タイヤ業界の動向・年収・大手企業の調査・比較【2017年度】

業界研究

今回は、2017年の最新版としてタイヤ業界の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。

2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。

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自動車や二輪車、バス、特殊車両、航空機と乗り物の安全性を担うといっても過言ではないタイヤ。

乗り物は耐久消費財だといえますが、タイヤは消耗品です。安全のため、定期的にタイヤは点検され、消耗すると交換されますので、一定の需要が継続的に見込めます。

それがタイヤ業界の強みともいえます。

国内の自動車保有台数と生産台数の減少に伴って成長が鈍化してきている反面、新興国市場においては順調に成長している旨、昨年お伝えしていましたが、各社、積極的に海外向け市場拡大を仕掛けており、2017年度も引き続き、国内のタイヤメーカーの成長は続くと私は考えます。

タイヤ業界の基本情報

タイヤ業界は、国内で最も成熟した市場のひとつだといえます。

日本のタイヤ業界をけん引しているのは、世界首位の「ブリヂストン」で、世界2位の「ミシュラン」、世界3位の「グッドイヤー」とともに世界のタイヤメーカーのビッグ3となっています。

昨年もお伝えしていたように、韓国のハンコックタイヤや台湾の正新ゴム工業といった新興国のメーカーの台頭にも目を見張るものがあります。

各社、付加価値路線を選択し高機能タイヤの開発などに力を入れていることやスタッドレスタイヤといった冬用タイヤは暖冬になると売れない傾向にあることから天候の影響を受けやすいのもタイヤ業界の大きな特徴です。

 

タイヤ業界の市場規模ですが、取引先は自動車メーカーにとどまらず、カー用品・タイヤ専門店、ガソリンスタンドなど一般消費者・エンドユーザー向け小売店にまで至ることから、販路は幅広く安定しているといえます。

また、一般社団法人日本自動車タイヤ協会によると、2017年の自動車タイヤ国内総需要本数見通しは合計1億1819万9000本で、2015年実績を下回るものの2016年実績見込み(1億1787万2000本)を少しだけ上回ると予想されています。

 

また、国内メーカー4社(後述)の社員の状況は、平均年齢は39.2歳、平均勤続年数は14.8年、平均年収は640万円です。

 

タイヤ業界 ~今後の展望~

会社四季報2017年2集春号を見るかぎり、各社、欧州、北米、アジアのタイヤ市場が比較的好調であり、拡大傾向となっています。

国内新車向け市場では、ブリヂストンは「復調」、住友ゴム工業は「底打ち、市販用が伸長」、横浜ゴムは「鈍い」と明暗が分かれています。

また、原材料が高騰しており、ゴム報知新聞NEXTでは以下の記事が投じられています。

ゴム報知新聞NEXT タイヤ3社、今期タイヤ値上げが課題に

タイヤ3社、今期タイヤ値上げが課題に | ゴム報知新聞NEXT | ゴム業界の専門紙
原材料価格の高騰は深刻な状況だ。いずれも昨秋以降に急騰しているが、天然ゴム価格は16年年初に比べ約2倍、合成

同記事によると、

“原材料価格の高騰は深刻な状況だ。いずれも昨秋以降に急騰しているが、天然ゴム価格は16年年初に比べ約2倍、合成ゴム原料であるブタジエン価格は急騰前に比べ約3倍に跳ね上がっている。”

新車用タイヤで適用されている原材料価格連動方式では約半年の時期ずれが生じるようで(先々、解消されることにはなりますが)、今年はギャップが生じ大きく減益となる見込みなのだそうです。

各社、環境問題に配慮しつつ、いかに原材料高騰をうまく切り抜けて、海外とくに新興国での販路拡大・維持を促進していくかが今後のカギとなりそうです。

 

タイヤ業界の主要企業と年収一覧

各社の年収一覧

国内メーカー

  • ブリヂストン 692万円
  • 住友ゴム工業 652万円
  • 横浜ゴム 614万円
  • 東洋ゴム工業 603万円

タイヤ業界の主要企業(上記)の平均年収 640万円

海外メーカー

  • ミシュラン
  • グッドイヤー
  • コンチネンタル
  • ピレリ
  • ハンコックタイヤ
  • 正新ゴム工業など

 

タイヤ業界を代表する企業の基本情報

ブリヂストン

ブリヂストンのタイヤといえば、

  • POTENZA(ポテンザ)
  • ECOPIA(エコピア)
  • DUELER(デューラー)
  • REGNO(レグノ)
  • Playz(プレイズ)

といった製品があります。

 

ブリヂストンの企業理念は、創業者が制定した社是「最高の品質で社会に貢献」を不変の使命とし、「誠実協調」「進取独創」「現物現場」「熟慮断行」の4つの心構えでその使命を果たすとしています。

同社の職種は、技術系と事務系とで分かれており、技術系を例にしても、基礎研究、製品開発、生産技術、技術サービス、知的財産などと多岐に分かれています。

また、そのうち製品開発は、タイヤ研究開発、タイヤ材料開発、タイヤ製品開発、化工品開発と細分化されています。

売上高も国内2位の住友ゴム工業を2兆5000億円以上も引き離しており、圧倒的な強さを誇っています。

基本情報

  • 売上高:3兆3370億1700万円
  • 経常利益:4325億3400万円
  • 社員数;連143616名 単13617名
  • 平均年齢:39.3歳
  • 平均勤続年数:13.5年
  • 平均年収:6,921,000円

 

住友ゴム工業

住友ゴム工業は国内2位(世界6位)のタイヤメーカーで、「ダンロップ(DUNLOP)」や「ファルケン(FALKEN)」ブランドのタイヤの開発・製造・販売を行っています。

同社を代表する製品にはエナセーブ(ENASAVE) シリーズがあります。

ダンロップ史上最高の低燃費タイヤと位置付けられた『エナセーブ NEXT Ⅱ』は、相反する3つの性能(低燃費性能・グリップ性能・耐摩耗性能)を高次元で両立させたといいます。

そのほか、

  • DIREZZA(ディレッツァ)
  • SP SPORT
  • GRANDTREK
  • LE MANS

などのタイヤ製品を世に送り出しています。

ここ近年の同社の大きな動きとしては、2015年にグッドイヤーと提携を解消し、今年2月にイギリスのタイヤ販売大手のミッチェルディーバーグループを312億円で買収しています。今後、ヨーロッパでの拡販が期待されます。

基本情報

  • 売上高:8049億6400万円
  • 経常利益:709億9400万円
  • (売上高・経常利益ともに日本基準の数値)
  • 社員数:連33792名 単6693名
  • 平均年齢:40.6歳
  • 平均勤続年数:16.5年
  • 平均年収:6,528,000円

 

横浜ゴム

今年、創業100周年となる老舗で国内3位(世界8位)のタイヤメーカーです。

ハイパフォーマンス・スポーティー・タイヤ『ADVAN』や最高グレードのウェットグリップ性能「a」を獲得した低燃費タイヤ『BluEarth』を展開しています。

ヨーロッパで勢力を拡大しつつ、北米やアジアも順調のようです。2014年に韓国のクムホタイヤと技術提携契約を結んだ一方で、昨年、コンチネンタルと提携を解消しています。

拡販が期待されます。

基本情報

  • 売上高:5961億9300万円
  • 経常利益:391億3100万円
  • 社員数:連24610名 単5242名
  • 平均年齢:38.1歳
  • 平均勤続年数:15.4年
  • 平均年収:6,147,000円

 

参考文献

  • 株式会社ブリヂストン第98期有価証券報告書
  • 住友ゴム工業株式会社第125期有価証券報告書
  • 横浜ゴム株式会社第141期有価証券報告書
  • 会社四季報2017年2集春号 東洋経済新報社

 

転職・就職へのアドバイス

タイヤ業界は、原材料価格高騰が暗い影を落とすかもという懸念もありますが、世界的企業がけん引しているため、カンタンには揺るがないでしょう。

新興国などではまだまだ伸びる余地がありそうで、安定していて魅力的な業界です。個人的には、開発関係、技術面の進化にとても興味をひかれます。

タイヤ業界における仕事ですが、技術系から営業系・事務系と幅広く、理系・文系出身者がともに活躍できるフィールドがあります。

タイヤ業界で働いている方が、業界内でのステップアップを目指し転職活動を進める場合は、どうしても経験や実績などが見られることになりますので、職務経歴や自身の強みなどを明確に伝えられるよう棚卸しをしておくことが重要です。

また、他業界から新天地としてタイヤ業界を選んだ方は、採用試験を受けようとする会社の情報をできるかぎり収集し、自分が会社に入ったら、どのような仕事で戦力になれそうかをイメージし、その結果、どのようなメリットを会社にもたらすことができるのかをシミュレーションすることが大切です。

転職サイト・エージェントについては以下のページで解説していますので、併せてご確認頂けますと幸いです。