高齢化が進む日本において、医療機器の需要は、年々高まっています。
医療機器とは、治療、診断、分析の各機器に大別されます。製品の規模を見ると、家庭用の体温計から、多くの病院が導入しています、MRIやCTなどの大型機器に至るまで、多岐に渡っています。
こうした機器にとどまらず、医療機器には設備機器、衛生用品まで含まれます。人命にかかわる大事な機器であるため、製造・販売には厚生労働大臣の製造・輸入承認が必要となっています。
医療機器業界の概要
この業界には、医療機器メーカー、電機メーカーだけでなく、異種業種からの参入も増加しているようです。
しかし問題なのは、高度な機器が多く、それだけに、海外製品のシェアが高いと言うことです。
この傾向は、今年11月に施行が予定されています「改正薬事法」では、大型の医療機器の認証手続きが、迅速化するとみられ、さらに医療機器業界への新規参入が容易になる事が予想されます。
これに対して日本のメーカーは、独自の技術を開発して、対抗するしかありません。
今、海外から入っている医療機器を見ると、コンピューター断層撮影装置CT),磁気共鳴画像装置(MRI)など、日本の医療機器市場で、外資系企業が攻勢を強めています。
CTでは、日本の東芝メディカルシステムズが5割強を占め、GE,シーメンスと続いています。
MEIは、大半が外資系で占められています。
こうした中で、日本の医療機器メーカーも手をこまねいてはいません。
改正薬事法を視野に、医療関連事業の強化策を打ち出しています。
東芝は、医療機器を含むヘルスケア事業を強化、日立製作所は、ヘルケア関連事業の売り上げ目標を6000億円に掲げるなど積極的経営に乗り出しています。
世界規模の研究開発力で強みを持つ、外資系各社がさらに攻勢を強めてくることは十分予想されます。
そうした中を日本の医療機器メーカーは、どう対処していくのか、医療機器分野はこの11月に、戦国時代を迎えることになります。
日本のメーカーとしては、高齢化と人口増が進む新興国への新規開拓を本格化して行くことこそ活路を見出すことになりましょう。。
日本の技術力は、外資系に負けないものを持っているのは確かです。
しかし外資系の膨大な研究開発費には遠く及ばないのが現状です。
そうした中で生き残れる道は、壮大なスケールと、資金力を持つ外資系との提携を模索するメーカーも現れています。
医療機器業界の正念場に来たと言えましょう。
医療機器関連企業一覧
- テルモ
- オリンパス
- 東芝メディカルシステムズ
- 二プロ
- 日立メディコ
- シスメックス
- 日本光電
- 日機装
- フクダ電子
- オムロン
- 住友ベークライト
- JMS
- ホギメディカル
- トプコン
- マニー
- GE
医療機器大手企業
【テルモ】
売上高4023億円 営業利益532億円 平均年収699万円(40歳)
アメリカで、再生医療機器に参入、医療機器業界の最大手です。カテーテルなど心臓血管領域に強みを発揮している企業です。
医薬品も海外比率が高く、アジアで生産を拡大しています。
連結事業は、ホスピタル39、心臓血管領域42、血液マネジメント19となっています。
【オリンパス】
部門売上高3947億円 部門営業利益871億円 平均年収756万円(42歳)
軟性内視鏡では世界トップを誇ります。ソニー・オリンパスメディカルソリュージョンズに49%出資しています。
シェア7割の消化器内視鏡が柱商品となっています。
損失隠しで一時経営が混乱しました。
円安が好影響を与え、内視鏡が新製品効果で大幅増と好調を維持しています。
連結事業は衣料53、ライフ・産業11、映像14、情報通信15、他6となっています。
【ニプロ】
売上高2410億円 営業利益114億円 平均年収511万円(38歳)
2013年3月カテーテル大手のグッドマンを連結子会社にしました。
医療機器業界第4位の使い捨て医療器具大手企業です。
後発医薬品、受託医薬品の育成に努め、再生医療研究にも積極的に取り組んでいます。、デスボライザー、人工心臓新製品など医療事業は順調な成績を上げているようです。
連結事業は、衣料70、医薬品27、ガラス3となっています。
就職・転職へのアドバイス
日本の医療機器メーカーは、これまで改正薬事法のたびに一喜一憂してきました。これほど薬事法は、改正に次ぐ改正で、医療関係者に大きな影響を与えてきました。
この11月の改正で、また市場が混乱するかもしれません。
もう一つは今交渉中のTPPの結果によっては、また医療関係者は一喜一憂することになるかもしれません。
それほど医薬品や医療機器に関しては、欧米の圧力が強い業界だと言えましょう。
そんな中、就職・転職を目指す人は、今年はこうした流れだから、来年もこうだろうと予想したら、その予想は当たらないことになります。
政府の政策が、政権与党が代わるたびに、大きく政策が代わってくるのも、この業界の特徴です。
いまどのような業界の流れなのか、しっかり把握することが肝心です。
医療機器業界は、外資系との戦いの場と言えるでしょう。日本独自の技術の開発が求められている業界です。
そのために優秀な人材発掘が当面の課題となっています。
転職、就職においては、自信を持ってチャレンジしてください。
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