所が複数選択できる場合、広背筋狙いの場合は脇を締めておこないたいのでなるべく下の方を握るのがオススメです。

動作中にあれこれ考えるのは大変です。
スタートポジションから骨盤の前傾を維持し、脇を閉じるという下準備をここで済ましておきましょう!
シーテッドローイング(広背筋)|プル!

  • 広背筋を収縮させ肘を骨盤方向に引きつける

広背筋を思い切り収縮させ強い力でバーを引き込みます。
ここで意識すべきポイントは

  • 肘を後方に引く
  • 脇を開かない
  • 肩を下制したまま引く
  • 骨盤を前傾させる

の4点でしたね!

一気に4つも意識するのは大変ですが、既に2つ下準備ができていますね!

シーテッドローイングに限らず、最初の動作で力が入った部分が一連の動作で優先的に使用されるように人の体はできているので、一度脇を閉じた状態で引き込みだしてから開いてしまうというようなことはあまり心配しなくて構いません。

セッティングした部分は忘れて、ここでは「肩を下制したまま」「肘主導で」バーを引きましょう!
シーテッドローイング(広背筋)|スタートポジションに戻る
  • 広背筋に負荷をかけたままスタートポジションに戻る
広背筋にせっかくかけた負荷を抜いてしまわず、3秒ほど時間をかけてスタートポジションに戻りましょう。

傍から見ればゆったりとした動作のようですが、復路も戦いですよ!
行きしなの片道だけより往復でポジティブ、ネガティブという2種類の負荷をきっちり広背筋に与えましょう。

広背筋をしっかり最後までストレッチしてやることが重要です。
しかしシーテッドローイング中一瞬も負荷を抜きたくありません。

スタートポジションでローイングマシンの調整を怠り、バーの位置が浅いと、広背筋が完全にストレッチする前にバーがストッパーによってロックしてしまいます。このタイミングで負荷が抜けてしまいますね。

実はこれを避ける為というのがスタートポジションでバーを深めに調整した真意です。

 

シーテッドローイングの基本フォームとポイント(僧帽筋狙い編)

続いてこの章では僧帽筋を狙ったシーテッドローイングを見ていきましょう!

僧帽筋狙い

シーテッドローイング(僧帽筋)|スタートポジション

  • シートの高さを調整
  • バーの深さの調整

【ポイント】
僧帽筋狙いの場合もローイングマシンのシートの高さを調整します。
僧帽筋を狙う場合は「上部・中部・下部」の3部位に分けて考えよう。という話をしました。

スタートポジションのこの時点でどこを狙っていくかを明確にした上で、調整をおこないましょう。

狙いごとの肩甲骨の動きは以下のとおりです。

僧帽筋上部→斜め下から斜め上
僧帽筋中部→肩甲骨を真横へスライド
僧帽筋下部→斜め上から斜め下

肘を張った状態でバーを引き込むために座席を低めに設定します。
これは肘を張り、脇を開くことで必然的に手の位置が上がることが理由ですね。

バーの深さについては、ストレッチポジションで肩甲骨が開ききった状態でもバーがロックしてしまわないように広背筋の場合と同様に深めに設定しましょう。

写真のようにバーを握る箇所が複数選択できる場合、肘を張ることから地面と水平かつ、なるべく上の方のバーを握るのがオススメです。

マシンの軌道は一定ですが、バーを握る位置と身体の傾きで肩甲骨の動きを調整することができますよ。

例えばバーの低い部分を持ち上半身後傾させた場合は、下から上に肩甲骨を動かすことになるので僧帽筋上部狙い。逆にバーの高い位置を持ち上半身を前傾させた場合は、僧帽筋下部に刺激が入ります。

これらのことはあくまでスタートポジションの調整段階で工夫し、具体的な動作に入ってからおこなわないようにして下さい。
特に前傾や後傾に関しては、胸パッドと座る位置の位置関係によって調整するよう工夫しましょう。
シーテッドローイング(僧帽筋)|プル!

  • 僧帽筋を収縮させ肩甲骨を狙った起始方向に引きつける
肩甲骨主導で肘を張ったままバーを引き込みます。

スタートポジションにおいてバーを持つ箇所や身体の向きなどの調整をしましたが、ここでは難しいことは考えず肩甲骨を寄せることに集中しましょう。

シーテッドローイング(僧帽筋)|スタートポジションに戻る
  • 僧帽筋に負荷をかけたまま肩甲骨を開き切る
スタートポジションに戻る動作は基本的には広背筋狙いの場合と変わりません。
ゆっくり時間をかけて、負荷を抜かずに収縮を保ったまま肩甲骨が開き切るまでバーに引かれましょう。

 

背筋種目に必須?最強の補助アイテム「パワーグリップ」

いよいよ最後の章になりました。

ここではローイングに限らず特に背筋を鍛えるプル系種目において、私が欠かせないと考えている「パワーグリップ」というアイテムをここで紹介します。

今回の記事では重量が軽かったため使用されていませんが、基本的には当サイトの背筋系の種目の記事では必ずといって良いほど登場しているこのアイテム。

一体どういった意図があるのでしょうか?

パワーグリップは、ベロ部分をバーやグリップに引っ掛け、指で抑え込むことでほとんど握力を使わずにプル系の種目をおこなうことができます。

しかしこれだけ聞くとあまり必要性を感じないかもしれませんね。

キーワードは“握力の消耗”ではなく、この記事でも既に解説した“脱力”です。

狙った部位以外は脱力できている状態。言い換えると狙った部位だけの力でウェイトを扱えている状態がターゲットに最もフォーカスできている状態であり、トレーニングにおいて理想的である。と上でも解説しましたね。

しかし、プル系種目を素手でおこなう場合それは不可能なのです。
なぜなら引くためにはバーやグリップを握る必要があるからですね。

軽い重量であれば指を引っ掛けるだけでほとんど脱力した状態でおこなえる可能性はありますが、扱う重量が重くなるにつれてどうしても握力に頼らざるを得ない場面が増えます。

握力を使うと言うことは前腕に力が入るということです。
人間の体は密接に連動しており、前腕に力が入るとどうしても上腕も力んでしまいがちです。

これでは負荷が逃げてしまいますね。
パワーグリップを使用することでこういった自体は回避できます。

安いものであれば2,000円前後で手に入りますので、これから背筋の種目に打ち込んでいこうと考えられている方はぜひ購入を検討してみて下さい。

パワーグリップ

king2ring パワーグリップ 硬弾ラバー pk650 pro (黒, M) king2ring

 

コブラグリップス(Cobra Grips) (ブラック ラバー) Cobra Grips

 

因みに筆者は後リンクのコブラグリップスを愛用しています!

 

まとめ

背中は自分自身では目にする機会が少ない為、初めの内は興味を持ちづらいですが、鍛えだすとその一気に魅力の虜になること間違いなしの部位です!

背筋は意識する感覚にも苦労するかもしれません。

軌道が決まっていて安全なローイングは、その感覚を掴むためのキーとしても役立ってくれるはずです。

トレーニング後に背中がパンプアップして張っているような感覚に少しでも気づけたらそれは大きな成長です!

上半身のシルエットの大部分を形成する広背筋と僧帽筋をローイングで鍛え上げ、分厚く広い背中を手に入れましょう!

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