新卒時に就職活動をしていた頃、採用面接に訪れた会社の担当者から、「コミュニケーション能力が大事だよ」と良く言われました。
この「コミュニケーション能力」とは一体何でしょうか?
コミュニケーション能力とは何か?
一般的に「他者とコミュニケーションを上手に図ることができる能力」を意味するようですが、個人的にはこれだけではどうにもピンときません。人に聞いてみても、何となくイメージが沸くが明確に述べられなかったり、定義がバラバラのように感じます。
分かっていないなりの私的見解ですが、昔、私が所属する研究室の準教授とコミュニケーション能力の話になった時、以下のような事柄を言われました。
「君が会社に入った時のことを考えてみよう。例えば、ある年入社した3人を部下につけられたとする。1人は優秀だが後の2人はきっと使い物にならない。その時、どうやって3人とも同じ給料であることを納得させる?。そういった力のことをコミュニケーション能力と言うのだよ。」
若干、モヤっとした内容ではありますが、私の中ではかなり合点がいった言葉でした。
こういった、「仕事を進める上で問題が発生しないようにする、若しくは発生してしまった問題を適正な状態にもっていくための調整能力」のことを「会社が求めるコミュニケーション能力」と私は定義しました。話がうまいとか、付き合いが良いとかそういったものを指すのでは決してないと思っています。ちなみに、「交渉力」とは、コミュニケーション能力より一段高いレベルの、目標達成型の能力であり、コミュニケーション能力を含有するものだと思っています。
社内SEとコミュニケーション能力
社内SEの仕事のほとんどは調整事です。
システムトラブル時のベンダーとユーザ部門間の調整、スケジュール管理、ユーザの御用聞き、ベンダーとの折衝、両者をうまくコントロールし関係が悪化しないように保つためのご機嫌取り、そこにテクニカルな要素は意外と少なく、人との付き合いがメインです。
これだけ聞くと、口がうまく明るく積極的で人に好かれやすいタイプほど有利に見えますが、そうとは限りません。聞き上手で、問題の内容を適切に掴み、筋道だてて処理していく力があれば、大人しいタイプの人でもできてしまいます。幸い、普段のやり取りはエビデンスを残すためにメールで行うことも多いので、口下手なことは実はあまり問題になりません。私は人づきあいは苦手ですが、何だかんだでやれています。
ベンダーでコンサルタントをする方が交渉術を要求されますし、それに比べれば社内SEに求められるものは軽いものです。誠実な態度で仕事で取り組む態度させできていれば問題ありません。
以上より、もし社内SEの求人の必要条件に「コミュニケーション能力」と書かれていても、さほど気にする必要はありません。きちんと相手の話が聞けて、それに対して相手の目を見てごく普通に回答できる程度であれば十分です。喋っていると焦ってしどろもどろになったり、話の内容が崩れてくる人も多いですが(私など)、社内SEを何年かやっていれば慣れてきます。また、同じ会社同士ですので、相手もかなりの部分を大目に見てくれます。
実際に働いている社内SEの中には、外向けの仕事で使いにくいため内勤に回されたという人も多く、概して控え目な方が多いように思います。外向けで仕事をしていた経験のある方だと十分以上の適性を示せます。
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