今回は、2017年の最新版としてクレジットカード業界の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。
2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。
クレジットカード業界各社は、消費者の商品購入代金をいったん肩代わりし、後払い・分割払いで支払うことができるサービスを提供しています。
このサービスの対価として発生する手数料や金利が各社の主な収入源だといえます。
クレジットカード業界は、
既存企業
- BtoC-EC 消費者向け電子商取引市場の進展
- デビットカード市場の拡大
- 新しい決済システムの日本上陸
などにより、他業界に比べ、概ね好調であると私は感じております。
クレジットカード業界の基本情報
一般社団法人日本クレジット協会の統計によると、クレジットカードショッピング信用供与額は2014年以降、前年比7.7%~10.7%増で推移し拡大傾向にあります。
クレジットカード決済の取扱高は今後も順調に拡大していくのでは? と考えております。
また、昨年秋にはクレジットカード大手各社も即座に対応した、大きな新しいモバイル決済システムが日本に上陸しました。
ご存知の方も多いと思いますがApple Payです。
スマートフォンなどモバイル端末にクレジットカードを読み込ませることで、モバイルSuicaへのチャージや電子マネーQUICPay加盟店での決済も可能になります。
さらに、デビットカード市場も順調で、2016年10月に公表された株式会社矢野経済研究所のプレスリリースによると、2016年度のデビットカード国内市場規模は、前年度比25.7%増の1兆1193億円の見込みであるとし、拡大した背景には、国際ブランドやイシュア(発行元)による販促が功を奏したなどと分析しています。
クレジットカード業界には、大きく2つ、クレジットカード決済サービスをメインに提供する会社(三菱UFJニコス、クレディセゾン、三井住友カードなど)と、販売信用関連事業を幅広く展開している会社(オリエントコーポレーション、ジャックスなど)があります。
クレジットカード業界における2015年度の信用供与額は、45兆956億5000万円(一般社団法人日本クレジット協会のクレジットカード動態調査)で、クレジットカード業界を代表する7社(後述)の社員の状況は、平均年齢40.4歳、平均勤続年数14.5年、平均年収は631万円という結果になりました。
クレジットカード業界 ~今後の展望~
今後もクレジットカードをはじめ、電子マネー、モバイル決済が勢力を強め、現金以外での支払い決済が主流となっていくことが予想されます。
Apple Payについても、現在、対応可能端末は、Apple社の最新型デバイスのみですが、定期的に新機種がリリースされていけば、新規契約及び機種変更などにより利用人口は増えていくでしょう。
今後ますますキャッシュレスでの決済が増加し、クレジットカード決済市場は拡大の一途をたどることになりそうです。
クレジットカード業界の主要企業と年収一覧
各社の年収一覧
- オンフィナンシャルサービス 721万円
- 三菱UFJニコス 703万円※同社有価証券報告書より
- クレディセゾン 556万円
- オリエントコーポレーション 580万円
- 日立キャピタル 777万円
- ジャックス 611万円
- アプラスフィナンシャル 469万円
クレジットカード業界の主要企業(上記)の平均年収 631万円
参考文献
会社四季報2017年2集春号 東洋経済新報社
クレジットカード業界を代表する企業の基本情報
イオンフィナンシャルサービス
イオンフィナンシャルサービスは、イオンクレジットサービスやイオン銀行など国内外に連結子会社を持つ日本最大の小売業グループ・イオングループの総合金融事業を担う銀行持株会社です。
イオンクレジットサービスは、クレジットカードのプロセッシング、銀行代理、ATM、信用保証、アクワイアリング、ネット(イオンの総合ポータルサイト「イオンスクエア」や「イオンレジ」)、電子マネー「WAON」に関する事業を手掛けています。
また、イオン銀行は、銀行業のほか、クレジットカード事業も行っています。
会社四季報2017年2集春号によるとイオンフィナンシャルサービスの業績としては、ショッピング取扱高、キャッシングともに伸びており純益増となっていますが、人件費とポイント費用がかさんだと分析されています。
- 経常収益:3596億5100万円
- 経常利益:593億8000万円
- 社員数:連16807名 単139名
- 平均年齢:40.3歳
- 平均勤続年数:6.7年
- 平均年収:7,216,000円
三菱UFJニコス
三菱UFJニコスは、国内最大民間金融グループ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)のクレジットカード会社です。
株主は、三菱UFJフィナンシャル・グループ(85%)、農林中央金庫(15%)となっております。
同社の事業部門は、商品企画・開発、営業企画、営業推進、信用管理、セキュリティ、事務、システム、コーポレートの8つがあり、これらが協働して業務運営されています。
事業所は東京のほか、大阪・名古屋・福岡・札幌・仙台・船橋にあります。
- 営業収益:2701億7500万円
- 経常損失:△174億3000万円
- 社員数:3331名
- 平均年齢:40.2歳
- 平均勤続年数:15.7年
- 平均年収:7,036,000円
クレディセゾン
クレディセゾンは、流通系カード首位、開発力の高さに定評がある会社です。
同社の業績ハイライト(単体)によると、提携先企業とともにプレミアムカードなどの会員募集の推進を図ったところ、カード会員数は前期末比62万人増の2623万人となりました。
ショッピング取扱高は前期比5.2%増の3兆3575億円、ショッピングリボルビング残高は前期末比10.3%増の3736億円という結果に。
海外においてもベトナムでは二輪や家電向けローンを中心に順調に取扱高を拡大しており、営業拠点数、債権残高ともに倍に成長。
インドネシアでもリース事業の拡大に取り組んでいます。
会社四季報2017年2集春号によると、【みずほ銀行】約10年続いた業務提携見直し、加盟店事業は復活へ。と記載されています。
- 営業収益:2699億1900万円
- 経常利益:438億200万円
- 社員数:連3872名 単2313名
- 平均年齢:36.2歳
- 平均勤続年数:10.7年
- 平均年収:5,569,421円
参考文献
- イオンフィナンシャルサービス株式会社第35期有価証券報告書(2016年3月31日まで)
- 三菱UFJニコス株式会社第9期有価証券報告書(2016年3月31日まで)
- 株式会社クレディセゾン第66期有価証券報告書(2016年3月31日まで)
- 会社四季報2017年2集春号 東洋経済新報社
転職・就職へのアドバイス
クレジットカード業界におけるキャリア採用職種は、たとえばですが、
- WEBエンジニア
- WEBディレクター
- 社内SE
- 店舗販売職
- リテール営業職
- 事務
- 監査マネージャー
- 人事部門の研修トレーナー
- 労務担当者
などIT系から営業職、事務系に至るまで多岐にわたります。
クレジットカード業界を志す方であれば誰にでも、そこで自分の経験や知識を発揮して活躍できるフィールドが、用意されている可能性があります。
クレジットカード業界に転職をしたいのであれば、自分のこれまでの経験や保有する資格をどのように生かせるのか? 活かしていきたいのか? を考える必要があります。
まずは、自分の強みについて振り返り、伸ばすべきところは伸ばし、足りないと思えるところは補強していきましょう。
クレジットカードは、国内はもちろん海外でも使えることから、国際部門はなくてはならない存在です。
グローバルビジネスで通用する人材が大手では重宝される旨、昨年もお伝えしていたかと思いますが、これからも、クレジットカード業界においては、グローバルビジネスに通用する英語力のほか、経済・金融・国際情勢をも知識として身に付けていくことが求められます。
どの業界でも共通していえることなのですが、高い英語力を持っている人や国際的なグローバル視点で仕事ができる人は希少であり、採用される確率はグッと高まります。