今回は、2017年の最新版として産業用ロボット業界の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。

2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。

日本の産業を支え、その発展に寄与してきたといえるのが産業用ロボットです。

世界中で稼働している産業用ロボットは約148万台で、うち2割相当の30万台近くは日本で活躍しています。人口が多い中国でもその数は19万台弱だといいます。

このことからも、昨年もお伝えしていたとおり新興国市場など、さらなる成長が見込まれる業界だといえます。

産業用ロボット業界の基本情報

産業用ロボットは、重労働や危険な作業を代わりに行ってくれるほか、効率的に製品や商品を自動生産してくれます。そのおかげで、速く大量に製品を生産することが実現できているといえます。

産業用ロボットには、

  • 多関節ロボット
  • 電子部品実装機
  • 射出成型機
  • アーク溶接ロボット

などがあります。

産業用ロボットが活躍しているフィールドは、以下のような産業分野の工場などです。

  • 多関節ロボット
  • 電子部品実装機
  • 射出成型機
  • アーク溶接ロボット
  • 自動車
  • 電気
  • 電子
  • 金属
  • 機械
  • 樹脂
  • 化学

国内では、過半数の産業用ロボットが、自動車・電気・電子産業に「就職」しています。

メイドインジャパンの産業用ロボットは、過酷な環境下でも安定稼働する信頼性の高さがウリであり、世界からも産業用ロボットといえば日本だと強く認識されているといえます。

産業用ロボット業界の市場規模は、一般社団法人日本ロボット工業会の「ロボット統計受注・生産・出荷実績 2016(平成28)年1~12月【会員+非会員】」によると、受注台数182098台、受注額は7393億円で過去最高、4年連続でプラスとなっています。

参考URL:一般社団法人 日本ロボット工業会 | 統計データ | 四半期統計

http://www.jara.jp/data/01.html

産業用ロボット業界の主要企業6社(後述)の社員の状況についてですが、平均勤続年数は17.8年、平均年齢は41.9歳、平均年収は889万円となっています。

 

産業用ロボット業界 ~今後の展望~

昨年、お伝えしていたポイントは『自動車産業との関係』と『新興国市場の開拓』でしたが、2017年版、産業用ロボット業界の今後の展望を語るうえで欠かせないのが『協調型ロボットの躍進』です。

産業用ロボットといえば、溶接など近寄ったら危険なイメージが強く、躍動感あふれる、そのダイナミックな動きにはいつ見ても圧倒されます。

しかし、協調型ロボットは、人と隣り合って作業を行ってくれるロボットで、これまで重労働や危険な作業に限定されていた産業用ロボットを活用すべき領域が、グンと広まったような感じがします。

協調型ロボットの登場によって、産業用ロボット業界は、活躍できるフィールド・求められるロボットの種類も増え、需要も増えていくことが見込まれます。

 

どのような協調型ロボットが現在、登場しているのかですが…

国内企業の例ですと、川崎重工業が2015年に発売したのが、システムインテグレーターや中小企業をはじめとしたエンドユーザーを対象とした人協調共存型の双腕スカラロボット「duAro(デュアロ)」です。

このduAroですが、自動車の部品を組み立てる作業からお弁当のおかずなどの詰め込み作業まで何でも器用にこなせる優れものなのだそうです。

日本経済新聞に関連記事がありましたので、興味のある方はぜひ、どのようなマシーンなのかを確認されてみてください。

参考URL:生産支援ロボ、工程工夫し「誰でも造れる」実現 川重 :日本経済新聞

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO12391720R00C17A2000000/

 

また、海外企業の例ですと、つい最近、公表されたばかりなのですが、アメリカの6 River Systems社が開発した、すでに倉庫で使われているようなピックカート型ロボット「Chuck(チャック)」があります。

Chuckは、自律的、自力で移動することが可能で同行者をリードしながら働く、すなわち人と協力するようにデザインされているそうです。

もしかすると、協調型ロボットは近い将来、工場や倉庫だけではなく、大規模小売店舗、空港などの大型ターミナルでも活躍する日がくるのかもしれません。

 

産業用ロボット業界の主要企業と年収一覧(各社有価証券報告書による)

多関節ロボットメーカー

  • ファナック 1571万円
  • 安川電機 822万円
  • 川崎重工業 743万円

電子部品実装機メーカー

  • 富士機械製造 672万円
  • ヤマハ発動機 741万円
  • パナソニック 789万円

産業用ロボット業界主要企業上記6社の平均年収 889万円

 

【参考】その他の主要、産業用ロボットメーカー

ダイヘン、不二越、三菱電機、デンソーウェーブ、JUKI、KUKA(ドイツ)、ABB(スイス)

 

産業用ロボット業界を代表する企業の基本情報

ファナック

自動車産業向け溶接ロボットに定評があるファナックは、昨年もお伝えしていたように、業界トップの売上高を誇っていて、多関節ロボットについては国内トップシェアです。

また、平均年収が突出して高い企業としても有名です。

同社は、アーク溶接ロボットをはじめ、協働ロボット、ゲンコツロボット、パレタイジングロボット、塗装ロボットを製造しています。

基本情報

  • 売上高:6234億1800万円
  • 経常利益:2293億6100万円
  • 社員数:6327名
  • 平均年齢:42.9歳
  • 平均勤続年数:16.5年
  • 平均年収:15,711,000円

 

【安川電機】

業界第2位ですが、生産台数は世界No.1です。同社は、ものづくりのまち・福岡県北九州市に本社を構えています。

同社は、アーク溶接、スポット溶接、ハンドリング・組立、パレタイジング、プレス間ハンドリング、シーリング・切断・レーザ加工、バリ取り・研磨、塗装、液晶ガラス・パネル輸送、半導体ウエハ、有機EL、液晶・太陽電池用ガラス搬送を行うロボットを製造しています。

基本情報

  • 売上高:4112億6000万円
  • 経常利益:358億3300万円
  • 社員数:3615名(ロボット事業)
  • 平均年齢:41.1歳
  • 平均勤続年数:18.3年
  • 平均年収:8,225,054円

 

【川崎重工業】

昨年は、「不二越」についてお伝えしていたのですが、2017年度版では川崎重工業について説明をしておきます。

同社は、前述したduAroなどの産業用ロボットのほか、航空機、人工衛星、ガス船、潜水艦、新幹線、モーターサイクル、ジェットスキー®、汎用ガソリンエンジンなども手がける総合エンジニアリング企業・世界的レジャー製品メーカーです。

基本情報

  • 売上高:1兆5410億9600万円
  • 経常利益:932億2900万円
  • 社員数:15911名
  • 平均年齢:38.3歳
  • 平均勤続年数:13.4年
  • 平均年収:7,434,572円

参考文献

  • ファナック株式会社第47期有価証券報告書
  • 株式会社安川電機第100期有価証券報告書
  • 川崎重工業株式会社第193期有価証券報告書
  • 日経業界地図 2017年版 日本経済新聞出版社
  • 図解入門業界研究 最新機械業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第2版] 川上清市著 秀和システム

 

転職・就職へのアドバイス

産業用ロボット業界を志すのであれば、本格的な転職活動をはじめる前のウォーミングアップで、

  • Kawasaki Robostage
  • ロボットセンタ
  • Tokyo Robot Lab.

などを訪れてみると、産業用ロボットがどのようなものなのかを体得できるように思われます。

Kawasaki Robostageは、川崎重工業がお台場に開設したもので、世界の工場とつながり、IoTの研究、実証ができる場所を目指しているそうです。duAroが間近で見られるかもしれません。

ロボットセンタは、安川電機のショールームで九州、中部、関東にあります。

Tokyo Robot Lab.は、オリックス・レンテックが開設したファナック、ABBといった複数のメーカーの最新型次世代ロボットが見られる町田市のショールームです。

 

2017年6月現在、公開されている安川電機の募集要項を参考にお伝えいたしますと、技術系の職種に就くには理工系の学部学科で学んでいることが必須で、事務系の職種であれば学部学科は問わないようです。

職種は次のとおりです。

“技術系/研究、開発、設計、生産技術、品質管理、営業技術、営業、知的財産管理 他

事務系/営業、調達、総務、法務、人事、経営企画、経理、財務、情報企画 他”

引用:安川電機 新卒採用情報 募集要項

https://www.yaskawa.co.jp/recruit/outline/data/

どの職種においてもいえることですが、自分自身の学んできたことや経験をどう活かせるのかを第一に考えたうえで、その結果、会社にどう貢献していけるのかを面接等でPRできなければなりません。

産業用ロボットの活躍の場が広がるにつれ、メーカー各社は多くの人材を必要とするようになります。場合によっては異業種経験者の方を求めるようになるのかもしれません。

中途採用や経験者採用のチャンスも見込めますので、転職エージェントに登録するなどし、キャリアコンサルタントから情報をもらえるよう常にアンテナを張っておくことが大事です。