小説家を志す方に向けて、そもそも作家業とは何かという疑問にお答えします。

また記事中では、「作家デビューの方法、そのために必要とされるスキル、具体的に何をどうすればよいか」についても解説します。

記事の信頼性としましては、筆者自身が今年にデビュー予定の小説家であり、複数の出版社との交渉経験があります。

そもそも作家ってなに?

作家業とは、一口に言えば作品創作によってお金を稼ぐ職業のことを指します。本記事ではその中でも小説家について詳しく解説しますが、ひとまず、作家業の全体像については理解しておきましょう。

作家にも色々ある

作家といっても、その形態は様々です。小説家をその代表的な形態として、他にはシナリオライター劇作家漫画家作詞家、はては写真家パズル作家まで。なんらかの作品創作を通じて収入を得る職業は、みな作家業であるといえます。

ただし単に「作家」と呼ぶ場合、それは「小説家」を指す場合がほとんどであり、筆者もこれに含まれます。他の作家業を指す場合は、「〇〇作家」のような形で使われますね。

また一般的に、ノンフィクション作家や著作家とも小説家は区別されます。文章を書いて本などを出版する業種を広く著作家と呼びますが、その中でも「小説」について執筆することを生業とするのが「小説家」です。

つまり作家業にも色々とあり、さらにはその中で本や執筆に携わる著作家にも色々とあるわけです。まとめるならば、「作家業」の中の、文章執筆に関わる「著作家」の中でも、小説執筆に携わる形態を特に「小説家」と呼ぶわけです。なんとなく理解できましたか?

作家業 著作家
音楽作家 詩人
著作家 (執筆に携わる作家業の総称) 脚本家
漫画家 小説家
芸術家 絵本作家
写真家 随筆家
書道家 ノンフィクション作家
他創作活動により収入を得る業種全般 他文章執筆活動により収入を得る業種全般

※上表は、『作家業』の中でも文章執筆に関わる『著作家』という枠組みの中の『小説家』というイメージを視覚化したものです。厳密な定義とは異なりますので、ご容赦ください。

小説家という職業

作家業の中でも「小説」の執筆に直接携わるのが小説家です。そもそも「小説」ってなに? という質問に対する明確な答えは存在しないのですが、一般的には散文の形で構成されたフィクションの物語のことを指します。つまり、みなさんが「小説」と聞いて思い浮かべるものが「小説」です。

執筆を通じて収入を得ていない状態でも、とりあえず小説を書いてさえいれば小説家と名乗る分に問題はありません。ただしその場合、小説執筆により印税等の収入を得ている状態「職業作家」「プロの小説家」と呼び、そうでない場合を「作家志望」や「アマチュア小説家」と呼ぶことが一般的です。

収入を得ている職業作家の中でも、小説執筆のみで生計を立てているのか、それとも生計を維持するのに別の収入に頼っているかで「専業作家」「兼業作家」に分かれます。

小説家を志す方の最終的な目標は、この「職業作家」の中でも、小説執筆のみで身を立てる「専業作家」であることがほとんどでしょう。

職業作家・プロの小説家の基本2形態
専業作家

(小説執筆のみで生計を立てている。もしくは、それだけの収入を得ることができる状態)

兼業作家

(小説執筆以外の正業によって生計を立てている場合を指す。ただし、あえて専業作家にならない場合もある)

小説家にも色々ある

さらにどんな小説を執筆するかで、職業作家は大きく三つに分類されます。最も大きな分類は、純文学作家と大衆文学作家です。たとえば、ノーベル文学賞などを受賞するような文学作品はみな純文学です。日本でいえば西村賢太や村上春樹に代表されるのが純文学作家であり、娯楽性を重視する大衆文学よりも、芸術性について重視します。

一方で、東野圭吾や宮部みゆきといった作家は大衆文学作家です。純文学よりも娯楽性やエンターテイメントを重視し、頻繁に映画化やドラマ化といった大規模なメディアミックスが行われる分野ですね。競争の厳しい世界ですが、それゆえに人気作家となった際の収入は莫大です。

そして、もう一つの大きな対抗馬としてライトノベル作家があります。主に中高生を読者層としたライトな内容の小説を取り扱う、漫画化やアニメ化といったメディアミックスの盛んな分野です。大衆文学の一形態として捉えることもできますが、基本的には区別されます。現在の商業小説としては最も勢いのある分野であり、デビュー後の生存率(継続して作家として活動できる割合)も、他の分野に比べて段違いに高いのが特徴です。

このように一口に職業作家といっても様々な形態が存在し、分野が異なれば、作家に必要とされるスキルも異なります。まずは自分がどのような小説を書きたいのか、作家として何を重視し、最終的にどのような作家になりたいのかを具体的に把握しておくことが、作家を目指すための第一ステップと言えるでしょう。

小説家の分類 特徴
純文学作家 村上春樹など。最も芸術性を重視する。

評価されて専業作家となるのは非常に難しいが、ノーベル文学賞の対象になるなど、芸術家としての最終到達点が最も深い。

大衆文学作家 東野圭吾など。娯楽性・エンタメ性を重視。

競争が激しい世界ではあるが、それゆえに人気作家となった場合の収入は莫大。映画化やドラマ化などの大きなメディア化のチャンスが存在する。

ライトノベル作家 『化物語』『SAO』など。中高生向けのライトな小説形態。商業性が最も強い。

出版業界で、現在最も勢いのある分野。厳密には、その中でもWEB小説家出身などに細分される。デビュー後の職業作家としての生存率が最も高い。

※もちろん、このような分類は明確な基準が存在するものではなく、それぞれがそれぞれの領域に跨りながら存在しているといえます。

どうすれば小説家になれるの?

作家業、その中でも小説家の概要について眺めてきました。ここからは、具体的に作家になるとはどういう状態か、また職業作家になるための道筋とはどういうものかについて解説します。

作家になるとはどういうこと?

前項でも確認した通り、作家業を通じてお金を稼いでいる状態をプロの作家と呼ぶことができます。小説家の場合は、主に自分の書いた小説が出版社を通じて編集・出版され、その著作印税を受け取っている状態を指します。

小説家としてデビューするための窓口は複数ありますが、どの道を通ったとしても最終的にはどこかの出版社と交渉・契約することになります。職業作家としてデビューすることはそのまま、出版社と書籍出版契約を結ぶことを指すともいえますね。

※補足:出版社を介さないデビュー方法としては自費出版がありますが、あまり現実的な手段ではありませんので本記事では掘り下げません。しかし一応、自費出版からデビューした人気作家としては『リアル鬼ごっこ』の山田悠介が存在します。

作家になる方法

職業作家としてデビューする場合、基本的には各出版社が開催している新人賞に作品を投稿し、何らかの賞を受賞してデビューすることになります。これを一般に公募と呼び、長らく小説家になるためのほぼ唯一の手段でした。

公募を通過して小説家となる際のメリットは、多くの場合副賞として賞金が獲得できること、出版社が受賞作家の面倒を見てくれることです。逆にデメリットとしては、そもそも受賞が難しいこと、投稿から選考期間などを経るため、デビューまでかなりの時間がかかるということが挙げられます。

もう一つの手段として、WEB小説サイトからの引き抜きがあります。『小説家になろう』『カクヨム』といった小説投稿サイトに作品を発表し人気を博せば、出版社の側から書籍出版の声がかかることになります。

WEB小説サイトから小説家となる際のメリットは、作品発表からデビューまでの間隔が非常に短いこと、WEB小説というジャンル自体が現在売れ線のジャンルであることです。デメリットとしては、出版社とは基本的にその作品限りの関係であり、作品が打ち切りとなればそれで関係が終了する可能性が高いことです。

デビュー方法 メリット デメリット
公募への投稿 賞金が獲得できる

(最大1000万円程度)

出版社が作家の面倒を見てくれる

受賞自体が困難

デビューまでの期間が長い

(数か月単位)

小説投稿サイトからのスカウト デビューまでにかかる期間が格段に短い(数週間)

ジャンル自体が商業的に強いため、売り上げが見込める

受賞作家に比べて出版社との関係が希薄。ビジネスライクな関係

(これはメリットともデメリットとも取れる)

収入源は?

小説家が小説執筆から得ることのできる収入は、主に初版印税重版印税メディアミックスの際の派生印税となります。

まず、小説を出版した際に発生するのが初版印税です。印税率は出版社や売り上げ見込みによって変化しますが、大体8~12%の間で考えると良いでしょう。これに初版発行部数と書籍本体の価格を掛けた値が初版印税です。作家は売り上げの多寡に関わらず、この初版印税については必ず受け取ります。

具体的な総額としては、もしも初版発行部数が1万部で本体価格が1000円、印税率が10%だった場合、作家に入る初版印税は単純計算(1万部×1000円×10%)で100万円です。

出版した小説の売り上げが良かった場合、その都度重版(追加発刊)がかかります。この重版印税は初版印税の計算と同じです。重版印税は初版印税とは異なり、重版がかかる度に継続的な収入として得ることができます

また小説が映画化、ドラマ化、漫画化、アニメ化という風にメディアミックスされると、その都度印税収入が入ることになります。たとえば小説を原作とした漫画が発刊された際には、当然その印税収入が原作者である作家側にも入ります。また作品が映画化やアニメ化されることは非常に大規模な広告を打つのと同義ですので、その度に重版印税に大きなブーストがかかります。

作家が小説執筆から得られる収入は多岐に渡りますが、以上が代表的なものになります。一度小説を出版してヒットさせてしまえば、様々なメディアミックスや広告を通じて作品に投じられる金銭が爆発的に増えていき、これに比例する莫大な収入が期待できる点は、作家業の最大の強みといえるでしょうね。

収入の代表例 概要
初版印税 小説を出版した際に得られる収入。確実に得られる
重版印税 小説が追加発刊された際に得られる収入。継続的
メディアミックス 漫画化や映画化に際して得られる収入。爆発的

 

どんなスキルが必要なの?

作家には具体的にどのようなスキルが必要とされるかについても解説します。これらのスキルについてきちんと網羅していれば、何らかの形で小説家デビューすることはそこまで難しくはないでしょう。

基本的な文章執筆能力

小説家といえば高度な文章能力を求められるというイメージを持たれている方が多いと思いますが、実際にはそこまでの文章力は必要とされません。それより重要なスキルについては以下の項で解説しますが、普通に日本語を書くことができれば十分です。

もう少し具体的に言えば、基本的な作文能力があれば職業作家となるのにそれほど苦労しません。低すぎるのはやや困りものですが、それでも他のスキルで十分補うことが可能です。ですので、小説家に本気でなりたいという人は、文章力を鍛えるよりも他のスキルを磨いた方がはるかに効率的です。どちらにしろ、商業作品を何十万字も書いていれば文章力は勝手に向上していきます。

読者が読みたい物語を作る能力

職業作家にとって文章力よりも重要なスキルが、この「読者が読みたい物語を作る能力」です。

職業作家はアマチュア小説家とは異なり、自分の小説を実際に商業用の商品として売り出すわけですから、その顧客である読者が読みたいと思う小説、お金を出して買いたいと思う小説を創作する必要があります

小説家を志す以上は「自分の書きたい物語」があることだとは思いますが、それを自由気ままに書くのではなく、「読者が読みたい物語」という視点を持つことが非常に重要です。これは「読者が読みたい物語」に寄れば寄るほど良いわけですが、基本的には「自分の書きたい物語」との妥協点を探すことになります。

この「読者が読みたいと思う物語」の創作方法には色々なアプローチが存在します。生まれながらに自由な創造性に任せてヒット作を書くことのできる天才も存在すれば、異常な熱量と拘りによってこれを達成する作家も存在しますし、小説の創作をもっとビジネスライクに、商業的に考えることで成功する作家もいます。これを持って生まれた才能の差であると認識する方も多いですが、実際には研究と市場分析によってかなりの部分を補うことができます。

この研究と市場分析の方法にも色々な方策が存在しますが、具体的な方法について一つだけ、下記の項で解説したいと思います。

市場を分析する能力

新人作家が出版する「売れる小説」には、大きく分けて2種類存在します。「今まで誰も見たことが無いような新規性の高い物語で、流行のパイオニアとなるような大ヒット作品」と、「それらの流行に後続していく類似作品群」です。

もちろん追従作品よりもパイオニア的作品の方が大きなヒットとなるわけですが、その新規性の高い作品が開拓した新たな需要層に向けて追従する類似作品群も、比較的安定して売れていくことになります。なぜなら、その大ヒット作と類似した物語を求める読者層がすでに一定数存在し、安定した需要が確保されているからです。

たとえば小説業界における最近の大きなトレンドは、WEB小説出身のいわゆる「なろう系小説」の突然の台頭でした。それまでのライトノベルの売り上げをWEB小説発の作品がことごとく塗り替えてしまい、筆者がとある編集者から聞いたところによると、「何も考えずに上から順番に出版すれば飛ぶように売れていく」まさにお祭り騒ぎだったようです。

これは、良くも悪くもそれまでの出版業界には見られなかった新規性の高い物語が登場し、これを求める読者が爆発的に増えたことに起因します。ですので、「そのとき最も強力なトレンドの発生している物語を書くこと」が、職業作家となるうえで非常に重要な能力であると言えるでしょう。

以下の表はBookLive!における電子書籍の売り上げランキングですが、WEB発の小説の強力な趨勢が見て取れるだろうと思います。

2018年 上半期ランキング ライトノベル
1位 オーバーロード

 

WEB小説サイト出身

アニメ化作品

2位 転生したらスライムだった件

 

WEB小説サイト出身

アニメ化作品

3位 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか WEB小説サイト出身

アニメ化作品

4位 りゅうおうのおしごと!

 

非WEB小説サイト出身作品

アニメ化作品

5位 魔法科高校の劣等生

 

WEB小説サイト出身

アニメ化作品

6位 この素晴らしい世界に祝福を!

 

WEB小説サイト出身

アニメ化作品

7位 月が導く異世界道中

 

WEB小説サイト出身
8位 無職転生 ~異世界行ったら本気だす~ WEB小説サイト出身
9位 八男って、それはないでしょう!

 

WEB小説サイト出身
10位 グランクレスト戦記

 

非WEB小説サイト出身作品

参照元:ラノベ 上半期ランキング2018 – キャンペーン・特集 – 電子書籍ストア BookLive!
参照元URL:https://booklive.jp/feature/index/id/firsthalfln

 

具体的にどうすればいいの?

小説家を取り巻く状況や必要とされる能力について解説してきましたが、作家デビューに至るために、具体的にどのように行動すればよいかについても解説します。

10万字程度の作品を書き上げる

とりあえず作品を書き上げて、投稿か発表をしないことには何も始まりません。WEB小説の場合は状況が異なりますが、一般的な文庫本一冊の文字数はおおよそ10万字から12万字程度だと言われています。各種の公募によっても要求される基準は異なりますが、とにかくこれくらいの分量をコンスタントに執筆するようにしましょう

最初から10万字単位の作品を書き上げるのは難しいかもしれませんので、執筆の体力をつけるために、2万字程度の独立した短編をいくつか書いてみるのもいいでしょう。とにかく最初のハードルは「一つの長編小説を最後まで書き上げる」ことになりがちですので、デビューの如何や作品の出来に関わらず、一度書き始めた物は最後まで書き上げてしまうことをおすすめします

筆者もこのハードルを越えるのに相当な時間がかかったのですが、作品を一つ書き上げてみてしまえば、次の作品を書き上げるハードルはぐっと下がります。とにかくどんな作品でもいいので書いてみて、どこかに投稿するか発表してしまいましょう。何よりも実際に書いて、行動してみるのが第一です。

また最初から一本の傑作、大ヒット作品を書こうと意識するよりも、とにかく数を打ってその中の一つを当てるように考えた方が現実的です。数を打つ能力は小説家にとって最も重要なスキルの一つでもありますので、重点的に鍛えるようにしましょう。

公募に応募する

作品を書き上げたら、どこかの新人賞に作品を応募してみましょう。公募に投稿する際の注意点としては、作品を書き始める前から、あらかじめその作品をどの公募に投稿するかを決めておいた方が良いということです。

各公募によって、求められる作品の方向性というものがあります。極端な話、純文学の新人賞に可愛い女の子がたくさん登場するようなライトノベル作品を送っても、作品の品質云々の以前に弾かれてしまいます(これをカテゴリーエラーと呼びます)。

ライトノベルの新人賞に狙いを定める場合でも、各出版社によってどんな作品を求めているのか、編集部がどのように考えて、受賞作にどのような傾向が存在するかは千差万別です。ファンタジー作品において実績があり、受賞作品についてもそのような傾向のある賞に本格ミステリのライトノベルを送っても、これはまたカテゴリーエラーとなります(中には業界最大手の『電撃大賞』のように、「面白ければ何でもあり」を標榜し、実際にその通りに審査する公募も存在しますが)。

公募に応募する最終目標は、設けられた各賞の審査を突破し、作家としてデビューすることです。投稿そのものを目的とするのではなく、その先の「受賞」を見据えて行動した方が効率がよいでしょう。

WEB上に公開する

実は現状最速かつ、最もデビューの可能性が高いのがWEB上の小説投稿サイトに作品を公開し、そこから出版社にスカウトされる方法です。WEB上で作品を発表し、一定以上の人気を博すことができれば、今ならすぐに出版社からのスカウトがかかります。

出版が決定するまでのスピードは、早ければ発表から1、2週間というスピードで決まります。他の利点としては、あらかじめ一巻分について書き切っておく必要が無い点や、場合によっては複数の出版社と交渉が可能な点が挙げられます。

人気作であれば出版前から漫画化等のメディアミックスまで決定することもあるため、作家としての様々な交渉に関われることも魅力的ですね。

筆者としては、とりあえずWEBから一度作品を出版してしまうことをおすすめします。そうすれば、各出版社の編集がどのようなことを考えているのかを直に聞くことができますし、商業作品がどのような手順を経て最終的に書籍という形になるのか、その工程を一通り体験することができるからです。

 

作家を志した経緯

最後に、筆者が小説家を志した経緯と、実際にどのようにして小説家としてのデビューを決めたのか、簡単にご紹介しておこうと思います。

小さい頃から作家になりたかった

筆者は物心ついた頃から作家になりたいという夢を抱いており、最初は漫画家を目指していました。小学校の頃はよく自由帳に鉛筆で漫画などを描いて、親に見せたりしたものでしたね。しかし残念ながら絵の才能に恵まれていませんでしたので、漫画家の夢はわりと早い段階で諦めてしまいました。

中学生くらいになると、漫画よりも小説の面白さに気付き、その頃から色んな本を読むようになりました。最初はライトノベルから入り、その後どんどん海外SFに傾倒していき、スティーヴン・キングやレイモンド・チャンドラーといった海外文学に触れることが多くなりました。その頃にはすでに小説家になりたいという思いが強くなっており、高校に入る頃には、自分は将来必ず作家になるという夢を抱いていたものでした。

大人になっても作家になりたかった

高校と大学では共に文芸部に所属し、部の活動として短編小説を書くようになります。特に大学生になってからは、自分はいずれ必ず小説家になるという夢を強固なものにしており、文芸部で知り合った話の合う作家志望者と一緒に、連日居酒屋で創作論や小説の話について花を咲かせたものでした。

しかしその頃を振り返って、筆者が本当に良くないと思うのは、小説家になると散々息巻いておいて、肝心の長編小説を全然書かなかったことです。短編小説ならばいくらか書くことができたのですが、長編小説になるとてんで駄目で、何度も構想を練って書き始めては、途中で辞めてしまうということを繰り返していました。

しかし周りには息の合う作家志望が多くいたものですから、実際に作品を完成させないのに、酒を飲みながら延々と偉そうな創作論を語り、人気作家の小説を批判するような人間に成り下がっていました。

正直に言って、これは作家志望として一番良くない状態だと思います。創作のテクニックやウンチクばかり増えていって、修正が困難なほど頭でっかちになっていたわけです。

友達が先にデビューを決めた

社会人となってからも、僕はいつか小説家になってやるんだとずっと思っていました。しかし社会人になれば、大学時代よりもずっと忙しない日々に忙殺され、小説を書く暇なんて全然無いように思われました。どうして大学の頃に、きちんと小説を書いておかなかったんだと激しく後悔したものです。毎日酒を飲んだくれて、創作論にくだを巻いている暇があったら、家に閉じこもって一作でも完成させるべきだったんです。

そうした矢先、大学で一緒に酒を飲み交わしていた作家志望の友人が、ついに作家デビューを決めたという連絡が入りました。僕はそれを聞いて、友人が職業作家として歩み出した嬉しさよりも、愕然とした思いを強く感じました。自分が毎日言い訳をして小説を書いてこなかった間に、その友人は着実に作品を書き続け、ついに出版へと漕ぎつけたのです。

それからの行動は、とても早かったのを覚えています。それまであまり考慮に入れてこなかったWEB上の小説投稿サイトについて研究、分析し、自分なりの理論をもって作品を書き上げました。文庫本一冊の文字数は大体10万字程度という話はしましたが、筆者の場合は、夕方の18時から翌朝の5時頃までに、一晩で5万字ほどを書いたのを覚えています。

結果として、その作品は発表からすぐに書籍化のオファーがかかり、複数社と交渉することになりました。最終的にはその内の一社に決めさせて頂いたのですが、色々な出版社の編集と話す機会があり、得る物はとても大きかったです。ここから筆者が得た教訓は、小説家になりたいのなら、とにかく書かないと駄目だということです。そしてそれは、できれば分析と目的意識に基づいた執筆であることが望ましいです。

まとめ

小説家の定義から就業ステップについて、実際にデビューが決まっている身から色々と解説させて頂きました。作家業という業種について正しく認識し、これに必要なスキルを身に着けて適切に行動すれば、今の時代は最短で数週間、一カ月もあれば作家デビューを決めることができます。

作家という仕事はどこか現実味の無い職業であると思われることも多いですが、実際には全然そんなことはありません。むしろ難しいのは、デビューそれ自体よりも、職業作家として長く食べていくことの方です。

どちらにしろ、とりあえずどんな形でも作家デビューしてしまえば、百万円単位の印税収入がポンと入って来ることになります。小説家を志す方は、とにかく自分が出来る手段を全て使って、その最初の収入を獲得するために動いてみてください。真剣にやってみれば、それは単なる通過点に過ぎなかったということがわかるはずです。