今回は、2017年の最新版としてデジタルカメラ業界の動向と転職・就職に役立つアドバイスを紹介していきたいと思います。
2016年版も併せてお読みいただくと、ここ1年での業界の変化も読み取れると思います。
デジタルカメラ業界の基本情報
日本人にとっては、なじみの深いカメラ。フィルムからデジタルへと時代の流行とともに進化してきました。
日本のデジタルカメラ(デジカメ)の歴史は意外と古く、遡ること1981年。ソニーが現在のデジカメにあたる電子スチルカメラ第1号機を発表したところからスタートしました。
デジカメ市場は、おおむね順調に成長・拡大を続けてきたもののスマートフォン(スマホ)が普及しだした2010年以降、年々ガクンと出荷台数・金額を落とし続けています。
デジカメには以下の3つの種類があります。
- デジタル一眼レフカメラ(一眼レフ)
- ミラーレス一眼カメラ (ミラーレス・ノンレフレックスカメラ)
- コンパクトデジタルカメラ(コンデジ)
一眼レフ・ミラーレスは、レンズの交換が可能である点でコンデジとは区別されます。標準レンズ、望遠レンズ、単焦点レンズなど自由に組み合わせて目的・用途に合わせた撮影を行うことができます。
ただ、レンズマウントのサイズはさまざまで、メーカーや機種によって異なります。純正ではなくタムロンやシグマのように各メーカーの規格に合わせたレンズを製造・販売している企業も存在しています。
メーカー各社、たとえば、
- プロフェッショナルモデル
- ハイアマチュアモデル
- エントリーモデル
とプロが使う高価なものから初心者が安心して買えるものまで幅広く展開しています。
デジカメは、車やテレビ、パソコンなどと一緒で価値のある動産とみなされており、新品市場だけではなくリサイクル・中古市場でも使用状況や状態によっては高値で取引されています。
デジタルカメラ業界は、
- 家電メーカー(乾電池など)
- 半導体メーカー(本体やSDカードなど)
- カメラ用品メーカー(カメラケース、カメラバック、三脚、レンズフィルターなど)
- IT業界
- 印刷業界
- 家電量販店
- カメラ専門店
- 通販会社(インターネット通販含む)
などと密接な関係にあります。
デジタルカメラ業界の歴史や上記3種類のデジカメの特徴については、2016年版などに詳しく説明記載がありますので、参考にしていただければ幸いです。
デジタルカメラ業界の市場規模は、一般社団法人カメラ映像機器工業会の資料によると、2016年の総出荷台数は、世界全体でおよそ2419万台、出荷金額はおよそ7102億円。国内だけで見ても出荷台数はおよそ352万台、出荷金額はおよそ945億円で国内外ともに前年よりも大きく下回っています。
そんなデジタルカメラ業界主要企業8社(後述)の社員の状況ですが、平均年齢は43.7歳、平均勤続年数は18.7年、平均年収は850万円となっています。
デジタルカメラ業界 ~今後の展望~
デジカメ市場規模が年々、減少している理由は、スマホの普及が大きな原因であることは明白です。
- デジカメの未来はどうなるのだろう?
- 明るい材料もあるはず
と考えてみた結果、次の3つの可能性があるのでは? と私は思いました。
- インスタグラム投稿から一眼レフやエントリーモデルに興味を持つようになる
- 写真素材で稼ごうとハイアマチュアモデルを買う方が増えるようになる
- スマホとデジカメどちらもうまく使い分けられる二刀流ユーザーが増加する
今後は各社、「普段はスマホだけど、ここぞという大事なときにはデジカメで撮影したい」と思えるような人の心をつかむ性能・価格のバランスがとれたデジカメを、いかに世に送り出していけるかが勝ち組・負け組の分岐点になるのではないでしょうか。
デジタルカメラ業界の主要企業及び年収一覧(各社有価証券報告書より抜粋)
各社の年収一覧
- キヤノン(イメージングシステムビジネスユニット) 763万円
- ニコン(映像) 778万円
- ソニー(イメージング・プロダクツ&ソリューション) 910万円
- 富士フイルムホールディングス(イメージング ソリューション) 1046万円
- パナソニック(AVCネットワークス) 781万円
- オリンパス(映像) 884万円
- カシオ計算機 830万円
- リコー(PENTAX) 807万円
デジタルカメラ業界主要企業8社(上記)の平均年収は850万円でした。詳細は、下図を参照ください。
デジタルカメラ業界を代表する企業の基本情報
【キヤノン(イメージングシステムビジネスユニット)】
デジカメ業界首位となっているのが「キヤノン」で、国内外ともにシェアNo.1です。EOS(一眼レフ・ミラーレス)やPowerShot、IXY(コンデジ)を世に送り出しています。今後も引き続き、本格・高級志向カメラに注力していくと思われます。
基本情報
- 売上高:3兆4014億8700万円
- 税引前当期純利益:2446億5100万円
- 社員数:26246名
- 平均年齢:43.1歳
- 平均勤続年数:18.3年
- 平均年収:7,632,393円
【ニコン(映像)】
とくに一眼レフに強みを持つといわれているのが業界2位のニコンです。今年、創立100周年を迎えた同社はDシリーズ(一眼レフ)、Nikon 1(ミラーレス)、COOLPIX(コンデジ)を世に送り出しています。
基本情報
- 売上収益:7492億7300万円(国際会計基準)
- 税引前利益:30億6800万円(国際会計基準)
- 社員数:5090名
- 平均年齢:44.5歳
- 平均勤続年数:19.9年
- 平均年収:7,788,504円
【ソニー(イメージング・プロダクツ&ソリューション)】
業界3位となっているのは、テレビやオーディオ、ビデオカメラも手がけている世界的企業のソニーです。
αシリーズ(一眼レフ)、サイバーショット(デジタルスチルカメラ)、ハンディカム・アクションカム(デジタルビデオカメラ)などを手がけています。
基本情報
- 売上高及び営業収入:7兆6032億5000万円
- 営業利益:2887億200万円
- 社員数:6185名
- 平均年齢:43.1歳
- 平均勤続年数:18年
- 平均年収:9,106,527円
参考文献
- キヤノン株式会社第116期有価証券報告書
- 株式会社ニコン第153期有価証券報告書
- ソニー株式会社2016年度有価証券報告書
- 日経業界地図 2017年版 日本経済新聞出版社
転職・就職へのアドバイス
昨年もお伝えしていたとおり、デジタルカメラ業界は、
- プロダクターである技術職・システムエンジニア
- プレゼンターである営業職
技術職・システムエンジニア
技術職・システムエンジニアは、理系出身の優秀な人材を積極的に採用していこうという傾向がみられます。面接では、
- カメラの要素・撮影についての技術に関する知識があるか?
システムエンジニアの場合は、
- 比較的、大きなシステムの構造設計ができるか?
- チームで実際にコードを書いた経験があるか?
といった点が評価の対象になります。
デジカメを愛用していて、知識やテクニックを持っている方、システム構造設計・コードに詳しい方は、その旨、面接でしっかりとアピールしていきたいものです。
求人数は常に一定数あるので、転職エージェントに相談すると良い案件を紹介してくれることが多いです。
営業職
営業職は、カメラがほしいと思っている方が購入しやすいように家電量販店などでの売場を確保し、売れ筋だけではなくプロフェッショナルモデル、ハイアマチュアモデルからエントリーモデルまで店舗に置いてもらえるよう交渉するのが仕事です。
もちろん、置いてもらうことがゴールではなく、売れるように販促を施していかなくてはなりません。
そのため、自社製品が競合他社のデジカメとどうちがうのか? そのポイントをわかりやすく店舗担当者にプレゼンできなければなりません。そのための商品基礎知識、自社製品をうまく売り込む交渉能力が採用時に重視されます。
主に家電量販店と納入数量や金額面で折衝をすることが多くなるため、面接ではWin-Winの関係を構築できるようコミュニケーションを心がけていく姿勢を見せると高く評価されるはずです。
家電量販店のデジカメコーナーやカメラ専門店勤務経験者はもちろんのこと、接客・販売・営業経験者は、比較的、採用されやすいと考えます。
技術・SE・営業、すべてに共通していえることは、デジタルカメラ業界を志望するのであれば、できる範囲で構いませんので慣れ親しむために手元に1台はデジカメを持っておいたほうがいいということです。
そのほか、デジカメ比較本、各社公式サイトなどに掲載されている最新商品情報をチェックしたり、関連知識を身につけたり、ビジネス関連書籍を読んだりして、力をつけるようにしたいものです。
コメント
デジカメが売れなくなったのは・スマートフォンのカメラで満足してる人が多いからで・裏を返せば、スマートフォンで獲れない被写体を撮りたいから・金があれば、それなりのカメラが欲しいということ。それから、企業側とプロカメラマンの主張にも問題があるから売れないのだ。大体・フルサイズもって撮影を楽しめるか?そんな業務用のカメラで何が獲れる?それから、スマホのカメラで慣れた人たちが一眼レフを初めて使うと・ファインダーでは見にくいし、レフ板の手入れが盲点ですぐに劣化させてしまう。三脚の重さやレンズのコストで遊ぶ金さえなくなるで・なぜカメラが売れる?初めから三脚が軽くて済む高画質高倍率のデジカメを押しておけばコンナことにはならなかったであろうが?